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万華鏡

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第七十三話 雪その三

「寒い思いしなくて済むし」
「いいわよね」
「そうだろ、だからいて欲しいけれどな」
 こう話しながらだった、五人はというと。
 登校して部活の朝練に出てだった、そうしてこの日も学園生活を楽しんだ。神戸の寒さは確かに辛いが各園生活は楽しかった。
 そしてだ、その学校から帰ってからだった。琴乃は家に入ってから母親に対してこうしたことを言ったのだった。
「冬はやっぱりね」
「どうしたの?」
「うん、温かいものがいいかなってね」
 こう言うのだった。
「食べるものも飲むものも」
「身体冷やしたらよくないわよ」
 母は娘にこう返した。
「そもそもね」
「そうよね、やっぱり」
「というか体温はいつも適温ね」 
 そう保つのがいいというのだ。
「それを保っておくことよ」
「夏はそこそこ冷やして」
「冬は温めてよね」
「適温よ」
 娘に対して語る。
「それがいいのよ」
「じゃあ冬は」
「そう、温めるのよ」
 その身体を、というのだ。
「だから今からホットココア飲む?」
「あっ、ココアね」
「そう、温まるわよ」
 娘に笑顔を見せての言葉である。
「だからどう?」
「そうね、それじゃあね」
 琴乃は母のその言葉に頷いた、そしてだった。
 母から実際にホットココアを貰った、コップに入ったそれを手にするとだった。
 それだけで温かい、琴乃はその温かさを感じ取ってこう言った。
「ううん、手に取っただけでね」
「違うわよね」
「温かいわ」
「じゃあ今からそれ飲んでね」
「身体温めて」
「そうしなさい、いいわね」
「ええ、わかったわ」
 琴乃は母の今の言葉にも頷いてだ、そうしてだった。
「それじゃあね」
「すぐに晩御飯だけれどね」
「今日の晩御飯何なの?」
「湯豆腐よ」
 それだというのだ。
「あと鮭のホイル焼きよ」
「湯豆腐ね」
「温まるでしょ」
 この料理もだというのだ。
「だからこれにしたのよ」
「いいわね」
「琴乃ちゃんお豆腐好きでしょ」
「大好きよ」
 好きは好きでも、とだ。琴乃は笑顔で答えた。
「食べやすいからね」
「お豆腐はだからいいのよ」
「食べやすいし身体にもいいから」
「お豆腐は最高の食べものの一つよ」
「冬は湯豆腐ね」
「夏は冷奴よ」
 それにして食べるというのだ、夏は夏で。
「お母さんよく出すでしょ」
「ええ、お豆腐の料理はね」
「豆乳も飲んでるしね」
 それもあった。 
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