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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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A,s編
  『第三十六話』~新たな物語~

 
前書き
作「遅くなってすいません!」orz

拓「今回からA,s編開始だ」

作「アンケート結果はあとがき雑談会で!!」 

 
 場所はとある場所に立っている三階建てのビル。
 その一室に、ある事務所があった。


 『万屋・月詠』


 この物語の主人公、月詠拓斗の経営する事務所だ。
 名前の通り万屋……所謂何でも屋で、雑用から何から大抵の事をこなすことで裏では有名な事務所だ。

 何故裏社会で有名なのかというと、理由は三つある。
 まず一つ目に、この事務所にいるのが拓斗一人であること。
 小学三年生の子供が労働基準法を完全に無視して働いているのだ、そりゃ目立つだろう。

 二つ目に、彼の仕事だ。
 実はこの事務所に舞い込む仕事の6割強が、ボディガードだ。
 荷物の輸送から国の重臣達まで、かなりの回数で雇われる。
 少なくとも、月に十件近く護衛依頼の電話が彼の元にやって来る。

 三つ目に、彼の仕事の成功率。











 100%である。










 彼は一度も仕事を失敗したことがない。
 ボディガードでもだ。

 彼が護衛している者を狙った人間は一人残らず捕らえられた。
 どのような実力者でもだ。数百人を一度もミスすることなく殺した暗殺者でも彼の前では、赤子同然。いとも簡単に捕らえられた。





――ぷるるるるる





 そして今日も





――ガチャ


「はい、『万屋 月詠』です」





 事務所に依頼の電話が舞い込んだ。










『あ、たっくん? 今大丈夫? これから病院に行くところなんやけど、今日は一日中土砂降りやろ? だから一緒に病院に行くのついて来てくれへん?』

「はぁ…またお前か、はやて………もういい加減にしてくれ。ずっと前から『電話するなら携帯電話にしろ』って言ってるだろ」

『え~、別にええやんこれくらい。それに仕事している間は滅多にケータイに出てくれへんやもん』

「仕事の間は私的行動は慎むようにしてるんだ。前に話したろ?」

『仕事って言っても普段は書類整理や海外小説の翻訳くらいやん!』

「その翻訳期限がもうそこまで迫ってるんだよ!!」

『今日だけやから! お願い!!』

「………」

『たっく~~ん』

「…はぁ、わかったよ。わかったから猫なで声を出すな、喧しい」

『ホンマ!? なら、バス停で待ってるな!』

「あぁ、わかったy『ブツッツーッツーッツー』…はぁ……行くか」


 拓斗は受話器を戻し、最低限必要なものが入ったコートを着て事務所を出た。


 拓斗が彼女――八神はやてに出会ったのは、夏休みに入る少し前の話だ。





回想





 拓斗side

「図書館に着いたぞ」


 どこぞの霞さんの様なセリフを言いながら目の前の建物を見上げる。
 前々から来てみたいと思っていたが、なのは達に連行されたり自営業が忙しかっったのだが、それがようやく時間が取れた。


「へえ、中はこんな風になってるのか」


 特に目的があるわけではないが、面白そうな本があったら読んでみよう。










「ふむ……なるほど」


 『何度言っても懲りない人間を×××する本』をゆっくりと閉じる。偶々見つけた本だが思いの外勉強になった。いつか実践したいものだな。主にアイツ等(報道陣及び昼食を邪魔する男子生徒)に。


「今度は……神話関係を見てみるか」


  まずはこの本を元に戻してから………ん?


「ん~も、もうチョイ………」


 車椅子に乗っている濃い茶髪をした少女が本を取ろうと必死で手を伸ばしていた。


「も、もうチョイやのに……」


 微妙に届かない位置にあって手を伸ばしてもギリギリ届かない様だ。


「こうなったら関西人のど根性見せたるで~!」


 いや、関西関係ないから……それでも届かない。


「う~ん!」


 ……そろそろいいか、十分面白かったし。
 さて、神話コーナーは……此処か。ついでだし良いか。 
 未だ頑張って手を伸ばす少女に近づき声をかける。


「どの本?」

「え? いや、そんな、大丈夫ですよ」

「いいからどれ?」

「あ、はい。そこの本です」


 俺は彼女に近づきどの本が希望か聞き、その本を取る。


「これか?」

「はい、どうもすみません」


 俺が差し出した本を手に取り礼を言う少女。 


「お礼はいらない。ここのコーナーに用があるからついでだ」

「そうなんですか、私八神はやてって言います」

「拓斗。月詠拓斗だ」

「月詠さんか……」

「敬語はいらない。年齢は近いだろうしな」

「え? 月詠さん何歳なん?」

「……9歳だ」

「ホンマに同い年なんや……。えっと、じゃあよろしくな、たっくん! うちの事ははやてって名前で呼んでな」

「たっくん!?」


 いやなぜにそんなに驚くんだ? 俺そんなに老けてみえるのか?
 てかたっくんってなに? 前世含めてそんなフレンドリーな呼ばれ方したことないぞ……


「そう、拓斗だからたっくん。それにしてもたっくんが同い年やなんて思わんかったわ~。凄い大人びて見えてんもん」


 な、なるほど。よかった………この年で老けてるなんて言われたら20歳の時にはもうおじいちゃんになっちまう。

 その後、はやての車椅子を押しテーブルまで行き互いに本を読む。
 俺はとりあえず適当に取った1冊を開いてはいるがろくに読んではいない。
 この本はハズレだ、全く面白くない。


「たっくんはまだ帰らんでいいん?」

「まだ? ってもう5時過ぎか……」


 いつの間にか結構な時間になっていた。確かに小学生が1人でうろつく時間は過ぎてるな。
 まぁ、家には俺一人だから問題なし。


「俺は大丈夫。そう言うはやてはどうなんだ?」

「うん、私も大丈夫。どうせ家に帰っても誰もおらへんし……」

「ぁ……」


 まさか自分から振っといてこれか! いや、ここは俺がもう少し慎重に答えるべきだった……。
 そう思い俺は自分とはやてが読んでいた本を素早く元の場所にかたずけ、はやての座る車椅子を押し図書館を出る。


「家どこだ?」

「え? いやでも」

「俺も家に帰っても誰もいないからたまには誰かと一緒にいたいんだよ」

「たっくん……」


 ウソは言ってない、実際時々寂しくなる日がある。
 もしもソウルがいなかったらおそらく病んでただろうな。ソウルには感謝してもしきれない。


 そう言いはやての指示に従いはやて家を目指す。
 その間もいろんな話をしていたがしばらくするとはやての家に着く。


「もうついてもうた……」

「そうか、ここか」

「なぁー、たっくん。中に上がっていかへん?」


 そう不安そうに聞いてくるはやて。やっぱりこんな小さい子に一人はつらいもんな……
 どうするべきか……


「今日は遠慮しとく」

「そうか……」


 俺の返答に落ち込むはやて。
 ……選択を間違ったか? しかし、今日会ったばかりなのに家に上がるのはどうかと思うんだけどな………よし。

 俺は懐から常備している名刺入れから名刺を一枚取り出す。


「ほら」

「…? ……これ何?」

「俺、自営業で万屋をやってるんだ。何かあったら電話して来い」

「……ええの?」

「構わない。それとまた明日、学校が終わったら図書館に行く」

「え?」

「だから……、また明日」

「たっくん……うん! また明日!」





回想終了





 それから、はやては頻繁に事務所に電話するようになった。
 内容は一緒に『図書館に行かへん?』などの誘いや『病院へ行くのに付き添って』などが殆どだ。
 事務所に電話するのは控えてほしい思って携帯の電話番号を教えるも、相変わらず事務所に掛けてくる。

 今ではお互いの家に(俺の場合は事務所だが)よく上がる仲だ。


「たっくーん!」


 バス停に着くとはやてが両手を大きく振っていた。
 それほど離れてないんだからそんなことしなくても……


「遅れたか?」

「ううん、いつも通り時間ピッタリや」


 そう言ってニコリと笑って答えを返してくる。
 今更だけど、俺の周りの女性って皆、美女美少女って言われるような奴等だよな。なんで俺と一緒にいるんだか……


「ん? どうしたんたっくん?」

「いや、何でもない。行こうか」

「? うん!」





 病院





 海鳴大学病院。
 そこがはやてが通う病院だ。
 はやてが病院に着いてから診察券などを受付に出してから主治医のところへ行った。


「あ、はやてちゃん、それに拓斗君も」


 「はやてちゃん」と言ったのははやての主治医である「石田幸恵」だ。
 以前聞いたのだが、独身らしい。こんなに綺麗なのにな……
 そう呟いたらはやてに睨まれ、脇腹をつねられた。なぜだ。


「「こんにちは」」

「こんにちは、ちゃんと時間通りに来たわね」

「当たり前ですよ。ちゃんと治る思うたら破れへんですから」

「俺はいつものように無理やりですけど」

「ちょ、た、たっくん!!」

「事実だろうが」

「家は電話しただけや! たっくんが自分で来たんやろが!!」

「そう言うなら何で俺に電話したんだよ」

「そ、それは……///」

「? なんでそこで顔赤くするんだよ?」

「う、うっさいわアホ!」

「あ、アホって……」

「あ、アハハハ……それじゃ、早速始めましょうか」

「あ、はい!」


 そうしてはやての診察が始まった。
 診察には結構な時間がかかるので、
 はやてはこの時間は退屈で死んでしまいそうだと愚痴った事があった。
 診察の間は読書も出来ないから時間を潰す事が出来ないからだ。
 それが先の愚痴の原因になっていた。
 だが、今は俺が話し相手になっている為、そこまで退屈じゃなくなったらしい。


 そして数時間が経過し、診察が終了した。
 俺とはやては現在、石田先生から診察結果を聞いていた。


「うーん。あんまり進展がないわね~……」

「そうですか……」


 進展がないことに少し落ち込むはやて。
 俺はそんなはやての頭に手を乗せる。


「? たっくん?」

「ずっと前からこうなんだから、短期間でよくならないのはわかってるだろ。根気よく続ければいつか歩けるようになるさ」

「たっくん……うん!」

「ええ、拓斗君の言う通りよ。だから少しだけ治療法を変えてみようかと思うんだけどいいかしら?」

「ええですよ。それで治るんなら私はなんでもやります!」


 石田先生の提案にはやては元気よく同意した。










「あ、拓斗君ちょっと待って」

「はい?」


 はやてと石田先生が数分話した後、はやてと一緒に診察室を出ようとしたら石田先生に呼び止められた。


「ちょっと話があるんだけど……」

「話、ですか? はやて、先に行っててくれ。すぐに行くから」

「うん、わかった。先に行ってるわ」


 そう言ってはやてが診察室を出ていった事を確認すると俺は石田先生に向きなおった。


「それで、話ってなんですか?」

「えっとね、明後日のはやてちゃんのお誕生日の事なんだけど」

「は?」


 誕生日?


「はやての誕生日、明後日なんですか?」

「え? 知らないの?」

「はい」


 そんなこと聞いてない。なんで言わなかったんだ?


「多分はやてちゃんのことだから拓斗君に余計な御世話をかけないようにしたんじゃないかな?」

「ナチュラルに思考読まないでください」

「いや、顔に出てたよ?」


 マジか。まぁ、そんなことより……


「あのバカ………子供なら甘えればいい者を。でもまぁ、プレゼントを選ぶ時間はあるだけマシか」

「おっ。なんかサプライズでもするの? というか拓斗君も子供だけど?」


 それはそれ、これはこれですよ石田先生。


「はやてと別れたら、早速プレゼントを探すか。石田先生、教えてくれてありがとうございます」

「いえいえ」


 笑顔でそう言う石田先生を後にして、俺ははやての後を追った。










 翌日










「「ごちそうさま」」


 この日、俺ははやての家で夕食をご馳走になっていた。
 今日の献立はみんな大好きカレーライス。はやてのカレーは絶品だな。


「はやて」

「なんや?」

「ほらよ」


 はやてがこっちを向いたのと同時にプレゼントの入った小さな箱をはやてに向かって放り投げる。


「わっわ!」


 少し慌てながらも箱を無事受け止めるはやて。


「? たっくん、これ何?」

「石田先生に聞いたんだ。明日、お前の誕生日だってな。だからプレゼントだよ」

「え……」


 そう言った瞬間、はやてが固まった。どうした?










 はやてside

「石田先生に聞いたんだ。明日、お前の誕生日だってな。だからプレゼントだよ」

「え……」


 私に向かって小さな箱を投げた拓斗君がそう言う。
 あれ? 私、葵君に誕生日のことは教えたっけ?
 たぶん、あの後石田先生から教えてもらたんやろな。でも、嬉しいな/// こうやってお誕生日プレゼント貰うんいつ以来やろ。あかん、嬉しくて涙が///


「あ、ありがとな! 拓斗君///!」

「べ、別に感謝されるような事じゃない。知っているのに渡さないのはどうかと思っただけだ」


 私がお礼を言うと、たっくんは目を逸らした。……あ、顔が赤くなっとる。照れてるんか?


「あ、開けてええか?」

「あ、あぁいいぞ。はやてのために作ったんだから開けなきゃ意味がない」


 わ、私のために……しかもたっくんの手作り!!///
 箱を開けると、紫色で、三日月の文様が入った宝石をネックレスに加工した物があった。


「きれいやな~。これなんていう石なん?」

「それは俺の一族しか知らない宝石でな、『月の雫(ムーンティアーズ)』っていうんだ」

「ムーンティアーズ?」

「その宝石は月から雫が如く落ちて来たって言われていて、身に着ける人はその力の加護を得られるって話だ」


 月から来たか~。なんかロマンチックやな~。


「あ、たっくん。これ着けてくれん?」

「今つけるのか?」

「うん」

「わかった」


 そういってたっくんはネックレスを受け取り、私の首にネックレスを着けてくれる。


「た、たっくん。似合っとるかな?」

「ん? あぁ、似合ってる。可愛いな」

「か、かわっ、可愛い!?///」

「あぁ、可愛いよ」

「うぅ…//////」プシュ~


 た、たっくん。それは反則や!! 今、そんなこと言われたら///















「ふぅ…そろそろ寝よか」


 今は真夜中の12時前や。
 あの後、二人で夕食の後片付けをして、風呂でたっくんに洗ってもらった(本当は一人でも出来るけど、たっくんには秘密や)。赤くなった顔を誤魔化しながら私の身体を洗うたっくん。可愛かったなぁ……

 そんなことを考えていると、いきなり後ろから変な光が出ていたので、反射的にそっちを見ると、


「あ、あぁ……」


 何?何なん!?何で本が浮いてんの!? しかも何で黒い光放ってんのあの本!? 何かめっちゃやばい気がするんやけど!!


[Ich sage eine Versiegelung ab(封印を解除します)]


 本から変な声が聞こえる。というか本が喋った!? 浮かんだり光ったりすると思ったら今度は喋ったわ!!

 すーっとゆっくり本が降りてきて、こっちにおりてきた、


「た、たっくん……」


 怖くて、怖くてたまらなくて私はたっくんの――何時の間にか好きになっていた男の子の名前を呟いていた。


「Anfang(起動)」


 すると、本がいきなり光り出し、


――キィイイイイイイイイイン


 そんな音と共に私の身体から、白い球体状の光が出てきて、


――カッ


 あまりにも眩しい光が私を襲う。


「はやてぇぇぇぇぇ!!」


 その時、たっくんの叫び声が私の耳に届いた。 
 

 
後書き
~アンケート結果~

作「A,s編開始!!」

拓「とりあえずアンケート結果を頼む」

作「はいはい、それでは発表します! 総投票数は














  1票です!!」





 ……………………





拓「ハァ!? 1票!? たった1票だけか!?」

作「う、うん。1票だけだね……」

拓「なんで!?」

作「知らないよ! こっちが聞きたいわ!!」

拓「…それで? 唯一の1票は何だったんだ?」

作「あ、うん。3だったよ」

拓「つまり、俺は闇の書事件には極力傍観しているんだな?」

作「そうだね。じゃあここで閉めるよ」

拓「あぁ、わかった。なら……」

作「分かってるよ。





  唯一アンケートに参加してくださった『夜天の守護者』様!」

拓「ご投票、本当に」

作・拓「「ありがとうございました!!」」<(_ _)>









 夜天の守護者様。アンケート投票、本当にありがとうございます!
 これからも更新頑張ります!! 
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