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牙狼~はぐれ騎士~

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第五話 狩り


第五話 狩り



闘真の山小屋

「若葉~ご飯~」

「あのね・・・あたしは従者であってあんたの嫁じゃないの!」

気持ちの良い風が吹いている縁側で寛いでいる闘真に台所でネギ刻んでいる若葉が叫んだ。

「まぁまぁ・・・今日は斬十郎の稽古もあって疲れたよ・・・」

「あのね・・・魔戒騎士のくせに寛いでどうすんのよ・・・」

闘真の態度に呆れる若葉は乾燥した木の実をすり潰して香辛料にし刻んだ魚を炒めて煮てご飯に混ぜてネギを散らして雑炊を作った。

「ほい出来たよ」

「いっただきま~す」

鍋と中央の囲炉裏にかけて闘真が食べようとしたその時。

「!!」

突然闘真の持っていた茶碗が叩き落とされた。

闘真が振り返るとそこには銀で出来た投具があった。

「!!・・・誰だ!?」

気配のする方向に闘真が振り返ると・・・

「久しぶりだね」

「・・・礼羅」

一人の魔戒法師・・・礼羅(れら)が居た。



・・・この魔戒法師・礼羅は闘真に魔戒騎士になるきっかけを与えた人物と言っても過言ではない。闘真に魔戒棍・魔戒刀を与え更に鎧にまで導いた。



闘真の山小屋を見回す礼羅は若葉に目が留まりニヤリと笑うと闘真に語りかけた。

「・・・闘真・・・良い嫁を見つけたね~♪」

茶化すように言う礼羅に若葉が反論した。

「馬鹿たれ!あたしは従者であって嫁じゃなあい!!」

若葉が礼羅に向かって持っている茶碗を投げるがひょいっとかわされてしまう。

「んで?お前は今日は何しに来たんだ?」

「ああ・・・狩りの手伝いをして欲しくってね・・・」

礼羅も食卓に加わると詳しい情報を話し始めた。

「ホラー・イングル・・・こいつが現れた」

『イングル?おいおい・・・あいつが出たのかよ・・・』

「ん?知ってるのか?」

礼羅からホラーの名前を聞いたイルバが驚愕すると闘真が質問した。

『ああ・・・手ごわい相手だぜ・・・群れで移動する上に各自別々のゲートから出てきやがるんだ』

「どれくらいの数?」

『まぁ・・・少なく見積もってざっと百は・・・』

「百体も!?」

出てくる数に仰天する闘真は指で数え始める。

「えっと・・・魔戒騎士が魔導馬を手に入れるのが百体だから・・・云々・・・ああ!とにかく飛んでもねえ数じゃねえか!」

出てくるであろうホラーの数に頭を抱える闘真。

「でもこれ全員倒せば闘真も魔導馬をゲットできるんじゃないの?」

「・・・闘真は正式な魔戒騎士じゃないからそんなもん貰えん」

若葉が提案をするが礼羅がきっぱり否定した。

「まぁ・・・はぐれ騎士だしね・・・」

「そういう正式な物は貰えないの・・・まぁ・・・違法な魔導馬の様な物を作って良いんだったらあたしが作ってやってもいいけど?」

「リスクの方が高くつきそうだからやめとく・・・」

礼羅の提案を蹴る闘真。

「少なくともこいつには俺達全員がかからないといけねえんじゃねえか?」

「・・・だね」

話を理解した若葉は斬十郎を探しに駆けるのだった。




夜・黄昏の森

「・・・・・・・・・・」

礼羅が自分で編み出したホラーをおびき寄せる陣の準備をしていると闘真が呟いた。

「良いのかね~・・・魔戒騎士が集団行動して・・・」

「しょうがないでしょ・・・今回は多く狩らなきゃいかけないだから」

魔戒棍を構える闘真と三節棍を準備しながら呟く若葉。

そして魔戒剣を構えた斬十郎は瞑想している。

「良いかい・・・陣が発動すればそれに釣られてホラーが溢れ返ってくる・・・覚悟はいいね?」

礼羅の言葉に頷く闘真達。

「お前・・・それで本当におびき寄せられるのか?」

「あたしの腕を信用しろって・・・これでも低級ホラーは何度もかかってるんだ」

『まぁ・・・イングルは低級ホラーだが集団で襲い掛かってくるから厄介だぜ』

イルバの言葉に闘真達は緊張すると、礼羅が指先を傷つけ赤い雫を陣に向かって垂らした瞬間人が赤く染まり始めた。


『来るぞ・・・血の臭いに釣られてイングルが出てくるぞ!!』


赤い陣が弾け飛ぶと集団のイングルの群れが飛翔した。

『キシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

おびき出されたイングルは血の発生源である礼羅に向かって飛び掛かってくると・・・

「!!」

闘真がイングルの一体に飛び掛かり一撃で消滅させた。

「なんだ・・・弱いな・・・」

『甘く見てると痛い目見るぞ・・・』

「ご忠告どうも・・・」

イングルに向かって闘真が魔戒棍を回転させながら構える。

更に

「せいいやあ!!!」

若葉が懐から投具である手裏剣をイングルに向かって投げつけると瞳にヒットし唸りあげた瞬間三節棍で殴りつけた。

「はいはいはいはい!!!!!」

イングルを打ち付けながら若葉が次々と倒していく。


そして

「!!・・!!・・・!!!!!!」

人たちでイングルを次々と斬っていく斬十郎。まだ心にわだかまりがある為鎧を召喚しないようだ。

「!!・!!・!!!」

三連撃でイングルを次々と斬っていく斬十郎の実力に驚く礼羅。

「!!・・・!!!」

礼羅が魔導筆で光を放つと次々とホラーを消滅させる。

「この野郎!!」

闘真は再び飛び掛かり魔戒棍を打ち付けていくと・・・

「十体倒したぞ!若葉!お前は!?」

「私二十三体!!!!」

「む!!」

魔戒騎士である自分が魔戒闘士に負けていることに悔しがる闘真。

斬十郎が五十体倒し礼羅が十五体倒していった。

残り約十体に闘真は早期決着を試みるため魔戒棍で円を描いた。

「!!」

旋風騎士風狼

「グルオオオオ!!」

緑の鎧を纏い残りのイングルに向かって狼風剣で飛び掛かる闘真。

『うおおおおおおおおおおおおおお!!!』

闘真の拳が次々とイングルを貫いてくと断末魔の叫びを上げながら散っていくイングルはとうとう最後の一体になった。

『ギアヤアアアアアアアアアアアアア!!!』

「!!」

イングルは最後の姿を現し闘真に飛び掛かると闘真は狼風剣の柄を合わせた。

「・・・風月乱舞・・・!!」

闘真の乱れ斬りが次々と炸裂し最後の一体が断末魔の叫びを上げると一掃されるイングル。

「!!」

闘真が鎧を解除するとホラーの気配が消え戦いが終わった。



山小屋に戻った闘真は荷造りをする礼羅を見送っていた。

「行くのか?」

「ああ・・・あたしの旅は終わってねえし・・・」

魔導具一式を背中に背負うと礼羅は闘真の耳元で呟いた。

「・・・嫁を大切にしろよ♪」

「嫁じゃねえ!二度と来るな!!」

と叫びながら闘真は塩をまいて礼羅を追い返すのだった。





 
 

 
後書き

イルバ
『・・・ホラーの中にも変わったもんを食う奴がいる・・・今回の奴は・・・何!?人の生きた時間を食らうって!?

次回 退化


タカヤが~・・・』

 
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