SAO-銀ノ月-
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第二話
前書き
まだ本編に追いつきません。
早くヒロインたちを出したい…
茅場の演説の後、とりあえず俺は<はじまりの街>からフィールドに出た。
だだっ広い草原で、一人歩いていた。
「って…どうすれば良いんだ…?」
所詮はネット初心者だ。
フィールドに出たは良いけどなにをしろと?
「…ナイスな展開じゃないな…」
次の街がどこにあるのかも分からないし、どこに敵がいるかも分からん。
「……」
もうとりあえず歩こう。
そうだ、歩けばどこかにたどり着くだろ。
若干ヤケになって歩くことにする。
この世界のことを考えながら。
<ソード・アート・オンライン>
天才プログラマー茅場晶彦により作られたゲーム。
…否。デスゲーム。
ここに捕らえられてしまったが、自分は何をすべきだろうか。
ゲームの攻略?
商人?
トレジャーハンター?
犯罪者?
…どれもしっくり来ないね。
何となくだが、今の自分は大切な何かを忘れているような気がするんだよなぁ。
何だろうか、この違和感は。
「…ん?」
草原を歩いていたところ、ようやく人を見つけた。
彼も俺と同じく一人で、全身真っ黒の服をしていた。
まあ、俺も全身真っ黒だけどな。
「ちょっとそこの人!」
「!?」
え〜…
俺はただ普通に挨拶しただけなんだけど…
凄い警戒されてんだけど。何故?
挨拶をしてこっちを警戒してる奴は全身真っ黒の格好をした片手剣士。
女の子みたいな顔をしてるが、男だろう。
多分。
「俺の名前は<ショウキ>って言うんだが、あんたの名前は?」
「…<キリト>だ。」
随分無愛想な奴だな。
−って、そりゃそうか。
このデスゲーム、プレイヤー間での殺し合い、俗に言う<PK>もありなんだよな。
そこまで行かなくてもアイテムの強奪とかする奴はいるだろう。
警戒するのは当然か。
「じゃあキリト。聞きだいことがあるんだが。」
「何だ?」
「次の街ってどっちだ?」
−キリトの警戒が強くなった。
何でだよ!?
「…お前、<ベータテスター>じゃないのか?」
「……<ベータテスター>って何?」
目の前のキリトから警戒は無くなったが、代わりに驚きと呆れがミックスされたような顔をされた。
−数分後−
俺がネット初心者であることを告げると、キリトはずっこけた。
<ベータテスター>とは、元βテスター。
つまり、デスゲームになる前のSAOをプレイしていたテストプレイヤーであるらしい。
「ショウキ、お前何にも分からないのに出て来たのか?」
「ここらへんはまだ危険も少ないだろうしな。」
あともう一つ。
「それに、茅場晶彦をブった斬ってやりたいし。」
「……」
キリトは無言。
恐らく、このゲームが本当にデスゲームなのか分からないのだろう。
俺だってそうさ。
いきなりゲームの中に閉じ込められて
『今からデスゲームが始まります』
と言われても訳が分からない。
てか分かるか。
しかし、今は。
理性では理解出来ないが、本能…と言うより勘は今は本当にデスゲームだと告げていた。
茅場晶彦はやりかねない、と。
「ところで、次の街はどっちなんだ?」
最初からそういう話だった。
「次の街は…」
そこまで言って口を噤むキリト。
教えたくないのかよ。
「キリト?」
「あ、ああ悪い。…ちょっと、<はじまりの街>に置いてきたフレンドのことを思いだしたんだ…」
「置いてきた?」
キリトは自嘲気味に笑いながら続けた。
「デスゲームになる前のSAOで、ショウキと同じフルダイブ初心者に『ちょっとレクチャーしてくれよ』って頼まれてさ。押し切られてレクチャーしてたんだよ…」
訥々とキリトは語り出す。
…誰かに聞いて欲しかったんだろう。
「他のゲームだとスライムぐらいの強さの猪に、ソードスキルもまともに使えなくてやられそうになっちゃって。それでもなんとか倒したからさ。
『そいつは他のゲームだとスライムぐらい』
って教えてやったら、
『中ボスぐらいかと思った』
とか言いだす面白い奴だったんだ…」
…確かに、ここだけ聞くと笑い話だよな。
笑えないが。
「んで、そいつと一緒に茅場の宣言を聞いた後
『一緒に次の街に行こう』
って誘ったんだが、そいつはこう返したんだ。
『他のゲームで一緒だった奴を放っておけない』
…俺にもっと力があれば、そいつも、そいつの仲間も連れて次の街に迎えたのにな…」
キリトの独白が終わる。
「…悪かった。初対面でこんな話して。次の街は…」
「キリト。お前は間違っちゃいない。」
俺はそんなに口が上手い方じゃないが、これは言わねばなるまい。
「そいつ−名前、なんて言うんだ?」
「<クライン>、だが…」
<クライン>ね。
迷宮の名前だっけ?
「そのクラインの仲間も一緒に連れて行って、仲間、ないしクラインが死んだら<はじまりの街>を出ようって言ったキリトが責任をとることになる。…普通の人間は、そんなこと出来ねぇよ。」
人間一人の命を背負う。
今まで普通の人間だった奴には無理な話だ。
「だから、お前は悪くない。」
「………」
キリトが沈黙する。
…言い過ぎたか。
「あ〜、悪い。こっちこそ初対面で偉そうなこと言っちまった。」
「いや、ありがとう。…おかげで少し、楽になった気がする。」
おおう、予想外。
まさかお礼を言われるとは。
「だったらお礼ついでに俺を次の街に連れてってくれよ。<クライン>の代わりにな。」
俺の図々しい頼み事に、キリトは笑いながら溜め息をつくのだった。
後書き
原作主人公との遭遇。
主人公のキャラ紹介はもう少し後で。
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