ドリトル先生と京都の狐
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第六幕その九
「お米が主食でね」
「お味噌汁も飲んですのね」
「うん、そうしてるよ」
そうして日々を過ごしているというのです。
「和食はとても美味しいね」
「さっきも言ったけれど主人もね」
サラはまた自分のご主人のお話をしました。
「最近和食が好きだけれど」
「それでもなんだ」
「やっぱりイギリスのお料理をよく食べるわ」
そうなっているというのです、サラの方は。
「イギリスにいるしね」
「そうだね、イギリスにいるとどうしてもね」
イギリスのお料理を食べるものです、その国にいればその国のものを多く食べる様になるのは当然のことです。
だからサラのご主人もそうなっているのです、ですが。
先生はです、日本にいるので。
「その辺りは兄さんと違うから」
「けれど僕はその中でもだね」
「馴染み過ぎてるわよ」
その域に達しているというのです。
「本当に生粋の日本人みたいよ」
「それは面白いね」
「それだけ日本が気に入ったのね」
「そうだよ、そのことはね」
先生も否定しません。
「僕もいいことだと思っているよ」
「私にとってみれば羨ましいわ」
「羨ましいんだ」
「そこまで色々なものに馴染んで自然に楽しく過ごせる兄さんがね」
とてもというのです。
「羨ましいわ」
「まあ僕は色々な国を回ってきたしね」
「月にも行ったわね」
「あの時は色々あったね」
あの時のことも笑顔でお話する先生でした。
「いや、よかったね」
「よかったのね」
「とてもね。それとね」
「それと?」
「また言うけれど」
この前置きからです、サラがここで言うことはといいますと。
「兄さん日本にそこまで馴染んでいるのなら」
「日本人の女の人とだね」
「そう、結婚したら?」
今日もこう言うサラでした。
「そうしたら?」
「ううん、それ狐の長老さんにも言われたよ」
「いい?私も結婚したし」
自分のことからも言うサラでした。
「兄さんもよ」
「いい人を見付けてだね」
「そう、結婚するのよ」
例え何があってもという口調で、です。サラは先生に強く言うのでした。
「人間は結婚してこそよ」
「そこからはじまるっていうんだね」
「そうよ、まさか一生独身でいるつもり?」
「いや、それはね」
「縁だっていうのね」
「そうだよ、縁だからね」
それでだと言う先生でした。
「僕がしたいって思っていても」
「じゃあ兄さん結婚する気あるの?」
「いや、それは」
「ほら、ないでしょ」
このことをここぞとばかりに指摘するサラでした。
「そんなのだからまだ独身なのよ」
「ううん、何かそんな気が起こらなくて」
「確かに家事は動物の皆がしてくれてるわ」
特にこのことについてはダブダブが活躍してくれます、ダブダブは今はお庭に干していた洗濯ものを皆と一緒にしまっています。
「それでもね」
「奥さんは必要だっていうんだね」
「そうよ、奥さんを迎えて子供も出来て」
今のサラみたいにです。
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