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万華鏡

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第六十五話 ハロウィンに向けてその十三

「それならね」
「そうだよな、クリスマスうち何するかをな」
「聞こうね」
 こうした話をしたのだった、そしてだった。
 そうしてだった、五人は吉野家に入ってだった。
 牛丼を食べた、五人はカウンターに五人並んで座ってだった。
 牛丼を注文した、五人共今は並にした、里香はそれを見て四人に尋ねた。
「私晩御飯も考えて並にしたけれど」
「私もよ」
「私も。すぐに晩御飯だから」
「あたしもさ」
「私もなの」
 琴乃に景子、美優に彩夏もこう答える。
「まあ御飯一杯分にしてね」
「それですぐにまた食べるから」
「今はこれいいって思ってな」
「これだけなの」
「そうよね、確かに今お腹空いてるけれどね」
 晩のことを考えれば、というのだ。五人共この考えは一致していた。見れば誰も卵も味噌汁も頼んでいない。
 それでだ、五人共その並の牛丼を食べるのだった。ただここで。
 彩夏は牛丼の上に紅生姜を乗せた、その量が結構多かったのでだった。里香はその景子にこう言った。
「紅生姜好きなの?」
「好きなの、それにね」
「それに?」
「身体にいいからね、紅生姜って」
「生姜だからね」
「そう、それで余計になの」
 牛丼の上に多くかけたというのだ。
「風邪にもいいしね」
「体力も回復させてlくれるから」
「そうなの、最近何か身体が冷えてる気がするのよ」
 ここで首を捻って言った彩夏だった。
「どうもね」
「身体がなの」
「そうなの、気になるのよ」
「いつも身体動かしてるのに?」
「学校ではね、けれど家だと」
 その中ではというのだ。
「寝る時にね。冷たく感じるのよ」
「そうなのね」
「足がね、だから最近ね」
「最近って?」
「寝る時に靴下はいてるの」
 そうしているというのだ。
「最近寒くて」
「そうなのね、実は私もね」
「里香ちゃんも?」
「寝る時靴下履いてるわ」
 そうして寝ているというのだ。
「私もなの」
「そうなのね」
「そう、最近冷えてきたから」
「神戸って冷えるからね」
「そうよね、もっとも東北は神戸よりも寒いけれど」
 このことは言うまでもない、東北は雪国だ。寒くない筈がない。
「神戸だと去年までは寝る時に靴下履かなくて大丈夫だったのよ」
「けれど今はなのね」
「冷えるから」
 だからだというのだ。
「それで紅生姜も食べてるの」
「いいことね」
「いいことなのね」
「だって身体にいいから」
 それでだというのだ、見れば五人共紅生姜を牛丼の上に乗せている。彩夏程ではないが五人共乗せている。 
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