FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第180話 『光』の聖剣使い
前書き
紺碧の海でございます☆更新遅れてスミマセンでした!
今回は大魔闘演舞3日目が終わった後の出来事について書いていきます。その前に、大魔闘演舞3日目までの結果をご覧下さい。
ナレーション風です。
それでは、第180話・・・スタート☆
メ「読者の皆さんこんにちは~♪メイビスですよ~♪」
妖精の尻尾初代ギルドマスター、メイビスが可愛らしく登場。
メ「大魔闘演舞3日目、なんだが大変な事になってしまった為、順位を発表する事が出来ませんでした。なので、この場を借りて私から順位を発表させてもらいたいと思います。よいしょっ、よいしょっ。」
メイビスがゴロゴロと移動式黒板を押して来た。移動式黒板には大魔闘演舞3日目までの順位が書かれている。
『順意表』
1位 銀河の旋律 52
2位 妖精の尻尾B 46
3位 妖精の尻尾A 38
4位 蛇姫の鱗 32
5位 海中の洞穴 22
6位 幸福の花 21
7位 青い天馬 13
7位 気楽な禿鷹 13
9位 白い柳 12
10位 月の涙 9
11位 四つ首の猟犬 5
メ「1位は銀河の旋律、2位は妖精の尻尾B、3位は妖精の尻尾A。どうやら4日目以降からは、3つ巴の対決が始まりそうですね。私、と~っても楽しみです!」
そこまで言うと、メイビスはどこからか取り出した白いチョークで黒板の端に「死者の仮面」と書いた。
メ「気づいた読者様もいると思います。死者の仮面・・・いえ、高速の弾丸と言った方が良いでしょうか?」
メイビスはどこからか取り出した黒板消しで、さっき書いたばかりの「死者の仮面」の文字を綺麗に消し、「高速の弾丸」と書き直した。
メ「高速の弾丸は失格になった為、順意表に書かれていません。そりゃそうですよね。闇ギルドでありながら大魔闘演舞に出場し、そのうえメンバー全員参加。しかも!私達の家族を1人殺そうとしたんですから・・・!高速の弾丸の魔道士達は評議院に連行されていきました。4日目からは11のギルドで対戦です。でも、バトルパートはどうなるんでしょうか?そこは駄作者紺碧の海にお任せしましょう!」
そこまで言うとメイビスは移動式黒板をゴロゴロと戻すと再び出て来た。
メ「さてさて、大魔闘演舞、今後はどのような白熱の戦いが見られるんでしょうか?妖精の尻尾の魔道士達の活躍も楽しみにしてて下さいね。頑張れ、妖精の尻尾!」
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大魔闘演舞3日目の夜、ドムス・フラウにある妖精の尻尾専用医務室には、妖精の尻尾A・Bのメンバーが勢揃いしていた。
全員の視線の先にはベッドに静かに寝かされたリョウ。顔は青白く、体は包帯だらけの状態。腹部に巻かれた包帯には赤い血が滲んでいる。
ナ「おいばーちゃん!リョウは大丈夫なんだよなぁっ!?死んだりなんかしねぇよなぁっ!?」
マ「ちょっとナツ!」
ハ「そんな事言ったら・・・!」
妖精の尻尾顧問薬剤師のポーリュシカに食って掛かるナツをマヤとハッピーが抑える。マヤの視線の先には椅子に座ってずっと俯いたままのルーシィの姿。ルーシィの瞳には涙が薄く滲んでいた。
ポーリュシカは一度リョウに視線を移し、また視線をナツ達に戻すと、
ポ「ウェンディの治癒魔法のお陰で、命に別状はないよ。」
ウェ「私のお陰じゃありません。シェリアの手当てが的確だったからですよ。」
リョウの傷の手当てには蛇姫の鱗の魔道士、シェリアや王国軍の救護隊が手伝ってくれた。
ポ「だが、見ての通り傷は完全に塞がってはいないよ。相当深く刺されたんだろうね。」
世界に7本しかないと言われる聖剣。その内の1本である『花錦剣』に刺されたリョウの腹部はシェリアの自己回復でも完全に塞がらなかったのだ。
ポ「だけど、5番目の聖剣で刺されたのが不幸中の幸いだよ。もし聖剣の中で2番目に強い『竜風剣』に刺されていたら・・・その子はもう、この世に存在していなかったかも、しれないからね。」
ポーリュシカの言葉に返す者はいなかった。
フ「まさか、こんな事になるとはな・・・」
ト「思ってもみませんでしたね・・・」
エル「何か、立ち直り難いぜ・・・」
フレイ、トーヤ、エルフマンが重い言葉を吐き出す。
ル「グレイ達は大丈夫なの?コネティ・・・じゃなくて、ライネドっていう奴に・・・」
ルーシィが顔を上げて問う。グレイ、エルザ、ユモ、ショールの体にも包帯や湿布、絆創膏などで手当てされていた。
グ「こんくれぇ大した事ねぇよ。」
エ「すぐに回復するだろうから、心配は要らない。」
ル「そう。よかった。」
グレイとエルザの言葉を聞き、ルーシィは微笑んだ。だが、その微笑が引き攣っていたのをグレイとエルザは見逃さなかった。
ショールは医務室の隅に立て掛けられているリョウの3本の聖剣、『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』に視線を移す。
ショ「(聖剣は、戦う為の“最強の魔法道具”にもなり、人を殺す為の“最強の兵器”にもなるのか・・・)」
ショールの脳裏にレガフに『花錦剣』で腹部を刺されたリョウの姿が浮かび上がった。拳を一度固く握り締め、ショールはベッドに静かに寝かされているリョウに視線を移す。
ショ「(リョウ・・・お前は、こんな危険な物を持ってて、良いのかよ・・・?)」
ふとそんな疑問がショールの頭の中を横切った。すると、コンコンと医務室のドアをノックする音が辺りに響き渡った。
ユ「どうぞ。」
ユモが応答し、ドアが開く。ドアの前に立っていたのは幸福の花のギルドマスター、アカネだった。アカネの右手には3本の剣が握られている。
ナ「お前は・・・」
ア「お久しぶりです、皆さん。」
アカネは相変わらずの敬語で喋り、丁寧な振舞い方でその場にいる者全員に向かって深く頭を下げる。
ア「リョウ様は、ご無事・・・ですか?」
マ「手当てして、今はあそこで寝てるよ。」
マヤがリョウが寝ているベッドを指差す。リョウの様子を見たアカネはほっとしたように息をついた。そして、その場にいる全員にさっきよりも深く頭を下げると、
ア「申し訳御座いませんでした。」
ウェ「え?」
シャ「ど、どうしたのよ?」
いきなりの事にウェンディとシャルルは素っ頓狂な声を上げた。アカネは頭を上げずに話を続ける。
ア「リョウ様に、「ユリの仇をとってほしい」と頼んだのは私・・・いえ、幸福の花なのです。最初は、リョウ様がユリの仇をとってくれる事を引き受けてくれた時はハマナスとツツジがいない頃の私達幸福の花一同はとても喜びました。ですが私は、リョウ様が自分を犠牲にしてまでユリの仇をとろうとするんではないかと不安になり・・・まさか、本当に、このような不幸な事態を招いてしまう事になるなんて・・・!何とお詫びしたら良いか・・・!」
頭を下げていた為、アカネの顔は見えなかったが、アカネの体が小刻みに震えていて、アカネが泣いている事にその場にいる誰もが分かった。
ル「大丈夫ですよ、アカネさん。」
ルーシィの声にアカネがゆっくりと顔を上げる。思ったとおり、アカネの瞳には今にも零れ落ちてしまいそうな大粒の涙が溜まっていた。
ル「リョウは自分の意思で、ユリの仇をとる事を決めたはずです。もしユリの仇をとるのが嫌なら、リョウは最初っから断っていたはずですから。」
ルーシィが微笑んだ。その微笑みは、もう引き攣っていなかった。
ル「だから・・・もう、泣かないで下さい。あなたが泣いたら、天国にいるユリも、リョウも、私も・・・悲しくなっちゃいますから。」
ア「・・・・はぃ。」
ルーシィの言葉にアカネは最後に一筋の涙を流し、涙を拭いながら小さく微笑んだ。
ト「ところでアカネさん、その手に持っている剣は何ですか?」
トーヤがアカネの手に握られている3本の剣を見て首を傾げる。アカネは思い出したように「あ」と小さく呟くと、3本の剣を両手に持ち直した。
ア「実は、評議院の方から高速の弾丸のレガフ・リョニッタ様が契約していた3本の聖剣、『花錦剣』、『竜風剣』、『妖魔剣』を頂いたんです。「レガフ・リョニッタはもう聖剣を持つ資格は無い」からだと。ですが、もうユリはいませんし、幸福の花には聖剣を扱える者はいないので・・・どうせなら、リョウ様に受け取って貰おうと思いまして。」
アカネとポーリュシカとリョウ以外の全員がポカーンと口を大きく開けた。その時―――
リョ「いって。」
リョ以外「!!!」
驚いて声がした方に視線を移すと、ベッドの上に血が滲んだ包帯が巻かれた腹部を痛そうに押さえ、痛みに顔を引き攣らせたリョウが起き上がっていた。リョウの額に薄っすらと汗が滲んでいる。
ル「リョウ!」
ショ「いつから起きてたんだよ・・・」
ナ「お、おい!無理するなって。」
エ「安静にしてろ。」
近くにいたウェンディとトーヤが腕を貸し、リョウを再びベッドに静かに寝かせる。起き上がる時に相当無理をしたのだろう。リョウの息が上がっている。
ア「リョウ様・・・」
アカネが口元に手を当てて視線を逸らす。それを見たリョウはベッドの上で微笑むと、
リョ「俺は嬉しかったぜ、ユリの仇をとる事が出来て。」
ア「!」
視線を逸らしたアカネが再び視線をリョウに戻す。
リョ「誰かの為に役に立つ事が出来たんだ。これ程嬉しい事なんてねぇよ。自分の体がボロ雑巾みたいになっちまったけど、俺は一切後悔なんてしてねぇぜ。それに、俺がユリの仇をとる事が出来たのは、大半が仲間のお陰だ。」
グレイ、エルザ、ユモ、ショールに協力してもらい、最終的にはここにいる仲間全員で「ユリの仇をとった」と言っても良いくらいの見事な勝利を収めたのだ。
そこまで言うと、リョウは視線をアカネから自分が寝てるベッドを囲むように立っている仲間達に移すと、
リョ「ありがとな。」
白い歯を見せて笑った。ナツ達も返事の代わりに笑ったり、頷いたりした。
ア「(やはり、敵いませんね・・・妖精の尻尾の皆さんには。)」
その光景を黙って見ていたアカネは目を細めて微笑んでいた。
グ「で、どうすんだリョウ?」
エル「あの聖剣、受け取るのか?」
グレイとエルフマンがアカネの手に握られている3本の聖剣に視線を移しながらリョウに問い掛ける。
リョ「う~ん・・・ていうか、ユリの形見として『花錦剣』くらいは持ってた方が良いんじゃねぇのか?」
一度はユリの元から離れてしまった『花錦剣』。それが,また幸福の花の元に戻ってきたのだ。もういないユリの形見として、『花錦剣』は持ってた方が良いとリョウは判断したのだろう。が、アカネはリョウの言葉に首を左右に揺らした。アカネは『花錦剣』を優しく胸に抱き、ゆっくりと目を閉じると口を開いた。
ア「これは私の推測ですが、天国にいるユリはきっとリョウ様に受け取ってほしいと願っていると思います。だってリョウ様は、ユリの心の花を開花させてくれた方なのですから。」
ユリが自分の事を好きである事に気づいていないリョウだが、今のアカネの言葉にリョウの頬が少しだけ赤くなったのは余談だ。
フ「それに、聖剣使いはもうお前しか存在しないんじゃねぇのか?」
世界に3人しかいないと言われる聖剣使い。1人は故人であるユリ、もう1人は聖剣を持つ資格を無くしているレガフ。
マ「それって、もうリョウが受け取るしかないんじゃないの?」
エ「アカネもこう言ってるんだ。お言葉に甘えて、受け取ったらどうだ?」
ア「リョウ様、お願い致します!」
リョ「・・・・・」
リョウは腕組をしたり、頬を掻いたりしてしばらく悩み続けていたが、
リョ「・・・んじゃあ・・お言葉に甘えて・・・・」
アカネ「はい!」
アカネは嬉しそうに頷くと、3本の聖剣、『花錦剣』、『竜風剣』、『妖魔剣』をリョウに差し出した。
3本の聖剣を受け取ったリョウは早速『花錦剣』を鞘から抜く。『花錦剣』の銀色の刃にリョウの顔が映る。
リョ「ユモ、そこにある『銀覇剣』を鞘から抜いてくんねぇか?」
ユ「良いわよ。」
ユモは医務室の隅に立て掛けられていた『銀覇剣』を手に取ると、ゆっくりと鞘から抜き取り慎重にリョウに手渡す。『銀覇剣』の銀色の刃にリョウの顔が映る。リョウは『花錦剣』と『銀覇剣』を交互に見比べると、
リョ「かなり『闇』が纏わり付いてるな。」
『花錦剣』を見て呟いた。
ショ「見比べただけで分かるのか?」
リョ「長年聖剣を使い続けてれば自然と分かるんだよ。」
ル「へぇ~、すごいわね。」
これは、『光』の聖剣使いにだけ分かる事なのかもしれない。
リョウは『竜風剣』と『妖魔剣』も鞘から抜き取ると、器用に右手の指と指の間に3本の聖剣を挿み、刃先を左腕に突きつける。
エル「え?」
ハ「リョ、リョウ・・・?」
ウェ「な、何やってるんですか・・・?」
リョウの訳の分からない行動にその場にいた全員は驚嘆の声を上げる。
リョ「ポーリュシカさん、包帯の準備をしてくれませんか?」
ポ「は?」
ポーリュシカも素っ頓狂な声を上げる。
ル「ちょ・・ちょっとリョウ・・・まさか、ここでやるつもりなの?」
リョウがやろうとしてる事が分かったのか、ルーシィが青い顔をして言う。ルーシィの声にリョウは白い歯を見せて笑うと、
リョ「今回は3本同時だからな。」
そう言った次の瞬間、3本の聖剣の銀色の刃先がリョウの左腕に突き刺さった。もちろん、リョウが自分で刺したのだ。
リョ以外「!!!」
リョウ以外は声にならない驚嘆の声を漏らした。ゆっくりとリョウが聖剣を抜き取る。あまり深く刺していなかったようで、刃先の1cmぐらいにしかリョウの血は付着していなかった。が、リョウの左腕からは血が流れ落ちる。
ポ「バカタレがーーーーーっ!!」
ポーリュシカが怒鳴り声を上げる。
ポ「アンタいったい何考えてんだい!?1歩間違えれば命を奪い取る剣で自分の体を傷つける気かい!しかも3本同時にっ!ただでさえアンタはすでにその内の1本で腹を深く刺されてんだよぉっ!」
リョ「だ、大丈夫ですよ。刺したって言っても腕だし、浅いですから。それに、今のは聖剣と契約する為ですから・・・」
ポ「出血多量で死ぬかもしれないじゃないかっ!そんな事は怪我が治ってからやりなっ!どんだけ怪我をすれば気が済むんだい!しかも包帯を無駄に使わせてベッドのシーツまで汚すなんてあんまりだよっ!」
ト「ポーリュシカさん、落ち着いて下さい!」
ナ「ていうか、聖剣って契約必要だったんだな・・・」
ショ「しかも、「自分の血を付ける」って・・・」
ユ「い・・痛そう・・・」
怪我人がいるというのに、妖精の尻尾専用医務室では、いつの間にかちょっとしたお祭騒ぎになっていた。
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しーんと静まり返った夜。ナツ達が宿に帰り、ポーリュシカも医務室から出て行くと、妖精の尻尾専用医務室にはベッドの上にいるリョウだけが残った。
リョ「(すんげぇ~静かだな。)」
いつもお祭騒ぎの妖精の尻尾で過ごしているせいか、この静けさが落ち着かないリョウはベッドの上で何度も何度も寝返りを打っていた。
余談だが、先程血だらけになったシーツもポーリュシカがぶつぶつ文句を言いながらもきちんと取り替えてくれた。
リョウは包帯が巻かれている自分の腹部を摩る。先程新しい包帯に変えたばかりなのに、包帯には血が滲んでいた。
リョ「(皆には迷惑掛けちまったなぁ。)」
レガフを倒し、傷の影響で意識を手放す直前にぼやけた視界で見えた自分に駆け寄る仲間の姿が脳裏に浮かび上がった。一番はっきりと浮かび上がったのは茶色い瞳に涙を溜め、自分の方に駆け寄って来るルーシィの姿だった。
リョ「(ルーシィ・・・)」
ルーシィと、何年も前に死んだ母親、レイカの姿が重なる。
リョ「(母さん・・・)」
今度は茶色いツンツン頭に茶色い瞳、青い着物に黒い袴姿の2年程前に死んだ父親、プノンが浮かび上がった。プノンの手には望遠鏡が抱えられている。
リョ「(父さん・・・)」
じわっと両目から大粒の涙が溢れた。リョウは傷の痛みに耐えながらゆっくりと体を起こし、涙が零れないうちに手で拭った。
リョ「(何考えてんだ俺は・・・!俺には、一緒に行動する大切な仲間が大勢いるんだ。寂しくなんか、ねぇんだ・・・!)」
何度も何度も手で目を擦るが、涙は止まらない。
リョ「くっ・・・ひ、ひぃっ・・ぅう・・・・」
リョウはしゃくり上げながら1人で泣いた。
その時、医務室の隅辺りで何かが光り出した。リョウは擦りすぎて赤く充血した目で見てみると、医務室の隅に立て掛けられていた6本の聖剣が光り出した。あまりの眩しさにリョウは再び両目を覆う。光が治まり、恐る恐る目を開けると、
リョ「え?」
リョウの目の前には6人の男女がベッドを囲むように立っていた。6人の男女の内3人の男女には見覚えがあった。
1人は銀色の長髪に茶色がかった瞳、袖と裾に空色のフリルが付いたワンピースを着た少女。
1人は水色で毛先だけが灰色の髪の毛をポニーテールに束ね、左が水色、右が水色のオッドアイ。青いセーターに黒いミニスカートを穿いた少女。
1人は青い髪の毛に黒い瞳、黒いスーツに青いネクタイ姿の青年。
シ「久しぶりだね、所有者。」
ス「元気だった?」
スト「随分傷だらけだし、目が充血してるし、頬が濡れてるぞ。」
リョ「シルバー!スカイ!ストーム!」
『銀覇剣』、『天力剣』、『嵐真剣』の守護剣士、シルバー、スカイ、ストームが姿を現した。
ストームに涙が零れた事を指摘され、慌ててリョウは手で頬を拭う。
リョ「という事は・・・」
涙を拭った後、リョウは見覚えのない3人の男女に視線を移す。
1人は腰ぐらいの桃色の髪の毛をツインテールに束ね、大きな桃色の瞳。白いチュニックに葉っぱのような形をした黄緑色のスカートを穿いている少女。
1人は背中がすっぽり隠れるくらいの長さの黒髪を項辺りで無造作に1本に束ね、青い吊り目。両耳に銀色のピアスを付けていて、白いインナーにエナメル素材の黒いジャケットに茶色いカーゴパンツを穿いた青年。
1人は両目が隠れるほどの長い紫色の髪の毛。紫色のトレーナーに灰色のミリタリーコートを羽織っており、黒い細身パンツを穿いている青年。
フラ「『花錦剣』の守護剣士、フラワーです。初めまして。」
ブ「助けてくれた事に感謝する。『竜風剣』の守護剣士、ブリーズだ。」
ウィ「・・・『妖魔剣』の守護剣士・・・ウィアド。」
リョウはあまりの出来事に呆気に取られていた。
フラ「あの、所有者・・・怪我は大丈夫ですか?」
リョ「えっ?」
フラワーの声に我に返る。フラワーは包帯が巻かれたリョウの腹部を見て心配そうに尋ねる。『花錦剣』で負った傷だから、責任を感じているんだろう。
リョ「お前のせいじゃねぇよ。こんくらいの傷、すぐに治るから安心しろ。」
リョウはフラワーに笑い掛ける。フラワーは一瞬驚いたように大きな桃色の瞳を更に大きく見開いたが、すぐにまた笑顔になると、
フラ「予想してた通りです。」
嬉しそうに呟いた。
リョ「どういう事だ?」
ブ「あんな危険な真似までして聖剣を『闇』から救おうとしたり、人の仇をとろうとしたりする行為を見て、只者じゃないなとは最初から思ってたんだ。」
ウィ「・・・契約する前から。」
ブリーズとウィアドも嬉しそうに続けて言う。
ス「所有者は粘り強いからね。」
スト「運が悪かったら、周りが見えなくなった崖から転落してしまうような性格だからな。」
リョ「・・・おい、それは褒めてんのか?」
シ「褒めてるつもりだけど?」
ストームの発言の意味にリョウは問い掛けるが、ストームの代わりにシルバーがおどけた様子で答えた。
ウィ「・・・所有者、寂しい。」
リョ「えっ?」
ウィアドの言葉にリョウは素っ頓狂な声を上げる。ウィアドの両目は男にしては長い髪の毛のせいで隠れて見えないが、悲しそうな表情をしている事にリョウは気づいた。
ウィ「・・・でも、仲間が、守護剣士がいる。」
リョ「!」
フ「私とブリーズ、ウィアドは今日契約したばかりですが、あなたの事を命を懸けて援護させて頂きます。」
ブ「今度は俺達が、所有者を守る番だ。」
ブリーズが胸を張って言う。
すると、シルバーが両手でリョウの右手を包み込むようにそっと握り締めた。
シ「所有者、私達はあなたみたいな人と契約する事が出来て、すっごく幸せよ。」
ス「皆、所有者に助けられたからね。これまでにないくらい感謝してるよ。」
スト「お前は正真正銘の『光』聖剣使いだ。」
シルバーとスカイとストームも嬉しそうに続けて言う。
リョ「俺もお前達にはめちゃくちゃ感謝してるぜ。ありがとな。そして、これからもよろしく頼むぜ。」
リョウが白い歯を見せて笑った。それと同時に6人の守護剣士達は姿を消した。
リョウは医務室の隅に立て掛けられている6本の聖剣を見た後、窓の外に視線を移す。月明かりが医務室に射し込んでベッドを青白く照らし出していた。
リョ「聖剣、残り1本、か・・・」
後書き
第180話終了です☆
聖剣の数は残り1本!果たして、リョウは聖剣を全てコンプリートする事が出来るのか・・・?まだまだ先の事だと思いますが。
次回も大魔闘演舞3日目の夜の出来事です。
それでは~☆
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