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美しき異形達

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第九話 風の力その三

「そんなのね」
「だよな、じゃあバイクは」
「必要よ、お兄ちゃんそのこともあって私にくれたから」
「その2ストのバイクをなんだな」
「ええ、いいバイクよ」
 自分で言う菊だった。
「今もいつも乗っているわ」
「そうなんだな。さて、じゃあな」
 ここでだ、四人のところにだった。
 お好み焼きの玉が来た、そうして。 
 四人はそれぞれのお好み焼きを焼きはじめた、その四人にだ。
 カウンターからだ、ふわりとした感じの茶色の髪と優しいおっとりとした雰囲気の黒い垂れ目の二重の瞳を持つ少女が四人のところに顔を向けてきた、茶色の髪は長く腰まである実に豊かなものだ。顔は幼さが残るが優しい感じでほんわかとした雰囲気を見せている。ピンクのブレザーとネクタイ、それに白のブラウスを着ている。ピンクと赤、それに白とえんじ色をタートンチェックにしている短いプリーツスカートは八条学園の制服の一つだった。脚は白いハイソックスで覆われている。制服の上から大きな胸が目立っている。
 その少女がだ、四人を見て言ってきた。
「あの、宜しいでしょうか」
「?あんた誰だい?」
 薊がその少女の声に応えた。
「一体」
「はい、文曲桜と申します」
 少女は自分から名乗ってきた、カウンターの席から。
「八条学園高等部普通科二年A組にいます」
「A組なんだな」
「はい、そうです」
「へえ、同級生か」
「貴女は確か」
「ああ、天枢薊ってんだ」
 明るい笑顔でだ、薊も桜に名乗った。
「この前八条学園に転校してきたんだ」
「そうですか」
「確か貴女は」
 ここで桜に声をかけたのは菖蒲だった。
「テニス部の」
「はい、部活はテニスをしています」
「そうだったわね」
「貴女はD組の巨門菖蒲さんですね」
「そうよ」
 その通りだとだ、菖蒲も答えた。
「フェシング部にいるわ」
「そうでしたね」
「どうしてこのお店にいるのかしら」
「実は食べ歩きが趣味でして」
 桜はにこりとした温厚な笑顔で菖蒲に話した。
「それでこのお店にも」
「来ているのね」
「そうです、自宅からオートバイを使って来ました」
「?ということは」
 今度は菊が言った。
「お店の前のあの大きなバイクは」
「はい、私の愛車です」
 その通りだとだ、桜は微笑んで菊に答えた。
「いつも乗っています」
「そうなのね」
「オートバイも好きなので」
「へえ、意外ね」
「意外ですか」
「いや、大人しい雰囲気だからね」
 桜のその雰囲気と喋り方を見ての言葉だ。
「バイク乗る様には思えないから」
「よく言われます、ですが」
「それでもなのね」
「はい、好きです」
 バイクに乗ることもだというのだ。
「そうなんです」
「ううん、何かバイク乗りが集まるわね」
「そうですね、それに」
 ここでさらに言う桜だった。
「貴女達も」
「私達も?」
「私と何か」
「まさか」
 ここでだ、裕香も含めて四人は。 
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