蒼の使い魔は悪魔で召喚魔剣士
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報告と舞踏会
学院に戻った俺たちは学院長室に来ていた。
「ふむ……。ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな……。美人だったもので、なんの疑いもせず秘書に採用してしまった」
「いったい、どこで採用されたんですか?」
オスマンの隣に控えたコルベール先生が尋ねる
「街の居酒屋じゃ。私が客で、彼女は給仕をしておったのだが、ついついこの手がお尻を撫でてしまってな」
「で?」
「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないかと、言ってしまった」
「なんで?」
オスマンは目をむいてカァーッ!と言いながら怒鳴ったが、こほんと咳をして真顔になる。
「おまけに魔法が使えるというもんでな」
「死んだほうが良いのでは?」
コルベール先生はぼそっと言うが、オスマンは軽く咳払いするとコルベール先生に
「今思えば、あれも魔法学院に潜り込むためのフーケの手じゃったに違いない。居酒屋でくつろぐ私の前に何度もやってきて、愛想よく酒を勧める。魔法学院学院長は男前で痺れます、などと何度も媚を売り売り言いおって……。終いにゃ尻を撫でても怒らない。惚れてる?とか思うじゃろ?なあ?ねえ?」
コルベール先生はその言葉に焦り始め。
「そ、そうですな!美人はそれだけで、いけない魔法使いですな!」
「その通りじゃ!君はうまいこと言うな!コルベール君!」
コルベール先生……しっかりしろ。ほら皆、呆れて冷たい視線送っているぞ……
「さてと、君たちはよくぞ破壊の杖を取り返してきた。フーケが死んでしまったのは残念じゃが、それでもよくやった」
サイトと俺を除く三人が礼をする。
「フーケは一応死体確認に調査団が派遣されるそうじゃが……痕跡は果たして見つかるかどうか……後、破壊の杖は無事に宝物庫に収まった。一応一件落着じゃ」
オスマンは一人ずつ頭を撫でた。
「君たちの、シュヴァリエの爵位申請を、宮廷に出しておいた。追って沙汰があるじゃろう。と言っても、ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位を持っているから、精霊勲章の授与を申請しておいた」
三人の顔がぱあっと輝く。
「本当ですか?」
キュルケが聞く。
「ほんとじゃ。いいのじゃ。君たちは、それぐらいの事をしたんじゃから」
ルイズとタバサはサイトと俺を見て、ルイズは言いづらそうに質問する。
「……オールド・オスマン。サイトとアルには、何もないんですか?」
「残念ながら、彼らは貴族ではない」
「何もいらないですよ」
そうサイトは言い俺も断った。
「俺もだ」
オスマンは手をぽんぽんと打った。
「さてと、今日の夜はフリッグの舞踏際じゃ。このとおり、破壊の杖も戻ってきたし、予定通り執り行う」
キュルケは顔を輝かせる。
「そうでしたわ!フーケの騒ぎで忘れておりました!」
「今日の舞踏会の主役は君たちじゃ。用意してきたまえ。せいぜい、着飾るのじゃぞ」
三人は礼をしドアに向かうが俺とサイトは立ち止まる。
「先に行って良いよ」
サイトはルイズにそう言いルイズはサイトを心配そうに見たが頷いて部屋を出る。タバサも立ち止まってこちらを見る。
「アル」
「学院長たちに話し忘れたことがあってな、先に行っててくれ」
「分かった」
タバサは頷き部屋を出る。
そして俺たちはオスマンの方に向き直る。
「何か、聞きたいことがおありのようじゃな」
サイトは頷く。
「言ってごらんなさい。できるだけ力になろう。君に爵位を授けることができんが、せめてものお礼じゃ」
オスマンはコルベールに退出を促す。
「オールド・オスマン。コルベール先生は退出させないでください。これからする話が口外してはならないものなら、俺も一度退出しなければならなくなる」
「ふむ、君しだいじゃな。どうなんじゃ?」
サイトの方に向くオスマン。
「かまいません。別に秘密にしてるわけでもないし」
「ならば、このまま話をしよう」
そしてサイトは破壊の杖が自分の世界の武器であること、自分がこの世界の人間ではないことを話す。コルベール先生は興奮気味に話を聞いていた。
サイトは、破壊の杖を誰が持ってきたか聞くとオスマンは、三十年前に自分を助けた恩人が破壊の杖を持っていたことを話す。
その人はすぐに死んでしまって、二本あった破壊の杖の片方は墓に埋め、もう一本を破壊の杖と名づけ、宝物庫に形見としてしまいこんだと言う。
恩人は死ぬ間際まで、ここはどこだ。元の世界に帰りたいとうわごとのように繰り返したらしい。
サイトはその話に元の世界に帰る手がかりが無いかと思っていたが、結局その恩人はどのようにこの世界にやってきたかもわからなかったようで、そのことを聞いたサイトは嘆いた。
そしてサイトのルーンの話をして一応オスマンも元の世界に帰る方法を探すと言いサイトの話は終わった。そしてサイトはこちらを見る。
「アルさんも話があったんですよね。それじゃ俺はこれで」
「待てサイト、これからする話はお前がいても問題ない。お前がいまからする話をどう思うかは別だがな」
「どういうことですか?」
「まあ、俺は気にしないが一部には一応話しておくべきかなって話だ。そのうちばれるだろうしな。聞くか?」
「聞きます」
「分かった」
「ミスタ・ルベル。召喚された際に話すと言っていたことですね」
「ああ」
「まったく。次の日話す予定じゃと聞いておったが」
「それは忘れてた」
がくっとなる二人。
「まあ、これから話してくれるんじゃろ?おぬしが何者か」
「ああ、まず俺の種族を話そう」
「種族?おぬし人間ではないのか?」
オスマンは目を細くする。
「俺は人間ではない。悪魔だ」
一応証拠のために翼をだす。
「「「!?」」」
「アルさんって悪魔だったんですか!?」
サイトがびっくりして叫ぶ。
オスマンは即座に杖をこちらに向けようとするがコルベール先生が止める。
「待ってください!オールド・オスマン!彼は危険人物ではないと思います!」
オスマンはとりあえず杖を収めた。
「コルベール君それはどういうことじゃ」
「実は私は彼に実験の協力をしてもらったりしてるのです」
「初耳じゃな」
「私的なものですし、そこで彼に魔法を見せてもらったりしますが、もし彼が危険人物だとしたら、召喚された時にこの学院を一瞬で消し炭にしてます。でも彼はそれをせず、ミス・タバサと契約しました」
「この学院を消し炭にじゃと……彼にそれほどの力が」
「フーケの話を聞いたでしょう。地響きがするほどの雷を落としたとか」
「ふむ、確かにそれほどの力を持ってそうじゃの。では、おぬしはなぜそれほどの力を持ちつつ、ミス・タバサと契約したのじゃ?」
俺のほうを向きオスマンは尋ねる。
「単純にタバサが気に入ったからさ」
「……気に入らなかったらどうしてたんじゃ」
「そうだな……なんの対価も払わず召喚したことに対してそれ相応の攻撃等をしていただろうな」
「……」
「後、一応言っておくが、俺は元人間だったからな」
「どういうことじゃ?」
そこでタバサにも話したことを話す。
「そうじゃったのか」
「素直に信じるんだな。俺は悪魔だぞ?」
「ここでわざわざ嘘をつき元人間だなんて言う位なら最初から自分が悪魔であることを言わんて」
「それもそうだな」
「それで、まだ話はあるのかの?」
「俺の魔法も一応見せよう」
そう言って俺はタバサに見せたように魔法を使う。
「先住魔法!?」
「俺の元いた世界の魔法だ。召喚獣の方は決闘のときに見てただろう?」
「やはり、ばれておったか。異界の幻獣を召喚する術のようじゃな」
「幻獣以外のものも呼び出せるがな」
「ところでその術で彼を元の世界に帰せんかの?」
オスマンがサイトを見る。サイトがハッとしたようにこちらを見る。
「アルさん!」
「残念だが、この術は俺が召喚したものしか還せない」
それを聞き落ち込むサイト。
「そう落ち込むな。呼び出す術があるなら、帰す術もある。呼び出す術も帰す術も同じ異界にゲートを開く術なのだから、無かったとしても作ればいい」
「でも俺、魔法使えないですけど……」
「そこは、俺が協力しよう」
「アルさん……」
サイトは泣きそうになる。
「術を調べるにしても作るにしても時間がかかる。地道にやっていこう」
「はい」
それにコルベール先生も名乗り出る。
「私も協力しましょう」
「感謝する。コルベール先生」
「いえ、貴方には実験を協力してもらってるし、彼の元いた世界に私は興味があります」
それにサイトは感謝する。
「それでもありがとうございます!コルベール先生!」
少してれるコルベール先生。
そして間を置いてから。
「話を続けるが、俺も一応サイトと同じように異世界から来たが俺は元の世界に帰るつもりはない。さっき話したように俺は悪魔になってから元の世界に居場所は無いしな」
「アルさん……」
少し暗くなるサイト。
「そう暗くなるな、俺は悪魔であること気にしてないし、ここでの生活も気に入っている。それに悪魔と知って態度を変えない人もこの世界にはいるしな」
「俺、アルさんには助けてもらってばかりだし、周りの人に親切にしてる所もいっぱい見かけてる。そんな優しいアルさんを悪魔だってだけで態度を変えたりはしませんよ」
「悪魔らしく残酷なとこもあるかもしれないぞ」
「それでも、俺はアルさんが優しいと信じてます」
素直に信じてもらえることを嬉しいと思う。
「そうか、ありがとなサイト」
「俺にはそれくらいしかできませんから」
サイトは照れながら言う。
「そのうち色々な事ができるようになる。鍛錬次第だがな」
「はい、これからもよろしくお願いします!」
そしてその後、俺はオスマンの方に向く。
「まあ、話はこれで全部かな、質問があるなら聞くが」
「ふむ、今のところないのお」
「そうか、では話は終わりだ」
その後、少しコルベール先生と話した後部屋を出た。
そして夜、フリッグの舞踏際
俺はサイトとバルコニーにいた。俺たち場違いだしな。
だがサイトはルイズに呼ばれて行ってしまった。
俺は一人バルコニーにいると、さっきまで料理と一生懸命格闘していたタバサがやってくる。
「どうした?タバサ」
「……踊って」
すごく小さな小声で若干顔を赤くしながら言う。
俺はびっくりする。
「俺以外にもたくさん男子がいただろ。さっき誘われていたし」
「……」
黙ってしまうタバサ。後ろに変化したシルフィードがさっきからちらちら見えている。
シルフィードになにか言われたのか……
俺はタバサの様子を見た。
「俺、踊り方とか知らないが」
「いい」
俺はダンスが初めてだがと思いつつ覚悟を決める。
「わかった……お嬢様。私と一曲踊ってくださいませんか?」
俺はタバサの手を取りながら言う。タバサはさらに少しだけ顔を赤くした。珍しいものが見れたもんだと思う。
そして、俺達は踊った。陰でシルフィードが興奮したように見ていた。後で少ししかっておこう。
ダンスは初めてだったが慣れるのは早かったとだけ言っておく。
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タバサとのフラグはちゃんとたっていたのかな
他にも色々ありますが、これからそれらはどうなっていくのか・・・
では誤字・脱字・感想・アドバイス等お待ちしております。
後書き
恋愛はゆっくりやりたいです。
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