| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

緋弾のアリアGS  Genius Scientist

作者:白崎黒絵
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

イ・ウー編
武偵殺し
  21弾 白衣とセグウェイ

 クラブ・エステーラを出た俺はまず、急いで学園島に戻った。

 モノレールの駅を降りた俺は、走って自室に向かいながら、携帯からとある番号にかけた。1コール目ですぐに繋がる。

『はーいもしもーし!あなたの嫁の陽ノ下(ひのもと)ミラたんですよー!どうしたんです?先輩の方から電話してくるなんて珍しいじゃないですか!』

「もしもしミラ。悪いが今はおまえと掛け合いやってられる場合じゃないんだ。仕事を頼みたい」

『仕事?先輩ほどのお方が、私みたいなノーランクに?』

「だからボケてる場合じゃないんだって!いいから頼む!」

『……それは戦兄(アミコ)としての命令ですか?』

「いいや違う。俺からの個人的なお願いだ」

『OKわかりました!それなら引き受けさせてもらいます!』

「ありがとう。じゃあ依頼内容を説明するぞ」

『はい!あ、でも今、テロ組織の本拠地にいるから手短にお願いしますね?』

「……わかった。で、依頼内容は――――」

 俺はミラに、簡単に依頼内容を説明する。

『ふむふむ。わかりました!じゃあとりあえず、ハッキングしてデータ覗いてみます!』

「よろしく頼む」

『おまかせください!あなたの嫁は、世界で二番目に優秀なんですから!』

「おまえは別に俺の嫁じゃないだろうが。あと、おまえが二番なら、一番は誰なんだ?」

『もちろん先輩です!』

「……はあ」

 聞かなきゃよかった。

 一気に脱力した俺は、ミラとの電話を切ると、気合を入れ直して走った。



 俺が自室に戻ると、玄関前に文がいた。

「あ、ミズキくん!こんにちはなのだ!」

「こんにちは、文。悪いが今、俺はかなり急いでるから、おまえの相手をしている暇はあまりないんだが」

「そうなのだ?じゃあさっさと用件を済ませちゃうのだ!」

 そう言うと文は背中に背負っていた大きなリュックサックから、一つの紙袋といくつかの球体を取り出した。

「はい、頼まれていた物と、あややからのプレゼントなのだ!」

「プレゼント?」

「そうなのだ!早く開けて見てほしいのだ!きっと気に入るのだ!」

 俺は文から受け取った紙袋を開けて中を見てみる。するとそこにあったのは――――
「白衣?」

 白衣のような、白いロングコートだった。

 白衣としての機能を残しながら、外側と内側にポケットを増設、さらに動きやすいように要所要所をベルトで留めてある。実験の時に着る白衣というより、戦闘用にカスタマイズされた白衣のようだ。

 俺が貰った白衣を眺めていると、文がドヤ顔で解説してきた。

「それはあややが開発した特殊繊維で作られた、この世にただ一つ、ミズキくん専用のオーダーメイドの白衣、正式名称『白夜』なのだ!防刃・防弾・防火・防水・防寒性能は武偵校の制服の1.5倍。さらに衝撃吸収性は1.7倍なのだ!実は、この前ミズキくんに取りに行ってもらったものはこれだったのだ!」

 あの時の服か。てっきり文の下g……ゲフンゲフン。服かなんかだと思っていたんだが、まさか俺の白衣だったとは。

「でも、どうして急に?」

 俺の転科祝いだってんなら遅すぎるし、別に誕生日が近いわけでもないし。

「ミズキくん、最近、神崎さんと一緒に何か危ないことやってるのだ。あややにはわかるのだ。あの、とーやまくんが死んだ時と同じ感じがするのだ。あやや、ミズキくんが死んじゃうのは嫌なのだ」

 俺にそう語る文は、泣いていた。

「文……」

「本当は!本当は、危ない事なんてしてほしくないのだ。でも、ミズキくんは止めても絶対に行くのだ。だからせめて、ミズキくんを守れる白衣を作ったのだ。だから、ミズキくん――――」

 文は泣きながらも無理矢理に笑顔を作り、

「ちゃんと、帰ってきてほしいのだ。死なないで、絶対に。あややのところに、武偵校に帰ってきてほしいのだ」

 そう言って、俺の背中を押してくれた。

「文……っ!」

 俺が振り向こうとすると、文が後ろから抱きついてきた。

「ミズキくんっ!」

「……約束する。絶対に無事に帰ってくる」

「ミズキくん……」

「いってきます、文」

「いってらっしゃいなのだ。ミズキくん……」

 俺は文が後ろから離れたことを確認すると、寮の脇にひっそりと停めてあったセグウェイを起動させる。

起動(Start)!」

 あのチャリジャックの後、鑑識科(レピア)に頼んで俺が解体(バラ)した部品を貰い、色々と改造して直したのだ。

 そして、改造して付けた機能が、ボイスコマンド機能と――――

変形(Trans)!」

 俺がそう言うや否や、セグウェイの形が変わる。

 車体の横についていたタイヤが水平になって下に潜り込み、後方からはジェット噴射用のパイプが出てくる。

 セグウェイ水上バイクモード。

 ただ単に直すだけじゃつまらないと思って、無駄に付け足した機能が、こんな時に役に立つとは。

 これなら、モノレールや徒歩よりかなり早く空港に着けるだろう。たぶん。

 俺は変形したセグウェイを海上に浮かべ、命令(コマンド)を出す。

発進(Burst)!」

 直後、セグウェイが超高速で発進した。 
 

 
後書き
お久しぶりです初めまして!白崎黒絵です!
ごめんなさいすみません申し訳ありませんでした。更新が一日遅れになってしまいまして。この土日、映画クレヨンしんちゃんを見に行ったり、台場に行って太鼓叩いたり洗濯機叩いたり走ったりしていたら書く暇がなかったんです。ごめんなさい。

内容:なんだか最終回っぽい雰囲気に。どうしてこうなった……急いで書いたため、途中から自分でも何書いてんだかよくわからなくなりました。

はい!次のコーナー!
「GS!今日の一言誰でShow!」
今回はこの娘!和製先端科学兵器でおなじみの発明家さんです!

「な、なんであややは泣いているのだっ!?」

A.ミズキが死ぬかもしれないからです。

それでは今回はこの辺で。次回の投稿は今週中を予定しております。今度こそは宣言通りにやるぜ!
疑問、質問、感想、誤字脱字の指摘などありましたらコメントください! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧