万華鏡
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第六十二話 快勝その十一
「完全に二日酔いね」
「相当飲んだからね」
「ああ、頭痛くて仕方ないよ」
「困ったわね、これは」
「お風呂入ろう」
里香は四人に言った。
「かなり早く起きたし」
「五時半かよ」
美優は部屋の時計の時間を見て言った。
「まだ相当早いな」
「だからね。ゆっくりと入ってね」
「それでだよな」
「二日酔いにはお風呂が一番よ」
所謂朝風呂だ、贅沢だと言われるが確かに二日酔いにはいい。
「だから入ろう」
「それで酒抜いてよね」
彩夏も痛む頭で言う。
「学校にね」
「部活の朝練に出ても」
この二日酔いの状態ではというのだ。
「まともに出来ないから」
「これじゃあ走るのも無理だぜ」
美優も頭を抱えながら言う。
「それだったらな」
「うん、お風呂に入ってね」
そうしてだとだ、また言う里香だった。
「お酒抜こう」
「悪いな、風呂まで借りて」
「いいのよ、いつもお泊まりの時にはお互いこうじゃない」
飲んで風呂に入ってだというのだ。ついでに言えば御飯もご馳走になっている。だからこうしたこともだというのだ。
「それだとね」
「いいっていうんだな」
「そう、それじゃあね」
「うん、今からね」
こう話してだ、そのうえでだった。
五人で風呂に入る、それでシャワーに入り湯船に浸かるが。
ここでだ、五人はそれぞれだった。
まずは頭から冷たいシャワーを浴びて身体を洗う、そうして湯船に入り汗をかいてだった。
酒を一気に抜く、琴乃はその湯船の中で言った。
「まず冷たいシャワーを浴びてね」
「それからよね」
景子も酒が急激に抜けていくのを感じながら応える。
「こうして湯船に入れば」
「お酒抜けるわよね」
「普通にお風呂に入るよりもね」
遥かにだというのだ。
「いいわよね」
「起きてくるしね」
頭も身体もだというのだ。
「急にね」
「流石に二日酔いだとね」
どうかとだ、綾夏も言う。
「学校に行けないからね」
「だよなあ、幾ら八条町でもな」
町の条例で十五歳からの飲酒が許可されていてもだというのだ、美優も酒が抜けていっている顔で言うのだった。
「二日酔いで登校はな」
「言われるからね」
当然里香もいる、五人共長い髪の毛はそれぞれ束ねている。
「こうしてお風呂に入ってね」
「効くよ」
二日酔いにというのだ。
「これで完璧にお酒抜いてからだよな」
「部活行こうね」
「ひょっとしたら皆もこうかもね」
琴乃は湯船の中で笑ってこんなことを言った。
「二日酔いを抜いてかしら」
「そうじゃないの?」
景子がその琴乃に言ってきた。
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