地球最後の日には・・・
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真紅に染まる・・・~過去の記憶~
前書き
僕の人生の中で一番辛い記憶、忘れたいけど忘れられない・・・忘れちゃいけない記憶。
その日は何十年に一度と噂されるほどの雪がふっていいた。
僕は当時9歳だった。
生まれて初めて見る雪に心を弾ませていた。
「ねぇねぇ、お母さん!お外真っ白だよ!」
「そうね~お父さんが帰ってきたら公園にでも遊びに行きましょうか」
「うん!」
僕とお母さんは雪を眺めながらお父さんの帰りを待っていた。
だがいつまで経っても帰ってこない。
「こんな雪だからお父さん、お仕事場から動けないのかもね」
「お父さん帰ってこられないの?」
「多分ね、仕方がないわ、私達だけで公園に行きましょうか」
「うん!」
僕とお母さんはしっかりと手を繋いで歩道を慎重に歩いていく
手袋の上からでも伝わる温もりを感じながら。
公園は家から数十分の場所にある。
公園にはまだ誰も入っていないらしく足跡一つついていなかった。
僕は公園につくと思いっきり走り回る。
お母さんは雪ウサギを作り始め、僕は雪だるまを作り始めた。
丁度そのとき、帰宅中のお父さんが公園の前を通った。
「あ!お父さ~ん!」
「お、なんだ、公園にいたのか~」
「あら、あなた、お帰りなさい。雪大丈夫だった?」
「いや~電車が止まる前にこっちにこれたんだけど、タクシーは危ないと思って歩いて帰ってきたよ」
「おつかれさま!お父さん!」
「よし、遊ぶぞ!」
「うん!雪合戦したい!僕とお母さんでチーム組むから、お父さんはユキちゃんとね!」
「ユキちゃん?」
「うん!さっき僕が作った雪だるま!」
「おお!そうか!じゃあお父さんはユキちゃんとだ!」
「じゃあ、よ~いスタート!」
その合図で雪合戦がスタートした。
勝者は僕たちだった。
ユキちゃんは雪の上から雪をかぶっているような状態だった。
悲劇は遊び疲れ家に帰る途中に起こった。
家まではほんの数十メートルだった。
僕は走って家に帰ろうとする。
「走ると危ないわよ!」
僕は振り返り
「大丈夫だよ!家はすぐそこなんだし!」
また前を向きなおしたときだった。
自分の後ろで鈍い音とともに爆音がなり響く。
僕はすぐには後ろを振りむけなかった。
恐る恐る後ろを振り向く。
そこには・・・
真紅に染まる雪の中、ぐったりと横たわる二人が真っ赤に染まっていた。
僕は頭が真っ白になり、思考はフリーズした。どのくらい固まっていただろうか。もしかしたらほんの数秒だったかもしれない。
僕は泣き叫んだ。
ずっと・・・涙が枯れるまで______________________
後書き
「どうして泣いてるの?どこか痛いの?」
過去の記憶から覚めると心配そうに僕の顔を覗き込む彼女がいた。
「大丈夫だよ!なんでもない!」
『大丈夫』この言葉がいつしか僕の口癖になっていた。
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