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万華鏡

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第六十六話 ゲリラライブその二

「軍服を着ないで敵をいきなり襲う戦い方よね」
「そう、ベトナムであったみたいな」
 琴乃と同じ焼きそば定食を食べている里香が答えてくれた。
「ああいうやり方よ」
「ジャングルの中でいきなりよね」
「街や村の中でもよ」
 敵がいればというのだ。
「いきなり後ろから撃ったりするのよ」
「いきなりよね」
「そう、いきなりよ」
 それは絶対だというのだ。
「最初はナポレオンが占領したスペインで使われたのよ」
「あっ、それ昔のシュミレーションゲームであったわ」
 ここで彩夏が言った。
「ナポレオンが主人公のゲームで」
「それでそのゲームのゲリラどうだったの?」
「滅茶苦茶凶悪だったわ」
 その昔のゲームをしてみてわかったとだ、彩夏は琴乃に答えた。
「いきなり出て来て軍も産業も滅茶苦茶にされるから」
「大変だったのね」
「ロシアのコサックと一緒にね」
 共々、というのだ。
「敵軍より厄介だったわ」
「そこまで手強かったのね」
「正直イギリスより嫌な相手だったから」
「ナポレオンの敵ってイギリスよね」
「メインはね」
「そのメインの敵より嫌だったの」
「災害扱いだったから」
 つまりだ、ゲリラは災害に匹敵する程厄介だというのだ。このことはアメリカ軍ならよくわかることだろうか。
「本当にいきなりだったから」
「そうなのね」
「とにかくゲリラはね」
 それは何かとだ、また話した彩夏だった。
「いきなり出て来るのよ」
「相手の思わぬところからなのね」
「要は奇襲よ」
 しかも不正規である。
「正々堂々と宣戦布告してとかはないわ」
「そうよね、じゃあ今は」
「ゲリラっていうけれど」
 それでもだとだ、彩夏は琴乃に話す。
「今の私達の状況はね」
「絶対にゲリラじゃないわよね」
「正規軍かしら」
 彩夏は首を傾げさせつつ言った。
「言うなら」
「正規のコンサートと一緒よね」
「殆どね」
 その通りだというのだ。
「そうなってるわよね」
「それでも部長さん絶対に秘密って」
 琴乃はこのことがわからないと言うのだった、尚五人の今の会話も周りの生徒達に全て筒抜けである。言うならば喫茶店で作戦会議をする様なものだ。
「何でそう言うのかしら」
「だからあれだろ」
 美優がその琴乃に言う。
「ゲリラライブって言い切ったしさ」
「最後の最後までゲリラライブで通すのね」
「そういうことだろ」
 こう琴乃に言うのだった。
「要するに」
「それでそれをなのね」
「ああ、楽しんでるんだろうな」
「部長さんらしいわね、それって」
「だよな、部長さんってな」
「あの人ならではね」
 首を傾げさせて言う琴乃だった、首を傾げさせながらも納得している顔だ。
「そういうことね」
「部長さんよく楽しんでこそっていうし」
 こう言ったのは景子である。
「それでよね」
「そうよね、今回のゲリラライブもなのね」
「ゲリラライブってことでね」
 周りは皆知っている、しかしそれでもだというのだ。
「ゲリラライブを楽しむってことなのよ」
「そういうことよね、わかってきたわ」
 そのことがだとだ、琴乃は今も納得している顔で頷く。 
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