蒼の使い魔は悪魔で召喚魔剣士
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危機と白い影 前編
俺はサイト達の乗っている船、イーグル号を追っていた。
約三時間くらいだろうか……飛び続けているワイヴァーンが心配になってきたころ、目的地が見えてきた。
浮遊大陸アルビオンから突き出た岬にある高い城、目的地のニューカッスルの城だ。
サイト達の船は、大陸の下側を通るようだ。上には敵がごろごろいるしな。
大陸下側は頭上に大陸があるため日が差さず真っ暗で、雲の中にはいる。視界はほぼゼロだ。
さすがにワイヴァーンで飛ぶのは困難になってきた。
「ワイヴァーン、ここからは自分で行く。飛び続けて疲れただろう?還ってゆっくり休んでくれ」
ワイヴァーンはまだいけると言いたげだったが、俺はこんな視界の中でもなぜか見えるから自分で飛んだほうが安全だと言うとしぶしぶ還ってくれた。
ワイヴァーンをわざわざ危険な目にはあわせられないからな……
そして俺は翼を羽ばたかせてイーグル号を追いながら暗い雲の中を進んだ。
しばらくイーグル号を追っていると頭上に黒々とした穴が開いていた。
そっと船の跡を追ってその穴の中に入っていく。
すると頭上から明かりが見えてきた。
「鍾乳洞か」
穴の先には白く光るコケに覆われた、巨大な鍾乳洞に秘密の港があった。
岸壁の上に、大勢の人がいる。これは慎重に隠れないといけない。
俺はこっそりと隠れられる場所を探し、テレビーを召喚してサイト達の様子を見ると、なにやら王子と老人が話している。
話を聞く限りだと王子は負けるつもりらしい。報告書では王子達の軍は約三百、敵の軍は約五万と書かれてあった。これでは王子達の勝ち目はほぼないだろう……だが、栄光ある敗北ね……
少し考えていると王子達は移動を始めたので俺は隠れながらついて行った。
その後、王子の部屋にルイズが姫さんの頼まれごとをしに行った。
部屋の中で王子とルイズが色々話していたが簡単にまとめると……
王子と姫さんは恋仲。でも王子は戦で死ぬつもり。ルイズが説得失敗。以上
え、手抜きすぎるって……大事な所は多分抜けてないから大丈夫だろう。
すぐ後にワルドが王子に勝手なこと言っていたが、これはサイトが止めることだ。俺はいざとなったら手を貸すくらいで良いだろう。
さて、ルイズ達はパーティに行くようだ。俺はどこかで食べ物調達して城の外にでも行くかな。
そう決めた後、俺はすぐに行動を開始した。
城の外にて。
俺は隠れながら城の外に出ていた。
今は城から少し離れた所にいる。そこで俺は木にもたれながら、調達した食料を食べ終え月見しながら酒を飲んでいた。
「ふぅ、久しぶりにゆっくりできそうだ」
そういった瞬間、唐突に左目に違和感を覚えた。
左目の視界はどんどん歪んでいき別の光景を映し出す。
「これは……タバサの視界か、だとすると……!」
使い魔の力がこんな所で発動するとは……
どうやらタバサが危険な状態のようだ。
「ふむ、どうしたものか……」
タバサのいる所と自分のいる所はかなり離れている。
飛んでいくにしても、時間がかかりすぎて間に合わない。
だが、一つだけ方法がある。
「……まだ実験段階だったんだけどな、しかたないタバサのためだ」
俺は一枚の赤いしおりを取り出し、それを目の前に放るとしおりは浮いて目の高さで止まる。
「発動。テレポのしおり」
その瞬間しおりから青い光があふれ出し、シュンという音とともに光が消えた時、その場には誰もいなくなっていた。
タバサSIDE
私達は先に行ったアル達を追いかけていた。その最中に私達はあるもの達と出合った。
種族は全部で三種類だろうか、一つはゴーレムのようだけど、アルの召喚獣にいた……確かボクスだったろうか?それと似ている。
もう一つは、人のような姿をしているが人でない。額に角が生え顔は赤く尖っている。
獣人とも違うから種族名がわからない。ただ服はアルの召喚獣の一部が同じような服を着ていた。
最後は丸い薄紫の幽霊だ。
その三種が私達の前にいきなり出てきて襲いかかってきた。それも数が多い上に一匹一匹が強い。
「な、なんなんだこいつらは!?」
そう考えてる間にギーシュが混乱しはじめた。
「そんなのわからないわよ!でも確かなのは相手が私達に敵意を持ってるってこと!」
キュルケはそう言いながらも反撃を続けている。
私も反撃をしているが相手は一向に減らない。
そうして反撃を続けていると敵がざわめき始め、それがぴたりと止まると暗闇の奥からゆらりと白い女性がでてきた。
それを見たキュルケがこちらを向く。
「ねぇ、タバサ。これってやばいんじゃない?」
面をかぶり、真っ白な服を着た女性。そしてその周りは凍りつき白くなっている。
杖を持ってないことから魔法ではないと思うが、先住魔法だとするとエルフの可能性もあるが、耳は頭に被った布で隠されていてわからない。
でも、あれはエルフではない。先住魔法でもさすがに呪文は必要だ。相手は呪文を唱えるそぶりすらない。
だとするといったいなんなのか?
……考えている暇はなさそう。敵は動き出した。
白い女性がこちらに手を向けると一斉に敵が襲い掛かってきた。
いくらなんでも数が多すぎる。ギーシュとキュルケも必死に反撃するが傷はどんどん増えていく。
これらの敵を全て倒し終わったとしてもあの白い女性を相手にしなきゃいけないとなるとさすがに私達だけでは勝ち目はない。
では逃げるか……それも無理だろう。周りはすでに白い女性の指示で逃げ道を防がれている。シルフィードを呼んで空から逃げるのもできない。
相手は無詠唱で魔法を使う。そもそもあれが魔法なのかもわからないが、今までに見たことがない未知の敵だ。
どうすればこの状況を打開できるか……
こんな時、アルならどうするんだろう……
SIDE OUT
タバサの声が聞こえた気がした。
「……急がないとな」
まだ実験段階だったテレポのしおりは、ワープに少し時間がかかるようで、俺は青い光に包まれて目的地に向かってワープ中だった。
俺はテレポのしおりに込める魔力を強くしてワープを早めた。
すると青い光が濃くなりシュンという音がした。
タバサ SIDE
私達は追い詰められていた。
敵は私達を囲んでじりじりと近づいてくる。ギーシュもキュルケも立ってるのがやっとと言った感じだ。
私自身も苦しい状態で一定以上近づいた敵を何とか倒している。
「……これは、さすがにきついわね」
キュルケが辛そうに呟く。
「……」
私は何のために力をつけたのか……
目的を果たすため。
でも今、目的を果たす前に死にそうになっている。
自分の力不足を実感する。でも敵は迫ってくる。
まだ目的を果たしてないのに……
母さま……
アル……
「呼んだか?」
その時、聞きなれた声が聞こえた。
SIDE OUT
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自分でもテレポのしおりが出ると思わなかった。なんか自分でもこれからどうなっていくか分からなくなってきてます。
初めて前編、後編と分けます。後編いつ出せるか不安です。
最近投稿が遅れてる理由はスランプもあるのですが、他にも色々あったり…
活動報告にてそのことは書きます。
では、誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。
後書き
えーとこれの後編なんですが、なぜか1話だけ入らず。
今日か明日に投稿します。
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