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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『第四十一話』~強くなりたい~

 
前書き
作「遅くなってすみません!」

拓「テスト期間だったらしいな」

作「テストの1~2週間前から勉強しないと成績が……」

拓「あぁ………」 

 
クロノside

「ったく…『襲われた』って聞いたから、急いで来たんだぞ? 全然元気じゃないか」

「にゃはは……」

「心配掛けてごめんね、拓斗」

「別に構わない。無事だったのならそれでいい」ナデナデ

「う、うん…///」

「ありがとう…///」


 拓斗はそう言ってなのはとフェイトの頭を撫で、撫でられている二人は顔をほんのりと赤くして礼を言った。

 今僕たちはアースラの医務室にいる。
 なのは達が強襲にあったと連絡して、彼は20分と経たずにアースラへ来た。
 その時の表情は焦りの不安でいっぱいだったのだが、医務室に入った瞬間、いつも通りの感じに戻っている。

 先程まではあんな顔してたのに。素直じゃないというかなんというか……彼の新しい一面が見れた気がするな。今度エイミィや艦長にでも話すとし……


「(……クロノ。お前がそんなことをするとは思わないが、もし俺の事を誰かに話したら以前話した『10万回死ぬまで帰れま10』の実験台になってもらうぞ?)」


 ……ようと思ったが止めた方がいいな。誰だって人に知られたくはない秘密の一つや二つはあるだろう。この事は胸の奥に封印するとしようか。
 ………別に、拓斗の魔法が怖かったわけじゃないからな? 『10万回死ぬまで帰れま10』を受けた人が廃人になっていたり、多重人格になっていたり、性格が全くの別人になったことを聞いて恐怖したわけじゃないからな!!


 しかし、拓斗の反応は予想外だったな。今のみたいに何もない感じで来ると思っていたのだが……それだけ、彼女達が大切な存在だと言うことか。


「もう少し安静にしてた方がいいと医師に言われたんだろ? 俺はもう行くからゆっくり休みな」

「うん、分かったの」

「見に来てくれてありがとね、拓斗」

「あぁ。…行こうクロノ」

「分かった」


 拓斗に呼ばれ、僕は彼と一緒に医務室から出る。
 扉が閉まると拓斗は僕に振り返り、軽く頭を下げた。


「な、いきなりどうしたんだ?」

「連絡をくれてありがとう。この事を知らなかったら俺は後々悩むことになったかもしれないからな」


 そう言いながら微笑む拓斗。その笑みは同性である僕も少し照れるようなものだった。
 だけど、素直に礼を喜ぶ事が出来ない。伝えるためだけに通信したわけじゃないから……


「別に、礼を言われるような事じゃないさ。なのは達の事を伝えるためだけに通信したわけじゃないからな」

「は? それだけじゃないって……上層部の奴等が何か言ったのか?」

「正解だ。君と一度でいいから話がしたいそうだ」


 以前言われた通り、僕は拓斗の伝言を一文字も違わず上層部に伝えた。
 僕が想った通り、上層部は聞いた途端に騒ぎ始めた。
 現在、上層部の意見は大きく三つに分かれ始めている。

 一つは管理外世界とはいえ、魔法技術を有しているのだから管理局に従うべきだと声を荒げるいう『過激派』。

 もう一つは表向きには魔法が存在しない管理外世界であり、当の本人が拒否してるのだから仕方がないという『穏便派』。

 最後の一つはミッドとベルカの基がヘキサ式というのだから、自分達で研究しヘキサ式を見つけ出す方がいいのではないかという『研究派』。

 少数では生き残りが一人しかいないのだからヘキサ式は大したものではないのだろうと嘲笑う者などがいた。

 さらに少数では意見を発さず黙っている者もいたが、意見を発しているの人数は大きな三つの意見が殆ど同数だった。


 僕個人としては、ヘキサ式はとても強力だとおもう。だが、それは拓斗自身の努力の賜物だ。
 さらに拓斗はヘキサ式を扱うのには様々な特殊技能の習得が必須だと言っていた。
 その事も報告はしたが、上層部の過激派は殆ど耳を貸さなかった。
 もし、拓斗が提供したとしてもヘキサ式を使いこなすモノは数えるほどしかいないだろうな。


「なるほどな。その過激派の奴らが俺に交渉をしたいと」

「その通りだ。僕はやめるよう言ったのだが聞く耳を持たれなかった」

「所詮執務官ってとこか……なら、条件を出そう」

「条件?」


 もしも条件を満たしたらヘキサ式を提供するということか?


「そんなことをしていいのか?」

「構わないさ。条件を満たせばな」


 拓斗はそう言いながら不敵な笑みを浮かべる。……なんか、もの凄い不安なんだが。


「その条件は?」

「そうだな……俺達の一族ではいくつかの『修練世界』と呼んでいる世界があるんだ」

「修練世界?」

「言葉通り、修練を行うための世界だな。己の実力を高めるためにしばらくの間、その世界で武者修行をするんだ。俺もその世界を回りながら己を磨いた」

「……その世界で修行すれば君くらい強くなれるのか?」


 拓斗の実力は尋常じゃない。その強さの秘密がその修練世界というところにあるのならば、僕も少しは実力が上がるかもしれない。


「少なくとも、お前は強くなれないな」

「……は?」


 強くなれない? 先と言っている事が逆じゃないか?


「……なんで強くなれないんだ?」

「お前がその世界に行ったら、三日も持たずに死ぬぞ? 管理局で言うオーバーSランクの魔獣が星の数程いるからな。というより、それ以下の生物がいないんだが……」


 ……聞かなかった事にしよう。僕はまだ死にたくない。それと拓斗の出す条件がなにか分かるんだが、違ってほしい。


「もしかして、その条件というものは……」

「多分想像の通りだと思うぞ? その世界で最低でも一か月生き抜け。勿論他者の援助なく一人でだ。チームを組んで行くのなら人数×半年間だがな」


 僕が想っていた条件よりもひどかった。ていうか


「不可能だろ!? 一人で一か月!? 君は死に行けと言ってるのか!?」

「不可能じゃないさ。俺は三年近くその世界で生活してたんだぞ? それに比べたら比較的簡単だと思うが」

「君と一緒にするな!!」


 ……もし、この事をそのまま伝えたら上層部は『ふざけるな!』と叫ぶと思うんだが。
 その光景が目に浮かぶようだ。


「もう少しだけ軽くできないか? いくらなんでも無茶だ。管理局のレベルじゃ達成できるとは到底思えないんだが」

「そうか? ……なら他に候補として『Aランク以下の魔獣が四六時中襲ってくる世界』か『常に魔力が吸収される(一時間にAランク程)世界』、『地上が全てマグマや強力な酸、強力な毒に覆われた世界』があるが?」

「君は鬼か!?」


 そんな世界に行ったら一週間、いや三日も持たずに死んでしまうぞ!?


「だが、最初の世界よりは幾分かレベルが下の世界なんだが……」

「レベル? 世界ごとにレベルを付けているのか?」

「あぁ、最低レベルがAランク程か?」

「それにしてくれ。頼むから」


 そうじゃないと、その世界に行った魔導師が全滅する。


「? その最低レベルが『Aランク以下の魔獣が四六時中襲ってくる世界』なんだが」


 ……………


「わかった。その事を上層部に伝えておくよ」

「頼んだ」


 僕はもう知らない。おそらく修練世界に行かされるであろう方々。ご愁傷様です。










 拓斗side

「それで、話は変わるんだが」

「分かってる。なのは達が襲撃された件だろ?」


 うん。クロノは理解が速くて助かるな。


「その通りだ。一体どうしたんだ? フェイトはともかく、なのはは海鳴にいた筈だろ?」

「そうなんだがな。とにかくこれを見てくれ」


 そう言ってクロノが映し出した映像には必死に戦うなのはとフェイト、さらに


「っ!?」


 なのは達を圧倒的な力で追い詰めるヴォルケンリッター達の姿があった。
 ……なるほど。コイツ等か。
 人を襲うなんてな。おそらく、はやての体調が悪くなりつつあるんだろう。時間は少ないということか………


「コイツ等は?」


 今、クロノ達にこの事を知らせるのはまずい。闇の書は管理局では危険なロストロギアという認識にある。もし俺が教えたらすぐに捕まえに行くだろう。そして、主であるはやてにもなんらかの危険があるに違いない。
 それだけは防がないといけない。アイツ等はアイツ等なりにはやてを救おうとしている。それだけなんだからな。まぁ、俺にはどうでもいい話なんだが。


「その事については後でなのは達が来たら一緒に話すよ。何度も同じことを言いたくは無いからな」

「分かった」


 この説明で、闇の書について何かわかればいいんだが………










 クロノと別れてデバイスルームに入ると難しい顔をしてデータと睨みあうプレシアとリニスにユーノ。
 そして後ろからその様子を見ているアリシアとアルフがいた。


「あ! 拓斗!!」


 俺に気づいてアリシアは笑みを浮かべ抱きついてくる。
 そんな彼女の頭を撫でながら話しかける。


「久しぶりだな、アリシア。アルフも襲われたと聞いたが、怪我は大丈夫なのか?」

「あぁ、私はね。ていうかなのはとフェイトのとこ行かなくてよかったのかい?」

「もう行ったんだ。ここはそのついでといった感じだな。それにレイジングハートとバルディッシュが折られたんだろ? そっちも気になってな」


 プレシア達の方を向くとそこには罅割れている、待機状態のレイジングハートとバルディッシュがあった。


「結構派手にやられたわね。レイジングハートは当然として、バルディッシュの方もコアにまでダメージがあるわね。ここまで酷いと自動修復で基礎構造を修復させたら部品交換も必要になるでしょうね。交換パーツに関してはリンディ提督が用意してくれるでしょうけど」


 部品交換が必要なほどとは、ジュエルシードの時も破損している時があったがアレよりもダメージはでかいという事か。


「映像を見たが、デバイスはあれくらいで壊れるものなのか?」

「あら? あなたのはトリガーだったかしら? それはどれくらいまで耐えられるの?」

「測ったことがないから分からないが、破壊をしたいのだったら『ノヴァ・ストーリア・ファンタズム』並の攻撃をしないとな」

「「「「「………」」」」」


 そう言った瞬間、この場にいた五人全員が黙り込んだ。どうしたんだ?


「……地球には『ペットは飼い主に似る』というけれど」

「その言葉はペットだけじゃなく、トリガーにも通じるみたいだね……」

「どんだけ規格外なんだい……」

「もう、簡単な事じゃ驚かない自信がありますね……」

「拓斗凄いね~」


 皆が口々に言った。失礼じゃないか? そしてアリシアはどこかずれてるぞ?
 そんな事をプレシア達と話していると扉が開き


「フェイト、なのは」


 クロノに連れられたフェイトとなのはがやってきた。


「拓斗君、ユーノ君、アルフさん」


 久しぶりのなのはとの出会いに言葉はなくただ頷きあう。


「ユーノ、リニス、状態は?」

「プレシアにも見てもらってるけど、あまりよくない」

「破損が酷いので修復は部品の取り寄せも考えて一週間くらいかと」


 クロノとユーノ、リニスがデバイスの状況を話しあい、なのはとフェイトは傷ついた相棒を見つめる。


「そういえばさ、あの連中の魔法ってなんか変じゃなかった?」

 そんな中でアルフがそんな質問をした。
 なのははともかく、お前は知らないのか? まぁ、ベルカ式も現代じゃ使う人が殆どいないらしいからそれも仕方ないか。


「アレは多分ベルカ式だよ」


 アルフの疑問にコンソールを操作しながらユーノが答えた。


「ベルカ式?」

「かつては、ミッド式と魔法勢力を二分した魔法体系だ」


 俺が忙しそうなユーノの代わりに答えた。


「ミッド式を遠近に適した汎用性の高い魔法体系だとすると。ベルカ式は対人戦闘、つまり一対一の戦闘スタイルを得意とする魔法体系だ。優れた術者はミッドで言う大魔導師と同じように騎士と呼ばれているらしいぞ」

「確かにあの人ベルカの騎士って言っていた」


 俺の説明にフェイトが頷く。


「そのベルカ式の最大の特徴はカートリッジシステムで特殊な儀式で圧縮した魔力を弾丸に込め、それをデバイスに組み込み弾く事によって瞬間的に爆発的な破壊力を得るものだ」


 俺はクロノにコピーしてもらったなのは達の戦闘映像の一部分――カートリッジを使用している部分を見せる。


「ここに排出された弾丸があるだろ? これがそうだ。確か、カートリッジシステムを組み込むことのできるパーツがあると聞いたことがあるが」

「え? じゃあなんでそのパーツをデバイスに入れないの?」


 アリシアの尤もな意見になのはとフェイトが頷く。


「俺の記憶が正しければ、ミッド式と相性が悪いからだったと思うが」

「その通りだ。それに制御が難しく、ミッド式どころかベルカでもこのシステムの扱いづらさがベルカ式魔法の衰退の一原因に挙げられている」


 俺の答えにクロノが付け足してくれた。
 なるほどね、カートリッジシステムか……


「なら、拓斗君のヘキサ式は相性いいの?」


 突然なのはがそう聞いてきた。まぁ、さっきまでの流れだったら気になるのも当然か?
 ヘキサ式とカートリッジシステムの相性か……というか


「相性以前の問題だな」

「? どういう意味だ?」

「あぁ、カートリッジシステムはヘキサ式の特殊技能を魔導技術変換したものだ」

「「「「「ハァ!?」」」」」

「「「???」」」


 俺がそう言った瞬間、クロノを始め、デバイスを見ていたプレシア、リニス、アリシア、ユーノの五人が驚きの声を上げる。
 なのは、フェイト、アルフの三人は前回と同じように頭にハテナを浮かべる。
 ていうかアリシアは分かるのか? 思ったより頭がいいのか?


「カートリッジシステムは元々特殊技能だったのか!?」

「その通りだ。本来は『ソウルバースト』という特殊技能だ。リンカーコアから出る魔力量を一瞬爆発させることで魔力量を増やし、爆発的な威力を得る特殊技能。ハッキリ言ってカートリッジシステムとの違いはそれを人が行うかデバイスが行うかの違いだな」

「それじゃ体が耐えられないじゃない!」

「だから特殊技能なんだよ。これは必須技能ではないんだがな。好んで習得しようと言う人は多かったな。ここぞと言うときに使うと便利だからな」

「それで耐えられるのですか?」

「ヘキサ式は最初に体作りから始めるからな。特殊技能はそれに耐えられるように体を作るからな」

「技術ランクではどれくらいなの?」

「管理局の魔導師ランクで言えばSランク。ヘキサ式のランクで言えばAAランクと言ったところかな?」


 クロノ、プレシア、リニス、ユーノの矢継ぎ早に来る質問に即答で返す。五人の口が開いたままだ………
 アリシアは『言いたいこと全部言われた……』と落ち込んでいるが、頭を撫でてやると、猫のように擦り寄って来た。なんか可愛いな……
 そう思っているとなのはとフェイトに睨まれ、さらに脇腹をつねられた。何故だ? それに痛いぞ。


「アリシアちゃんだけずるいの」


 ずるいって……何がずるいんだ?


「もう少し私たちにも優しくした方がいいと思う……」


 頬を膨らますなよ、ガキじゃあるまいし。これでも優しくしていると思うんだけどな……頭を撫でればいいのか?

 そう思って二人の頭を撫でてやると――


「にゃあ……///」

「んっ……///」


 アリシア同様、顔を赤くして猫のように擦り寄って来た。何? この可愛い動物。
 そう思っていると今度はアリシアに睨まれた。どうしろって言うんだよ……


[鈍感の末路だな]


 ソウル、言っている意味が分からないんだが?


[はぁ…もういいよ。この朴念神]


 おい、俺はいつ神になったんだ?


「……話は変わるが、これからどうするんだ? レイジングハートとバルディッシュが壊れた今、ハッキリ言ってクロノとアルフ、プレシアにリニスしか戦力にならないぞ? それにプレシアとリニスは技術担当だから戦力として出ることは無いだろうしな」

「そうだな……拓斗、君に協力してもらうことは出来ないか?」

「そう言われてもな。こっちにも仕事があるんだ。全てが終わるのはしばらく先の予定だし、戦闘の参加は不可能に近いな」


 これは本当だが、実際はヴォルケンリッターと会わないようにするためだ。
 以前、アイツ等の起こすことには傍観すると言った。
 故にアイツ等と戦うことは出来ない。


「……ねぇ、拓斗君」


 クロノと相談をしている時、なのはが俺に話しかけてきた。


「ん? どうした?」

「戦闘に参加できないのは、仕事があるから突然の出動に出ることは出来ないってことなの?」

「それもあるが、全ての仕事が終わるまでの間の時間が極端に少ないんだ。間の時間も海外小説の翻訳とかの簡単な仕事をするしな。ハッキリ言って今回は協力できそうにない」

「でも、ほんの少しでもいいから時間取れない?」

「フェイト?」


 珍しいな。そんなに長い間一緒にいたわけじゃないが、フェイトは普段無茶を頼むような事はしない娘だ。それが無茶を頼むなんて……


「まぁ、裏技的な方法を使えばある程度纏まった時間は取れるが……一体どうした二人して。なにか頼みでもあるのか」

「そうなの。フェイトちゃん」

「うん、拓斗」


 二人は頷き合うと、突然俺に頭を深く下げた。


「「私達を鍛えてください! お願いします!!!」」


 そう言った。










 フェイトside

「「私達を鍛えてください! お願いします!!!」」

「却下」





 ……………





「「「「「「「「えぇぇぇぇぇぇえええええええ!!?」」」」」」」」

「? どうしたんだ?」


 私達の驚愕の声の意味を本当にわかってないのか頭にハテナを浮かべる拓斗。じゃなくて!


「即答!?」

「もう少し考えてくれてもいいはずなの!!」

「そう言われても、さっき言ったように仕事が忙しいんだよ。それに仕事は俺の生命線だ。仕事を断ったら信用がなくなるし、一度受けた仕事は途中でやめるわけにいかないだろ」


 た、確かに……拓斗が忙しいのは分かる。一人暮らしだから仕事をしないといけない事も。でも!


「お願い! どうしても強くなりたいの!!」

「『裏技がある』って言ってたじゃないか? それで何とかならないのかい?」

「あれは限界があるんだよ。諸事情で限界いっぱいまで使ってるんだ」

「他に方法は無いの?」

「悪いが、全くないな」

「そ、そんなぁ……」


 拓斗の答えになのはがそんな声を上げる。

 どうしてもだめなのかな………?


 そんなことを思っている時、姉さんが拓斗に質問をした。


「ねぇ拓斗。仕事ってどんなの?」

「あぁ、万屋だよ。所謂何でも屋だ」

「そうなんだ! 良かった!!」


 拓斗の答えに満面の笑顔を浮かべる姉さん。良かったって、何が良かったの?


「じゃあ、私が依頼してもいい?」

「依頼? まぁ、依頼なら出来るだけ受けるが……内容は?」

「えっとね、なのはちゃんとフェイトを特訓してほしいの!」

「は?」

「「あ!」」


 そうか! その手があったんだ!!
 姉さんナイス!

 そう思いながら姉さんを見ると満面の笑みでピースサインを返してくれた。


「その手で来たか……」


 拓斗は腕を組んで考え始める。……受けてくれるのかな?


「拓斗、僕からも依頼する。少しでもいい、なのは達を鍛えてやってくれないか?」

「しかしだな、今コイツ等は自分の得物がないんだぞ? お前等はデバイスがないと魔法が使えないんだろ? 俺が教えることは無いと思うが?」

「あるじゃないか。近接戦闘の仕方だよ。魔法を使わないんだから出来るだろ?」

「……報酬は?」

「出来るだけ多く出す。だから受けてくれないか?」

「……………」

「拓斗」


 黙り込む拓斗に姉さんが呼びかける。


「……はぁ、教育依頼の通常料金として一人三万円。及び必要経費をもらうぞ」

「それじゃあ……」

「いいよ、依頼だからな」

「「や、やったぁ!!」」


 嬉しさのあまり、思わずなのはと抱きあってしまった。


「そんなに嬉しかったのか? 特訓するだけなのにな」


 それをあきれた様子で見る拓斗。


「僕は艦長と経理の者に伝えにいくよ」

「分かった」


 拓斗は返事を返しながらデバイスルームを後にするクロノを見送る。


「さてと俺達は早速特訓を始めるぞ」

「え? 今から?」

「あぁ、俺の準備するためでもあるからな」


 その瞬間、私達三人の足元にヘキサ式の魔法陣が展開される。


「え?」

「な、何!?」

「安心しろ、俺の転移魔法だ


 空間の巫女よ 我は世界を越えるもの それは点と点 天と天 転と転 繋げ 結べ 結え『空前絶後』」


 そして私達三人は拓斗の漆黒の光に包まれた。 
 

 
後書き
~あとがき雑談会~

拓「おい、作者」

作「正直、すまなかった」

拓「特訓の回じゃなかったのか?」

作「なんかいろいろと入れすぎた」

拓「はぁ…まぁいい。さっさと次の話に行くぞ」

作「了解





  拓斗がなのはとフェイトを連れてきたのはヴォルケンリッター達と戦った修練の戦地だった

  その地でなのはとフェイトはその名の本当の意味を知ることになる

  次回 魔法少女リリカルなのは~黒影の死神~『特訓開始』」





拓「それじゃ、次回に」

作・拓「「トリガー・オン!!」」




 ねぇ、拓斗くん

 なんだ?

 特訓内容ってどんなふうにした方がいいと思う?

 ………考えてないのか?

 全く

 『修羅剣・久遠』!!!

 ちょ、ギャァアアアアアアアアア!!! 
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