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万華鏡

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第六十五話 ハロウィンに向けてその二

「急ぐに越したことはないから」
「朝練も行きたいしね」
「ええ、だからね」
「うんと熱いお風呂にして」 
 そしてだというのだ。
「汗かいてシャワーで冷やして」
「また入ってね」
「そうすればね」
「二日酔いのお酒が抜けるからね」
「そう、そうするからね」
 それでだと話してだ、実際に。
 琴乃は風呂の温度を相当に熱くした、その熱さはというと。
「東京のお風呂みたいにしたから」
「えっ、東京!?」
「それ位にしたの」
「一度ね、東京に行った時に東京のスーパー銭湯に入ったら」
 どうだったかというのだ、その湯が。
「無茶苦茶熱かったから」
「それ位にしたのね」
「熱く」
「そうなの」
 琴乃は酒が頭から抜けていく感じ、あの独特の痛みと覚醒を伴う感覚を味わいながら四人にこう答えた。
「これでもうね」
「一気によね」
「お酒が」
「そう、抜けるから」
 笑顔さえ浮かべて言う。
「それじゃあいいわね」
「ええ、こうしてお酒抜いて」
「学校にね」
 四人も応えてだった、そのうえで。
 五人は朝風呂で二日酔いを抜いた、そしてだった。
 すっきりとした顔で風呂を出て下着を着けてから制服を着る。そのうえでリビングに行くともう朝食があった。
「たっぷり食べていきなさい」
「あっ、お味噌汁ね」
 琴乃はテーブルの上のそれを見て母に言った。
「これを飲んで行けっていうのね」
「そうよ、御飯も食べてね」
「それでよね」
「学校行きなさい、いいわね」
「わかったわ、それじゃあね」
「お酒抜けたみたいね」
 母は五人の顔を見て言った。
「皆すっきりしてるわね」
「お風呂かなり熱くしたから」
 それで身体を一気に温めてだ、酒を抜いたというのだ。琴乃は母にこのことを実際に話した。
「それでね」
「そうよね、じゃあね」
「うん、お酒はもう抜けてるから」
「じゃあ食べられるわね、朝御飯も」
「皆大丈夫?」
 琴乃はここで四人に問うた。
「二日酔いは」
「ええ、もう」
「大丈夫よ」
 四人も笑顔で答える、大丈夫だというのだ。
「じゃあ朝御飯ご馳走になって」
「それで」
「皆も遠慮はいらないからね」
 母は琴乃だけでなく四人にも笑顔で言った。
「どんどん食べてね」
「はい、わかりました」
「それじゃあお言葉に甘えて」
 四人もその言葉に応えて味噌汁を飲み朝食を食べていく、そうして味噌汁を飲むとそれでもだった。琴乃の母は笑顔で言うのだった。
「二日酔いにはこれだからね」
「そうそう、お味噌汁なのよね」
 それだとだ、こう琴乃も言うのだった。 
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