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蒼の使い魔は悪魔で召喚魔剣士

作者:蒼鈴六花
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イルククゥの救出


イルククゥ SIDE

アルたちがワイヴァーンで向かってる最中。
イルククゥは馬車の中で途方にくれていた。

「きゅい、どうしてこうなったのね……」

タバサにお使いを頼まれて、迷って、良い匂いにつられてお肉食べて、それでお金がなくなって、お使いに頼まれた本が買えなくて、お金をくれるって人についていったらその人は人攫いだった。

イルククゥは使い魔の召喚に応じてしまったことを後悔していた。

そして国境に近づいたとき同じく攫われてきた少女たちは、期待からざわめき始めた。
こんな風に、女の子たちが縛られていたら、絶対にお役人が見咎めるはずだと言う声が聞こえる。
イルククゥもそんな会話を聞いてわくわくし始めたが……現実は厳しかった。

人攫いと役人はグルだった。
役人たちの会話を聞いた少女たちは絶望した。
そんな様子を見て、イルククゥは怒りに震えた。

「お、お前たちというひとはー!もう最悪なのね!きゅい!」

イルククゥの怒りに任せて変化の呪文を解こうとしたその時、巨大な竜巻が人攫いたちに襲い掛かった。

「きゅい!?」

びっくりしたイルククゥは呪文の解除を解くのをやめて竜巻が出てきた方を見る。
砂埃が晴れて見えてきたのは

「ち、ちびすけ……それにおにーさん……!?」

遠く離れた魔法学校にいるはずの主人の少女と同じ使い魔の悪魔の青年がそこにいた。

SIDE OUT



タバサが人攫いを魔法で吹き飛ばした後。
ワイヴァーンを還し人攫いたちの前に立つ。

人攫いたちが慌てて頭を呼び始めた。

「あねご!!」

「まったく、だらしがないね。油断するなといつも言ってるだろう?」

「おやおや、あんたは正真正銘の貴族のようだね。連れの男は用兵かい?こりゃちょうどいい。おいあいつ呼んで来な」

頭らしき女性は部下に誰かを連れてこさせようとしている。そして部下が誰かを連れてきた。

筋骨隆々のなぜか上半身裸で特徴的な髪型のむさくるしい男性が出てきた。

「お呼びですか!あねご!!」

「ああ、お前に相手をしてもらいたいやつがいるんだ」

「このブラキにお任せください!で、どいつですあねご!」

「あの用兵の男だ」

「わかりました!」

俺は、あれを相手にするのか……嫌だな。
そういえばさっきから原作にないものが出てきているような……まぁ大丈夫か。

そこで頭の女性が

「さぁそこのメイジのお嬢ちゃんはあたしと決闘してもらうよ」

タバサはいつもと変わらずといった調子だ。頭の女性はそれを見て

「どうしてメイジが人攫いなんかやってるんだ?って顔だね。あんたは貴族のようだから、きちんと冥土の土産に教えてやろう。あたしは女だが、三度の飯より〝騎士試合〟が大好きでね。伝説の女隊長のように、都に出て騎士になりたい、なんて言ったら、親に猛反発されたのさ。で、こうやって家を出て、すきなだけ〝騎士試合〟ができる商売に鞍替えしたってわけだ」

「ただの人さらい」

「そりゃあ、食うためにはしかたないさ」

「あねご!アニキ!やっちまってください!」

手下の男たちが叫ぶ。頭の女性は首を振る。

「なに、これは騎士同士の〝決闘〟だよ。順序と作法ってもんがある。さて、正々堂々といこうじゃないか」

「わたしは騎士じゃない」

「〝騎士試合〟に付き合わないって言うなら、あの女たちに魔法を飛ばすよ」

俺たちは仕方なく相手に合わせて一礼する。その瞬間、頭の女性が魔法をタバサに撃つ。

「卑怯者!」

イルククゥが叫ぶ。

しかしタバサは驚くべき反応速度で、横にとんだ。頭の女性が目を丸くしている。
その後、一瞬で魔法を完成させて頭の女性めがけて魔法の矢を放つ。頭の女性が持ってた杖が切り裂かれ、同時にその服を地面に縫い付ける。

俺のほうにも火球が飛んできて、その後ろから剣を持って相手が突っ込んでくる。
俺は、あらかじめ召喚しておいた天使ロティエルに指示する。

「ロティエル!スペルバリア!」

ロティエルが憑依したことで魔法が無効化された、それにブラキが驚いている間に剣を構え。

「一文字スラッシュ」

俺は正面に向かって走り、一瞬で相手を峰打ちする。
勝負は一瞬でついた。

頭の女性は、信じられないといった感じで

「あ、あんたたち、何者……」

「ただの学生」

「使い魔」

俺たちはそう答えた。



人攫いたちと、賄賂を受け取った役人たちを警邏の騎士に引渡し、少女たちを自由にした後、懸賞金をもらったのだが、タバサは半分くれた。そういえば俺、この世界で無一文だった。

そして帰りはイルククゥに乗って帰る事になった。
飛んでる最中イルククゥが

「あ、あの……、おにーさん、タバサさま。どうもありがとう。助かったのね。でもどうしてわたしの居場所がわかったのね」

「あなたの視界を、わたしも見ることができる。使い魔と主人は、一心同体。行き先の見当をつけて、アルの召喚獣で先回りして駆けつけた」

イルククゥは、素直に感激した。同時に、今までの自分の態度を恥じた。

「昨日はごめんなのね。ちびすけとかなんとか、わたしひどいこと言ったのね」

「……」

「そ、その上……、このわたし、本を買うのも失敗したのね」

タバサは読んでた本から顔を上げた。イルククゥは罰を受けると思って目をつむる。そして

「シルフィード」

「え?それ、なんなのね?」

「あなたの名前。〝風の妖精〟って意味」

「良い名前だな。よかったなシルフィード」

「素敵な名前ね!きゅい!」

イルククゥ改めシルフィードはうれしそうに声をだす。

「可愛いのね!わたしも嬉しいのね!なまえ!新しいなーまーえ!きゅいきゅい!」

陽気にはしゃぐシルフィード。かわいいな、と思う。

「ねえねえ!タバサさま!おにーさん!わたし、タバサさまとおにーさんのことお姉さまとお兄さまって呼んでいいかしら?わたしのほうが体は大きいけれど、なんだか、そう呼ぶのが相応しいような気がするのね!」

タバサはコクリと頷く。
俺も別にかまわないので

「いいぞ」

「きゅいきゅい!お姉さまとお兄さまができたのね!嬉しいのね!」

「俺は兄弟いなかったからな、嬉しいよ」

「きゅい!お兄さまも嬉しいのね!きゅい!」

「あぁ、これから宜しくなシルフィード」

「はいなのね!」

もしかしたら自分はすごい魔法使いの使い魔になったのかもしれない。そう思うシルフィードだった。

そして俺たちは学院に帰った。



「あ、今日学院長室に行くんだった。すっかり忘れていたな。まぁ、行ける時で良いか」

そうして俺は寝ることにした。






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なぜか二つ目の2次小説に登場するはずだったキャラがこっちに出てきちゃいました。分かるひとには分かるキャラです。
今日同時にだす新たな2次小説にもそのキャラはでてくるやも・・・

少しタバサの冒険編が続きます。

では、誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。


 
 

 
後書き
あえて前の後書きを残してます。

 
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