外から来た邪
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第九章
「役人が役所から出した報酬からさらに貰ったら駄目じゃないか」
「横領になるからか」
「そう考えられるからね」
それでだというのだ。
「横領だのそうしたことはしない主義なんだ」
「清廉潔白ってことか」
「そう、そうでありたいから」
公僕としてだ、良心的と言うべき言葉である。
「だからね」
「そうか、じゃあな」
「うん、僕のことは気にしないでいいよ」
「それでもコーヒー位はいいよな」
フェりペはエンリコが淹れたコーヒー、今実際に彼の前に置いてあるカップのそれを見ながら彼に問うた。
「それは」
「まあこれ位はね」
いいとだ、役人も答える。
「問題ないと思うよ」
「そうか、じゃあな」
「うん、それでだけれど」
報酬の話が一段落してからだった、そのうえで。
役人はあらためてだった、こう三人に言った。
「しかしね、今回のことは」
「ああ、まさかな」
「妖怪だったなんて」
フェリペとエンリコはその話については眉を顰めさせ苦々しい顔で述べた。
「それもスペインからの妖怪か」
「想像もしなかったですね」
「ですが有り得ることです」
ここで神父が一同に話した。
「こうしたことは」
「そうですか、このことは」
「有り得るのですか」
「そうです、そしてこのことはスペインからのものだけでなく」
「ああ、我が国も交流がありますからね」
フェリペは神父の言葉を聞いてそのうえで考える顔になって答えた。
「それこそ世界各国と」
「そうです、様々な国の人間が出入りしていれば」
「様々な国の妖怪もですね」
「そうです」
そうなるというのだ、このことは。
「色々な妖怪がいると思います」
「ですね、国際交流っていうのはいいものですけれど」
「こうしたことも起こります」
「いや、今回はおっかなかったですけれど」
そうした経験だった、だがそれでもだとだ。
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