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東方変形葉

作者:月の部屋
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幻想入り、そして修行
  東方変形葉2話「日常のはじまり」

「紫様!いくらなんでもいきなりすぎます!段取りというものが・・・・」
「なるほど、やっぱりそうか」
「ええ!?取り乱すどころか、おどろいてもいない!?」
藍がかなりあわてている。
「だってこうなると薄々気づいていたからね。となると紫、やっぱり“あの”能力のことかな。」
「ご名答、そのことよ。あなたの能力は“変化”を操る程度の能力というわ」
なるほど、やっぱりそうだったか。
「あなたもわかっているかもしれないけれど、その能力をあなたはまだ使いこなせてないわ」
「それは十分わかっている。何度も暴走したことがあったからね」
「だからあなたにはしばらくここで使いこなせるようになる修行をしてもらうわ。でも使いこなせても、もう人間界にもどすことはできないわ」
・・・なるほど、全て読み取れた。
「つまり、ここで修行をして使いこなせるようになっても、幻想郷の住民となり、暮らせということかな?」
「理解が早くてたすかるわ。そういうことよ」
「ということは、いっしょにくらすの?やった~!」
橙が大喜びでぴょんぴょん飛び跳ねている。微笑ましい光景だ。おもわずふふっと笑いをこぼす。
「そうみたいだね。よろしくね、橙」
「うん!」
「そうと決まったらさっそくあなたが使う部屋を案内するわ。藍はそろそろ晩御飯の用意をしててちょうだい。」
「わかりました」
「というわけで橙、部屋の案内よろしく。」
紫が案内するんじゃないんかい!どうでもいいから口に出さないけれど。
「え?ゆかりさまが案内するのではないのですか?」
「ゆかりん、つかれちゃった」
・・・聞かなきゃよかったな。ゆかりんって・・・まあいいか。
「しばらくスキマの中で寝るわね。お夕飯ができたら呼んでちょうだい」
そういうと、手を振り上げた先の空間に裂け目ができ、その中へ入ってしまった。というか何あれ。
「橙、紫が入っていったのって・・・なに?」
「えっとね、ゆかりさまは境界を操る能力をもっててね、さっきのはその能力の応用らしいよ」
「へぇ~、橙は何か能力をもっているの?」
そう訊くと、すこしはにかみながら答えた。
「えっとね、妖術を操ることができるんだよ。でも、なかなかうまくつかいこなせないの。使いこなせるようになりたいのだけれど、ゆかりさまもらんさまも『橙はまだ子供だから、ゆっくり使いこなせるようになればいい』っていうの」
なるほど、たしかに橙は子供だからそのほうがいいな。
・・・妖怪って、どのぐらいまでが子供なんだ?この子も妖怪だよね?
「あっ着いた、ここが君の部屋だよ」
ドアを開けてみると、六畳かもうすこしある広い部屋だった。ちゃんと布団も敷かれている。机もある。
「すごいな、こんなにいい部屋を本当に使ってもいいの?」
「もちろんだよ!たまにあそびにきてもいい?」
「うん、いいよ」
「そうだ、君のことなんて呼べばいい?」
橙がにっこり笑顔で訊いてきた。ああ、癒される。
「なんでもいいよ」
「う~ん、じゃあユーミくんってよぶね!」
なんだか気恥ずかしい呼び方だな。でも悪くない。むしろものすごくいい。
「橙、裕海、ごはんができたよ。」
藍が伝えに来てくれた。
「ゆかりさま、夕ご飯ができたよ。」
するとまた、“スキマ”が開いて、紫がでてきた。
「ふわ~、もうできたの?」
「紫様、ごはんのまえに仮眠をとるのはいかがなものかと」
「細かいことはいいのよ。そんなことより早く食べましょう、食事がさめちゃうわ。裕海、藍の料理はとってもおいしいのよ、きっとびっくりするわ」
「そうなんだ、たのしみだな」
そのあと、藍の料理をいただいた。まさか飲食店の定食よりおいしいとは思わなかった。こんど教えてもらおう。


夕飯を食べ終わり、自分の部屋に戻ろうとしたら、紫が「このあと暇だから遊びましょ」といってきた。藍は「あれをもう教えるのですか?少し早いような・・」と言っていたが、いったい“あれ”とはなんだろう。
そんなことを考えていると、紫に指示された部屋に着いた。ドアをあけると、なぜか日傘をもった紫がすごく広い部屋にいた。
「これからマジックショーでもするの?」
「間違ってはいない気もするけれど、ちがうわ。これから教えるのは、この幻想郷の決闘方法よ」
決闘方法?殴ったり蹴ったりするのかな?女性相手では暴力は振るいたくないのだけれど。
「決闘方法といっても殺し合いなんかじゃないわ」
「どういうこと?」
「百聞は一見にしかず、聞くより見た方が早いわ。少し離れて見ていなさい。あと、ちゃんとよけるのよ」
指示されたとおり、少し離れる。よけるって何を?

―――結界「夢と現の呪」

紫が何やら唱えると、光弾らしきものがたくさん飛んできた。そういうことかと飛んできた光弾をよける。
「あら、意外とよけられるのね。こういう感じなの、わかった?」
「ああ、だいたいわかった」
「詳しく言っておくと、これは美しさを競う決闘よ。事前にスペルカードという手札の枚数を宣言して競うの。このルールで負けを認めさせれば勝ちよ。負けた側も素直に負けを認め、ほかの勝負をもちかけないこと。これがスペルカードルールよ」
「なるほど、平和的な決闘なんだね」
「そうよ。試しに一枚つくってみたら?弾幕の感じを想像するだけでいいわ」
「ああ。・・・・・・・・・・こんな感じでいいの?」
「そうそう、じゃあつかってみて」

―――変化「須臾の乱れ」

そう唱えると、十数個の弾がでてきた。するとその弾が細かく分かれ、不規則に動いている。
「これはおもしろいことになりそうね」と紫は微笑みながらつぶやいた。



自分の部屋にもどり、数時間前に頼まれた橙の人形を作りはじめる。なぜか部屋には裁縫道具がそろっていたため、作る分には大丈夫なのだが・・・
「うーん、やっぱり本人にモデルになってもらおう。変になっちゃったら申し訳ないし」
というわけで橙を呼びに行こうと思ったら、「あそびにきたよー」と橙がやってきた。
「あっ橙、いいところにきたね。頼みたいことがあるのだけれど」
「なーに?」
「モデルになってくれない?」
「え!?」
みるみる顔が赤くなっていく。いったい何をかんがえているのだろう・・・
「ああ、説明が簡単すぎたな。人形を作るから、それのモデルになってほしいんだ」
「あっああ~、なんだ、そういう意味なんだ。わかった!わたし、がんばってモデルになる!」
あっさりとOKしてくれた。


よし完成!
「できた!」
「えっ早!まだ十分ぐらいしかたってないよ!?」
「まあいつも作っていたからね、このぐらいできないと。はい橙、あげる」
「わーい!ありがとう!すごくかわいくできてる!」
そう言いながら俺の膝の上にのってきた。軽いな・・・。ほめてくれたので頭を撫でてあげる。
「じゃあなにして遊ぶ?」
「えーっと、じゃあトランプ!勝った方が一度命令できる罰ゲームありで!」
このあと、お風呂が沸いたよと伝えに来た藍が、思わず身を引くほど白熱していたとさ。
結果は33勝59敗・・・強すぎる・・・


お風呂から出ると、橙が命令の内容を伝えてきた。
「今日から、一緒に寝よ!」と・・・。
なんでも、一人で寝るのはさみしいからだという。猫だから?子供だから?


二十二時、布団が一つのため、密着する感じになってしまった。さすがの俺でも、相手が子供とはいえ、こういうシチュはどきどきする。だが、そんな「心臓が破裂する~~っ!うっ☆うっ☆があああ!」って感じじゃないけどね。
「それにしても、ユーミくんの修行って何をするんだろうね」
「なんだろうね、たのしみだな」
お互い笑いをこぼしながら布団の中で話をする。
しばらくして、橙の寝息が聞こえてきた。
 
 

 
後書き
2話目書き終わりました! 
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