ハイスクールD×D 新訳 更新停止
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第2章
戦闘校舎のフェニックス
第52話 幼馴染み達暴れます!
前書き
タイトルに達と書きましたが、ほとんど明日夏中心です。
「うふふ。お兄様ったらレーティングゲームでお嫁さんを手に入れましたのよ。勝ちは分かっている勝負ではございましたが、見せ場は作ったつもりですのよ、うふふふ」
ライザー・フェニックス氏の妹であるレイヴェル・フェニックスさんが他の上級貴族の方々にゲームでの自慢話をしていた。
僕、木場祐斗は現在、朱乃さんと小猫ちゃんと共に部長とライザー・フェニックス氏の婚約パーティーに出席していた。
アーシアさんや明日夏君達はイッセー君の看護に残って出席していない。
「……それにしても…言いたい放題だ…」
「中継されていたのを忘れているのでしょう」
「ソーナ会長」
僕達の下にソーナ・シトリー会長が歩み寄ってきた。
「結果はともかく勝負は拮抗…いえ、それ以上であったのは誰の目にも明らかでした」
負けた僕達へのフォローをしてくれているのだろう。
「ありがとうございます。でもお気遣いは無用ですわ」
「?」
「たぶん、まだ終わっていない…,僕らはそう思ってますから」
「……終わってません」
「??」
僕達の言葉にソーナ会長は怪訝な顔をしていた。
なんとなくだけど、僕達はこれで終わったとは思えなかった。
急に会場がざわめきだした。
ライザー・フェニックス氏が派手な演出で登場したからだ。
「冥界に名だたる貴族の皆様!ご参集くださり、フェニックス家を代表して恩名申し上げます!本日、皆様方にお出で願ったのは、この私、ライザー・フェニックスと、名門グレモリー家の次期当主、リアス・グレモリーの婚約と言う歴史的な瞬間を共有していただきたく願ったからであります!それでは!ご紹介致します!我が后、リアス・グレモリー!!」
ライザー・フェニックス氏の言葉と共に純白のドレス(まるでウェディングドレスの様だ)を着た部長が現れた。
バンッ。
だが、それと同時に聞こえた突然の衝撃音に会場の人達は一斉に音の発生源の方を見た。
そこには、倒れた衛兵らしき人達と衛兵を倒したであろう人物達が居た。
「あらあらうふふ。どうやら間に合った様ですわね」
「ええ」
「……遅いです」
その人物達は僕らがよく知る、同じ部長の眷属の仲間であるイッセー君とその幼馴染み達であった。
さてと、派手に登場したせいか、むちゃくちゃ視線を集めてるな。
奥の方を見ると、部長(何故ウェディングドレス?)が居た。
「イッセー!」
「部長!」
部長が真っ先にイッセーの名を呼び、イッセーはその呼び掛けに応えた。
「おい貴族ら、ここをどこだと…」
ライザーがもの申そうとするが、イッセーはそれを遮って、高々と叫んだ。
「俺は駒王学園オカルト研究部の兵藤一誠!部長…リアス・グレモリー様の処女は俺のもんだ!!」
……とんでもない事を高々と宣言したよこいつは…。
見れば、俺達以外皆、呆気にとられていた。
木場達は面白そうに見ていたが。
「なっ!?貴様っ!!取り押さえろ!!」
ライザーの指示で多数の衛兵達が俺達の目の前に立ちはだかった。
木場達が動き出そうとするが、俺は目で「手を出すな」と伝えると出そうとしていた手を引っ込めた。
「貴様ら!ここをどこだと…」
ドゴッ。
「ぐはぁっ!?」
『なっ!?』
俺達に近付いた衛兵の一人を俺は掌打で吹き飛ばし、イッセー同様、高々と名乗った。
「同じく、駒王学園オカルト研究部の士騎明日夏!」
俺は千秋達に「お前らもせっかくだからやれ」と目配せをする。
「え!?ええ!!え、えっと、その妹、士騎千秋!」
まさか自分達もやるとは思いもしなかった上、先程のイッセーの宣言に動揺していたのか、かなりテンパりながら名乗った。
「え~と。幼馴染みの風間鶇だよ~」
鶇はのんびりと普段の口調で名乗った。
「………。妹の風間燕よ」
燕は一瞬無言になったが、鶇同様、普段の口調で名乗った。
さらにそこへ、俺は高々と宣言する。
「親友、兵藤一誠の道を阻む者は容赦しない!!」
俺の宣言に衛兵達は一瞬怯むが、すぐに手持ちの得物を構え直してきた。
「怯むな!かかれ!」
隊長格らしき男の指示と同時に衛兵達は一斉に掛かってきた。
構えるイッセーを手で制し、 俺達も仕掛ける。
繰り出される槍の攻撃を全て避け、衛兵の一人の懐に飛び込み、白虎双掌打を放ち、横合いから繰り出された槍を掴んで防ぎ、衛兵ごと引き寄せ、裡門頂肘を打ち込み、背後から来た攻撃を体を回転させて回避し、その勢いを乗せたまま鉄山靠を叩き込み、右隣の衛兵に崩拳を当て、左隣の衛兵に体の捻りの勢いを乗せた独歩頂膝を繰り出す。
俺の攻撃を食らった衛兵達は皆倒れ伏していた。
「すぅぅはぁぁぁあぁぁ…」
連続で八極拳の技を繰り出した俺は、衛兵達が呆気に取られている隙に息を調えていた。
千秋の方も特に苦戦していなかった。
俺同様、相手の攻撃を避け、隙ができた衛兵を蹴りで倒し、避けれない攻撃も蹴りを駆使して捌いていた。
そう言えば、鶇と燕の姿が見えない。
「うわぁぁぁっ!?」
「そ~れ」
……居た。
豪快に衛兵の一人で衛兵達を吹っ飛ばしてる鶇が居た。
それに呆気に取られている衛兵達を燕は背後から不意討ちで倒していた。
どうやら二人は気配を隠し、尚且つ比較的派手に暴れている俺と千秋に視線を巧みに誘導して、衛兵達の意識から完全に自分達の存在を見失わせ、隙をついて攻撃しているようだ。
流石は忍、と言ったところか。
二人の気配遮断は聞いたところ、体内にある気を利用したものらしい。
鶇の怪力もそれによるものだ。
興味深いので、今度詳しく聞いてみるか。
さて、いつの間にか衛兵達はほとんど倒されていた。
残りの衛兵達は完全に俺達に尻込みしていた。
「ちっ!お前ら!!」
そんな衛兵達を見かねたのか、ライザーが自分の眷属達に指示を送った。
ライザーの眷属達(僧侶(ビショップ)の二人を除く)が俺達の前に立ち塞がる。
「行きなさい!」
女王(クイーン)のユーベルーナの指示で兵士(ポーン)達を先頭に一斉に飛び掛かってきた。
「鶇!燕!残りはお前らに任せる!!」
俺はそう言うと、千秋と共に駆け出す。
兵士(ポーン)達は構えるが、俺はそいつらを素通りし、騎士(ナイト)と戦車(ルーク)の四人の下に駆け出す。
『なっ!?』
兵士(ポーン)達は一瞬呆気に取られるが、すぐに俺を追撃しようとするが、千秋がそれを妨害する。
俺は未だに呆気に取られている戦車(ルーク)の一人、イザベラに拳を放つ。
「くっ!?」
イザベラは即座に腕でガードした。
「はぁぁっ!!」
右側からもう一人の戦車(ルーク)の雪蘭が蹴りを放ってきたが、俺は右腕でガードする。
この戦闘服の防御力は大したものだった。
多少の衝撃はあるが、ほとんどダメージがなかった。
『はぁぁぁあぁぁっ!!』
後方から騎士(ナイト)のカーラマイン、左側からもう一人の騎士(ナイト)のシーリスが短剣で斬り掛かってきた。
俺は背中の雷刃(ライトニングスラッシュ)の鞘を左手で回転させてカーラマインの短剣を弾く。
この戦闘服には鞘を回転させて右手、右逆手、左手、左逆手と刀(ブレード)を抜く方向を状況に合わせて変えることができる様になっていた。
そして俺は左逆手に刀(ブレード)を抜いて、シーリスの短剣を防いだ。
仕掛けてきた三人はすぐに距離を取り、イザベラも距離を取った。
「……まさか兵士(ポーン)達を無視して、いきなり私達の方に来るとはな…」
「意表を突いて私達の内誰かを倒すつもりだったんでしょうけど、残念ね、失敗に終わ…」
「いや、元々騎士(ナイト)と戦車(ルーク)は俺が相手取るつもりだったから、意表も何も無いぞ」
「……騎士(ナイト)二人に戦車(ルーク)二人を一人で?あっちの子も兵士(ポーン)八人を一人でなんて、私達を舐めてるのかしら?…」
「まさか。あんたらの強さはゲームでじっくり見させてもらったからな」
俺の不敵な物言いにイザベラが口を開く。
「何か秘策でもあるのかな?」
「さあな」
俺が口元をにやけさせながら言うと、イザベラも口元をにやけさせた。
「雪蘭、カーラマイン、シーリス……舐めて掛からない方が良さそうだ…」
「もちろんだ。その目は本気で私達を倒そうとしている者の目だ」
カーラマインも口元をにやけさせながら、短剣を構える。
ゲームでも思ったが、この二人は相手をきちんと相手を評価した上で戦いに臨むようだ。
「……俺的には舐めてくれた方が楽なんだけどな…」
「あれだけの戦いぶりを見せた上にその目だ。舐めて掛かるのは失礼と言うものだ」
「そりゃどうも」
「無駄話もこの辺でいいだろう…では行くぞ!!」
イザベラの掛け声と同時に四人は一斉に仕掛けてきた。
(……凄い…)
素直にそう思えるほど明日夏君の戦いぶりは凄かった。
騎士(ナイト)二人、戦車(ルーク)二人の四人を相手に互角以上に戦っていた。
「ぐぅ、何なのこいつは!」
「……攻撃が通らない…」
明日夏君は攻撃のほとんどを受け流していた。
たまに攻撃が当たるが、それもガードして大きなダメージになっていなかった。
しかし、いくら明日夏君が強いと言っても、ここまで相手の攻撃が通らないものなのか。
未だに攻撃しない明日夏君だが、攻撃できないのではなく、相手の隙を伺って、あえて攻撃していないように見える。
「くっ!ガードも崩せないか!おまけに余裕さえ感じられるな…」
「別に余裕って訳じゃないけどな」
「そのわりには苦を感じてなさそうだが?」
「ま、あえて言うなら…状況が俺にとって有利だった…かな」
「何?」
「さっき言ったはずだぜ…あんたらの戦いをじっくり見たって…」
『っ!?』
「イッセーが起きるまで暇だったからな」
そうか、明日夏君はゲームが終わってからの二日間を、ただ待っていた訳ではないんだ。
今日この時の為に彼女達の戦いを研究していたんだ。
そうする事で彼女達の戦い方や僅かなの癖等を調べてこの戦いに臨んだんだ。
「ついでに今のあんたらの服装はパーティー用の衣装、戦闘をする分には多少の動き難さもあるだろ?ついでに騎士(ナイト)の二人にいたっては主武装の剣を持ってきていないのはラッキーだな。こっちはともかく、そっちの騎士(ナイト)に軽い短剣は合ってなさそうだな」
明日夏君の言う通り、彼女達はゲーム時ほど動きは良くない。
だが、だからと言って四人を相手取れる明日夏君の実力は間違いなく高い。
明日夏君の防戦一方かと思われていた戦いに変化が現れた。
彼女達の動きが少しずつ鈍くなっていた。
おそらく身体的な疲れと攻撃が通らない事への焦りによる精神的な疲れが同時に襲ってきたのであろう。
それに対し、動きを最小限に抑え、尚且つ精神的に余裕を持っていた明日夏君には未だに疲労は見えなかった。
明日夏君はその隙を逃すはずはなく、騎士(ナイト)の一人(僕と戦ったカーラマインさん)に仕掛けた。
ドゴォォォン。
『っ!?』
突然、明日夏君を爆発が包み込んだ。
(これは!まさか!!)
僕はゲームの苦い思い出を思いだしながら、上を見ると、ライザー・フェニックス氏の女王(クイーン)がいた。
「うふふ。撃破(テイク)」
僕達の時と同じだ。
「残念ね坊や。詰めが甘かったようね」
僕は目の前の状況にゲームの時の悔しさを思い出した。
そんな僕の耳に…。
「……言ったはずだ。あんたらの戦いをじっくり見たと…」
明日夏君の声が聞こえた。
爆煙が晴れたそこに、緋色のオーラで身を包む明日夏君がいた。
後書き
次回、明日夏の神器(セイクリッド・ギア)が登場します。
ちなみに明日夏とイザベラさん達の戦闘シーンはバイオハザード5のクリス&シェバ対ウェスカーの戦闘シーンみたいな感じです(ウェスカー戦の前にウェスカーがクリス達の攻撃を捌きまくっていた時のです)。
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