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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第34話:馬鹿と天空の剣は使い様

(闇の洞窟)
クリフトSIDE

天空の剣の使い方と強敵との戦い方を熟知したリュカさんのお陰で、大魔道が現れても撃破する事が出来る様になった我々。
遂にはリュカさんだけで無く、ウルフさんまでもが傍観する様になったが、この時代の者達だけで戦える様になったので心強い。

「それにしてもリュカさん……よく天空の剣の力をご存じでしたね?」
隊列を乱さず先へと進みながら後方に位置するリュカさんに問いかけるトルネコさん。
確かに言われてみればその通りだ。

「言っただろ、僕の息子も天空の勇者なんだよ。僕等の住んでる時代で、天空の勇者様と共に魔王退治をしたんだ。その時に見たから……つーか、よく考えたらヒゲメガネの奴も言っておけよな! 天空の剣の使い方をレクチャーしておくべきだろうに! 手ぇ~抜いてんな、あの馬鹿」

無事に終わらせて天空城へ戻ったら、またリュカさんがマスタードラゴン様を(なじ)りそうだ。
いきなり殴るのか、持ってる杖でグリグリ突くのか……
未来でリュカさんとマスタードラゴン様がどの様な関係なのか分からないけど、神様相手である事を理解して欲しい。

「ねぇリュカ。未来ってどんな感じになってるの? やっぱり今と全然違うの?」
アリーナ様が未来の事を聞き、神様への暴言を中断させる。
聞いてて気分の良い物じゃありませんからね……

「未来!? う~ん……今とあまり変わらないよ。所詮は人間だからね……やる事なんてたかがしれてる」
「ふ~ん。サントハイムは……まだある?」

「僕の住む時代が、この時代の何年後なのかは判らないけどサントハイムは無い。と言うより、この時代の国は残ってないね。もしかしたら名前を変えて続いてるのかもしれないけど、僕には判らない」
何と……サントハイムの栄光は永遠ではないのですか!?

「そんなぁ……サントハイムが滅んじゃうの!?」
「当たり前だろアリーナ。人間も国も永遠なんて有り得ない! 滅びがあるから今を一生懸命生きるんだ……滅びる事がないと分かれば、誰も一生懸命にならない」

「そうは言うけど、やっぱり哀しいわ。私はサントハイムが大好きなんだから!」
「その考えは危険だな」
私もアリーナ様もサントハイムが永遠でない事に悲しんでいると、リュカさんが苦言を呈してきた。

「な、何が危険なのよ!?」
「良いかい、国なんて人が生きる為だけに存在する物なんだ。人が居て国が出来る……言い換えれば、国があっても人が居なければ意味がない」

「そんな事は解ってるわよ!」
「解ってないよ……サントハイムに住む人々が未来永劫繁栄していけば、国は変わっても問題ないんだ。住まう国が変わるだけで、人々の心は引き継がれていく」
確かにその通りだが、それはサントハイムが存続しながらでも良いだろうに。

「国家の中心人物が『サントハイムを永遠に!』なんて言えば、その言葉だけが一人歩きしかねない。アリーナが死んだ後、未来の王族が『アリーナ様の言い残した言葉を実行する』と言い出し、国民そっちのけで国家至上主義を掲げる恐れがある。サントハイムを守る為と称して、隣国に侵略し国土を広げていく……戦争なんて国力を衰退させるだけなのにね」

「サ、サントハイム王家にそんなに愚かな者は居ないわ!」
「どうかな……だって君は馬鹿だろ? しかも喧嘩っ早い! 王位を継ぐ者としては一番適してない。まぁクリフトが穏健派だから、君が女王に就かずに旦那に譲れば問題は無いだろうけど」
突然話題の中心に上げられた。凄く気まずい……

「わ、私は国王になんてなれません! そんな重責を背負うなんて……」
「大丈夫クリフト。僕にだって国王は務まるんだから、お前だったら良い王様になれるよ」
「ちょっと待ちなさい……勝手に話を進めるな! 私や王家の事を馬鹿にした事を詫びなさいよ!」

「真実を言って詫びなければならないとは心外だ! 僕の一言で簡単に激怒する様な胆力の無い小娘に、国王としての勤めは果たせないと言ってるんだ。この状況を見れば僕が間違ってる……詫びねばならない理由は存在しないだろ」

私もブライ様も、サントハイムやアリーナ様を侮辱されて納得は行かないのだが、リュカさんの言い分にも頷いてしまい、結局何も言えないで居る。
そしてアリーナ様も同じように、顔を真っ赤に染めながらも歯を食い縛り沈黙を続けてしまう。

「あ、ほら……新手が現れたぞ。お喋りタイムはお終いだ……戦え正義のヒーロー共。世界の平和はお前等の双肩にかかってるぞ(笑)」
沈黙しながらリュカさんを睨んでいたが、彼の指さす方から『鬼棍棒』が3体現れた為、渋々対応する。

冒険者としても、国王としても、一人の人間としても経験豊富で深慮遠謀リュカさんだから、口論しても何も言い返せなくなってしまうのが苛立たしい!

クリフトSIDE END



(闇の洞窟)
シンシアSIDE

凄いわ。
シンやビアンカさんから少しだが聞いていたが、リュカさんは元の時代に戻れば王様なんだ。
しかも過去に平民としてや奴隷としての人生を歩んだ事があるらしい。
娘のリューノちゃんが教えてくれた。

世界を冒険した事もあり、異世界までも平和にした経験があるらしい。
だからこの時代のお姫様が、リュカさんに何か意見を言っても、軽くあしらわれてしまう。
この人から色々学べばシンもステキな大人に成長するだろう。

「ちょっとシン。リュカさんに弟子入りしなさいよ……きっと多くを学べるわよ!」
戦闘が終わったのを見計らい、シンに近付きリュカさんから色々学ぶ様に勧める。
すると、あからさまに皆さんの表情が歪んだ。な、何でしょう?

「シ、シンシア……貴女はお父さんの事をまだ知らないわ。確かに私のお父さんは、凄く格好良くて何でも出来ちゃう人だけど……本当に何でも出来ちゃうから、止めた方が良いのよ。良くも悪くも何でも出来ちゃうから……」
何でも出来る人から色々学ぶ事の何がいけないのだろうか? リューノちゃんは何を懸念してるのだろうか?

「弟子から言わせてもらえば、部下にさえならなきゃ結構快適だよ。ただ……シン君じゃ胃が保たないかな?」
胃が保たないって……何!?

「僕が嫌だよ! コイツが弟子になったら、常にシンシアとイチャ付く様子を目の当たりにさせられる! 解ってるけどやっぱりシンシアはビアンカに似てて、他人が抱き付いたりするのを見ると凄く不愉快なんだ」

「だってさシンシア。それにリュカさんは、もうすぐ元の時代に帰る予定なんだから、弟子入りしてる時間は無いよ。その気もないしね」
「当事者2人の意見が一致した事だし、この辺でこの話題は終わりにしよう!」
私が不満に思ってると、シンとリュカさんが話題を打ち切った。

胃が保たない理由だけでも教えて欲しかったけど、また敵が現れたので沈黙する。
シンやライアンさん・アリーナさんが凄い勢いで敵に攻撃を仕掛ける一方、私はリュカさん等と後方へ下がります。私は非戦闘員なので本当なら天空城で待機してる方が良いのだけど、『お父さんの側が一番安全!』とリューノちゃんが言ってたので、それに従います。

と言う事は、リュカさんは凄く強いと言う事なんだろうけど、全然戦わないのは何で?
未来や異世界を平和にしたくらいなんだから、もっと戦えば良いのになぁ……
強すぎて戦わせてもらえないのかな? この世界を平和にするのは自分達だという自負があるのかしら?

ちらちらリュカさんの事を見ていたら、突然後ろを振り返り持ってた杖を振り下ろす!
何事なのか解らなかったが、私達も慌てて身構えた……しかし、そこに展開されてたのは複数の『レッドドラゴン』の死骸のみ。
どうやら後ろから襲いかかろうとしてたレッドドラゴンを、リュカさんが瞬殺したらしい。

だが3.4匹は居ただろうレッドドラゴンを、あの一瞬で倒してしまうとは……
やっぱりリューノちゃんが言う通り、リュカさんはかなり強い!
これで魔族の野望も阻止できるわ!

あとは……胃が保たない理由を教えてもらえれば……

シンシアSIDE END



 
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