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美しき異形達

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第八話 土の忍者その十七

「そうしましょう」
「何もなかったみたいにか」
「あったけれど見せないだけよ」
 薊にこうも言ったのだった。
「私達以外の人にはね」
「隠すってことだな」
「人は誰でも秘密があるわ」
 それこそどんな人間でもだ。家族にも言えないような秘密があることも常だ。人には表と裏があるのだから。
「それは私達も同じだから」
「だからか」
「ええ、見せないでね」
 彼女達の戦い、それをというのだ。
「戻りましょう」
「そうか、じゃあ街に戻ったらどうするかだよな」
「何か食べない?」
 ここで菊がこう言ってきた。
「美味しいものでも」
「美味しいもの?」
「うん、皆何が好きなの?」
 菊は微笑んで裕香に応えながら二人にも問うた。
「食べものは」
「結構何でも食うよ」
「私もよ」 
 薊と菖蒲はこう菊に答えた。
「だから今もさ」
「何でもいいわ」
「私もなのよね」
 菊もだ、嫌いなものはないと言うのだった。
「それは」
「私も。そういえば」
 裕香もだった、嫌いなものはなかった。
「特にね」
「じゃあ何がいいかしら」
「お好み焼き?」
 ここで言ったのは裕香だった。
「それかしら」
「お好み焼きなのね」
「うん、あれは皆好きよね」
「お好み焼き、いいねえ」
 薊が最初に裕香のその提案に笑顔で応えてきた。
「あれでビールね、最高の組み合わせだよ」
「そうよね、じゃあ」
「ああ、あたしはそれでいいよ」
 にかっと笑ってだ、薊は裕香にこうも言った。
「それじゃあな」
「うん、薊ちゃんはお好み焼きでいいのね」
「私も。お好み焼きなら」
「私もね」
 菖蒲に裕香も言った。
「それでいいわ」
「最高じゃない」
「そうよね、じゃあね」
「ええ、今からね」
「四人で行こう」
 お込焼きを食べにだ、四人でそう決めてだった。
 四人でお好み焼き屋に向かった、そうして親睦を深めると共に美味いものも楽しむのだった。謎と戦いの中にあっても。


第八話   完


                              2014・2・26 
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