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幸せの箱探し

作者:紅雨
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4章 【かくれんぼ】

 「ハァ…ハァ…ハァ…」

 僕は走り続けていた。

 「くそっ!……だめだ。」

 どうやらこの世界の建物の中には入れないようだ。扉や窓は固く閉ざされている。

 「いったいどこにいるんだ!」

 僕はふたたび走り出す。すると向こうに、女の霊がいるのが見えた。

 「やっと見つけた。」

 僕は全力で駆け寄り、背中にナイフを突き刺した。だが、それは残像だった。

 どこからか、声が聞こえてきた。

 〈ハハハッ!ざんね~~ん。ハズレだよ~。〉

 憎たらしい、あの女の声だ。また僕は走り出す。

 「それにしても暑いな。」

 箱の中なのになぜか太陽があった。

 「……何故太陽があるんだ…?」

 僕は立ち止まり少し考えた。さっきから走り回っているのに見つからない。

 建物の中には入れないはず。そして何故か声が聞こえる。まるで近くにいるように……

 「…………。」

 そうだ。声が聞こえるのは近くにいるから(・・・・・・・)そうすれば、見つけられないのは

 隠れているからだ(・・・・・・・・)。そして太陽があるのは()を作るため。

 僕の考えが正しければ……

 「そこかっ!!!」

 僕は後ろに振り向き、自分の影(・・・・)の頭に思いきりナイフを突き刺した。

 「クッ……見つかったか……」

 僕の影が見る見るうちに女の霊の姿に変わっていく。

 「僕の勝ちだ。さぁ、早く元の世界に戻せ!」

 「チッ……まぁいい。するべき事はした(・・・・・・・・)。お前を元の世界に戻してやろう。」

 女の霊が僕の胸に手をかざすと、僕の体が光り始めた。

 「最後に聞きたい。お前は何故こんな事をした。」

 「お前も変わったやつだな。いいだろう、聞かせてやる。」

 そして女性の霊は、自分の生きていた時の事を話し始めた。 
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