久遠の神話
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第百一話 託すものその十一
「これだけあるとな」
「どうしようもないですから」
「一佐にお話するか」
「はい、丁度いいですね」
「それで処遇を決めてもらおう」
「俺達は特にいらないってことで」
こうしてだった、工藤が携帯で一佐、二人の今の上司に連絡をした。まずは二人が彼等の最後の戦いに勝ったこと、戦いから降りたことを連絡して。
そして数百億円分の金塊のこともだ、話した。そのうえで。
携帯でのやり取りを終えてだ、高橋に顔を向けて言った。
「国家予算に入れるとのことだ」
「そうですか」
「そうだ、ただだ」
「ただ?」
「俺達も数億円ずつ取っておけとだ」
「そう仰ってるんですか」
「ボーナス、いや仕事を果たしたことへの当然の報酬だそうだ」
一佐はこう彼に言ったのだ、そして彼も高橋にこのことを伝えているのだ。
「大きな仕事を今までしてくて果たしたことのな」
「それで、ですか」
「数百億あるなら一パーセントでもな」
「貰っておけってこどですか」
「それ位はいいと仰っている」
「数億がそれ位ですか」
高橋はその顔に本当ですか、と書いて笑って言った。
「ちょっとそれは」
「いや、一パーセントだ」
「パーセントなら小さいですか」
「例え数百億円分あってもな」
「そのうちの一パーセントずつに過ぎないからですね」
「構わないと仰っている、そういえば総理もな」
今回の件の最高責任者である、二人は彼の密命を帯びて一佐を上司として戦っていたのである。そしてその彼もというのだ。
「報酬は一割はな」
「怪物を倒したですね」
「俺達のボーナスになっているからな」
「だからですね」
「一パーセントならな」
いいというのだ。
「むしろ少ない位だ」
「数億円でもですか」
「ああ、割合から考えてもな」
「そうですか、ですが」
「数十億はだな」
「ちょっと多い、いえかなりですね」
高橋は困った様な笑顔で述べた。
「そこまでのお金は必要ないですよ」
「無益だな、君も」
「そういう工藤さんも」
「そうだな、俺もな」
「お金には欲がないですよね」
「多過ぎても使えない」
使いきれないといいうのだ。
「必要なだけあればいい」
「だから今回はですね」
「一パーセントでもな」
その数百億の中でのだ。
「それだけあれば一生困らない」
「警官、自衛官の給料もありますから」
「だからな」
それでだというのだ。
「俺も今回は一パーセントでいい」
「そういうことですね、じゃあ」
「一佐には連絡した」
二人の戦いが終わった、このことをというのだ。
「後はな」
「それならですね」
「一佐のところへ戻るか」
「さて、何を食べるか」
「何がいい、君は」
「そうですね、焼き鳥ですかね」
高橋がここで出したのはこの料理だった。
「やっぱり」
「それか」
「はい、焼き鳥でしょうか」
「俺もだな」
工藤もだ、ここでこう言った。
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