とある物語の傍観者だった者
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23話:久しぶり
前書き
久しぶりの投稿です
これで納得した。
何故かミサカ妹が一方通行を撃破できたのも納得した。
オレがこの事件の全貌を知り尚且つ美琴たちを見捨てるということも知っていたのに対しても納得した。
性格が悪いのも、ふざけているのも、話を滅茶苦茶に引っ掻き回していたのも納得した。
あぁ、あのアニメ映画も奴の仕業だろう。ここに誘き寄せるため、というよりかはただの嫌がらせにしか思えないんだけども……
オロゲ……
えっと、とりあえずオレは吐いた。脇目も振らずに……美琴にドン引きされずにこの場限りでは心配してくれているという奇跡が起きたりする中で、もう胃液さえ搾りつくし出ない程に。
そして、いろんな意味で困惑して混乱しているんだが……
昔々、あるところに極度のブラコンな少女が1人いましt……いや、今そういう話しは置いておこう。こうじゃない。
だが、確かにG.W.だった。
あの日に出会った。
テスラやリリィというオレがロリコンと呼ばれるようになるきっかけになった女の子達と出会ったゴールデンウィーク。リリィを巡る冒険SFファンタジー……いや、そこまで大層じゃないけども。
そんな、1人の人間が人生に一度あるか無いかぐらいの事件に巻き込まれたオレは、その2人と、あともう1人『変態魔女』と呼ばれる変態と出会った。
ジャンヌ=ジェネロ。
そんな変態が少女の…ミサカ妹の姿から変形していく。
まるで粘土をこねるかのように頭の先から足の先まで、奇妙で異形で不気味な動きをしては魔女の姿に変形していく。
細胞レベルで…否、遺伝子レベルから体の構築していき、それが『肉体変形』に似通った能力でありオレのトラウマになる要因の一つである。
もうヤメテー、鳥肌ものだ。
美琴も驚き唖然としてはその場から一歩たりとも動けずにいた。
オレたち2人は奴の変形に身震いした。
「おいおい、涙もちょちょ切れる感動の再開だってのにこのボクを見て吐くとは酷いなヒフミちゃん。ショックじゃないか」
「オロオロオロ……」
「………」
お願い変形しながら喋らないでッ!!
こいつの悪い癖だ。美琴も吐きそうになってんだろ!!
「あはん、その顔がゾクゾクするね。もっとサービスしたいぜ…ハァハァ///」
「「おぇっ……」」
だから変形しながら身体をくねらせながらハァハァしないでッ。
さすがの美琴も我慢できないようだ。
キモすぎるっ。
「まっ、ともあれ久しぶりだねヒフミちゃん。ボクがいなくて寂しかったろ、辛かったろ。せっかくの感動の再開なんだ、ハグでもしようじゃないか」
「ぎゃーこっちくるなーーー!!!」
奴は嫌がらせのように、グチャグチャとヒトじゃない気味の悪いグロテスクな肉塊でオレを抱きしめ頬を摺り寄せやがった。
おえぇぇぇぇっ。もう死にたい。
「あっはっはっは、良い反応してくれるねヒフミちゃん。キミのギャグはまるで漫画やアニメのようだ。もっとサービスしてやろうじゃないか、耳を甘噛みしてやるぜ。はむっ」
「ムリムリムリムリホントヤメテマジムリラメェエェエェエエエエエエエエエーーーッ!!?」
「い、いやアンタらナニ遊んでるのよ……??」
いや遊んでないからな。
よく見ろ。襲われているんだよ。
変態にアマガミされただけで絶頂してしまったオレ。
「まっ、ちょっとした戯れもさて置き」
「し、死ぬかと思った……」
「………」
閑話休題。
見慣れた変態魔女の姿に戻ったジャンヌ。
相変わらずのエロエロで我が侭ボディに目がいってしまうけども。変態でなかったら求婚していたな。
年齢は不詳、しかし大人の女性であり黒髪は艶やかで美しくラテン系の容姿がよりいっそ色っぽく映り、思春期の健全な男子高校生には刺激が強すぎた。
変態ではあるが魔女であるが故にミステリアスでオレを惑わせる。
駄目だ、騙されるな、見た目だけだ、中身が残念だ、アホな子なんだ、敵なんだ、害悪だ、オ、オレたちは殺し合いをした間柄なんだ……
変態はオレの心境などお構い無しにオレを誘惑する。魅惑のポーズは何故か某漫画風の奇妙なポーズィングだ。
なんてアホな子なんだろうか。しかし、あんなにもアホなポーズなのに魅了される。
そもそも全身網タイツってのがアカン。黒の網タイツに黒のマントに黒のハイヒールしか身に着けてないってのが卑怯だ。局部を隠す気すらないのか、この変態。いや、なんか上手い具合に見えない謎仕様なんだけども。あと、魔女と云うぐらいだから魔女風の帽子をかぶっていてもおかしくないが、今は身に着けていないんだけど。
もう駄目だ……いくら紳士なオレであろうがこの変態の前では理性が吹っ飛びそうだぜ。オレはたまらなく片膝を付いた。
「おやおや、ヒフミちゃんはこのボクの素晴らしきナイスバディに反応しておっきしたようだぜ。いやんッ///」
「「……ッ!??」」
最悪だ、このアマッ!! ボクっ子キャラめ!!
いちいち指摘しないでいいものを……ササッと美琴がオレから数歩距離を取った。
「なんで、こんな時にアンタはエロいこと考えてんのよッ! サイテーッ!!」
「ふぇぇ、ごめんなさ~い」
「「………」」
謝ったというのに、なんか2人がジト目だった……
もう一度、閑話休題。
さて、奴は改めて自己紹介をする。オレじゃなく美琴に向かってな。
「はじめましてだよね、御坂美琴ちゃん。ボクの名前はジャンヌ・ジェネロ。ヒフミちゃんの性ヒロインで妻だぜ」
「え、えぇぇっ、妻ァァアアアアアッ!??」
嘘だよ、騙されんな。
つーか、性ヒロインって何だよ。もの凄く嫌だよ。
「あっはっは、嘘だよ。でも、まぁ似たようなものだね、ヒフミちゃんはボクの『嫁』なんだぜ」
似ているどころか一緒の意味じゃねーか。
「よ、嫁って、こいつ男よ……??」
………。
「おいおい何を言っているんだい、ジャパニーズ・カルチャーでは自分の気に入った人物を『嫁』にするのが風習なんだろ??」
「いや、それは間違った知識だけど…でもアンタさっき妻とか……ってどっちでもいいわよそんなこと!」
「おぉっ、いきなり怒鳴らないでくれたまえ。ビックリするじゃないか、ミコッちゃん」
「み、みこっちゃ……って、アンタも私をその名で呼ぶな!!」
ミコッちゃんの心は大荒れ模様。
「アンタ、何者なのよ。あの子の姿で一体なんの真似よ? 実験の関係者?? 本物のあの子はどこなのよ??」
そういえば、この問題もあったな。
ジャンヌはそれを聞いて、ワザとらしく思い出したかのように手を打ち、
「あぁ、君のクローン・検体番号9982番なミサカ妹ちゃんのことかい??」
「えぇ、その私の妹は今日ここで実験する予定だったらしいわ。なのに、アンタがここにいてあの子がいない。一体どういうことよ……」
この先は……あまり考えたくないな。
しかし、
「そんなに睨まないでくれたまえ、キミの妹ちゃんは傷つけてやしないさ。神様に誓ってもいいぜ」
「そ、そう、なの……??」
などと、美琴は変態の言葉に安堵しているようだが、「まぁ、そこら辺の路地裏でおねんね中だぜ」の一言がもう余計だった。
「お前、その子に無茶させたか??」
「いやいや、ちょろっと彼女の『データー』をインストールしただけだ、君が心配している事は何一つないのさ、愛Loveヒフミちゃん!!」
「うるせっ、お前のいう事をオレが信じると思ってるのか??」
「ボクの言葉を信じるか信じないかはキミ達の自由だ、勝手にしたまえ」
まぁそうなんだけども。
「確かにキミとボクは衝突したが、それは昔のことだろ? 過去のことだぜ?」
「……水に流してくださいとかふざけたこと言うんじゃないじゃないだろうな??」
「いや、そこは期待してやしなさ。だけど、今はその話は置いておけ。あとでたっぷり相手してやるからよ、ヒフミちゃん」
「………」
いろいろ腹が立つが、今はミサカ妹の問題。
「まぁ、確かにミサカ妹ちゃんを傷つけちゃいないし丁重に扱ったつもりだけど、さっきも言ったけど彼女を無情にも路地裏にポイしてきてしまったぜ。そのおかげで今頃彼女は誰か実験の関係者に回収されているだろう。きっと次の実験のための準備を進めるだろうね」
「なっ……つ、次って……」
………。
美琴は絶望する。
「ちょ、ちょっと待ってよ!! 次の実験って、アンタが一方通行をやっつけたじゃない。それでもまだ実験は続くって言うの??」
「そうだね。あの程度のダメージじゃ学園都市の技術であれば5日ぐらいで股間すら完治するんじゃないかな?? そしたらまた実験が再開される。もちろん、9982番な彼女からだね。かわいそうに」
「そ、そんな……」
………。
「そもそもだ、ミコっちゃん。今回の実験はキミが思っている以上に強大で、キミなんかが実験を阻止しようとするのは無理ゲーな話だったんだよ」
だから、それを知っていたヒフミちゃんはキミを見捨てたんだ、と余計な一言を。
「それに、セロリ君をぶっ殺して妹ちゃん達が救われるなら誰でもしているさ」
そんなイージーモードならヒフミちゃんもセロリ君をぶっ殺していたさ、とまたしても余計な一言。
言っておくが、セロリに勝てるのはごく一部の者だけだろが。誰でもじゃない。
「それにちょっと脱線するけども、もし仮にセロリ君をぶっ殺したとして、仮にレベル6シフト計画は凍結されたとしても、そこで終わりじゃなかったら? ミサカ妹ちゃんが良い例だ、科学者共の手によって2人目、3人目のセロリ君がクローン人間が作られ、無敵を目指すためのエンドレスな実験が再開したらどうするんだい?」
なにそれ、考えただけで怖い……。
「たぶん、今以上の地獄になるだろうね、このボクでさえ武者震いしてしまいそうだぜ」
「お前、そんなこと企んでないよな??」
「キミの苦しむ顔が見れるなら是非とも」
「………」
………。
「いやん、嘘だよ。そんな怖い顔しないでヒフミちゃん、ミコッちゃん!」
「「しね」」
オレと美琴の息がぴったりと合ったな、今。
もうため息しかでなかった。
「さて話を戻すけど。このボクがセロリ君を殺さなかったことには海より深い理由があったりするんだけど、そんな重傷を負ったセロリくんが治療中の今、ミサカ妹ちゃん達は命は奪われる心配がないのだけど、それもせいぜい5日ぐらいでまた実験が再開され再び地獄が始まるのはもう確定していると思うぜ」
変態魔女の手によって多少はシナリオが変更された。
しかし、結局のところ、ミサカ妹がセロリに虐殺される未来は変更することはできなかった。
セロリを止めない限り、実験は限りなく続く。
だから、変態魔女は美琴に提案するのであった。
「でも、この5日間でミコっちゃんが一生懸命頑張れば、もしかしたらこの実験を止められるかもしれないんだぜ」
一生懸命頑張るとか生ぬるいレベルじゃないだろうけども。
「なに、この実験に携わっている研究施設を、実験のデーターもまとめてぶっ壊してこればいいだけの話だ。これで最悪のシナリオは回避できるはずだ。簡単だろ??」
「じょ、上等じゃない……」
………。
たしかアニメではカミやんが美琴たちの寮に潜入して、美琴が隠してあった地図には赤の×印が多く見受けられた。あれが実験所への破壊活動だったな。
そうか、今から始まるのか……この子の本当の戦いは。
もちろん、研究施設を破壊したところで5日には実験は再開するだろう。そこは敢えて、言わないんだな。
まぁでも、その時にはカミやんがなんとかする……変態魔女が考えているのはそういうことなんだろう。
アニメよりも多くのミサカ妹の命を救うことができるかもしれない。
じゃあ、美琴には酷だけど黙っておこう。
「本当にごめん、美琴。オレは協力できないから」
「………」
美琴に睨まれた。心がもげそうだ。
「ふん……知っているわよ、そんなこと。アンタに期待していないわ」
「………」
それはそれでショックだ。
さらに心がえぐれていく。
「つーか、ヒフミちゃんはこれからボクとデートなんだ。情熱的な夜はこれからだぜ」
「ふぇぇ……」
嫌だよ、お家に帰りたいよ。割とマジで。
いや、まぁ、何一つ解決していないというか、そもそも何故この変体魔女がミサカ妹に変身して一方通行をぶっ飛ばしたのか本当の理由も知らないし、というかオレをここに誘き寄せたワケとか問題は山済みである。
なので、
「ねぇ、ロリコン」
はい、オレがロリコンです。
「アンタもアンタで私の知らない内にいろいろヤバそうな事件に巻き込まれてるんでしょ? それで今回は目の前にいうこの変態ってワケよね」
「そ、そうかも知れませんぬ……」
「だから、なんとなく察せれるんだけど、アンタも頑張りなさいよ。私も頑張るから」
「う、うん」
「だから、次会う時は、お互い笑顔で会いましょ?」
「え、いいの?? また会えるの??」
絶交じゃないの??
「確かに今回のことはショックだったけど、アンタとは友達でいたいもんね」
「み、美琴……」
惚れてしまいそうなぐらいの笑顔だった。
変態が「おいおいナニ惚気てるんだい?」とか言って茶化してこなかったら求婚していたぐらいに。
「まぁアンタをイジメないと調子出ないのよ。だから、絶対に逃がさないわよ?」
「さ、さいですか……」
逃がさないって……
つーかオレをそういう風に見ていたのかよ!!
でも、カワイイから許そう。イジメてくれても構わない。
「だからっ」
そして美琴は告げる。
「今度会う時は病院でしょうね、きっと。お見舞いに行くわ」
「なーーーッ!??」
そんな笑顔で入院確定宣告されたーーー。
「なに、驚いてんのよ? アンタ、いつも何かある度に入院してるじゃない」
「そ、それはそうだけども……ッ!!」
ケラケラ笑う美琴たんマジ天使。
「だ、だから、私がアンタのお見舞いに行くためには、アンタの応援が必要なのよ!!」
「えぇっ、いきなりどうした??」
つーか、オレの見舞いをするためにオレの応援が必要って何だよ、なんか虚しいぞ!
「うっさい、何でもいいから私に元気を注入する!」
「わかった、わかったから!!」
美琴はそう言っては目を閉じた。何故瞑る必要があるの??
どうしてこうなった……。本気でどうしたらいいんだこの展開。
な、なんでお前はちょっと恥ずかしがってんの? 顔赤らめてんの??
「おいおいヒフミちゃん。女の子に恥じかかせるなよ、早くやれよ。いってらっさいのチュウぐらいしてやれよ」
うるせっ!!
キス&チュウコールが煩い外野は黙ってください。
オレの美琴たんがそんな甘酸っぱい展開を望んでいるはずがありません。
つーか、本気でしたら死ねる。そもそもオレが美琴たんにする資格がない。
だから、オレは美琴の頭に手を乗せて撫でては……
「ミ……」
「み??」
「ミ、ミコッちゃん頑張れーーーッ!!」
「「………」」
声援を送るしかできなかった。
もう後悔したね。しかしコレが限界だ。
千載一遇のチャンスを棒に振った瞬間だった。
「うわー、相変わらずの超ヘタレだねヒフミちゃん」
う、うるせーよ、変態……
こうして、なんか理不尽にもミコッちゃんには腹パンされる悲劇になるんだけども。
なんとか、無事に彼女をこの場から去るのであった。
そして……
「やっと2人っきりになれたね、ヒフミちゃん」
「はいそうだすなー」
「今宵の満月がキレイだ。ボク達にとって忘れられない情熱的な夜にしようぜ、ハァハァ///」
「……ムリ」
ほ、本番はこれからだ!!
後書き
次話で一章を終わらせるつもりですたい
戦闘描写は極力書かないようにしたいです
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