バスケ
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第二章
第二章
微笑んでだ。それで話すのだった。
「それでこそジャーナリストだよ」
「ジャーナリストだっていうんだな」
「ジャーナリストはまず興味を持つことからはじまるからな」
「そしてその興味を持ったことを調べて報道する」
「それがジャーナリストなんだよ」
無論そこには商業主義が関わるがだ。まずはそれだった。
そのことを話してからだ。バスターは話すのだった。
「いいな。行くぞ」
「ああ、じゃあな」
「オーストラリアにな」
こうしてだった。彼等はだ。
そのオーストラリアに向かった。オーストラリア西部のパース郊外にだ。二人は向かったのだ。
一旦シドニーに来てそこから飛行機でパースに向かう。その飛行機の中でだ。
クラウンはだ。戸惑いながらこうバスターに話した。飛行機はわりかし旧式でオーストラリアまで来たボーイング767とは全く違う。
そのいささか古くしかも狭い飛行機から空を見ながらだ。彼は言うのだった。
「オーストラリアっていっても広いな」
「そう思うか?」
「ああ、広いな」
こう言うのだった。下に広がる雲とその上の青い空を見ながらだ。
「東から西までこんなにあるのか」
「大陸だからな」
バスターはこうクラウンに話した。
「広いのも当然だな」
「そういえばそうか。オーストラリアは大陸だったな」
「一国で大陸の羨ましい国だよ」
実際にそうした国はオーストラリアしかない。アメリカですらだ。そうではないのだ。だからこそアメリカ人である彼等はだ。今こう言うのだった。
「本当にな」
「しかも資源も土地も何でもあるか」
「ああ、食うのには困らない国だ」
「アメリカ以上にか」
「そうだろうな。まあ色々ある国だけれどな」
「色々か」
「鮫が多いしな」
話はそこだった。オーストラリア近海は鮫の巣になっているのだ。従って鮫の被害も馬鹿にならない。カリブ海に匹敵する程である。
「あとUMAも多いしな」
「UMAもか」
「色々いるぜ。巨大カンガルーとかな」
まずはそれだった。
「他にもヨーウィとかな」
「ああ、あの謎の猿人か」
「色々いるからな。そうした意味でも凄い国だよ」
「UMAな。ひょっとしたらな」
話を聞いてだ。クラウンは言うのだった。
「クローバーそれを探す為にこの国に来たのかもな」
「オーストラリアにか」
「そうだったら面白いよな」
「全くだな。それじゃあな」
「ああ、そのパースに行くか」
クローバーがいるという情報があったその場所にだ。行くのだった。
そうして空港に降りだ。そのうえで彼がいるというパース校外の小さな町の端に向かった。そこはわりかし大きな牧場だった。
その牧場、羊が三百はいるのどかな牧場を前にしてだ。クラウンはバスターに問うた。
「なあ、クローバーって牧場に興味があったのか?」
「そういう話は聞かないな」
こうクラウンに答えるバスターだった。
「引退したらスポーツ用品店の店長になりたいとか言ってたけれどな」
「牧場じゃないよな」
「あいつの口から聞いたことは一度もないな」
そうだというのだ。
「それでここか」
「牧場で働いてるのか?」
「そうかもな。とにかくな」
「牧場の中に入るか」
「ああ、何はともあれな」
そこに取材の対象がいるならばだ。そうするしかなかった。
それでだ。牧場、羊達がのどかに牧草を食べているその牧場の中に入ってだ。それからだった。
彼等は牧場の中にいた若い白人の男にだ。こう尋ねた。
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