とある物語の傍観者だった者
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18話:黄金錬金
前書き
やばい……何がやばいのかは本文を読めばわかります
家電量販店にて5階フロアのとある一角、ウンコ魔術師がやってきた。
こいつもマッサージチェアの虜になったらしい。あー快適だ…と言葉を漏らしている。
人払いとかそういうの無しで、少し離れた所には吹寄がマッサージ器や他の健康グッズ等に無我夢中だった……
もうこのウンコたれのせいで、せっかくの楽しい時間を壊された気分だぜ、クソ野郎。
「僕がここに来たのは暇つぶしさ」
白々しいウソ。
「いや、ホント、少し時間できたから、君がここにいそうだったからちょこっと挨拶しにきた程度さ」
「あっそう……」
「まぁ、疑うのも無理はないけどね。僕が学園都市に来た理由は明白であり仕事の依頼なんだけどね、君を事件に巻き込むとか仕事を手伝えとか言いに来たワケではない。そもそもロリコンな君と共闘してまで仕事をしたくないさ」
……あっそう。
「でも、もしも君が自ら進んで手伝ってくれるなら大歓迎だがね。その方が仕事も捗るし、何より僕の盾代わりにはなるだろうしね」
あれ?嫌われていると思ったけど案外ツンデレ??
「つーか、なに、オレ別に仕事手伝わなくていいの? 本当に??」
これは予想外だった。
「だから言っているだろ。今回の一件に関しては君はどっちでもいいと」
なんだそれ??
てっきりオレも手伝えとか言ってくるのかと思った。
なんか拍子抜けだった……いや、これでいい。
オレは平穏を望んでいるんだ。
「君が嫌がるのは分かっていたし、まぁここで【リリィ】のカードを使うこともできるけど、今は“まだ”その時じゃないさ」
………。
「とても残念だが、もう1人の協力者だけで我慢するよ。確か、君の友人でもあったね、上条当麻は?」
「………」
「まぁ君が友人を1人死地に向かわせる薄情な男であろうと別にいいけどね。お邪魔虫な僕はこれにて退散するよ」
「………」
挑発のつもりかしらないけど、この物語の結末を知っているオレからしてみれば、カミやん頑張れとしか言えないんだけども。
別に薄情と言われようが構わないさ。
「あ、そうそう」
と、立ち去ろうとするステイルうんこが告げる。
「できればでいい。インデックスを見張っといてくれ。『三沢塾』という予備校だけに近づけないでくれよ」
「……了解」
始からそうお願いすればいいのにな……それぐらいなら手伝っても構わないさ。まぁ、ロリコンと避けられるんだろうけどもな。
結局、ステイルはオレにそれを言いに来たのかだろう、と判断した。
ステイルとカミやんは今から三沢塾という予備校に囚われの身である姫神愛沙を助けるために特攻をしかけるのだ。
それで、その間は誰がインデックスを守る?という話であり、友達を遊んでいるオレに目をつけ嫌がらせをしてまでインデックスを監視しといて欲しいと頼んできた。このロリコン魔術師め。
気が付けば、もうステイルの姿はなかった。
代わりに吹寄が目の前にいたり、
「誰かと話していたの?」
「いや、別に……」
明らかに疑ってはります。めんどくさっ。
「どうせ貴様のことだから見ず知らずの女性に声かけて『オレの上に座ってお話しでもしようぜ?ベイビー』とかナンパしていたんじゃないのかしら?」
「ベイビーとかオレのキャラじゃないし、そんなナンパは成功しねぇ!!」
成功するなら青髪に伝授してやる。
まぁ、そんなこんなんで吹寄に問い詰められたり本当に面倒だったけど、なんとかその場を凌ぎ家電量販店を後にする。
例の店員共が「「閉店まであのおっぱい兵器を見ときたかった!」」とか悔しがっていたかスルーしよう。
「さて、今日のところはここまでにしといてあげるわ、近簿一二三」
「ははーっ、ありがとうござんす、吹寄お嬢っ!!」
「でも、これで全てが許されると思ったら大間違いよ。私達の友情に大きな溝があることには変わりないのだから!!」
「ははーっ、それも重々承知でございやす」
つーか、何も解決していないよな。
「えぇ、だからこの夏休みで私達の友情を取り戻すのよ、近簿一二三!!」
「ははーっっ、あっしも友情を取り戻したい所存ですっ!! 精進しやすっ!!」
「だから明日もここに来るわよ、わかった!」
「………」
さすがに2日連続はキツくないか??
「ふ、吹寄お嬢、明日もこのあっしを遊びに誘ってくれるのはめっちゃ嬉しいのですが、他の所に行きやせんか?? 2日連続はちょっと……」
「あ?? 何か言ったかしら??」
「いえ、明日もココがいいです! 寧ろもうココで吹寄お嬢に奉仕させてほしいでやんす!!」
「えぇ、明日は朝から晩まで私についてきなさい!」
「んんっ、御意ッ!!」
もうヤバいね……
「じゃ、バイバイ」
「うん、バイバイー」
こうしてオレは吹寄と今日の日はさよならした。
まぁ翌日から一週間、吹寄と毎日ここに通うことになり変な噂を立てられるのは今のオレには知る由もないけどな。
さて、ここからが本番だ。
もう夕方なんだけど……
ステイルに言われてオレはインなんとかさんの見張りをしなければならなかった。
それが今回のオレの役割であり、脇役で頑張らなくてはならなかった。
ので、オレはインなんとかさんがいると思われる、居候している子萌先生のアパートに訪ねてみた。
もう、ロリコンが来たーとか悲鳴を上げられる覚悟で訪ねた。
「シスターちゃんなら上条ちゃんを迎えに行きましたよー」
「ちっ、出遅れた……ッ!!」
吹寄とアホなやり取りしている場合じゃなかったな。
「それよりも近簿ちゃん、せっかく先生んちに来たのですからちょっと上がっていきますか? 説教してあげますよー」
なんでだよ! オレが先生んち訪ねてきただけで悪いことした扱い??
「きょ、今日は遠慮しときます……」
「それじゃあ明日待ってますからねー」
「……考えておきます」
なんか、ちゃんと断りきれなかった。
オレは子萌先生んちのアパートを後にしてダッシュした。
インデックスを追いかけなければならなかった。
………。
つーか、インデックスを追いかけていいのだろうか?
三沢塾に近づけるなというのは理解できる。アニメではインデックスは敵に囚われの身になるんだから。危険な目にあわせたくないもんな、あの魔術師は。
でも、オレが仮にインデックスを三沢塾に近づけさせないようにすればストーリーが変更されるのでは?という疑問があったりするが……
………。
知っている物語が知らない物語になるのは対処に困る。
………。
だったらインデックスを放っておけばいいんじゃね??と思うが……
………。
オレが何もしなかったと分かればリリィの立場を危うくする可能性もあって、それも困る。
いや、そっちの方が遥かに困る……
だったら、オレは決めた。
もうストーリーなど知ったことじゃねぇ。
オレはリリィの守るために少しでも任務を全うしよう。
例えカミやんがどうなろうがインデックスがどうなろうが、あの子のためなら見捨てることもオレはできる。
………。
ごめんな、カミやん。
まぁ、大丈夫だろうけども。
ので、オレは三沢塾に全速力ダッシュだ。
インデックスはそこに必ず現れるのだがら……
「つーか、三沢塾ってどこだよ!!」
場所がイマイチ知らない。
あまり時間はないだろうけども、ケータイで調べて地図広げて街中を走っては……
「はぁはぁ……なんとか間に合ったみたいだな」
目的地にようやく到着した。
そして、目的地にはお目当ての腹ペコシスターもちょうどいた。
「な、なんでロリコンがここにいるのかな?? はぁはぁ言っててとても怖いんだよ!!」
これは息切れだっつうの!!
「インデックス、大人しくオレと一緒に子萌先生の所に帰ろう」
「何でロリコンと一緒に帰らなければならないのかな? 絶対に襲われるから嫌なんだよ!!」
「お、襲わないって」
「嘘なんだよ」
「う、嘘じゃない」
「声が震えているよ、信用できないんだよ」
「でも、オレは無害だ」
「性犯罪者の間違いなんだよ。テスラと病院であんなことやこんなことしたって聞いたんだよ。襲われたってテスラが言ってて泣いてたんだよ」
めっちゃ警戒されてるじゃあーりませんか。
つーか、テスラが泣いてたって……いや、待て。
「オレが襲ったんじゃない。オレがテスラに襲われたんだ」
「はん、そんな嘘は信じられないんだよ。じゃあなんでテスラは泣いてたの?」
「それは……」
お兄ちゃんと合体できて嬉し泣きしたとは言えない。
自惚れとか思われてキモすぎる。
「やっぱり答えられないんだったらそういうことなんだよ。とにかく私は急いでいるんだがら邪魔しないでほしいかも」
「まぁ例えお前がどれだけ忙しくてもオレは邪魔するがな」
「やっぱり私の身体が目当てなんだよ!!?」
「それは違う……ッ!!」
つーか、この子をどうやって子萌先生ん所まで連れて帰ろう……
「それか提案があるんだよ」
「提案??」
まさかのインデックスさんからの提案だ。
「私の身体は……本当は嫌だけど好きにするがいいんだよ」
「………」
なんでこんな勘違いをされているんだろう。
「でも、それは私の身を守ってくれたらの話なんだよ」
「身を守るって……誰かに追われているのか??」
「違うんだよバカ。強いていうなら、追われているのは目の前にいるロリコンになんだよ」
「……確かに」
反論の余地もなかった。
「私はこれからそこの建物に用があるんだよ。たぶん、魔術が絡んでいるんだよ」
「………」
「だから、私は調査しなければならないんだよ。でも、やっぱり怖いから付いてきてほしいんだよ」
「………」
どうしよう、今ちょっと可愛く見えた……
というか可愛く見せたのか、こいつ?
「嫌だと言ったら??」
「私はこの先ずっと貴方のことをロリコンって呼ぶもん。でも、付いて来てくれるならロリコンとはもう呼ばないんだよ」
「………」
いや、オレが拒否したらお前は1人でアジトに乗り込めばいいだけの話なんだけども。
「ずっとロリコンって呼ぶよ??」
「………」
苦渋の決断だった。
いや、嘘。
「残念だが、ロリコンと呼びたかったら好きに呼べばいいさ。オレはここでお前の邪魔をする。ロリコンと呼ばれても、絶対に中に入れさせるわけにはいかない理由があるんだよ」
そう、全てはあの子のためにだ。
「……やっぱりロリコンは何を考えているのかわからないから怖いんだよ。でも、ここで何か事件が起きていることは明白なんだよ。まさかと思うけどとうまが中にいたりするのかな??」
なんで、そういう風に答えを導き出せる? いや、必死すぎて顔に書いてあったか??
「さあな、答える義理はない」
「答えられない=肯定とみたんだよ」
「だったらどうした?? もうめんどくさい。お願いだから本当に帰るぞ」
そう言ってオレは彼女に詰め寄り腕を掴んでしまった。
もうそれが彼女なりの策略で罠だってしった時には既に遅かった。
つーか、アホだった。
「イヤッ!! 離してこのロリコン!! 誰か助けてなんだよ!! ロリコンが私に暴力を振るうんだよ!! キャーーーー!!」
「こ、このガキ……ッ!!」
インデックスは叫んだ。悲鳴を上げた。
しかも、運悪い事に通行人らしき女性モブさんがオレを汚らわしい目で見ては……ケータイを取り出しアンチスキルに通報していた。
ロリコンが三沢塾前にてシスターさんを襲っています、とな―――――。
「ご、誤解なんです! オレはこの子を保護しに来ただけで……ッ!!」
などと言い訳しようと女性に気を取られたのもいけなかった。
「隙ありなんだよ、このロリコン!!」
「だからオレはロリコンじゃねぇ……って、ちょっと待てッ!!」
一瞬だった。
女性に気を取られていたオレの一瞬を突き、腕を振りほどいては全力で三沢塾に入っていく。
「さ、最悪だ……」
いや、まだだ。
すぐに追いかけて捕まえて建物の外に出れば間に合うだろう。
なんてのは甘い考えだった。
「ロ、ロリコン、マジで私を守るんだよ!!」
インデックスはもうすでに敵に捕まっていた。
「阿呆!! だから言ったんだ、大人しくオレのいう事を聞いていたらよかったんだ!!」
「ご、ごめんなさいなんだよ!!」
謝ったところでもう全てが遅かった。
「愕然。こんなところでまた巡り合うとはな、禁書目録」
そいつの名はアウレオルス=なんとか……
ローマ正教に所属していた錬金術師。
緑髪のオールバックで白いスーツを着たロリコン。
「必然。この子に害成すロリコンには退場してもらうがな」
「オ、オレはロリコンじゃねぇし……」
お前もロリコンじゃん…という暇もなかった。
もうどうでもいいけど、奴の『黄金錬金(アルス=マグナ)』が発動する。
想像したものを現実にでき、オレはそんな奴のチートに勝てるワケもなく、ご丁寧に檻の中で三沢塾から強制退場を余儀なくさせられた。
殺されなかっただけ儲けものだ。
ただ、アンチスキルに補導される展開になったがな……黄泉川先生にまた説教されたじゃん。
こうして、オレは吸血殺しの物語にちょこっとだけ参加して強制退場し、勝手に物語は終わるんであった。
めでたしめでたし……
もうやだ……
後書き
姫神愛沙の出番が……
もうヤバイですね。
これにて吸血殺し編をちゃっちゃと終わらせました。
テキトーすぎてごめんなさいですが、これから暖かい目でよろしくお願いいたします
姫神「私の。出番が。無い……。」
とりあえず、姫神と錬金術師のセリフが面倒なので書きたくなかったんです。汗
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