万華鏡
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第七十二話 三学期その十五
「教師は教師でもね」
「反面教師ね」
「そういう教師よね」
「本当にそう思うわ」
このことについては五人共考えが一致していた、教師といっても様々でありそうした教師はというのである。
「絶対になったらいけないってね」
「というか暴力で生徒を怖がらせて従わせるってね」
「それ人にすることじゃないから」
「ペットにしないわよ」
「普通の奴はな」
犬や猫と言っても生きているのだ、確かに人間も動物も圧倒的な暴力の前には萎縮してしまい抵抗出来なくなる。しかしだ。
それjはその相手を尊敬してはいない、ただ恐れているだけだ。人に恐怖されてそれで悦に入っている輩は人として下劣息の域を極めている。
それでだ、里香も言うのだ。
「そういう人にはね」
「絶対になりたくないわね」
「本当に」
「ええ、暴力は何にもならないから」
全くだというのだ、こう話してだった。
五人は今はハヤシライスを食べる、それは確かに美味かった。そうして午後の授業と部活も楽しんだのだった。
五人は三学期も楽しく過ごしていた、学園生活を満喫していた。学生生活の一年が終わろうとしている中を。
ただ、だ。琴乃はクラスに入るとクラスメイト達にこう言われたのだった。
「寒いわよね」
「最近目茶苦茶冷えてない?」
「ちょっとね」
「底冷えしてきてるわよね」
「そうよね、確かにね」
寒さのことはだ、琴乃も否定せずに答えた。その通りだと。
「最近冷えてきたわね」
「風邪ひかない様にしないとね」
「体調管理はしっかりとね」
「そうそう、私も厚着してるから」
その制服の下はというのだ。
「ちゃんとね」
「そうそう、寒いからね」
「そこはちゃんとしないとね」
こう話すのだった、クラスでは。とにかくめっきり寒くなっていた。
それでだ、琴乃は皆にこう言った。
「セーターに下着にストッキング重ねばきに毛糸の靴下」
「もう制服の下は完全装備」
「そうしてるわね」
「ああ、そうだな」
「ここは」
こう言うのだった、そしてなのだった。
冬のその寒さのことも考えていた、とにかく冬の中にいることは誰もが強く感じていた。それは琴乃達も同じだった。
第七十二話 完
2014・3・10
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