万華鏡
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第六十四話 甲子園での胴上げその四
「阪神とは逆よね」
「うちは伝統的にピッチャーはいいからね」
「ホームランもあまり打たれないし」
ただしここぞという時に打たれる。
「横浜は打つけれど打たれる」
「そこが違うのよね」
「阪神の守備は普通かしら」
こちらはどうかというのだ、野手陣の守備については。
「特にね」
「そんなに困ってないわよね」
「困ってた時代もあったけれど」
「基本的にそんなにね」
「困ってないわよね」
やはり広い球場でしかも独特の土の内野グラウンドだからであろうか、阪神は野手陣の守備も極端に悪かったことは少ない。
「とにかく打たないだけでね」
「阪神はそれだけなのよね」
「けれど今年はこんな調子だし」
「横浜だってね」
そのスタープラチナで取り上げられているチームもだというのだ。
「あのチームもね」
「今年は最下位じゃなかったし」
「あの人もいつもむすってしてなかったし」
「お楽しみメニューもね」
それもだというのだ、スタープラチナの勘弁メニューの一つでその日によって何が出るかわからないものがだ。
「結構いいの出るし」
「あのメニュー横浜が負けたら酷いけれどね」
「絶対にお酒に合わないの出るからね」
「カレーライスとかね」
カレーにビールは合わない、これはカレーという料理の味故仕方ないことだ。インド料理は酒を選ぶのだ。
「あと野菜スティックとかね」
「他にも日本酒飲んでる時にチョコレートとかね」
「お店のあの人負けてたら凄い機嫌悪いし」
「それがお店の名物でもあるけれどね」
「とにかくね、あのお店はね」
「ベイスターズよね」
「今度行く時にはシーズンは完全に終わってるから」
琴乃はこう話すのだった、そのことはだ。
「もうね」
「そんな心配無用なのね」
「お楽しみメニューも普通のが出るのね」
「そういえばシーズンオフはあそこ平和よね」
「お店の人の機嫌も普通だし」
「それこそ馬鹿なトレードがないと」
巨人絡みであることが多い、巨人の補強とは他の球団から選手を掠め取ることが第一と言っていい、これが『球界の盟主』だ。
「あのお店静かよね」
「それじゃあ今は行ってもね」
「何の問題もないわね」
「平和ね」
「今年あそこFAで出る選手もいないから」
琴乃はまずこのことを断った。
「あと助っ人も全員残留で」
「じゃあ今後も心配いらないわね」
「とりあえず来年の開幕までは」
「うん、これで主力の誰かが怪我しない限りはね」
そうしたアクシデントがない限りはというのだ。
「特にね」
「問題なしね」
「じゃあ心配無用ね、あそこに行っても」
「普通に楽しめるわね」
「ええ、だからあそこにしよう」
琴乃はまた話した。
「それじゃあね」
「ええ、阪神の日本一のお祝いも兼ねてね」
「そのうえでね」
「今は楽しもう」
「そうしようね」
「お楽しみメニューも頼んで」
「歌って飲んでね」
そうしてだというのだ。
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