| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

機動戦士ガンダムSEED DESTINY~SAVIOUR~

作者:setuna
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

最終話 未来

 
前書き
戦争を終結させたアレックス達の後日談。 

 
デスティニープランは、評議会、及び各国で慎重に協議された上で、導入された。
とりあえず雇用の保障による治安の改善。
そしてブレイク・ザ・ワールドからの効率的な復興には役立っているようだ。
プラントにもハーフコーディネーターやナチュラルの大規模な移民が募られ、プラント=コーディネーターと言う図式は崩れ始めている。
コーディネーターはナチュラルに還るのだ。
戦争を終結させたシン達は英雄として讃えられ、ステラは正式にザフトに入隊。
ネビュラ勲章を受賞し、レイ、クレア、ステラがFAITHになった。
ルナマリアから恨みがましい視線を一身に浴びながら。
戦争終結から5年の年月が流れた。



































軍本部にて雑談をしていたルナマリアとクレアの前にシンとステラが駆け寄る。

シン「おい、ルナ!!議長を見なかったか!!?」

ルナマリア「見てないわよ?というかまた?」

ステラ「うん…ギル、またいなくなっちゃった…」

シン「あ~もう、次の会見まで時間が無いのに!!議長は何処だーーーー!!!!?」

本部を出ていくシンとステラにクレアとルナマリアは苦笑する。

クレア「苦労してるねシン」

ルナマリア「全くね」

議長に振り回されているシンにルナマリアとクレアは胸中で応援する。
というか議長がいる場所はあそこだろう。






































ギルバート・デュランダル議長の屋敷では、アレックスが朱色の髪の少女に妻の色んな意味での武勇伝を聞かせていた。

「ママ凄ーい!!」

小さな少女が膝の上に乗りながら、母親譲りの朱色の髪を揺らしていた。

ナオト「何の話をしてるの?」

アレックス「君の武勇伝の話。あの時は凄かったよなって」

ナオト「もう!!またその話をするんだから私は見世物じゃないんですけど!!?」

ナオトは憤慨する。

アレックス「仕方ないじゃないか。事実なんだし」

ナオト「むう~」





































デュランダル「ふむ、孫というのはやはり可愛いものだ」

カメラ片手に頷く議長。
そこに…。

シン「議長、御迎えにあがりました~…」

凄まじく黒い笑み+こめかみに青筋を浮かべたシンに議長はゆるりと振り返る。

デュランダル「いつも悪いね、シン、ステラ君」

シン「悪いと思うなら脱走しないでください。毎回探すの俺達なんですよ!!?」

ステラ「お仕事しなきゃ駄目…」

デュランダル「善処しよう。シン、ステラ君。見たまえ」

シン「はい?」

ステラ「?」

ちょいちょい、と手招きをされて、シンとステラは少しだけ首を傾げながら窓へと近づいた。
そこから見えるのは、娘と戯れているアレックスとナオトの姿があった。
シンは思わず笑みを浮かべる。

デュランダル「暖かな風景だと思わないかね?」

シン「…はい、そうですね」

まるで陽だまりを呼び込みそうな、そんな暖かな場所にいる3人に、シンは笑みを向ける。

デュランダル「こういう光景を見ているとね」

不意に零れた議長の言葉に、シンは続きの言葉を予測するかのように口を開いた。

シン「仕事をサボって一緒に遊びたくなるなんて言わないでくださいね、議長。仕事が終わってからにして下さい」

デュランダル「…君は、最近アレックスに似てきたね」

憮然とした表情でそう言う議長の言葉に、シンは思わず苦笑を浮かべた。











































2人は戦争が終結した1年後に結婚した。
遺伝子の相性は比較的良かったらしく、プラントでの結婚が許された。
招待客にはカガリの姿もあったが、アレックスとナオトを祝福していた。
あの戦争が終結した後、オーブはしばらくザフト、連合の監視下に置かれることになった。
プラントからのMSや資材の強奪、ザフト、連合間への戦闘の不当介入、最高評議会議長へのテロ攻撃。
AAとエターナル、その協力者に課せられた罪状があるからだ。
そしてあの時、代行となった者との会話で何かを得たのかは知らないが、変わったと思う。
いい意味で。
あ、後クレアと議長の会話も印象的だった気がする。









































レイの隣にいるクレアに議長は目に少し不快感を持たせながら、クレアへと向いた。

デュランダル『やあ、クレア・トワイライト君。レイがお世話になったようだね』

クレア『いえいえ、議長はいつか僕のお養父さんになるわけですから、助けないわけにはいかないですよ~』

バチっと両者の間に火花が飛んだ。

デュランダル『ははは…誰がお養父さんになると言ったんだね?冗談も大概にしたまえ』

クレア『ふふふ…レイと僕が出会った時から既に決まってるんですよ」

表情は互いにとてもにこやかなのだが、2人の間には火花が飛んでいた。

レイ『?』

そんな中、レイだけが疑問符を浮かべていた。
舅と嫁の戦いの中、シンはもしかしたら結婚式が近いうちまた開かれるかもしれないなと思った。
















































軍本部の談話室でレイは自販機からコーヒーを購入していた。

ルナマリア「あ、いた!!レイ!!」

レイ「ん?ルナマリアか、どうした?」

ゆったりとしていたレイにルナマリアが駆け寄ってきた。
激しく嫌な予感がするのは気のせいか?

ルナマリア「丁度いい所に居たわ、今日ヨウラン達と飲みに行くからレイも行かない?」

レイ「…ちなみに聞くが発案者は誰だ?」

ルナマリア「私とヨウランだけど、それが何か?」

レイ「すまんが断る。」

ルナマリアは先日メイリンがヴィーノに告白され、2人が付き合いだしたことを聞いたらしい……。
行ったら確実にルナマリアとヨウランの愚痴と言う名の拷問を受ける事になってしまう。
ルナマリアとヨウランの愚痴はやたらと長いから付き合いたくはない。

ルナマリア「何でよ~~!!あんたには妹に先を越されて、ただ今傷心中の可哀想な小鹿である私を慰める優しさは無いの!?」

レイ「悪いが俺はこれからクレアとデートなのでな」

嘘は言っていない。
何故なら自分は戦争終結後、クレアと正式に交際し、今日は本当にデートの約束があるからだ。

ルナマリア「くっ!!こうなったらアレックスさんの愛人にでも……」

レイ「ナオトに殺されてもいいのなら止めんが?」

ルナマリア「………」

クレア「レ~イ!!早く行こうよ~~!!」

レイ「ああ、今行く。」

クレアと共に軍本部の談話室を後にするレイ。

ルナマリア「爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ…!!そしてモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲなさいリア充!!」

ルナマリアの恨みがましい声が談話室に響き渡った。

ルナマリア「というか何で私だけ除け者なのよーーーーーっ!!!!?」

関係ないがミネルバのMS隊では自分だけFAITHではない。
後。
シンとステラ。
アレックスとナオト。
レイとクレア。
ハイネとミーア。
周囲が夫婦、恋人同士、もしくはいい雰囲気なのに自分だけ男っ気がないことをルナマリアは嘆くのであった。

ルナマリア「私だって今に彼氏の1人や2人、作ってやるんだから!!今に見てなさいよ!!イケメン彼氏を作ってやるわ!!」























屋敷で寛いでいたアレックスは机に置いてあるハウメアの守り石を見遣る。
それを見て、あの時の記憶が蘇った。





































アレックスとナオトの結婚式の前日、泊まっているホテルの部屋をノックされた。

アレックス『どうぞ』

それに気づいたアレックスが鍵を開ける。

アレックス『え!?カ、カガリ!!?』

そこには、シャツにズボンといった目立たない服装で、カガリが立っていた。

カガリ『早く中に入れてくれ!!見つかる!!』

アレックス『あ、ああ』

アレックスは手早く彼女を中に入れると鍵をかけた。

カガリ『……一度、お前と直接会って話したかった』

ナオト『あ、私、席外そうか?』

カガリ『いや、あなたもいてくれ』

ナオト『……はい』

カガリ『アスラン。すまなかった』

彼女はアレックスに深く頭を下げた。

アレックス『カガリ…』

カガリ『私はあの時お前に言われて、分かったつもりで全然分かってなかった。今は、皆と共にこれからのオーブを作って行きたい』

アレックス『そうか…カガリ、頑張れよ』

カガリ『ああ、ナオトさん…』

ナオト『何?』

カガリ『アスランを…こいつを頼むな。こいつは時々優柔不断で情けなくて、でも、とってもいい奴だから…』

ナオト『はい!!』









































アレックス「………」

嬉しかった。
彼女が過ちに気づいて正しい道を歩んでくれたことが。







































そしてプラントにある洒落たバーではハイネが1人で酒を飲んでいた。
戦争を終結させた英雄の1人であるハイネは歌って踊れるスーパーFAITHとして君臨している。

ハイネ「お?来たか?ミーア」

ミーア「あ、はい。すみません」

ラクスの偽者を止め、ミーア・キャンベルに戻ったミーアはハイネといい雰囲気である。

ハイネ「別にいいさ、1人より2人で飲んだ方が酒は美味いしな」

ミーア「…そうですね」

微笑んだ後、ミーアも酒を飲み始める。

ハイネ「アレックスとナオトは結婚しちまったな…あの2人の結婚はまだまだ後だと思ったのに」

ミーア「あ、それ私も思いました。」

ハイネ「俺達もするかい?」

ミーア「はい…って、ええ!!?」

ハイネ「冗談冗談。まあしばらくは今のままでいいかもな」

ミーア「そ、そうですね…」

顔を赤くしながら相槌を打つミーアであった。














































一方、軍本部にあるシンの私室でシンとステラは寛いでいた。

シン「ねえ、ステラ。休暇取れたし、明日晴れたら何処か行かない?」

絹の様な金髪を指に絡めながらデートの提案をすると大人しく髪を撫でられるがままだったステラは勢いよく顔を上げた。
大きな菫色の瞳はきらきらと輝き期待を隠せないようだ。

ステラ「ステラはね、う…ぅんっ?」

海に行きたいと紡ぎそうになった薄桃色の唇にシンは指を当て言葉を途切れさせる。
そして不思議そうにきょとんとするステラの柔らかな唇をなぞりながら微笑んだ。

シン「海は何時も行ってるから、今回はピクニックでも行かない?」

ステラ「ピクニック?」

海という提案をやんわりと却下されてしまったステラは一瞬悲しそうな表情を見せたものの今はそれ以上にピクニックが気になるらしい。
ステラは好奇心に満ちたまなざしでシンの言葉を繰り返した。

シン「そう。お弁当とか持って行って。今なら色んな花も咲いてるし、そこで1日中のんびり過ごそう2人きりで」

普通の恋人達なら退屈かも知れないが人混みや喧騒が嫌いな自分達には素晴らしい場所な筈だ。

ステラ「うん!!楽しそう…シンと2人きり…ステラ、ピクニック行く!!」

意識はもう既に明日のピクニックにいっているのか楽しそうにはしゃぐステラにシンもまた心踊らせる。

ステラ「ステラね、お弁当作る!!」

シン「あ、えっと…お弁当は俺が作るよ」

只今ナオトからの花嫁修行を受けているステラの料理は少し心配だ。
だがそんなシンの想いを知らずにステラはしょんぼりとねだる様にシンを見上げる。

ステラ「どうして?ステラじゃだめ…?ステラ、シンのためにお弁当作りたい…」

シン「ステラ…やっぱりお弁当は俺が作るよ。だからさステラにはお茶とお菓子の用意を頼みたいんだけど」

ステラ「お茶?お菓子?」

ステラの料理は未だ上達への道は険しかったがナオトに習った菓子作りの腕だけはシンがびっくりする程の上達ぶりだった。
妥協案を挟みつつシンが言うとステラは少し考える素振りを見せたもののやがて頷いた。

ステラ「うん!!ステラ、たくさん作るね!!クッキーにシュークリームにプリンに…後、ケーキ」

シン「そんなに一杯は2人だけじゃ食べられないよ。ああ、でもアレックス達に」

思いつつもステラの笑顔に満足し幸せを感じたシンはステラの白い頬に口付けるとぎゅっと華奢な身体を抱き締めた。
ステラも嬉しそうにシンの腕に頬擦りする。
辺りはもう暗くなりかけていてうっすらと星も見え初めている。
明日はきっと晴れるだろう。






































シンの部屋を通る独り身男性達。

【爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ爆発しろ…!!】

【モゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロ…!!】

恨みがましい声で呟いていたとさ。



















































登場人物

アレックス・ディノ

戦争終結後、ナオトと結婚。
ナオトにそっくりの娘を儲ける。
現在は平和維持のため、残党狩りや治安維持に尽力している。
それと同時に子育てにも奮闘しており、周囲からは子煩悩として有名だったりする。

ナオト・フジワラ

戦争終結後、アレックスと結婚し、結婚を機に軍を除隊。
それから自分にそっくりな娘を出産する。
現在は主婦として子育てに励む。
後、ステラに花嫁修行をさせている。

シン・アスカ

戦争を終結させた英雄として、周囲から尊敬の視線を一身に受けている。
現在は恋人のステラと共に議長の護衛をしているが、可愛い孫を見たいがあまりに脱走を繰り返す議長にほとほと困り果てている。

ステラ・ルーシェ

戦争終結後、正式にザフトに入隊した。
現在はシンと共に議長の護衛なのだが、脱走を繰り返す議長に振り回されている。
現在花嫁修行中。

クレア・トワイライト

戦争終結後、レイに告白して交際している。
交際する前には議長と笑顔の攻防を繰り広げ、周囲をドン引きさせた。

レイ・ザ・バレル

戦争終結後、クレアからの告白を受け、交際している。
延命措置を受け、精神的な余裕が出来たためか、前より感情が豊かになった。

ハイネ・ヴェステンフルス

戦争終結後も、華麗な歌って踊れるスーパーFAITHとして軍人として活躍している。
ミーアとはかなりいい雰囲気だが、交際はまだしていない。

ルナマリア・ホーク

独り身。
仲間が恋人持ちになり、FAITHになっていく中、自分だけ恋人がいなければFAITHになれていないことに焦っている。
現在は恋人探し中。

ギルバート・デュランダル

現在おじいちゃん街道を突っ走っている。
可愛い孫見たさに仕事を放置して脱走することもしばしば。
シンとステラの苦労の最大の原因。

イザーク・ジュール
戦争終結後、アレックス達に執り成してもらったことで、現在でもザフトにいる。
戦争終結後後も誇り高き軍人として在り続ける。
最近では部下のシホ・ハーネンフースと噂になっているとか……。
ちなみに搭乗機はインフィニットジャスティスなあたりちゃっかりしている。

ディアッカ・エルスマン

炒飯。
イザーク同様軍に留まり、イザークの片腕として手腕を振るう。
時々オーブに行きミリアリアに会っているとのこと。

タリア・グラディス

戦争終結後も軍に留まり、ミネルバの艦長を務める。
現在はアーサーを自分の後任にしようと努力中。

アウル・ニーダ

戦争が終結し、艦長の養子となる。
現在は義弟の世話をしつつ、勉強中。

ミーア・キャンベル

ラクスの偽者を止め、一人のアイドルとして活躍中。
時々ハイネと会っている。

ムウ・ラ・フラガ

戦争終結後、ステラと会い、シンと交際していると聞かされ大ショックを受けた。
その後20本のウイスキーを抱え込んで部屋に閉じこもり、皆が心配したが、3日後部屋から出てきた時は、いつもと変わらぬ態度であった。

その他AAクルー

AAは解体され、現在は民間人として暮らしている。

カガリ・ユラ・アスハ

戦争から一年後、国民の統一の象徴として、代表首長に返り咲く。
その時、代行となった者から上に立つ者としての責任と義務を教えられ、本当の意味でオーブのために生きると決意した。

 
 

 
後書き
本編完結。
でもアレックスの次に出番があったシン視点とレイ視点みたいなのを書いてみようと思います 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧