原作に介入=生 不介入=死 何だ!この世界は!
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28話
夕の第3の人生の開始が確定してから数時間、現在時刻は午後6時、
夕は病室のベットでこの先、どうするかを考えていた。
「先ずは親父とお袋に現状を伝える必要があるな。信じてもらえるかはわかんないが。次に生活場所とお金をどうにかする必要があるな」
聖王教会に相談すれば住む場所とお金は普通に出して貰えそうだ。その代わりにベルカの領地………最低でもミッドには住まないといけなくなる。
両親に本人だと認めてもらってお金を出してもらうという手もあるが、これは避けたい。今までいろいろ苦労かけた両親にもう一度、義務教育が終わるまでお金を出してくれとは言いづらいし言いたくない。
最後の手段としては管理局に入って自分で稼ぐか。正直、命がいくつあっても足りなくからパス。考えた結果。俺が選択できるのは一つ目のみのようだ。
そうしていると部屋に訪問者が現れる。
「こんばんわ、夕」
やってきたのは剣であった。
「よお、剣。今度はこんな姿になっちまった」
夕はベッドから下り、手を広げて全身を見えるようにする。
「うわ、はやてから連絡はあったけど本当に小さくなってるよ」
夕の姿を見て目を丸くする剣。その後、どうしてこうなったかを夕が自分の視点から剣に聞かせる。
「…また、ずいぶんと面倒なことに巻き込まれたね」
あまりに現実離れした事態に巻き込まれた親友に何と言っていいかわからず、苦笑する剣。
「ああ、頭が痛いよ。急遽開始した第3の人生をどうやって生きて行くかも考えないといけないしな」
「よかったら僕の家にくるかい?君一人くらいなら養えるよ?」
剣はなのはとフェイトの家の隣の家で一人暮らしをしている(ヴィヴィオが泣くので夕食はいつもなのは逹の家で食べているらしい)
「遠慮しとく。親友に養なってもらうのはさすがにごめんだ」
夕はプライドを優先して剣の申し出を断る。
「あはは、夕ならそういうと思ったよ。でも何かあったら言ってね。力になるから」
「その時は頼む」
できればそんな事態になるのは避けたいけどな。
「話は変わるけど、今回の一件も世界の力が関わっているのかな?」
剣が真剣な顔に切り替えて聞いてくる。夕はすこし腕を組んで考えて話す。
「わからないってのが本音だ。この先の原作知識のない俺達は何が起こるかもわからないから、これが巻き込まれフラグなのかもはっきりしない」
無くなって初めてわかる原作知識のありがたさである。
「確かにそうだね。偶然って可能性もあるけど………その可能性は低そうだね」
これまでの夕の体験を考えると偶然の方が少ないのだ。
「まぁ予想できないんじゃ避けようもない。好き勝手に生きてそれが原作の中だったとしても気にせず生きていくしかないってことだ」
知らない故に好き勝手できる。諦めるのはでなく気にしない、夕が出した結論はこれだった。
「それが一番だね。今の僕も自分の思った通りに生きてるわけだしね」
その後、剣は面会時間ギリギリまで話して帰っていった。
あれからいろいろ考えた結果、夕は聖王教会に属することになった。獅子王の知識を渡す変わりに生活を援助して貰えるようにしたのだ。(用意されたマンションに行くとほとんどの家具がしっかり揃えられており、買いそろえる必要がないのは楽だった。後は送っておいた私物の片付けだけであった)学院にも来年から中等部に通うことになっている。両親に報告に行ってみるとあっさり信じて貰えた。雰囲気でわかったらしい。特に悲しまれたりはしなかった(寧ろ子供の姿になった夕を見てもう一冊、家族アルバムが増えると喜んでいた)喜んでいただけ何よりです。
そして元の姿に戻れないと決まった時点で三河(ミッドでは島田)夕は公式に死亡したことにした。新しい体で生きるにあたって前の経歴との関係は断っておいたほうがいいと判断したからだ。現在聖王教会に協力してもらって新しい戸籍を作っている。
夕の第3の人生の開始してから3週間、夕は週1の検査で聖王教会にきている。
「これで検査は終りです。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
検査していた医者から検査の終了を告げられた夕は聖王教会の中を歩いていた。そこに襲撃者が現れる。
「ゆ~う」
「おおヴィ、ぐふっ!」
襲撃者、ヴィヴィオが夕に体当たりをかましたのだ。前の夕なら簡単に受け止められるのだが小さくなった体の感覚の違いにより、受け止めるのに失敗し、ヴィヴィオの頭が夕の鳩尾に直撃する。 かなりのダメージにより膝を着く夕。
「ゆ~う、だいしょうぶ?」
膝をつく夕にヴィヴィオは心配そうに聞いてくる。
「ヴィヴィオ、心配してくれるのは嬉しいが………原因はお前だ!」
夕はヴィヴィオを持ち上げて振り回す。
「キャー」
手加減しているのでヴィヴィオは喜ぶだけだが、振り回す時間が長くなれば、
「ふぇ~めが~ぐるぐる~」
この様になる。
「よし!」
目を回してふらふらになったヴィヴィオを下ろして満足する夕。だがここで違和感に気づく。
「おい、ヴィヴィオ」
「ふぇ?」
「どうして俺だとわかった?」
夕は小さくなってからヴィヴィオに一度も会っていない。夕の今の容姿をヴィヴィオが知らないはずなのだ。
「う~?ゆうだからゆう………ゆうじゃないの?」
何を言いたいのかイマイチわからないがヴィヴィオは勘で夕だと認識したようだ。こいつ侮れん。
「いや、夕であってる。それでヴィヴィオは一人か?」
「なのはママといっしょ!」
そういっているが周囲になのはやフェイトの姿はない。
「ヴィヴィオよ。そのママだが、いないんだが」
「え?」
ヴィヴィオは周りを見回す。そして。
「ママいない!ゆう、ママのところつれてって!」
この幼女。泣くどころか俺を利用する気だ!?面倒だ。しかし、放置すると後が怖いのも事実。
「はいはい。わかったよ。ちょっとまて」
夕はため息をつきながら念話でなのはに呼びかける。
【おい、なのは】
【うあ!びっびっくりしたぁ。その声は夕君?】
【そうだ。今どこにいる?ヴィヴィオが俺の目の前にいるんだ】
【ヴィヴィオが!?よかった~。今探してたんだよ】
【何でもいいから早く場所教えてくれ。目の前の我が侭幼女がうるさいんだ】
こうして念話してる間もヴィヴィオは「まだ~?」「早くママの所にいこうよ」など夕に要求しているのだ。
【わかった。場所は…】
なのはに居場所を聞いた夕はヴィヴィオを連れて移動する。
「なのはの居場所がわかったから行くぞ」
「わかった~」
ヴィヴィオは夕の横に並び手を繋いでくる。夕は気にせず好きにさせる。 幸いなのははすぐにみつかった。
「ママ!」
なのはを見つけたヴィヴィオはダッシュでなのはに近づいてなのはの足に抱きつく。
「よかった。ダメだよヴィヴィオ。ママから勝手に離れちゃ」
「ごめんなさい」
抱き締めた後、母親らしくヴィヴィオを叱るなのは。ヴィヴィオも大人しく叱られている。
「ありがとうゆ………誰?」
「おい」
何でこの姿で会ったことないヴィヴィオがわかって、会ったことのあるなのはがわかんないだよ。
「あ!夕君か!」
「思い出したようだな。というか忘れるな」
「にゃはは。ごめんなさい。まだ慣れなくて」
まぁこの姿になって日が浅いから仕方ないか。
「慣れてくれ。元の姿には戻れそうにないから。たぶんこの体で生きていくことになるだろうからな」
「努力します。それで夕君は何でここに?」
「週一の健康診断だ。確り見てもらわないと何が起こるかわからないかならな」
なのはの問いに答える夕。
「そっかぁ、ヴィヴィオと同じだね」
「おなじ~」
「そうだな」
その後、ヴィヴィオがシスターに呼ばれて診察室に入っていった。
「それじゃあ、俺は帰る」
「待って夕君、家で夕御飯食べていかない?ヴィヴィオももっと夕君と話したいみたいだし」
帰ろうとしたらなのはに夕飯の誘われる夕。誘いを受ければ夕飯代が浮くな。その代わりヴィヴィオの相手はしないといけないな。どうするかぁ。夕は少し考えて、
「そのお誘い受ける」
「本当!よかった。断られたらどうやって連れて行こうかと迷ってたんだよ」
おい。今、この人。連れて行くって言ったよな。俺の意思は関係ないのか?ヴィヴィオのためなら何も恐れないのか?誘いを受けてよかった(汗)
夕は一度、家に帰ってからなのは逹の家に向かうことになった。ごちそうされた夕飯はうまかったことを告げておく。
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