魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~
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ANSURについて。その3♪~byアンスール~
フノス
「こんにちは、皆さん。ANSUR第三章『魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~』の最終話を飾る、今話ANSURについて。その3~byアンスール~。私、アンスールの将フノス・クルセイド・アースガルドが、始まりの挨拶をさせていただきます。
ようこそ、いらっしゃいました。ANSURについて。その3♪byアンスール、始まりです。っと、これでよかったのでしょうか? ルシル」
ルシル
「ああ、バッチリだ。さて今回は、輝ける未来への道標編でフノス達アンスールが使った魔術を紹介する。まずは、我らが魔術師最強にして少しドジっ娘なフノスの固有魔術からだ」
フノス
「ドジっ娘ってひどいです・・・。まぁ否定はできませんけど」イジイジ
ルシル
「すまんすまん」なでなで
フノス
「はふぅ(気持ち良いです~)もう、いいですよ、私自身も認めてますから。さ、始めましょう、ルシル」
ルシル
「では、まずフノスの神器、神造兵装第二位・神剣グラムの刀身に属性付加させる、宝剣系から行こうか」
――風聖の宝剣/アムブリオン・ブレイド――
フノス
「グラムに風嵐系魔力、もしくは竜巻を纏わせるアムブリオン・ブレイド。
イヴに教わった、初心者でも安心☆風嵐系をマスターしよう♪を以って、イヴと共に作った術式です」
ルシル
「風嵐系の魔術を教わるなら、イヴ義姉様以上に適任は居ないだろうな。まぁフノスを甘やかしていた感は強かったが」
フノス
「あはは。確かにそうでした。ちょっと疲れてしまってフラついた時、イヴったら血相変えてすぐさま鍛錬を終わらせよう、と泣きましたよね」
ルシル
「その度に私は引っ張り回されてフノスの治療に当たったな」
フノス
「その節は大変ご迷惑をおかけしました。もぉ、少し疲れただけと言っているのにイヴったら大事にするから」
ルシル
「それだけ愛されているんだよ、フノス。私でもフノスが少しでも調子が悪そうだとすごく心配になる」
フノス
「ルシル・・・うふふ、それは嬉しいです❤」
――氷聖の宝剣/サルツィオン・ブレイド――
フノス
「冷気を刀身に纏わせて、切断力向上や触れたものを凍結させる効果を持つ直接斬撃サルツィオン・ブレイド。これは、ルシルに二人に協力してもらってできた術式です」
ルシル
「シェフィも一緒の方が――というより、私よりシェフィの方が氷雪系に関しては強いから彼女に教えを受けた方が良いんじゃないか?って提言したんだが、フノスは断ったよな」
フノス
「はうっ!(えっと、それは、だって、ルシルと二人きりになれるチャンスだと思ったからで・・・)シェフィも色々と家の事で忙しそうでしたから」
ルシル
「あー確かに。まぁそれに私としてもシエルやカノンとの鍛錬の息抜きとしてフノスと魔術を創りあげるのは楽しかったからな」
フノス
「そう言ってくれると嬉しいです♪(ほっ。誤魔化せたようで何よりです)」
――闇聖の宝剣/カムエリオン・ブレイド――
ルシル
「こいつは闇黒系の魔力を付加する術式だな。触れたものの効果付加をキャンセルすることが出来るカムエリオン・ブレイド。
これは、たとえば神器に付加された攻撃力強化や術者の戦闘甲冑に付加された防御力強化を強制解除するなどなどの効果を持つ」
フノス
「キャンセル系の術式の中ではそう効果の高い術式ではありませんでしたね。私はどうやらそう言った系の術式はあまり得意ではないようです」
ルシル
「それを補えるだけの攻撃力と防御力を持っているから、あまり必要ないものだしな」
フノス
「あぅ~、まるでゴリ押ししか能がないって言われてるような気がします(涙)」
ルシル
「違うから違うから。ほら、よしよし」
フノス
「(ふにゃぁ~、やっぱり落ち着きますぅ)コホン、では気を取り直して次に参りましょうっ♪」
ルシル
「お? いきなりテンション急上昇だな。まぁいいか。次は剣状の砲撃、剣閃だ」
――雷聖の剣閃/ツァクマキオン・セイバー――
フノス
「ルシル直伝の砲撃術式の一つ、剣状の雷撃砲撃ツァクマキオン・セイバー。
ルシルの雷撃砲コード・バラキエルをオリジナルとしていまして、着弾した対象にプラズマを残してダメージを与え続ける事が出来ます」
ルシル
「オリジナルがバラキエルであっても、ツァクマキオンとバラキエルの威力と神秘に大差があるな」
――風聖の剣閃/アムブリオン・セイバー――
――光聖の剣閃/アダメリオン・セイバー――
――闇聖の剣閃/カムエリオン・セイバー――
――氷聖の剣閃/サルツィオン・セイバー――
フノス
「風嵐系魔力の竜巻の砲撃アムブリオン・セイバー。
閃光系魔力の光剣の砲撃アダメリオン・セイバー。
闇黒系魔力の影剣の砲撃カムエリオン・セイバー。
氷雪系魔力の冷気の砲撃サルツィオン・セイバー。
砲撃関連はどれもルシルの協力があって創り出せた魔術です」
――大聖の剣閃/ミカエリオン・セイバー――
フノス
「全属性の剣状砲撃を多方向へ同時に放つミカエリオン・セイバー。
ルシルの全方位無差別砲撃コード・バルドルをオリジナルとしています」
ルシル
「フノスの体の事を考え、溜めの時間が掛からないように改良してある。フノスの天才的な学習能力、そして膨大な魔力があって、創り出すことが出来た術式だ」
フノス
「憶えていますか? 私、初めてミカエリオンを放った時、魔力を操作しきれずに暴発させてしまいましたよね」
ルシル
「あぁあれは大変だったなぁ。アンスール総出でミカエリオンの被害を抑えようと頑張ったよな」
フノス
「はい。でも結局は全弾押さえきることが出来ず、クルセイドの城フォールクヴァングの離宮が半壊しましたね」
ルシル
「イヴ義姉様、歴史あるフォールクヴァングが傷ついたって半泣きしていたっけ」
フノス
「うふふ。そうでしたね。それに、お説教も受けましたね。正座が堪えました」
――殲聖の宝剣軍/カマエリオン・ブレイズ――
フノス
「全属性の魔力で創り出した魔力剣を頭上に展開して、範囲内に居る対象に向けて一斉に撃ち放つカマエリオン・ブレイズ。これもルシルのコード・カマエル、コード・チュールを基にしています」
ルシル
「私のカマエルやチュールは最大で2000本(威力を無視すれば4000)だが、フノスは最大威力を保ったままで3800本の魔力剣を創り出せる」
――奥義・主天聖の剣閃/キュリオテテック・セイバー――
ルシル
「フノス自身の有する神秘、そこに神剣グラムの神秘が上乗せされて究極の威力を持つに至った、雷撃系特大剣状砲撃キュリオテテック・セイバー。
神秘を有していた当時の魔術師や魔族相手にはほぼ必殺の威力だが、現代の神秘の無い魔導師達相手ではただ威力が高いだけの砲撃となる」
フノス
「奥義は雷撃のキュリオテテックを含めて九つあります。
それぞれ属性が違い、そのどれもが真技クラスの威力を誇っています」
――奥義・熾天聖の剣閃/セラフィック・セイバー――
ルシル
「上記のキュリオテテック・セイバーの炎熱系バージョンであるセラフィック・セイバーだ」
フノス
「奥義の二つ目です。えっと、名前だけでも出しておきましょうか・・・?
氷雪系の智天聖ケルビック、風嵐系の座天聖オファニック、無属性の力天聖デュナメティック、闇黒系の能天聖エクスシアル、土石系の権天聖アルヒック、閃光系の大天使アーケンジェリック、となっています」
――神徒の剣閃/アポストリック・セイバー――
ルシル
「一撃辺りの純粋魔力の威力では、私の対界真技・再誕アポカリプティック・ジェネシス、カノンの対界真技・時空穿つ断罪の煌きヘルヴォルズ・カノンに次ぐ第三位、それが神徒の剣閃アポストリック・セイバー。そして神秘の威力では、私の再誕に次ぐ第二位だ」
フノス
「真技ではやっぱりルシルには敵わないですね。さて、私の固有魔術の紹介はこれにて終了です。もちろんこれだけではありませんが、第三章で使ったのはこれだけですから、ここでの紹介もこれまでとしますね。では、これにて私は失礼して、次のアンスールにバトンタッチをしますね」
~~~~~~~
イヴィリシリア
「フノスの次は、私、風迅王イヴィリシリア・レアーナ・アースガルドの固有魔術を紹介するわ」
ルシル
「イヴ義姉様・・・」そろりそろり
イヴ
「どこへ行こうとしているの? あなたも手伝って」
ルシル
「・・・はい・・・」
――瞬風――
イヴ
「足元に発生させた風に乗ることで高速移動を可能とする補助術式・瞬風。
高速移動と言っても後述の疾風や神風には遥かに劣るわね~」
ルシル
「その分、滑らかな移動が可能ですよね、イヴ義姉様。イヴ義姉様から学んで組み上げたコード・ヤエルを使うと良く判ります」
イヴ
「ええ、まぁそうよね。足が地に付いていないから摩擦による無駄な減速が無い。その代わり制動の難易度が高いのだけれど、私は問題無く、ルシルも問題が・・・無い――というより使ってないじゃない」
ルシル
「陸戦はやはりどうも。やはり私は空戦タイプですから」
イヴ
「そうやってまた陸戦を疎かにしようとする。・・・・うん、良い機会だわ。ちょっと揉んであげる。ヤエルを発動なさいルシル」
ルシル
「(これは言う事を聴かないともっと酷い目に遭いそうだ。仕方ない)どうぞ手加減の程よろしくお願いします、イヴ義姉様」
イヴ
「もちろん。では、早速始めましょうか。ヤエルのみで私を捕まえてごらんなさい」
~~三十分後~~
ルシル
「あはは♪」
イヴ
「うふふ♪」
ルシル
「待て待て~~~☆」
イヴ
「捕まえてごらんなさ~~い❤」
~~一時間後~~
ルシル
「・・・・・・やってられっか、もうッ!!」
イヴ
「あら? 一時間そこらで根を上げるなんて。・・・ルシル。あなた、少し根性が無くなったんじゃないの?」
ルシル
「延々と捕まえる事が出来ないイヴ義姉様を追いかける私の身にもなって下さいッ! イジメですかっ? 罰ゲームですかっ? 拷問ですかっ?」
イヴ
「そこまで言わなくてもいいじゃない。お姉ちゃん、悲しいわ」
ルシル
「ぅぐ・・・。その、ごめんなさいイヴ義姉様」
イヴ
「よろしい。それでは次に行きましょう。後がつかえていることですし」
――風査――
イヴ
「風査は、屋内においては抜群の効果を発揮する探査術式よ。最大直径10km範囲内の大気を操作し己に集束させ、風が運んできたあるべきではないイレギュラーの匂いや魔力を感知、そこからイレギュラーがどこに居るかなどを判別するの」
ルシル
「イヴ義姉様の風査に引っ掛かればもう逃げられない。瞬時にイヴ義姉様の接近を許し、成す術なく討たれる。
幼少の頃、よくゼフィ姉様達とよくやった隠れ鬼でも使ってきたから、イヴ義姉様は不敗だった」
イヴ
「フフ。今思えば、私ってば一番の年上のお姉さんだったのに遊びで本気出したりなんかして、大人気なかったわね~」
――烈風――
イヴ
「起こした風を魔力でまず帯状にし、それを幾つも合わせて円環として球体状とした暴風の塊を対象に放つ攻性術式・烈風」
ルシル
「防御に失敗すればガリガリ肉体が削られ、防御しても、防御もろとも烈風の内側に呑み込まれバラバラにされる。生き残りたければ回避するしかないんですよね。結構鬼畜な術式・・・」
イヴ
「あなたの魔術に比べればまだまだ優しいものよ、私の魔術は」
――疾風――
イヴ
「風に乗って高速移動する瞬風とまた違う移動方法ね。瞬風は風に乗るだけだけど、疾風は全身を風で覆って身動きの速度を上げるというもの。大気と同化する、と言った方がいいかしら。全ての摩擦を失う事が出来るの」
ルシル
「これで体当たりを受けて日には酷い事になりますよね。ポーンと轢かれて吹っ飛びますから」遠い目
――風陣――
イヴ
「暴風を起こし防御結界とする、風陣。私がルシルに授けた術式の一つね。
強大な風圧と膨大な風によって敵の攻撃を防ぎ、または突っ込んできた相手へのカウンターとしての効果もあるわ」
ルシル
「風陣をオリジナルとして組んだ術式ラシエル。イヴ義姉様は竜巻の大きさを自在に変更できるが、私は巨大な物しか作り出せないため、どうしても汎用性が無い」
イヴ
「ラシエルに汎用性を求めなくてもいいと思うわよ、ルシル。あなたの数多く有する固有魔術にもっと便利なものがあるんだもの」
――旋風――
イヴ
「真空の刃を円盤状にして放つ、旋風。ある程度軌道操作が出来るから、相手の行動を制限する多方向からの奇襲も出来るの」
ルシル
「風嵐系最強のイヴ義姉様の風圧操作によって生み出される真空の刃なため、小さなこの魔術でも威力は尋常じゃなく、並の障壁では防ぎきれずに寸断される」
イヴ
「よくこの旋風で草刈りをやっていたわね~」
ルシル
「そうでしたね~。あと幼少時、凶獣の毛という毛を刈りまくってましたよね」
イヴ
「そうそう♪ ゼフィやあなたと一緒に冒険していた頃、よくやったわ~」
ルシル
「毛刈りのイヴ。ゼフィ姉様が付けたニックネームが懐かしい」
――槍嵐/そうらん――
ルシル
「削岩機のような竜巻を放つ槍嵐。私の竜巻砲撃ザキエルのオリジナルですね」
イヴ
「これに関しては大して言う事は無いわね。純粋に対象を破壊するために組んだものよ」
――神風/かみかぜ――
イヴ
「私自身が突風となって攻防一体の高速移動をする、神風。
数ある陸戦での移動系術式の中では最高の威力と速度を有しているの」
ルシル
「正しく風になるため、ほとんどイヴ義姉様の姿が見えないんですよね。だから神風状態のイヴ義姉様に包囲されてしまうと、それはもう悲惨な結末を迎えることになる。竜巻の中から突き出される神器“神剣ホヴズ”によってバラバラにされてしまう」
――風鱗/ふうりん――
イヴ
「私の魔力光ライムグリーンの閃光を幾つも組み合わせ鱗状にした盾を作る、風鱗。風を使わない、数少ない純粋な防性術式よ」
ルシル
「魔力で構成されているため、かなりの硬度を有している。だがイヴ義姉様はあまり防御をしない――と言うかする必要が無いためにあまり使わない。何せ陸戦最速だから」
――天地刃巻・天壌裂破/てんちじんけん・てんじょうれっぱ――
イヴ
「私の有する広域空間攻撃型の真技・天地刃巻・天壌裂破。
風を蜘蛛の巣状に創り出して檻と成し、一気に炸裂させて内側に居る対象を粉砕する一撃よ」
ルシル
「後述のセシリスと協力する事で、炎熱系へと効果変化が起きるのが特徴なんですよね」
イヴ
「ええ。張り巡らせた風に、セシリスの火炎を付加させて火炎の檻とし、一気に爆発させて対象を粉微塵にする、と言う風にね。
・・・私の魔術紹介はこれで終わりかしら。なら次の子にバトンを渡すわね」
~~~~~~~
シエル
「兄ぃぃ~~~様ぁぁ~~~~❤」抱きっ♪
ルシル
「おっとと。お次はシエルか」なでなで
シエル
「うん、そうだよ、兄様っ。アンスールのマスコット的なキャラだった戦場の妖精、その近接格闘戦担当、わたし拳帝シエル・セインテスト・アースガルドの魔術を紹介しますっ♪」ブイっ❤
――圧壊拳/フェアリー・バイト――
シエル
「わたしの基本的な攻撃手段。重力付加された超×10重量級拳打。それが、フェアリー・バイトなの」
ルシル
「シエルが最初に憶えたのがこの術式だったな」
シエル
「うん。兄様が重力の威力を教えてくれた時、だったら拳や足に付加させて殴ったりけったりすればすごい強力なんじゃないかな?って思ったから。最初は腕や足が千切れちゃうって思うほど痛かったけど、コツを掴んだら一番わたしに合ってる攻撃手段だって解ったんだよね」
ルシル
「受け手に回る私も、常に防御を貫かれて喰らわないように必死だったな。
最初期、対物障壁・暴力防ぎし、汝の鉄壁を一撃で粉砕されたものだから焦る焦る」
シエル
「あーそうだったよね。兄様の中級の防性術式は全て粉砕しちゃったからね、わたし。・・・・そう言えば、二回くらい、兄様に直撃させた事があったよね・・・?」
ルシル
「・・・・・・・・・・あの時は、いろいろの意味で死ぬかと思った。文字通り命を落として。そして、胃の中のものを盛大に逆流させて精神的に死ぬ。まぁどちらも何とか防ぎきったから、私の尊厳を守れた」
シエル
「あの時は本当にごめんなさいでした。兄様の骨を何本か折ってしまいまして」
――圧戒/ルイン・トリガー――
シエル
「次に憶えたのが、任意の場所の重力を操作して、最大10倍の重力を上乗せする事が出来る、このルイン・トリガー。
重力の本来の扱い方だから、苦労することなく習得出来た術式なんだ♪」
ルシル
「しかし、完全にマスターするまでにたくさんの犠牲が生まれた。範囲が定まらず、プレンセレリウス――レンを巻き込んで押し潰したりしたな・・・・」
シエル
「あ、あれはレンがわたしの失敗を覗き見ようとしたからの自業自得だよっ。わたしと兄様ふたりだけの秘密特訓だったのに、勝手について来たんだもんっ」
ルシル
「そう言われると、うん、まぁしょうがないか」
――武装殺し/インパクト・ヴォイド――
シエル
「対武装者用に組んだ、手に持つ武器――基本的に神器にのみに重力を掛けて、持っていられないようにする武装封じのインパクト・ヴォイド。
神器を持ち上げようと奮闘している間に、わたしのパートナーのカノンが遠距離から狙い撃ち❤ バッキュ~ン☆」
ルシル
「特訓当時、私がカノンの代役として、レンを標的に仕掛けていたな・・・・インパクト・ヴォイド・コンボ・・・」
シエル
「レン、すっごく怒っていたけどね」爆笑
ルシル
(レンが哀れ過ぎて、よく涙を流したものだ・・・。まぁ付き合った私も悪いが。しかし妹の願いだし、仕方ないよな。な?)
――反重力/ニクス・フォース――
シエル
「重力を掛ける圧戒の逆バージョン、それが反重力。わたし自身や対象から重力を失くして、ふんわり浮かせるんだよ」
ルシル
「池の水を全て浮かせて空中天然プールにして、参戦前にはよく息抜きとして遊んだな」
シエル
「うん♪ あの時は本当に楽しかったなぁ~♪」
――超重力装甲/リジェクト・メネス――
シエル
「これは、重力の膜を体に纏う防性術式。空間を歪めるほどに強烈な奴だから、並の物理・魔力攻撃は通用しないの。けどランクの高い神器の前だと意味が無いかな」
ルシル
「私の中級術式程度なら簡単に防ぎきるほどのものだ」
シエル
「それ、結構自慢なんだよねぇ、うふふ❤ 兄様の全属性の中級砲撃を全弾防御っ。中級最強のミカエルも完っっっ璧に防げたし」
ルシル
「想定していたとはいえ、ああも完璧に防がれたのはショックだったかも」
――重力圧縮砲/ジオ・ストライク――
シエル
「わたしが持ってる数少ない砲撃術式の一つがコレ。圧縮した重力を横方向に放つの。
まず防御は無理。だって防御ごと押し潰すし。でも、回避しているところにわたしが最接近して重力パンチかキック、カノンの射砲撃で追撃する。
基本的にわたしとカノンのコンビに刺客なんてほとんど無い。あとで加入したアリスも加わって、最強になったもんね♪」
ルシル
「確かに。正直、シエルとカノンとアリスのフロント・フェアリーと単独で戦うとなると、私でもおそらく勝てないだろうな」
シエル
「兄様にも認めてもらえるっ♪ やっぱりわたし達はすごいっ!」
――重力加速門/アクセラレーター――
シエル
「重力による砲台を創り出すのが、このアクセラレーター。
砲弾を装填する薬室となる球状の重力場。そこから円盤状の重力場を幾つも創り出して砲塔とする。
そして、このアクセラレーターを使っての攻撃方法が――」
――すべて粉砕せし重力加速圧壊砲/グラヴィテイショナル・ジャッジメント――
「――このグラヴィテイショナル・ジャッジメント。薬室代わりの球体状重力場に砲弾(何でもいんだよ、岩でも鉄球でも)を装填して、砲弾をすべての重力場の効果を以って超加速させて撃ち出すの。撃ち出された砲弾には魔力や重力も付加されるの。だから、ちょう~~~強いよ♪」
ルシル
「こいつはまた強力で、射程も威力も速度も、数ある射砲撃系術式最高クラスだ。私の有する上級術式の砲撃の一つ、女神の陽光コード・ソールで完全に打ち負けてしまうほどに、だ」
シエル
「ブイッ♪ 兄様の上級術式にも負けない術式を創ったもんね☆」
ルシル
「ああ、偉いぞ、シエル」なでなで
シエル
「にゃぅ~、褒めてもらったよ♪」
――歪曲せし空間多層障壁/ディストーション・ディターレント――
シエル
「超重力で空間を歪めて、防護障壁を創るこの術式。身に纏うリジェクト・メネスと同じ効果で、纏うか別のところに展開するだけの違いなの」
――圧戒・歪曲空間/ルイン・トリガー・マーシレス・ドライヴ――
シエル
「わたしの真技のひとつだよ。通常のルイン・トリガーの超強化版なの。通常版は最大で十倍だけど、強化版は最大で百倍の重力を掛ける事が出来るんだよ。まぁそんな強力な魔術だから、魔力消費も大きいし、発動中は身動きが取れないっていう代償があるの」
ルシル
「こればかりは師である私も巻き込まれては無事では済まないために近くで見ず、遠く離れた場所で、シエル一人で発動させていた」
シエル
「ひとりで寂しかったよぉ~、この真技を組み立てていた時は。一人でポツンと発動しては失敗して魔力枯渇で数時間気絶ぅとか。兄様が様子を見に来てくれなかったら、一体どれだけの時間放置されていた事か・・・」
ルシル
「二度目のあれには驚いたな。魔力反応が途切れたかと思って心配して来てみれば、シエルがどうしてか川から流れて来たからな」
シエル
「川辺で休憩した後に発動したら、気を失っちゃったみたいで・・・。うぅ、恥ずかしいところを兄様に見られちゃった」
ルシル
「別に恥ずかしいものじゃなかったと思うけどな。驚いた後に笑ってしまうくらいだったし」
シエル
(笑われた事が恥ずかしいって言ってるんだもん)
――天壌蹂躙するは神なる拳/デストラクション・パイル――
シエル
「わたしのもう一つの真技。それがデストラクション・パイル。
重力を纏わせた拳打と蹴打の連撃を撃ち込み続けるっていうやつなの。最初に相手を重力で拘束するから、防御も回避も出来ないんだよ」
ルシル
「私の最高の防性術式である多層甲冑の全十層中五層まで破壊されたからなぁ・・・その威力はケタ違いだ」
シエル
「むむぅ、本音を言えば全層破壊して、兄様を驚かせようと企んだんだけどなぁ」
ルシル
「ふふん。そう易々とゴスペルを破壊されてなるものか」
シエル
「そっか。・・・じゃあわたしの魔術紹介はこれで終わりだね。それじゃあ兄様、またね❤」
ルシル
「ああ、またな」
~~~~~~~
カノン
「失礼いたします。シエルの次は、わたしカノン・ヴェルトール・アールヴヘイムの魔術を紹介させていただきますね。そう言うわけですので、ルシル様、お手伝いの程、よろしくお願いいたします」
ルシル
「もちろんだとも。こちらこそよろしくお願いするよ、カノン」
――黄金極光/ポラール・リヒト――
カノン
「それではまず、わたしの基本的な砲撃術式である閃光系砲撃ポラール・リヒト。
ポラール・リヒトとは、極光もしくはオーロラ、と言う意味です」
ルシル
「私が最初にカノンに教えた砲撃術式だな」
カノン
「はい。参戦当初から最期までお世話になった術式でした」
――黄金極光・双砲/ポラール・リヒト・ドゥーオ――
カノン
「これは上記の砲撃を一挺の神器からではなく、二挺の神器から放つというものです。
ドゥーオというのは、二重奏と言う意味ですね。かなりの大きさを誇るポラール・リヒトですから、一発目を防がれようとも避けられようとも、二発目で確実に捉えてみせます」
――疾光砲弾/シュネル・アングリフ――
カノン
「続いて、砲速重視の砲撃であるシュネル・アングリフですね。
シュネルは迅速な、アングリフは攻撃、と言う意味です。高速砲撃ですので、出会い頭での咄嗟の攻防では役に立ちます」
ルシル
「参戦前での最終調整を行うための模擬戦で、実際に私とカノンが出合い頭で私に一撃与えた術式がコレだった」
カノン
「あ、そうでしたね。ルシル様に、半ば奇襲に近い形とは言え攻撃を与える事が出来て、わたしはとても嬉しかったです。それまでは掠めることすら出来なかったのですから。自分が成長しているのだと自覚できた瞬間でした」
――疾光砲弾・双砲/シュネル・アングリフ・ドゥーオ――
カノン
「先程紹介しましたポラール・リヒト・ドゥーオのシュネル・アングリフ版ですね。
高速砲の二連射ですので、これもまた簡単には避けられませんよ♪? あと、この術式にはいくつか応用術式がありまして――」
――疾光砲弾・連弾/シュネル・アングリフ・シュテルメン――
「――二連射のドゥーオ以上に連射するシュテルメン。シュテルメンとは、急襲する・殺到する、と言う意味です。
正しく高速砲シュネル・アングリフを連射して対象に殺到させますし」
ルシル
「恐いぞ、この術式は。回避に専念し続けても、下手打って防御に回るともうダメだ。回避に移る暇も与えられないような集中砲火に晒されるかな」
カノン
「ルシルさん譲りの戦術ですよ、これ。実際にわたしも教わる際に受けましたし。あれ、結構怖かったんですよ、今言いますけど」
ルシル
「あぁそう言えばキャアキャア言ってたっけ」
カノン
「はぅ~、やっぱり思い出さないでくださいっ!!」ポカポカ
ルシル
「あ痛たたたた、すまんすまんっ!」
――天衝砲閃/シュトラール・トゥルム――
カノン
「(ふぅ、言わなければ良かったです)えっと、この術式は、足元から砲撃の柱を突き出させるものです。
シュトラールは光線、トゥルムは塔、と言う意味です。光線の塔ですね、見た目そのものです。足元から放たれますから初見ではまず避けられません――と言いますか、基本的にわたしの射砲撃から完全に回避できませんよ」
ルシル
「避けられた、と思ってもそれは所詮思い過ごし。カノンの次の決め技への布石に過ぎない。安堵していたところで撃墜される」
カノン
「引いているところ言わせて頂きますが、この戦術もルシル様から教わったものですよ。御解りですよね?」
ルシル
「解ってる、判ってる、分かってる。だからシュヴェルトラウテの砲門を向けないでくれ。それのゼロ距離砲撃を喰らっては死んでしまう」
カノン
「はい、失礼しました♪」
――三天穿つ砲滅閃/シュトラーフェ・カノーネ――
カノン
「ルシル様がわたしの為だけに創って下さった大砲型のシュヴェルトラウテと、拳銃型のグリムゲルテとオルトリンデの三挺から同時砲撃を放つシュトラーフェ・カノーネ。
シュトラーフェは制裁、カノーネは大砲と言う意味ですね」
ルシル
「今までの砲撃とは一線を画す火力を有する。マズルファイアからして強烈だからな。マズルファイアにもダメージ判定があるくらいだ。至近距離で撃たれては塵も残らず消し飛ぶぞ」
カノン
「対連合主力用に組み上げた術式ですから、威力重視ですよ。この術式でアムティスを百何十機と破壊しましたし。自信ある術式です♪」
――殲滅爆撃/ルフト・アングリフ――
カノン
「魔力弾を何千基と展開して、地上に降り注がせる広範囲爆撃術式です。
ルフト・アングリフとは空襲と言う意味なんですよ。オリジナルはルシル様のコード・カマエル。圧倒的質量と物量を誇ります。ゆえに、この術式に対して防御なんて無駄です。一発一発の威力が低かろうと、数で防御を粉砕しますから」
ルシル
「私の全属性魔力槍とは違い、ルフト・アングリフは無属性一点、形状が球体の魔力弾。だから莫大な数を一度に多く生成出来る。並の相手なら、このルフト・アングリフとポラール・リヒトのみで決着がつく」
――時空穿つ断罪の煌き/ヘルヴォルズ・カノン――
カノン
「わたしの真技ですね。わたしの全魔力とシュヴェルトラウテが元より有している魔力と神秘、そして魔力と神秘の内包された砲弾を装填する事でわたしの限界以上の威力を誇る砲撃を放つ、というものです。
ヘルヴォルズとは、大戦の始まるずっと前の古代アースガルドの魔術師部隊ヴァルキリー・軍勢の守り手から貰いました。
世界の存続を左右させるだけの威力を有する対界術式で、ルシル様の対界真技・再誕アポカリプティック・ジェネシスには劣りますが、それでも一国くらいは一撃で潰せます」
ルシル
「威力ももちろんそうだが、この真技の本当の恐ろしさは別にある。カノンの固有能力・空間干渉によって、世界から別の世界へと転移させる事が出来るんだ。しかも転移させられた世界の魔力を吸収して行くため、転移させればさせるほど威力が増加していく。最終的にはおそらく人類最強の真技だった私の再誕以上の威力となるだろうな」
――殲滅領域/フェアティルゲン・ヴェルトール――
カノン
「真技と同じ、わたしの魔道の最奥である創世結界。それが、フェアティルゲン・ヴェルトールです。
フェアティルゲンとは絶滅する・根絶させる、ヴェルトールは事象世界・宇宙、ですね。結界内全てが砲門であり、決して生きて脱出できない世界となります」
ルシル
「そのうえ術者であるカノンの姿も見えないから、術者をどうにかして脱出しようという策は取れない。生きて出るには、創世結界を崩すだけの魔力や魔術が必要だが、早々それだけの魔力や魔術を持つ者は居ない」
カノン
「ですけどルシル様やステア様の創世結界よりかはまだまだ術式が弱いですから、時折破られてしまいます。・・・・これでわたしの魔術紹介も終わりですね。それでは、お次の方にバトンタッチです♪」
~~~~~~~
ルシル
「・・・・・ん? 遅いな・・・・」
~~十分後~~
ルシル
「・・・・遅い・・・遅すぎないか?」
アリス
「・・・・・」ジ~~~(ガン見)
ルシル
「あ(アリス・・・?)おーい、ア~リ~ス~~~~っ」
アリス
「っ・・・・あの、どうもです」
ルシル
「一体どうして隠れていたんだ?」
アリス
「あの、今回・・・わたしが使った魔術・・・かなり少ないんですけど」
ルシル
「あ・・・・まぁ一切の出番なしに比べればまだいいと思うぞ」
――無限結界牢/イセリアル・ケイジ――
アリス
「そうですよね・・・前向きに考えないとダメですよね。
コホン。では、わたしの真技の紹介をします。無限結界牢イセリアル・ケイジ。
対象を正三角形の結界で捕らえて、その結界をさらに何重と結界で閉じ込めます。最後に対象を閉じ込めている第一層を爆破、続けて二層三層と爆発させていくんです。爆発の威力を最大限に対象に与えるため、外側にある結界は最後まで解かないんです。すると、結界内に爆発が留まり続けますから、対象にダメージを与え続けるんですよ」
ルシル
「内側から脱出しようと破壊を試みても、強度が尋常じゃないため不可能だ。結界王の結界に捕らわれる。それ即ち敗北。そうとまで言われるほどに強力なんだ、アリスの結界は」なでなで
アリス
「あぅ。お褒め頂きありがとうございます♪ わたし自慢の真技ですっ」
ルシル
「そうだな。頑張って創っていたもんな。そうだ、このエピソード以外で使われたアリスの魔術もこのまま紹介しようじゃないか」
アリス
「えっ? いいんですかっ? やったぁっ♪」
――一方通行の聖域/サンダルフォンのせいいき――
アリス
「ではではっ! まずは、本当は思い出したくもない事ですけど、わたしが連合の手先だった時、ルシル様に初めて黒星を付ける事の出来た術式です」
ルシル
「あれには参ったよなぁ~。サンダルフォンに閉じ込められると、一切の魔力行使が出来ない。だと言うのに結界の外からなら結界内にどれだけでも魔力干渉が行える。つまり一切の抵抗が出来ない相手に一方的に魔術攻撃が出来る」
アリス
「あの時は洗脳されていたとは言え大変失礼しましたです」ふかぶか~
――走馬灯の迷宮/メモリアル・アビリンス――
アリス
「わたしの有する創世結界。それが、このメモリアル・ラビリンス、です。
結界内に取り込んだ対象の記憶を抽出して、劇場で対象に向け流す、というものです。走馬灯が流れて対象がそれを観ている間、対象から魔力を奪います。そして走馬灯が終わる時、対象の人生も終わります。この創世結界は、今より命を奪われる者へのせめてもの慈悲であり手向けなんです」
ルシル
「夢を観ている中で気付かずに絶命する。一切の苦痛もなく逝ける、確かに慈悲だな」
アリス
「でも何であろうと命を奪う術式には変わりありませんし、あまり使いたくなかったです」
ルシル
「実際にあまり使っていなかったよな」
アリス
「そうですね。連合兵時は善悪や感情などをほぼ抑制されていましたから使ってしまっていましたが、アンスールの結界王として活動した際は使いませんでした」
ルシル
「実際、創世結界を使わなくてもいいほどに活躍したよな、アリスは」
アリス
「そう言って頂けるだけで救われます。・・・・あ、もうこれで終わりですね。うぅ、ちょっと寂しいですけど、仕方がないですよね? では、わたしはこれで失礼します」
~~~~~~~
ルシル
「・・・・うおっ? この悪寒はまさか・・・!」
フォルテシア
「ルシル。次は、私だから。というか、何でそんなに怯えてるの?」
ルシル
「い、いや、別に怯えているわけじゃないぞ? 本当だぞ、フォルテ」
フォルテ
「まぁいいけど。じゃあ今度は、私の魔術の紹介だから。いいよね?」
ルシル
「ああ、いいぞ。どんと来いっ」
――復讐者の黒閃/ソンブル・エペイスト――
フォルテ
「私の神器、宵鎌レギンレイヴの上下にある刃に闇黒系魔力で創った影を纏わせて、敵を斬る。それが、ソンブル・エペイスト。
スヴァルトアールヴヘイム語で、ソンブルは闇、エペイストは剣士。私は剣士じゃないけど」
ルシル
「フォルテは闇黒系魔術師において最強の実力者だ。そして復讐者。スヴァルトを滅ぼし、そして我が姉ゼフィランサスを殺した連合への。だからフォルテの術式名の中に、復讐者、が付く。で、この硬度のある影を纏わせての神器レギンレイヴの一撃は強力だ」
――復讐者は踊り護る/ペルセヴェランス――
フォルテ
「うねり踊る影を、手の平に纏わせて、超硬度の影盾を創る。これ、かなり強力。ちなみに、ペルセヴェランスは、忍耐、と言う意味」
ルシル
「確かになぁ。最下層魔族の支配権の一体、戦闘卿バラディウムの攻撃を防いだものな」
フォルテ
「ゼフィ様を殺した、バラディウムの攻撃を防いだ。アイツの驚いた声、すごく心地よかった」
――復讐者の凶塔/トゥール・ソルシエール――
フォルテ
「影の塔を、私を中心として、創り出す。攻撃と防御、両方に使える術式。
防御力はあるけど、でも塔内に、留まるから、その場から動けない、のが弱点。トゥールは塔、ソルシエールは魔女、と言う意味」
ルシル
「しかし複数の味方を一度に塔内に置き、支援が来るまで待つ事が出来るだけの防御力を有しているため、無くてはならない術式だ。このソルシエールのおかげで、一体どれだけの味方を救う事が出来たか」
――降り注げ黒針/アヴェルス・ピュニシオン――
フォルテ
「トゥール・ソルシエールを発動している間、使う事が出来る術式。
影塔を、構成している影を杭に変えて、塔周囲に居る敵に、降り注がせる。塔と杭は繋がってるから、引き戻して、また塔を構成する影に出来る。だから、簡単にピュニシオンは、崩せない」
ルシル
「ちなみにアヴェルスは豪雨、ピュニシオンは罰。この術式には対防性術式が組み込まれているため、回避できないと判断して防御に回った瞬間、杭に貫かれてアウトになる」
――復讐者の凶煌閃/オプスキュリテ・エミスィオン――
フォルテ
「砲撃」
ルシル
「おい。いきなりどうした、たった一言説明って・・・?」
フォルテ
「喋り過ぎ、た。ちょっと、休みたい、かも」
ルシル
「(あーそうだったな。フォルテは行き過ぎた魔術の代償で口調が途切れ途切れになり、永く喋る事が出来なくなったんだったな)判った、私が手伝うから」
フォルテ
「ありがと」
ルシル
「えーっと、オプスキュリテ・エミスィオンの説明だな。オプスキュリテは闇黒、エミスィオンは放射と言う意味だ。フォルテが前方でレギンレイヴをバトンのように高速回転させ、支点に闇を集束させる。なのはのブレイカーばりの魔力球を創り出し、集束砲として放つ、というものだ。フォルテの術式の大半には防性術式破壊が組み込まれているため、こいつもまた防御厳禁だ」
フォルテ
「・・・・」こくこく
――復讐者の呪殺杭/モーヴェ・ミゼリコルド――
フォルテ
「相手を、闇の杭で、貫いて、拘束する。はふぅ」
ルシル
「モーヴェは悪い、ミゼリコルドは慈悲。ザフィーラの拘束条・鋼の軛を杭のようなものにした術式だな。
対魔族(早い話が人外)用の術式で、人間である魔術師には効果は薄い。このミゼリコルドで貫かれた魔族は、能力の大半を封印される呪いを掛けられる。永続的ではないが、封印されている間は弱体化しているという事で討伐しやすい」
――復讐神が希うは絶対なる終焉/エグゼキュシオン・コシュマール――
フォルテ
「真技。レギンレイヴと、私とレギンレイヴの魔力で創った、複数のレギンレイヴによる、同時多角斬撃」
ルシル
「レギンレイヴを高速回転させて放り投げ、対象の周りで周回させて影のレギンレイヴ・レプリカを構成。手元に戻って来たオリジナルを対象に投擲。レプリカも同時に対象へと襲撃。着弾と同時に全てのレギンレイヴから闇の魔力刃が発生し、対象を完膚なきまでに切り刻む、というものだ」
フォルテ
「この真技で、仇バラディウムを、討伐した。そして、やっと私は満ち足りた」
ルシル
「・・・・ありがとう、フォルテ。ゼフィ姉様の仇を討ってくれて」
フォルテ
「ううん。私が討って、よかった、の? ルシルの、お姉さんの仇」
ルシル
「構わないよ。ゼフィ姉様の仇は、アンスール全ての仇だ。だからアンスールの誰でも良かった。まぁ出来れば私が討ちたかったけどな」
――誘いたる復讐神の魔手/アンフェール・カーオス――
フォルテ
「もう一つの真技。冥府ヘルヘイムに、対象を強制的に堕とす、最強対軍真技」
ルシル
「という説明だが、実際は対象の足元に全てを融解させる効果を持つ闇黒系魔力の渦を創り出す、というものだ。で、ただ渦を生み出すだけじゃなく、渦の中から影の腕が何百本と伸びてきて、対象を引きずり込もうとする。
柔軟性がありながらふざけた硬度も有する闇黒系魔力で構成された影の腕だ。一度捕まるとそうそう抜け出せない。もがけばもがく程に影腕が絡んで来るし、破壊しようにも新しい影腕が次々と生み出される。脱出する方法は、自らを呑み込もうとする足元に広がる闇の渦を根こそぎ吹き飛ばすだけだ」
フォルテ
「でも、私の闇は、魔術をも呑み込む。だから、この真技から逃れるためには、高位神器じゃないとダメ」
ルシル
「と、いうことだ。っとそうそう。アンフェールとは地獄、カーオスは混沌と言う意味だ」
フォルテ
「じゃあ私の、魔術の紹介はこれまでだから。それじゃ」
~~~~~~~
セシリス
「なら次は私にさせてもらおうかな」
ルシル
「お、今度はセシリスか。はぁ」
セシリス
「溜息っ!? ちょっとそれは失礼が過ぎるんじゃないかしらぁッ!?」
――熱波震断刃/アセッソ・グーミ――
ルシル
「危なぁぁーーーッ!? 死ぬっ、そんなものを喰らったら死ぬって!」
セシリス
「確かに直撃すれば切断された後、燃え散るね」
ルシル
「だったら私に使うなッ! 殺す気かッ!」
セシリス
「先程の溜息で、私はいたく傷つきましたッ!」
ルシル
「ち、違うっ。説明するからレーヴァテインを収めろっ。・・・・よし。出来れば真面目なセシリスには最後辺りに出てきてほしかった。だって・・・この後にはステアを始めとしたカーネルやレンが居るんだぞ・・・?
精神がすり減ったままで今話を終わるなんて辛すぎる。だったら最後に真面目なセシリスやシェフィジークを相手にして精神ダメージを回復した状態で終わりたい・・・」
セシリス
「・・・・なるほど。それはそれは・・・ご愁傷様です」なでなで
ルシル
「解ってくれたようで良かったよ」
セシリス
「・・・出て来てしまった以上はこのまま続けることになるけれど」
ルシル
「まぁ、しょうがないだろう。じゃあ早速。今しがた殺されそうになった術式」
セシリス
「我が神器・煉星剣レーヴァテインの刀身に数千度の超高熱を纏わせ、破壊力を高めるこの術式・・・。アセッソとは、ムスペルヘイム語で発熱、グーミは刃と言う意味ですよ」
ルシル
「この術式で、一体どれだけの連合魔術師を斬り捨ててきたか」
セシリス
「特にヨツンヘイムは念入りに、です。ヨツンの所為で大戦が勃発したのですからね。相性的にも氷と炎で優位でしたし」
――炎熱波神断刃/リベラサォン・プレーザ――
セシリス
「超高熱の魔力刃を対象に放つというのが基本的な攻撃方法です。が、この術式の本当の姿は別にあります。
それは相手が防御に成功した場合に発動します。徐々に威力や硬度が強化されていく剣閃は消えることも爆発する事もなく残り続け、魔力刃ではなく起爆剤たる最後の火炎の一閃に触れた瞬間、大爆発を起こす、という。
周囲の大気すらも焼きますから、万が一に防御を成功させようとも呼吸が出来ません。呼吸した瞬間、何百度と言う空気を吸い、肺はもちろん喉や内臓器官全てを焼かれます。ちなみに、リベラサォンは解放、プレーザは牙と言う意味です」
ルシル
「最強の炎熱系術式を操るムスペルヘイム、その王族のセシリスの魔術だ。大戦に参戦する前の調整戦で一度受けてみたが、もう二度とセシリスと戦いたくないと本気で思った」
セシリス
「それはこちらの台詞。貴方との魔術戦はもう懲り懲り。本当にやり難い」
――轟煉甲冑/アルマメント・ヴウカォン――
セシリス
「文字通り火炎の膜を身に纏って防御形態となる術式です。アルマメントは武装、ヴウカォンは火山と言う意味ですよ」
ルシル
「ムスペルの王族ゆえに可能な高密度の火炎を纏う事が出来る。あらゆる物理・魔力攻撃を業火の甲冑で無力化する。高位神器による攻撃以外は全て、だ」
セシリス
「ルシルと模擬戦を行うまではたった一度の敗北もなかったこの術式。だけどルシルの神器王としての能力の前では悲惨な結果でした」
ルシル
「よく言うよ。神器すらも融解させるその火力に、こっちは生きた心地がしなかったぞ」
――女神の陽光/ソール――
セシリス
「ルシルとステアと私の三人で創り出した砲撃術式。ルシルとステアのソールは見た目通りの火炎砲撃。
私のソールは火炎を限界にまで圧縮し光線状としてます。光線を安定させるために螺旋状の炎で覆い、炎は着弾時に威力を最大にまで発揮させる起爆剤ともなります」
ルシル
「セシリスのソールはあまりにも威力重視なため、放射時に・・・ぷふっ」
セシリス
「わ、笑うことないじゃないっ。確かに初めの頃は後方に飛ばされていたけどッ!」
ルシル
「初めの頃、は・・・ね。その後もよろけていたよな。その所為で、鍛錬時にユグドラシルの外壁に傷を付け、大騒ぎになったぞ」
セシリス
「うぐ・・・。アースガルドの象徴ユグドラシルに傷を付けたあの時、自害しようかとも思ったよね・・・」
ルシル
「その自害騒ぎもアースガルド王の頂点フノスに止められて、なんとか踏み止まって事なきを得た。懐かしい」
セシリス
「は、恥ずかしい・・・」
――疾駆せし業火の獅子/シャーマ・レアオ――
セシリス
「コホン。この術式は、火炎を纏っての突進攻撃です。シャーマは炎、レアオは獅子ですね」
ルシル
「この術式には副次的な効果がある。それが――」
――爆連柱波/エスプロザオン・ピラール――
「――↑の術式だ。レアオ状態で通った場所に残る火炎の轍が、火柱を上げて爆発する、というものだ。エスプロザオンは爆発、ピラールは柱、だな。レアオ状態で動けば否応なくこのピラールが発動する」
セシリス
「ですから味方密集地では使えないんですよねぇ~。巻き込んでしまいますから。事実私が大戦に参加する前、ムスペルヘイムでこの術式を組み、発動して・・・・臣下と城にダメージを与えてしまいました(泣)」
――炎帝形態顕現/カパスィダーヂ・フォルタレスィメント――
セシリス
「大戦に参戦する魔術師ならば必ず一つは持っていると言われる自己強化術式。
熱エネルギーで体の内外で強化する、というものです。カパスィダーヂは能力、フォルタレスィメントは強化と言う意味です」
ルシル
「強大な熱エネルギーを纏うため、補助術式でありながら攻防一体でもあるんだ。熱によって空間が歪められ、射砲撃関連の魔術の軌道を外させる。そしてセシリスが触れる者は否応なく焼殺される」
セシリス
「似たような術式であるコード・ロキ程の火力は無いけれどね」
ルシル
「アレは純粋な攻性術式だからな~。強化と防性は備えていない分、フォルタレスィメントの汎用性に劣る」
――火煉爆焔焼打/ヘキエィン・インフェルノ――
セシリス
「半球状の炎を前面に押し出す様に纏った拳打を放つ術式です。
纏わせた炎の大きさは成人より大きいもので、互いに視界に相手の姿を入れる事が出来ませんけど、着弾――せずとも意図的に爆破出来るから、爆炎と爆風からは誰であっても決して逃げることは出来ないんですよ」
ルシル
「いや全く。ヘキエィン・インフェルノ。地獄の鎮魂歌と言う意味を持っているこの術式。ヨツン術師にはもう同情しか湧いてこないんだよな」
――真炎焦火煉爆焔焼打/アウテンチカ・ヘキエィン・インフェルノ――
セシリス
「本物の、を意味するアウテンチカを冠する通り、上記のインフェルノのリミッター解除をした真の姿。
それが、アウテンチカ・ヘキエィン・インフェルノ。レヴァンティンの神秘を解放して生み出した炎にインフェルノを打つ。インフェルノ以上の爆炎を発生させるため、至近距離でアウテンチカを受けた者は灰すら残りません」
――天壌滅する原初の劫火/レーヴァテイン――
セシリス
「解放したレーヴァテイン自身の火炎発生能力を最大限に発動させて、刀身に纏わせた火炎を剣状にして放つ砲撃術式ですね」
ルシル
「魔術師と魔術の強弱を左右する神秘。レーヴァテインと言う超高位の神器の神秘満載の火炎砲だ。それはまたふざけた威力を有する」
――原初煉界の炎王絶技/サクラメント・ヂ・ムスッペル――
セシリス
「ムスペルヘイムの王族にのみ扱う事が出来る王家式術式の一つです。
敵の炎熱術式を吸収、自らの魔力エネルギーに変換して、魔力やダメージを回復する事が出来る術式ですね。サクラメントは秘蹟。ムスッペルは我が祖界ムスペルヘイム。ヂはオブですね」
ルシル
「炎熱術式だけでなく天然の火炎熱も吸収できるため、戦場で起こっている火災なども吸収し、回復し続けるなんて事も出来る」
セシリス
「あと、ルシルやステアの炎熱術式を利用させてもらうこともあるかな。特にルシルの炎熱術式は良いよね。一気に魔力を回復出来るから。貴方とコンビを組む時は本当に感謝してる」
ルシル
「その分、私の魔力はひたすら消費されるけどな」
――火炎龍天昇牙/エフピサオン・ヴルカニカ・ヂ・ドラガオン――
セシリス
「レーヴァテインに炎を纏わせ跳び上がりながら敵を斬り上げる術式です。
炎が空へ立ち昇る龍に見える(らしいですね)事から付けられた術式名で、エフピサオン・ヴルカニカは噴火、ドラガオンは龍と言う意味です」
――真技・顕現せよ劫火・其は秩序を再誕するもの/セグレード・オールデン・シャーヴィ・インモルターウ・プルガトーリオ――
セシリス
「私、炎帝セシリスの有する真技ですね。セグレードは奥義。オールデンは秩序。シャーヴィは鍵。インモルターウは不滅の。ブルガトーリオは煉獄。と言う意味です。
レーヴァテインを地面に突き刺し発生させた炎の渦を、私を中心に周囲に拡散させていき、周囲の敵を焼殺します。それが第一段階。この段階で死ななかった者へトドメの第二段階を放ちます。
一度炎の渦をレーヴァテインに集束させ、さらに神秘と火力を強化し直します。そして、地面に突き刺すのではなく地面に剣先を擦りつつ振り上げ、二段階目を発動。再度炎の渦を拡散させ、集束させる最中に周囲に残された燻ぶる炎に着火、炎の渦と火柱による空陸同時攻撃を行う、というものです」
ルシル
「最早言う事無しの炎熱系最強の広域攻性真技だ。この真技が使われた戦場は、何百年と草木が生えない程に徹底的に地面を焼き尽くされる」
セシリス
「自然破壊は本当に好ましくないけど、やはりヨツン連合打倒を最優先としているから。・・・・あ、私の紹介はこれで終わりなのね。なら、次の仲間に交代ね」
~~~~~~~
ステア
「じゃあ次は私だねっ♪」
ルシル
「はい、来たよ、アンスール一の能天気娘。のクセして策略謀略計略を考えさせたら右に出る者は居ない程の超絶腹黒――」
――奥義・白焔の花嫁/ヴェスチード・ノーイヴァ――
ステア
「えい」抱きつき
ルシル
「ぎゃぁぁぁああああああああッ!」引火
ステア
「腹黒とは失礼な」えっへん
ルシル
「・・・本音を言えば自慢だった髪が、東○幸治や○田晋也のようなチリチリに・・・orz」プスプス
ステア
「えー、このヴェスチード・ノーイヴァは私の自己強化術式ね。
白焔をウェディングドレス状に構築して纏い、身体および魔力や火力を強化するの。王家術式の轟煉甲冑を私なりにアレンジしたもので、効果も上だし見た目も綺麗。で、ヴェスチード・ノーイヴァは花嫁衣装と言う意味ね」
ルシル
「悪魔め・・・」
ステア
「悪魔で良いよ。悪魔らしいやり方で話を聞いてもらうから」
???
「ちょっ、それ、私のセリフだよっ」
ルシア
「今、どこからか何か悲痛な叫びが聞こえたような・・・?」
ルシル
「・・・気の所為か――って、ああもう、こうなるのが予想できたから嫌だったんだ。次のメンバーに交代するまで私はステージ裏で待機する。あとは独りでやってろ」
ステア
「ごめんってばっ。謝るからみんなと同じように一緒に私の魔術を紹介しようよっ」
ルシル
「・・・はぁ。判ったから、涙ぐむな。しかしなぁ・・・」
ステア
「なに?」
ルシル
「お前・・・このエピソードで使った術式、かなり少ないだろ」
ステア
「・・・・・あ」
ルシル
「お前の使う術式は、セシリスと同じムスペルヘイム王家術式だ。ほとんどセシリスの時に紹介し終えたぞ」
ステア
「ぐはっ」
ルシル
「ぐはっ、て・・・。まぁなんだ。とりあえず、お前のオリジナル術式だけは紹介しよう」
――劫火を顕わす焔王の魔槍/ノーブリ・コンブスタォン――
ステア
「あ~あ、もういいよ、少なくても出番さえあれば。
んで、この術式だけど、私の神器・劫火顕槍シンマラの能力を解放して白焔と化したシンマラを投擲して、着弾した地点とその周囲を一気に焼き払う、というものだよ」
ルシル
「私達アンスールが参戦した大戦末期においては炎熱系術師の頂点と謳われたステアとその神器シンマラによる強烈な一撃だ。
神器は神器でしか破壊出来ないという魔術師の常識を覆すステアの火炎が付加され、そしてシンマラ自身の火炎と神秘満載のこの術式は、アンスール参戦前において連合に一番怖れられていた」
ステア
「意味は、ノーブリは高貴な、コンブスタォンは燃焼。連合のゴミ共を一掃するのに適した術式だよね」
ルシル
(能天気だがサラリと恐い事を言うから、ステアは本当に畏怖されていたな)
――劫火が支配せし煉界/ムスペルヘイム――
ステア
「私、白焔の花嫁ステアの真髄。それが、創世結界ムスペルヘイム。
結界内は全てが紅蓮の炎。足場は少なく、立っていられる足場以外は全てが溶岩ね。その溶岩の到る所から火柱が噴き上がっていて、大気を焼いているんだよ。そして空にも炎の川が流れてる。私の炎熱術式を最大限にまで向上してくれる。溶岩を利用した捕縛術式を構成したり、砲撃や火炎弾に利用したり。全てが意のまま」
ルシル
「ムスペルヘイムが展開されたらもう終わり。生き残る、という希望を捨てざるを得ない。苦無く死にたいなら無駄な抵抗はせず、ステアの攻撃を大人しく受けるしかない」
――咬み殺す神焔/ドラガオン・プルガトーリオ――
ステア
「煉獄の龍の意味を持つ通り、龍の爪の如く白焔を纏わせたシンマラで対象を斬り刻んだ後、龍の顎による噛みつきの如く刺突と同時に白焔が上下から対象を呑みこみ、最後は対象ごと砲撃となって焼滅させる。対人真技だけど、最後の砲撃だけは中遠距離の射程だから後方に居る連中にも被害をもたらすの♪」
ルシル
「すっごいにこやか」
ステア
「ドキッとした?」
ルシル
「恐怖と言う意味でドキドキだよ」
ステア
「あらら。・・・って、ええーっ? 私の出番ってこれだけぇ?」
ルシル
「残念だったな。ほら、バイバーイ」
ステア
「ぅぐ・・・。フンだ。シンマラ!」
ルシル
「ちょっ、馬鹿――」
――戦神炎熱波/エスプロザオン・ジュウガメント――
ルシル
「けほっけほっ・・・置き土産にジュウガメントとは・・・げほっ。こんの・・・ステア――って居ないしっ! くそっ、逃げやがった、最悪過ぎるっ! 今さっき私を灰にしようとした術式を、私が説明しないとダメなのかっ・・・。・・・はぁ。今のは、シンマラをバトンのように旋回させて纏わせていた白焔を螺旋状に設置し、最後にシンマラを地面に突き刺し爆発を起こし、爆炎と衝撃波と螺旋状の白焔を周囲に拡散させる、というものだ・・・。
エスプロザオンは爆発、ジュウガメントは審判者。・・・全く、憶えていろよ、ステア」
~~~~~~~
カーネル
「おっす、ルシル。今度は俺だ」
ルシル
「(シェフィじゃない?)ああ、そうか。あんまり馬鹿するなよ、ツッコむの面倒だからな」
カーネル
「解ってるよ。最後くらいは地帝カーネルの名に恥じないようにしないといけないからな」
――西方の黒燿穿/オーヴェスト・オニチェ――
――北方の黄燿穿/ノルド・トパーツィオ――
――東方の蒼燿穿/エスト・ザッフィロ――
――南方の紅燿穿/スッド・ルビーノ――
ルシル
「地中の鉱石に魔力を通して形状変化させる術式だな」
カーネル
「ああ。まず一番上からな。オーヴェストは西、オニチェはオニキスだな。オニキスと言う名を冠する通り、地中のオニキスを操作して、地上へと剣山として突出させる。次。ノルドは北。トパーツィオはトパーズ。エストは東。ザッフィロはサファイア。スッドは南。ルビーノはルビー。どれも鉱石を操作し、剣山と成す」
ルシル
「カーネルに操作された鉱石には全て魔力反射の効果は付加されているから、純粋魔力攻撃は全て跳ね返される」
――大地の防壁/テッラ・スクード――
カーネル
「大地を操作して隆起させ防壁とする術式だ。ただの岩石の防壁と侮るなかれ。岩石に含まれる砂鉄や鉱石の硬度を最大限に高め、物理攻撃だけでなく魔力攻撃にも耐えうる防御力を叩きだす」
ルシル
「私の中級術式程度なら完璧に防御できるな。上級の中では、炎熱砲ソールや火炎武装ロキなど炎熱系を防御されるよな~」
カーネル
「炎熱系や雷撃系には特に強いからな、土石系は。そう簡単には破らせねぇよ」
――先駆けし者の顕現/アッヴェント・ピオニエーレ――
カーネル
「隕石召喚だな。周囲の大地から岩石や土石を空で圧縮して、塊と成して地上に降らす。圧倒的質量を以って防御もろとも敵を押し潰す。
ニダヴェリール語で、アッヴェントは降臨。ピオニエーレは先駆者、と言う意味だな」
ルシル
「純粋な物理攻撃なため、ある程度の破壊力を持った魔術なら容易く破壊できる。が、半端な破壊で破片を残すと、魔力を纏った高速弾と化して雨のように降り注いで来る。そうなれば並の防御では物量を以って潰しに掛かってくるため、迎撃するなら破片すら残さないようにしないといけない」
――砂塵裂砕刃/ファルチェ・ギリョッティーナ――
カーネル
「名前の通りだな。砂塵で刃を創り出し、地面を裂くように放つ。砂塵が振動しているため、切断力は結構あるぞ。で、ファルチェは鎌、ギリョッティーナはギロチンと言う意味だ」
ルシル
「砂地の場合、ギリョッティーナに全包囲され逃げ場無く細切れにされる、なんてこともある」
――砂塵渦巻く城壁/ヴォルティチェ・サッビア――
カーネル
「これも砂塵を利用した術式だな。ヴォルティチェは渦、サッビアは砂と言う意味だ。砂塵を集束させて流動する盾とする防性術式で、どれだけ攻撃を受けようとも砂なため、決して崩れずに何度でも再構築される」
ルシル
「突貫力のある術式以外はまず防がれる。下手を打つと砂塵に呑み込まれて窒息死、と言う結末もあるし」
カーネル
「でもま、結構弱点があったりする。単発の攻撃には強いが、再生が追いつかない程の連発を受けると吹き飛ばされる。あと水に濡れるとダメだし、風嵐系の魔術では粉砕される。純粋物理攻撃には強いがなぁ」
――守り人の壁壊弾岩/クストーデ・ムニツィオーネ――
カーネル
「人間の頭部大の岩塊を射出する攻性術式だ。クストーデは番人、ムニツィオーネは弾丸。意味の通り、戦場の番人たる俺が放つ弾丸だ」
ルシル
「もう言わずとも良いかもしれないが、戦場が陸地である以上弾数制限が無い。魔力が続く限り延々と岩塊を生成し、対象に射出し続ける」
カーネル
「俺の基本的な攻撃方法だな。コイツで敵軍が怯んでいる隙に別の術式を発動したり、他のアンスールの攻撃への布石としたり、汎用背が高い」
――押流し呑み込む地波/イノンダツィオーネ・ロッチャ――
カーネル
「隆起させた岩壁を岩石・砂塵・土泥へと変化分解して土石流と成し、敵軍を押し流す」
ルシル
「戦場を分断する事を主としていたな。連合の軍勢をロッチャで分散させ、一気に潰しに掛かる」
カーネル
「俺ってそんなのばっかりだったよな」
ルシル
「お前だからだよ。お前の土石系術式は連合に多大なダメージを与えるが、味方をも巻き込みかねないほど広範囲なんだ。実際、味方を蟻地獄に落としそうになって焦った事あったよな、お前」
カーネル
「・・・・あったな」
――地帝が率いし大軍勢/コルポ・ダルマータ・ディ・カーネル――
カーネル
「岩石や土泥で構成されたゴーレムの軍勢を造り出す術式だ。一度に最高200体を造り出すことが出来、武器を持たせることも可能だ。コルポ・ダルマータは軍団、ディはオブ、カーネルは俺の名で、地帝の軍団、というわけだ」
ルシル
「ただでさえ堅い岩石で造られていて、そのうえ魔力障壁も纏っている。並の魔術師の攻撃ではまずビクともしない。ゆえにカーネル単独で敵部隊を壊滅することだって出来る」
カーネル
「それをお前が言うか? お前のバルドルやヘイムダル、ニョルズなんてもっと酷いじゃねぇか」
ルシル
「ま、アンスールのメンバーなら誰であっても敵大隊クラスなら単独で潰せる、というわけだ」
――砂刃裂破/サッビア・スパーダ――
カーネル
「えっと、コイツは先述のギリョッティーナとは違い、足元から無数に砂の刃を突き出させる、というものだな。
足元からの奇襲だからまず初見の奴らは回避できずに斬り裂かれる」
ルシル
「ちなみにサッビアは先程でた通り、砂、と言う意味で、スパーダは剣、だ」
――巨人の拳打/ジガンテ・プーニョ――
カーネル
「岩石で造り出した巨拳で拳打を打ち込むプーニョ。で、他に――」
――巨人の蹴打/ジガンテ・ピエーデ――
カーネル
「岩石で造り出した巨足で踏みつけるピエーデ。ジガンテは巨人、プーニョは拳、ピエーデは足、と言う意味だ」
ルシル
「私の巨腕コード・イロウエルは、カーネルのジガンテ・プーニョがオリジナルだ」
カーネル
「と言う割に、プーニョよりデカイし汎用性が高いし・・・俺もお前のイロウエル程の汎用性の高い巨腕を造り出したいけどな」
ルシル
「なんで拘る? すでにゴーレムの軍勢があるじゃないか」
カーネル
「俺は地帝だぞ。全ての土石系の術式の頂点に立たなきゃダメなんだよ」
ルシル
「あっそ」
――母なる大地が終わる刻/ディストルツィオーネ・モンド――
カーネル
「俺が大地の支配者・地帝カーネルと謳われる由縁の術式が、この陸戦最強の真技と恐れられたディストルツィオーネ・モンド。
ディストルツィオーネは破壊、モンドは世界。世界を破壊する儀式魔術だな」
ルシル
「空を飛べない者にとって、この真技はあまりにも絶望的だ。まず大地震が戦場を襲い、次に地面が陥没・隆起し戦場が分断、もちろん地割れも起き、地割れに落ちて死亡なんてざらだ。たとえ逃れても、地割れからマグマが噴出し焼死、隆起した大地が崩れて押し潰され圧死、私たち空戦の出来る魔術師からの空襲で色々死・・・」
カーネル
「そう。だから陸戦最強と謳われる。何せ逃げ場が無いからな。さ~て、俺の魔術紹介はこれで終わりだな。そんじゃ次の奴にバトンタッチな」
~~~~~~~
プレンセレリウス
「さぁ今度はオレだな」
ルシル
「(よっしッ! 馬鹿トリオの最後の一人だ。ならあとはシェフィとジーク、私の精神は守られた)そうか、よろしくな」
レン
「なんか妙なこと考えてないか?」
ルシル
「いんや。気の所為だろ。ほら、あとに二人控えているんだからさっさと始めるぞ」
――騒がしき我が友よ/ブリュイヤン・ファントム――
レン
「不可視の亡霊に語り掛けて、ドンチャン騒いでもらう術式だ。術式と言えないような気もするが、まぁ術式の一つとして数えたいような・・・でも実際は固有能力・霊媒を――」
ルシル
「長いわッ。もう術式として思っておけッ」
レン
「怒鳴るなよ。なんだったっけ? そうそう、ブリュイヤンは騒がしい、ファントムは亡霊っていう意味だ。って、睨むなよ」
ルシル
「お前の術式の所為で、妹が幽霊嫌いになった事を忘れてくれるなよ、レン。夜中に上記の術式や他の術式で、さんざんシエルを驚かしやがって。だからお前はシエルに嫌われてるんだよ」
レン
「なんかさ、シエルってからかいがいがあるんだよ。カノンは真面目すぎてやり辛いし、他のアンスールだと、反撃喰らって殺される」
ルシル
「はぁ。私の大切な妹をからかうな、馬鹿者」
――暗闇に踊る亡霊/アルメ・オプスキュリテ――
レン
「戦場に散った英霊を戦力化する術式だ。不可視化することで奇襲も暗殺もお手の物。本来、オレの能力や術式は、前線や敵本部へ英霊を侵入させ情報を収集する、というのが本領だ。が、時にはこう言った英霊を戦力化する事で、オレの補助として共に戦うこともある。んで、アルメは軍団。オプスキュリテは闇黒っつう意味な」
ルシル
「私の使い魔召喚術式エインヘリヤルのようなものだな。まぁ戦力的にはエインヘリヤルの方が圧倒的だが、不可視化での諜報活動という裏方のような真似は出来ない」
レン
「だけのルシルやエインヘリヤルとはまた違ったアプローチでの使い魔召喚、みたいなものって感じか」
――お間抜けには無様な踊りがお似合いだぜ/ストゥピッド・マレディクシオン――
ルシル
「来た。はい、来たよ、冥祭司プレンセレリウスが恐れられる要因たる、最悪にして最凶の術式・ストゥピッド・マレディクシオン。意味は、ストゥピッドはドジ、マレディクシオンは呪い」
レン
「ふふん。直接的な戦闘力がアンスールで一番低いオレを生き永らえさせてくれた術式だ。人面状の光弾を放つっつう単純な攻性術式。しかぁ~し、身体ダメージは一切無い。コイツの恐ろしさは身体ダメージじゃない。コイツを受けた奴は、超絶なドジとなる。何も無いところで転び、自分の脚に躓いて転び、小さな突起に躓いて転び・・・・」
ルシル
「大切な武器を忘れ、敵を攻撃しようとして味方に誤射、防御しようとして不発・・・。最前線で実際に連合術師に起きた悲劇だ」
レン
「はっはっはっはっはっはっ。無様だったよなぁ、アイツら。オレ達はただ連中が自滅していくのを黙って見ているだけで良かった」
ルシル
「そのほんの少し後、シャルが現れて、お前はボロボロのズタズタのギタギタにされたな」
レン
「思い出したくねぇよ・・・。剣神シャルロッテ。もう二度とあんな恐ろしい女とは戦いたくないね」
――お前に憂鬱を贈るぜ/デプレシオン・ファントム――
レン
「最凶の魔弾パート2。名前から見て判る通り、こいつデプレシオン・ファントム(意味は憂鬱の亡霊)を受けた奴は極度の鬱状態になる」
ルシル
「・・・・コイツを受けた奴も悲惨だよな。憂鬱に駆られ・・・何も出来ずに我々同盟術師によって討たれる」
レン
「卑怯と言われようが何と言われようが、これがオレの戦い方だ」
――亡者境界/カオ・ムル――
ルシル
「レンの操る亡霊は基本物質化していないため、攻撃なども通り抜ける。が、カオは混沌、ムルは壁と言う意味のこの術式は、防性としての効果を持たせてあるため、攻撃を通過させることなく防ぎきる」
レン
「おーい、お前が説明すんなよ。カオ・ムルはただの障壁じゃないぞ。触れた者に呪いを掛ける。上記のドジにしたり鬱にしたりと色々な。攻防一体と言うわけだ」
――先駆けし者らよ/キャヴァリエ・エキップ――
――弓引きし者らよ/アルシェ・エキップ――
レン
「まず最初の奴は、英霊の騎兵隊を召喚する術式だ。キャヴァリエは騎兵、エキップは隊。んで次は、英霊の弓兵隊を召喚する。アルシェは弓兵、エキップは上と同じ隊。そのまんまだな」
ルシル
「・・・ん? お前がこの第三章で使った術式の中には真技は無いんだな」
レン
「は? そうだったっけか?・・・・・あ、本当だ。じゃあ――」
ルシル
「これで終わりだな。(馬鹿を言い出す前に早々に退場してもらおうっと)つうわけで、ほら、ジークに代われ」
レン
「親友に対する態度じゃねぇ・・・。まぁいいさ。シェフィとたくさん話せるようにしてやろうって言うのがオレ達の総意だからな。そんじゃな」
~~~~~~~
ジークヘルグ
「では次は、私の魔術をご紹介しましょうか。よろしく頼むよ、ルシル」
ルシル
「ああ。よろしく頼む、ジーク」
――ネメジ・ディーオ――
ジーク
「ではまず、ネメジ・ディーオ。天罰と言う意のネメジ、神と言う意のディーオ。
ルシルの、雷撃を地上に降らすコード・トールのオリジナルと言うべきでしょうか。ディーオもまた地上に雷撃を落とす術式です」
ルシル
「オリジナル・・・う~ん。ジークやカーネルは、アンスールに参加する以前より大戦に参戦していた。
当然私もその事を実際に見た事があるから、まぁ基にしたと思われるかもしれない。しかし・・・・雷撃系の術式って・・・かなり種類が絞られるよな。特に落雷はスタンダード過ぎて」
ジーク
「なるほど。確かに落雷と言う術式は、雷撃系術師にとっては基本中の基本でしたね」
――ジェネラツィオーネ・ディ・エネルジーア・エレットリカ――
ジーク
「途轍もなく長いですが訳してみると、発電、と一言だけなのです。
さて術式効果ですが、身体に雷撃を纏い、身体・術式強化のみならず触れた者へダメージを与えることも可能とする補助術式です」
ルシル
「発動直後、周囲に強大な魔力と神秘を内包した雷撃が拡散するため、敵のど真ん中でコイツを使うと面白いほどに敵は感電する。ほぼ一瞬で血液が沸騰し・・・・パンッと破裂してしまうぞ」
――アックームロ――
ジーク
「蓄電、と言う意味から察していただけるかと思いますが。この術式は、私の雷撃を何かしらの物質に付加させる術式です」
ルシル
「同じ雷撃術師にこの術式を使い、その術師を強化させることも出来る」
――エミッスィオーネ・コッレンテ・エレットリカ――
ジーク
「強大な雷撃の塊を、私の神器・天槌ミョルニルで打ち、雷撃砲と成す術式です。
エミッスィオーネは放出、コッレンテ・エレットリカは電流と言う意味です」
ルシル
「雷撃系最強のジークの砲撃。着弾した場所で大きく炸裂し、巨大なプラズマを発生させて対象の周囲にも被害をもたらし、着弾前の砲線に掠る程度でも蒸発させられるだけの威力を有している」
――アッサルト・ステッラ――
ジーク
「雷撃の砲弾を撃ち出す術式です。雷と同じ速度ですので、まず回避は出来ません。アッサルトは突撃、ステッラは星と言う意味です」
ルシル
「ヴィータのシュワルベフリーゲンのようなものだな。実際、ウチの作者は、ジークのステッラと同じような攻撃フリーゲンを使ったヴィータが登場した『A’s』を初めてテレビで観て、ハンマーで弾丸を撃ち出すのとかジークと同じだ~、とか喜んでいた時期があったものだ」
――アッサルト・ステッラ・コルポ・ダルマータ――
ジーク
「雷撃の塊をミョルニルで打ち、砲撃ではなく拡散弾として放ちます。
アッサルト・ステッラは上記の通り。コルポ・ダルマータは、軍団、と言う意味になります」
ルシル
「この術式で、シュテルン・リッターの第三騎士・鮮血姫シリア・ブラッディアの身動きを完全に封じ込め、そして――」
――雷神放つ破滅の雷/ミョルニル――
ルシル
「――すべての雷撃系術師の頂点に君臨する最強の真技で、粉砕消滅させた」
ジーク
「神造兵装第3位・天槌ミョルニルの能力を完全解放し、強大な神秘と威力を誇る雷撃と投擲する、というものです。直接ミョルニルで殴打してもいいですが、必中必殺を成す事の出来る投擲の方が威力を十分に発揮できますね」
ルシル
「威力と神秘が強大過ぎるゆえ、防御は絶対に不可能。しかし、回避しようにも投擲されたミョルニルには必中と言う特殊能力がある。だから回避も不可能。諦めて討たれるしかないわけだ」
ジーク
「では私の魔術紹介はこれで終わりですね。早々にシェフィリスと交代しましょう。その方がルシルも嬉しいでしょうからね」
ルシル
「っ・・・否定できない」
~~~~~~~
シェフィリス
「えっと、じゃあ最後は私の魔術紹介と言う事で、よろしくお願いします」
ルシル
「ああ・・・。それにしてもシェフィと二人っきりで何かしらの作業をするというのは久しぶりだな」
シェフィ
「うん、そうだねぇ。たぶん洗脳されちゃった家族をどうにかしようって躍起になっていた時以来かな。結局、救う事は出来なくて・・・・ルシルの胸でずっと泣いちゃってたよね」
ルシル
「そう・・・だな。しかし安心してくれ。必ずあの子達を救い出す。そして、シェフィとシエルとカノンの魂も解放してみせる」
シェフィ
「うん。待ってる・・・ずっと待ってる。だから・・・無理しないでね」
ルシル
「・・・・ま、無茶はするけどな」
シェフィ
「もう。けど、それがルシルなんだよね。・・・・じゃあ本題に入ろっか」
――氷結女帝の城/エーリューズニル――
シェフィ
「私の氷結魔術を使って氷の城塞を造る術式。それがエーリューズニル。
エーリューズニルというのは、ニヴルヘイム王家の御先祖様であるヘル・クリティカリティス・ニヴルヘイム様がお建てになったお城の事なんだよ」
ルシル
「何度か招かれた事があるが、エーリューズニルは氷で造られているが触れても冷たくはないし城内は寒くもない。不思議な空間だった」
シェフィ
「私からすればそれが普通だって思ってたから、初めてヴァルハラ宮殿やグラズヘイム城を観た時、なにこれ?って思ったもん」
ルシル
「あぁそう言えばそんなこともあったな」
――氷帝城塞の砲撃/ディアトン・アストレス――
シェフィ
「それじゃあ次ね。エーリューズニルに設置された砲台から雪(雪だるまのような顔付き)の砲弾を撃ち出す術式ね。エーリューズニルを構成している氷を原材料にしているから、無制限に撃ち出す事は出来ないけど、最低でも六万発までなら撃てるかな」
ルシル
「ディアトン・アステラスとはニヴルヘイム語で、流れ星、と言う意味だな」
シェフィ
「私、ネーミングセンスが悪すぎるって家族みんなからよく言われていて、だから術式の名前はほとんどルシルと一緒に考えて付けたものなんだ。このディアトン・アステラスだって、最初は雪だる大砲って付けちゃってたんだけど」
ルシル
「そのまんま過ぎて、あと戦場に似つかわしくない程に可愛らしかったから却下させてもらった」
シェフィ
「別におかしなところはないって思うんだけど。あと可愛くても良かったのに・・・」
――雪槍乱穿/ドリ・エギエネス――
シェフィ
「ルシル直伝の砲撃術式ドリ・エギエネス。意味は、ドリは投槍、エギエネスは高貴、ね」
ルシル
「ただの吹雪の砲撃――だと思ったら大間違い。吹雪の中に障壁破壊の効果を持った氷の杭が紛れ込んでいて、避けきれずに防御に専念、という選択をすると障壁を杭で貫かれた挙句、砲撃によって凍結されてジ・エンドだ」
シェフィ
「ルシルには二段構え的な術式を教えてもらってばっかりで。私が最強の氷雪系術師と謳われたのは、ほとんどルシルのおかげなの」
ルシル
「教えたのは確かに私だが、実際に扱っているのはシェフィだぞ。だから蒼雪姫と謳われたのはシェフィ自身の実力があってこそ」
――凍波誅拳/ティモリア・ヒモナス――
シェフィ
「近接戦があまり得意じゃない私だけど、万が一に懐に入り込まれたらダメだってルシルに言われて憶えた術式。
冷気を拳に纏って、そのまま相手を殴り飛ばすの。ティモリアは罰、ヒモナスは冬」
ルシル
「シェフィは、私やカノンのような中遠距離・広域戦を得意とする魔術師だ。しかしそうは言っても戦況からして近接戦が必要な場合も出てくる。だからシェフィには単独でも切り抜けられるようになってもらいたくて、この術式を習得させた」
シェフィ
「でも結局この術式の後に教わった別の近接用術式ばかり使って、この術式はほとんど使わなかったけど・・・」
ルシル
「これは神器・神杖ガンバンテイン無しでも扱えるように、という緊急用の術式でもあるから・・・使わなかったとしても別に構わないさ」
――氷零世界の箱舟/リーヴスラシル――
シェフィ
「先述のエリューズニルと同じ、氷で出来た巨大帆船。
リーヴスラシルは、生命力自ら維持する者、っていう意味なの。その名前の通り、一度発動して構築した後は、リーヴスラシルが勝手に周囲の魔力を吸収して、自動で敵を判断して攻撃を加えてくれるの」
ルシル
「その分、かなり複雑な術式だが」
シェフィ
「そうだよっ! この術式を組み立てるのに二ヶ月も掛かったんだよっ。しかもこの術式の考えたルシルは何一つとして手伝ってくれなかったしッ(泣)」
ルシル
「まぁそのおかげで氷雪造形術式が得意になったじゃないか・・・・・・つまり愛の鞭?」
シェフィ
「愛の飴が欲しかったっ!」
――天罰氷覇/ネメスィ・ディケオスィニ――
――断罪凍波ティモリア・ディケオスィニ――
シェフィ
「コホン。リーヴスラシルの甲板に設置されている魔力球砲台より放たれる砲撃・ネメスィ・ディケオスィニ。そして魔力弾ティモリア・ディケオスィニ。ネメスィは天罰、ティモリアは罰、ディケオスィニは正義と言う意味になるの」
ルシル
「リーヴスラシルを撃沈しようと接近してくる連中を迎撃するだけでなく、空から地上へ向けて放つことももちろん可能。直撃すれば氷結される砲撃と魔力弾の雨あられ。並の術者では成す術もなく凍らされる」
――月花氷塵/スィエラ・パゴス――
シェフィ
「氷の礫を複数巻き込んでいる小型の竜巻を発生させるこの術式。
スィエラは嵐、パゴスは氷。攻防一体の術式で、風圧はもちろん氷の礫によって攻撃を弾き、敵へ向けて移動させることで動きを制限したりぶつけてダメージを与えたり、とね」
ルシル
「それと同時に周囲に冷気を撒き散らす。氷雪系術師にとっては都合の良い環境になるが、それ以外の属性術者にとってはもう辛いのなんのって・・・・」
シェフィ
「う゛っ。確かに初めてこの術式を発動した時、加減が判らずに猛吹雪を生んで、ルシルとレンとフォルテを雪だるまにしちゃったよね。ごめんね」
ルシル
「私はまだいいが、レンは風邪をひいて大変だったよな。しばらく氷雪系術式がトラウマになって」遠い目
シェフィ
「あぅ~」
――天花護盾/クリュスタッロス・アントス――
シェフィ
「私自慢の防性術式クリュスタッロス・アントス。意味は、クリュスタッロスはクリスタル、アントスは花。
雪の結晶の形をしていて、この盾に触れるものは魔力でも何でも凍結する事が出来るの。氷結系が苦手とする炎熱系の魔術すらも、ね。とは言ってもさすがにステアやセシリスのような最強クラスの炎熱系術師の魔術は防げないけど」
ルシル
「私の炎熱系では歯が立たない程の防性術式だ。出来るだけ堅い障壁にしような、とシェフィと一緒に組んだ術式なんだよな」
シェフィ
「うん。ただ堅いだけじゃなくて別の効果も入れた方が良いから言われたから、完全凍結効果を付加したんだ」
ルシル
「反射くらいかなぁ、と思いきやこれだよ。さすがはニヴルヘイム王家。触れたものの完全凍結とは恐れ入ったよ」
――氷零冥塔/アミナ・ビルゴス――
シェフィ
「氷の柱を創り出す術式ね。対象の上に落として攻撃したり、私の前に創り出して防壁にしたりと汎用性は高い方かな」
ルシル
「ヨツンヘイムの術式にもあるよな。氷柱を落とす術式」
シェフィ
「まぁヨツンヘイムは大昔にニヴルヘイムから派生した世界だから」イライラ
ルシル
「あぁすまん。ニヴルヘイムとヨツンヘイムの魔術が似ているというのは禁句だったな」
シェフィ
「そうだよ。あんなニヴルヘイムの術式を悪用してヨツン術式と騙る連中、大戦を起こしただけでも許せないのに。だから・・・・」
ルシル
「すまない」
――雹翔連弾/ハラズィ・ヴェロス――
シェフィ
「それじゃ気を取り直していこうか。エーリューズニルやリーヴスラシル、上記のビルゴスなどの大きな氷塊を分解して、無数の弾丸と成して対象に放つの。
ハラズィは霰、ヴェロスは矢。必要無くなった氷雪造形を散らす時、勿体ないなぁ、とか思った時、ルシルが再利用する方法を考えてくれて出来たのがコレ」
ルシル
「まぁ氷塊として落下させるのもいいが、圧倒的質量の一個より圧倒的物量の無数で押し潰した方が、効率が良いからな」
――氷領結界/オフサルマパティ――
シェフィ
「大気中に目に見えない程の氷の破片をバラ撒いて、光の乱反射や屈折を利用して対象の視覚を錯覚させて、間合いのズレを生じさせる結界術式で、蜃気楼・幻想と言う意味ね」
ルシル
「コイツはシュテルン・リッターのサー=グラシオンを手玉に取るためにシェフィに習得させた。まぁこんなものが無くてもシェフィは奴に勝てただろうが、出来れば圧倒的大差で勝ってほしかったんだ」
シェフィ
「ルシルってば、グラシオンが私の事をメチャクチャに貶してきた時、すごく怒ってたもんね」
ルシル
「当たり前だ。まったく、女は戦場に立つな、偉そうにするな、引っ込んでいろetc….そこまで言われて、黙っていられるかッ・・・・が、シェフィは自分の相手だからと聞かず、だったら徹底的に潰してやれ、ということだ・・・」
シェフィ
「そして見事勝ったのです」ブイッ♪
――氷装零剣/クスィフォス・ヒモナス――
――凍波裂閃/エフォドス・ニヒ――
シェフィ
「まずクスィフォス・ヒモナス。クスィフォスは刃、ヒモナスは先述の通り、冬。
杖であるガンバンテインを氷で包んで剣と成す術式だよ。で、エフォドス・ニヒ。
エフォドスは突撃、ニヒは爪・鉤爪。クスィフォス状態のガンバンテインを振るって、冷気の剣状砲撃を放つの」
――氷装零鞭/マスティギオ・ヒモナス――
シェフィ
「ガンバンテインの先端にある聖石フィラフト(お守りと言う意味だよ)から、氷の鞭を創り出す術式。
マスティギオは鞭。中距離範囲の攻撃として、ビシバシ相手を打ったり捕縛して凍結させたりするの。最大で200mまで伸ばすことが出来るけど、そこまで伸ばしても意味無いから基本は数十mほど」
ルシル
「・・・・・そう言えばさ、シェフィ」
シェフィ
「ん?」
ルシル
「マスティギオで相手を打っている時、ニヤついているよな(怯)」
シェフィ
「えっ? そう、かな? う~ん・・・そうなのかなぁ・・・無意識かも」ニマァ♪
ルシル
「っ」ビクッ
シェフィ
「うふふ。ルシルがカノンとナーティアとリアンシェルトにセクハラした時のかなぁ・・・?」ギラリ
ルシル
「ヒッ! あ、あれは逆切れしたシエルが私を殴り飛ばして、その先にカノン達が偶然いて、それで押し倒してしまったんだって釈明したはず!」
シェフィ
「幼いカノンとナーティアのむ、胸を鷲掴んで、リアンシェルトの胸に顔を埋めて・・・ふふ、うふふ、うふふふふ・・・思い出しちゃったなぁ」
ルシル
「ぎゃぁぁぁあああああああああああああッ!!」
シェフィ
「冗談なのに、そこまで怯えなくてもいいじゃない・・・・」
ルシル
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
――天射矛砲/エクリプシィ・カルディア――
シェフィ
「ルシルと一緒に確立させた水流系を使った砲撃術式エクリプシィ・カルディア。
エクリプシィは蝕、カルディアは心。最初に水の砲撃を対象に着弾させてビショビショにして、トドメに絶対零度の冷気で凍結させて・・・粉砕」
ルシル
「最初の水の砲撃の水圧だけでも十分な破壊力だが、それでも耐えた奴は居るもので、そいつらにトドメを刺すのが最後の凍結と言うわけだ」
シェフィ
「うん。濡れているから絶対に凍結からは逃げられないの。でも、これは味方にも被害をもたらすから乱戦状態の戦場では使わないようにしてる」
――天上隔離結界――
シェフィ
「大戦当時、空からの奇襲にも備えないといけなかったから、この結界で、野営地と空を隔絶していたの。
結界を通り抜けられる魔術は、術者である私と、私が許可した魔術師だけ。だから空からの奇襲は成功しない。で、結界があると知らずに攻撃したら、私に報せが入る。だから味方を動員して、地上から一斉砲火してカウンターすることが出来たりするの」
ルシル
「この結界術式のおかげで、野営時は奇襲や夜襲を気にすることなく過ごすことが出来た。もちろん全員が眠ってしまう間抜けは犯さない。何せ空からの襲撃を防ぐだけで、地上からの襲撃には反応しないからな」
シェフィ
「そこのところはヴァルキリーのみんなが寝ずの番をしてくれたよね」
ルシル
「ああ。だから人間である魔術師は安心して休めた」
――氷葬大結界・真百花繚乱/プスィフロス・エヴィエニス・ヒョノスィエラ・カタストロフィ――
シェフィ
「当時、最強の氷雪系魔術と畏怖された、私の最強の対軍真技。
対象の周囲八方にまず特大氷雪砲撃を撃ち込む。と着弾点に氷の尖塔が発生。その八塔の内側に居る対象へ向けて、氷結の魔力流が周囲を凍結させながら突き進むの。で、八塔の中心で衝突。一気に周囲を凍結させながら八塔以上の尖塔と化す。
一瞬で造り出される氷雪の要塞。それがプスィフロス・エヴィエニス・ヒョノスィエラ・カタストロフィ。プスィフロスは冷酷、エヴィエニスは高潔、ヒョノスィエラは吹雪、カタストロフィは天災・破壊、と言う意味だよ」
ルシル
「絶対零度にして強大な神秘を有するこの真技は、私たちアンスールの中でも最高クラスの術式だな。セシリスの炎をも凍結させる事が出来る。が、やはりステアの炎には負けてしまうが。ちなみに私の最高の防性術式・多層甲冑ゴスペルでさえもこの真技は防ぎきれない」
シェフィ
「ルシルに褒められるのは素直に嬉しいけど、若干引かれているのが哀しいかも」
ルシル
「別に引いていないが・・・。っと、これでシェフィの魔術紹介も終わりだな」
シェフィ
「あ・・・うん。それじゃあ・・・」
ルシル
「これでお別れ――」
シェフィ
「最後はANSURの主人公ルシルの魔術を紹介!!」
ルシル
「――え?」
シェフィ
「それじゃあまずは――」
シエル
「あーっ、ズルいッ。わたしもやるッ!」
――凍て砕け、汝の氷槍/コード・サルツィエル――
シエル
「一番目ゲット♪ 兄様の中級術式のひとつで、氷雪砲撃サルツィエル。
単純な砲撃だけど、発射から着弾まで周囲の水分を凍結させて取り込むから、着弾する時は発射時より威力も大きさも増えてるんだよ♪」
シェフィ
「――コラぁッ、シエルっ!」
シエル
「シェフィリスでもこれは譲れないよッ」
カノン
「では次は、わたしがもらいます」
シエフィ
「ああーーーッ」
――呑み食せ、汝の夜影/コード・ライラエル――
カノン
「ルシル様の中級・闇黒系・砲撃術式ライラエルです。
ルシル様の魔術は基本的に魔力光であるサファイアブルーですが、さすがに闇黒系はそんな美しい蒼にはならず、ミッドナイトブルーです。
そして、この砲撃効果ですが、相手に様々な負効果を与える術式が多い闇黒系と言う事で、受けた対象の魔力生成を阻害する、というものです。ですから直撃すると、しばらくは魔術が扱えなくなります。最前線でこの効果を受けるのはもはや致命的ですね」
シエル
「カノン喋り過ぎだよっ」
カノン
「それはシエルの説明の仕方が悪いのですよ」
アリス
「わ、わたしだって頑張って出番を増や――」
フノス
「それでは次は、私が貰ってもいいでしょうか・・・?」
アリス
「――どうぞ」しくしく
シエフィノン
(アリスぅぅ~~~~~~っ)号泣
フノス
「ありがとう、アリス。では、コホン」
――闇を誘え、汝の宵手/コード・カムエル
フノス
「これも闇黒系ですね。対象を平たい影の手で捕縛するというものです。で・す・が、ただ捕縛するというわけではありません。真に恐ろしきは・・・・影の手でくすぐられてしまう事ですッ!」キリッ
シェフィ
「あ、私も経験ある」
シエル
「わたしも」
カノン
「わたしはありませんね」
アリス
「わたしも・・・無いです」
フノス
「もう人の弱いところをこちょこちょとくすぐって来て、ちょっとした拷問です」
シエフィ
「まったくもってその通り」ジー
ルシル
「いや、これはお仕置き的な――」
アリス
「お、お仕置き・・・!? なんかちょっとエッチな響き・・・」
ルシル
「ちょっ――」
フノシエフィ
「エッチ」テレ❤
ルシル
「・・・・・」orz
アリス
「(い、今がチャンスだっ)あの、次は――」
ステア
「私も混ぜてもらおうっと♪」
――穿ち流せ、汝の水瀑/コード・マヌエル――
ステア
「ルシルとシェフィの愛の結晶である水流系を使った砲撃マヌエル。
強大な水圧で放たれるコレは、ただ相手を押し流すだけじゃないんだよね。防御が弱い奴なら、この一発で体をバラバラに引き千切られる。ちょぉ~恐ッ」
アリス
「――えへへ・・・負けないもん」
シェフィ
「愛の結晶て・・・でも、間違ってもいないかなぁ~・・・なんて」
ルシル
「愛かどうかは判らないが、シェフィと二人で確立させた事は間違いないよな」
シェフィ
「・・・・・・氷装零鞭」ビシバシッ
ルシル
「痛いっ!? ちょっ、痛いぞ、シェフィ! わっ? 巻きつかせるなッ、凍る、凍ってしま――ああああああああッ」カチンコチン☆
ステア
「テレずに素直に応えていればよかったのに~。馬鹿ねぇ~」
アリス
「今度こそは・・・! えっと次は――」
セシリス
「私にもやらせてくれるかなぁ・・・?」
アリス
「――はい、どうぞ。わたしは後で良いです・・・・(涙)」ホロリ
セシリス
「ありがとうね、アリス。今度はアリスに絶対させるから。男達には邪魔させないようにするから安心してね」
アリス
「お願いしますぅ~」
――吹雪け、汝の凍波/コード・バルビエル――
セシリス
「周囲に氷柱を幾つも発生させて、氷柱から発せられる冷気で対象の身動きを鈍らせる補助術式バルビエル。
それが第一段階。第二段階は、全ての氷柱を爆破して吹雪とし、身動きが鈍っている対象を凍結させる。二段構えの対象の活動封印、というわけね」
アリス
「(ようやくわたしの出番が・・・(感激)で、では、次はわた――)
イヴ
「気になって来てみたら面白そうな事をしているわね。私にもやらせてちょうだい」
アリス
『セシリス様~(泣)』しくしくおめおめ
セシリス
『ごめんなさい、アリス。男達には牽制したけど、イヴの事を忘れてた』
イヴ
「どうしたの?」
アリス
「いえ、何でもないですよ、イヴ様」
セシリス
「はぁ~」
――純陸戦形態・疾駆せし、汝の瞬風/コード・ヤエル――
イヴ
「これは私の術式紹介のところでチラッと出したものね。コード・ヤエル。普段は1m程の剣翼十二枚だけど、これはその半分の30cm程の剣翼を六枚展開させ、僅かに体を宙に浮かせるというもの。
足が地面に着かないため摩擦による制動が無くなって、滑らかかつ高速で地面を統べるように移動できる補助術式。ルシルは未完成だとのたまっているけれど、実際には実戦運用しても十分通用するだけの完成度を誇っているわ」
シエル
「兄様は陸上近接戦をあまりやらないから、そう言っているんじゃないかな・・・?」
イヴ
「そうね。陸戦でもそれなりに強いのに。勿体ないわ」
アリス
「こ、今度こそ・・・今度こそ、わたしの出番っ」チラチラ
セシリス
「大丈夫よ、アリス。ほら、今度こそ貴方がそこで氷漬けになってるルシルの術式を紹介してあげて」
アリス
「はいっ。では――」
――天壌よ哭け、汝の剛雷/コード・エネディエル――
フェンリル
「愛する我がマスターの術式を紹介するなら、私も参加しなければダメでしょうッ。というわけで、結構大きな蒼雷の塊を、対象の周囲で炸裂させて雷撃の伴った衝撃波で全方位からダメージを与えるっていうやつ♪」
アリス
「・・・・・フっ、これがわたしの運命ですか(涙)」orz
フェンリル
「んん? どうしたの? アリス」
セシリス
「ちょっとフェンリル、こちらへ来なさいっ」
フェンリル
「え? どうして――って、痛いっ? 耳を引っ張っちゃヤっ。ひゃうっ? 尻尾も触っちゃヤだっ。触っていいのはマスターだけだよッ、聞いてるっ?」
シェフィ
「あの、アリス・・・?」
シエル
「げ、元気だしてアリスっ。ほら、フェンリルはもう居ないから、今度こそはアリスが紹介できるよっ」
カノン
「そ、そうですよ。さぁ、アリス。そんな隅っこで膝を抱えてイジけていないで」
アリス
「ホントに? ホントにもう誰もわたしの邪魔しません?」
ステア
「しないしない。というかごめんね、アリス」
フノス
「私も改めて、ごめんなさい。アリス」
イヴ
「私達が割り込んだからよね。ごめんなさい」
アリス
「っ! そ、そんなっ、頭を上げてくださいっ。わたしなら大丈夫ですからっ」
シェフィ
「それじゃ、アリス。術式の紹介をお願いね」
アリス
「はいっ!」
――浄壊なせ、汝の光輝/コード・ザグザゲル――
アリス
「えっと、巨大な閃光系魔力の球体を、周囲の魔力を集束させつつ対象近くに着弾させ炸裂させて、着弾点周囲を粉砕する衝撃波と化す術式です。
防性術式や補助術式を破壊する付加効果もあります。ルシル様は、トドメの術式の布石としてよく扱ってますね♪・・・・やったぁぁぁーーーーですっ! やっときちんとした仕事が出来ましたっ!」
シエル
「あんなに喜んで・・・・」
カノン
「小さな幸せ、ですね」
シェフィ
「え~と・・・あと二つあるけど、文字数限界も近いし・・・・、最後はやっぱり私が紹介するべきだよね。フォルテはあんまり乗り気じゃなさそうだし」
フォルテ
「見てる方が、ずっと面白いから」
シェフィ
「ほら」
フノス
「なんか納得できませんね」
シエル
「うん。ここは公平に決めようよ」
カーネル
「なぁ? 俺達に紹介させるって選択肢は――」
シェフィ
「無いです」
シエル
「有り得ないです」
ステア
「また来週~♪」
カーネル
「・・・・・ルシル。お前、可哀想にな」
プレンセレリウス
「おーい、フェンリル。ルシルを解凍するの手伝ってくれ」
ジーク
「まず離れた所へ移動させましょう。ここでは危険です」
フェンリル
「そうだね~。マスター、今すぐ助けるから、向こうでゆっくりお茶でもしようね❤」
アリス
「でしたらジャンケンをしましょう。それなら公平です」
カノン
「アリス、スッキリした表情ですね」
アリス
「えへへ。それはもう一仕事をやり遂げた余裕、というやつですよ」
シェフィ
「では・・・・あせぇ~の! ジャンケン――」
~~十分後~~
アリス
「やりましたっ! 勝利のブイッ、で紹介権ゲットですっ♪」
シエル
「ふっふっふ。妹として当然の勝利だよッ♪」
シェフィ
「・・・・ルシル~(泣)」トテトテ
フノス
「負けてしまいました。大人しく身を引きましょう。あちらでルシル達がお茶をしていますし、混ぜてもらいましょう」テクテク
ステア
「さんせ~♪ ルシル~、ジーク~、あとレンとカーネルとフェンリル。私達もお茶飲むぅ~っ」ドドドド
フォルテ
「ふぅ」
セシリス
「じゃあシエル、アリス。あとはお願いね」
カノン
「私は最後まで残っていますね。私達は三人で戦場の妖精フロント・フェアリーですから」
シエリス
「・・・・・・うん」
――破り開け、汝の波紋/コード・メファシエル――
アリス
「わたしから行きます。この術式、結界王のわたしと因縁がありますから」
シエル
「え?・・・・あ、そか。だね」
アリス
「防性・結界術式を破壊する効果を、防性・補助破壊効果を持っていない魔術や神器や身体に付加させる術式です。
洗脳されていたわたしが展開する数多くの結界術式への対抗策としてルシル様が組んだものです。この術式はかなり強力で、わたしの上位結界式以外は完全無力化されました」
シエル
「で、最後は洗脳に使われた薬物の後遺症の所為で呆然自失になって、兄様との決着はつかなかったんだよね」
アリス
「わたしはそれで良かったと思う。たぶんどっちにしても負けていたから」
カノン
「ルシル様があなたを連れてきた時には心底驚きました。つい昨日まで敵対していたあなたが現れたのですから当たり前ですが」
シエル
「カノンってば驚き過ぎて兄様に詰め寄って行ったもんね。あとシェフィリスも」
カノン
「あ、あれは、その・・・私もアリスの結界にはかなり苦戦を強いられた事がありますし。それに・・・お姫様抱っこですしたし」ボソ
シエリス
「最後聞こえなかった」
カノン
「何でもありませんっ。とにかく、アリスは強いという事ですっ!」
シエル
「まぁね。わたしもサンダルフォンに閉じ込められた時、手も足も出なかったもん。ステアと兄様の結界内外からの異常魔力の同時攻撃でなんとか助かったけど。もしステアが結界内に居なかったら、わたし達どうなっていたことか」
アリス
「たぶんルシル様の創世結界でなんとかなったかなと思うよ」
カノン
「そうですね。私もその場に居れば殲滅領域で対処したはずです」
シエル
「にゃるほど。話戻すけど、結局はメファシエルでもサンダルフォンは突破できないって事。それ即ちアリスの結界術式は、兄様だけでなくアンスール全体を震撼させるほど強力と言う事。この二つを判ってもらえればそれで良いかなぁなんてね」
カノン
「ですね」
アリス
「そこまで持ち上げられると嬉しいを通り越してかなり恥ずかしいです」
――懲罰せよ、汝の憤怒/コード・マキエル――
シエル
「それじゃラストっ♪ 兄様の属性複数同時使用の術式のひとつマキエル。
炎熱の龍、雷撃の龍、閃光の龍を創り出して、対象に突撃させる中級攻性術式。突進でも噛みつきでも締め付けでも何でも出来る高性能な攻撃方法と、どこまでもロックオンした相手を追尾する誘導能力もあるよ」
カノン
「魔力射砲撃すらも呑み込んでしまいますね、マキエルは」
シエル
「兄様とカノンが大戦参戦前に行った模擬戦の時、このマキエルや炎蛇プシエルでカノンの魔力弾呑まれていたもんね」
カノン
「圧倒的物量の魔力弾でなら何とかなりますけど、単発や二桁程度の魔力弾ではダメですね。砲撃もまた然り」
アリス
「中級とは言え十分過ぎるほどの威力や効果を持っていますよね、ルシル様の魔術は」
シエル
「兄様は生まれた時から父様や母様から、火力・中遠距離重視の魔術師として調整されて育てられてきたらしいから。それもこれも生まれた時からEXランクの魔力を有していたからなんだけど・・・」
カノン
「恐ろしい方ですよね。わたしでも生まれた時はXXランクで、なんとか参戦前にXXXにまで上げました」
アリス
「わたしは生まれつきSSランクでした」
シエル
「わたしはカノンと同じXXランクだったかな」
カノン
「やはり特別な方というわけですね」
ルシル
「おーい、シエル、カノン、アリス。パンケーキを用意したから、終わったらおいで~~」
シエル
「兄様の魔術を紹介してるのに、本人がお菓子作りって・・・・」
アリス
「いいじゃないですか。ルシル様の作るお料理、わたしすっごく好きですっ♪」
カノン
「ではこれでルシル様の術式紹介を幕とし、ご馳走になりに行きましょう」
シエル
「だねっ♪」
ルシル
「さて。実はあと一つあったんだが、さすがに『魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~』で新たに創られた術式だからか忘れられたか」
――呼び覚ます、汝の普遍/コード・エモニエル――
ルシル
「アリサとすずかに、シャルと私の記憶を取り戻させるべく使った魔術だな。
対象の記憶を読み取り、他の対象に映像化して観せることが出来る。元ネタはアリスの創世結界・走馬灯の迷宮メモリアル・ラビリンスだな。
今回の場合は、シャルと最も関わりの深かったなのはの記憶を読み取り、アリサとすずかに観せた。結果、二人はちゃんとシャルと私の事を思い出してくれた。嬉しい限りだよ、本当に。
・・・・と、これで終わりだな。では、ANSUR第三章・界律の守護神編『魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~』はこれで幕となる。
最後までこの作品を呼んでくれた読者の皆には感謝してもしきれないな。ありがとう。では、私ルシリオンが主人公に返り咲くANSUR最終章・堕天使戦争完結編『魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~』でまた会おう」
シャル
「・・・・あれ? 私の出番がマジで無いんスけど」
ルシル
「ウェンディみたいな口調で登場とは。と言うか何で居る?」
シャル
「ひっど! 第三章の主人公だからじゃんッ」
ルシル
「危なっ! キルシュブリューテを振り回すなッ!」
シャル
「2009~2012まで続いたこの第三章。その最後の話で、私が出ないって有り得なさ過ぎなんですけどッ!?」
ルシル
「だからってキルシュブリューテを振り回すお前も有り得ないんですけどねッ!」
~~数分後~~
シャル
「ふぅふぅふぅ・・・。まぁいいや。こうして何とか喋れる機会が出来たんだし♪」満足顔
ルシル
「はぁはぁはぁ・・・私の後ろ髪をバッサリ斬っておいて何にこやかに笑ってやがる」
シャル
「いやぁ、それにしても結構続けるものだねぇ、ウチの作者も」
ルシル
「無視かい。・・・・はぁ~~。で、なんだっけ?」
シャル
「いやだからさ、結構続けてるよねって話。第三章だけで満足って作者自身も考えてたし、それが完結編にまで手を出すなんて」
ルシル
「シャルの終焉を描いた事で、私の終焉も描きたくなったそうだ。元より完結編のイメージはあったらしいしな」
シャル
「ま、ルシルがハッピーエンドで終わってくれれば問題ないよ」
ルシル
「だといいがな」
シャル
「そんなこと言わないの。・・・あぁあと、続いてるって言えば、前置きの戦闘イメージBGM。アレもANSUR執筆時代から続けてるよね」
ルシル
「戦闘するシーンやキャラのイメージから考えて選曲して、ガンガンに聴きながら戦闘シーンを執筆するのがウチの作者のやり方だからな」
シャル
「当時ってさ、植松伸夫さんや桜庭統さんばかりだったよね。今は色んな作曲家さんのBGMを聴いてるけど」
ルシル
「サントラを買うお金が無かったんだよ、当時は中学・高校生だったから・・・とお告げが来た」
シャル
「なにそれ?」
ルシル
「さあ? ま、今はレンタルやダウンロードもあるし、サントラを買うより出費が少ないから増えたわけだ」
シャル
「なるほど。んで、どういうBGMかを読者のみんなにも知ってもらうためにYouTubeにUPしてるわけね」
ルシル
「いや、自分が楽しみたいだけだな。自己満足と言う奴だ」
シャル
「ふ~ん。あ、You Tubeで、アンスール、って検索すると出てくるよ♪ どういった曲を使っているか。お暇があればご覧あれ❤」
~~~↑2013 3月19日、アカウント削除中なため、検索不可です~~~
~~~↑2013 3月25日現在、charlotte freiheit or アンスールにて検索可能です~~
ルシル
「どこを見て言っているんだ?」
シャル
「モニターの向こう側に。ほら、御覧のスポンサーのうんちゃらって奴みたいな?」
ルシル
「意味がよく解らないな」
シャル
「深く考えなくてもいいんじゃない」
ルシル
「君が言いだした事なんだけどな」
シャル
「もう忘れてってば。ま、そんなこんなで今まで続いてきたこの小説も本当の本当に完結になるわけだけど」
ルシル
「何とも妙なエンディングだな」
シャル
「こんなグダグダな終わり方も良いものじゃない?」
ルシル
「第三章の主人公である君が良いなら、もう何も言うまい」
シャル
「ん。じゃあ界律の守護神編『魔法少女リリカルなのはANSUR~CrossfirE~』・・・これにて完結なのだッ❤」
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