とある物語の傍観者だった者
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17話:緊急事態
前書き
ちかれた
「近簿…近簿一二三。貴様はロリコンなの? ロリがたまらなく好きだから、外人ロリ美少女と一夜の過ちを犯して楽しかった?? この裏切り者!!」
「………」
え、なに、まだこの話題続くの??
吹寄たんはオレをまだ苦しめたいらしい。心をどんどんエグっていく。
ここマクソの二階、もう吹寄たんから溢れる不穏なオーラを感じとった土御門とか青髪とかカミやんとかのグループはいつの間にか店から退散していたり。
もう巫女なあの子もいないし、店に取り残されたオレは彼女に問い詰められ胸倉両手で掴まれ揺さぶられ、オレの頭の中がシェイクされるが視界にチラチラ見える吹寄のパイオツが揺れている……のをガン見していたり。
揺れる揺れる揺れる揺れる揺れる揺れるマジ吹寄のパイオツ……
「貴様は私が真剣に怒っているというのにエロい目で私を見るなぁ!!」
「ごばぁぁああああああああああああああああ!??」
頭突きされた。
こいつのおでこマジ吹寄。とても痛い。
「お客様、他のお客様のご迷惑になりますので……」
もちろん、店内では静かにだ。
「つーか、夫婦漫才とか何惚気てんだよ、リア充共が」
「「………」」
店員さんがブチギレた!!?
さすがの吹寄も反論できない雰囲気だ。つーか、少し赤面していた!??
「こっちは夏休みだっていうのに出会いも無く彼氏も作らずに休みも中々取れずに働いてるっつうの。お前らみたいなガキ共見てるとイライラするんだよぉおおお!!」
「「………」」
「つーか、今の状況を分かってんのか? お?? 昼時でレジは混雑、しかもココで食べて行きたいお客さまで溢れかえってんだよっ!! だからっ!! 飯食った奴らは周りに見せ付けるようにイチャコラせずに次のお客様のことを考え思いやる精神でぇ…………はぁはぁ」
あ、息切れた。
「まぁ、この後は言わなくても分かるよな? お客様」
「「はい、今すぐ出て行きます!!」」
客を追い出すなんて、なんて性質の悪い店なのだろうか……もう吹寄とここには来ることはないだろう。
さて、炎天下の中、目的地も無くぶらぶらと歩くオレたち。
否、吹寄は次の目星を付けていた。
「また、ココでせうか……」
「何よ、文句あるの? ロリコン一二三」
ついにオレの苗字がロリコンになってしまった。
「今の貴様は私に意見できる立場じゃないと言ったはずだけども?? 近簿ロリコン!!」
次は名前がロリコンに……しつこいっ。
「私は貴様をまだ許していないのだけど?」
「………」
マックにて、オレは吹寄にあらかたの事情を説明した。
インなんとかさんがオレのことをロリコンと呼ぶ訳も。
病院でテスラとそういう行為にまで発展した訳も、魔術やら事件のことは一切触れずに説明した。
結局、その場の雰囲気やらノリで美少女なら、ロリなら誰が誘惑してこうようとも断れなかったダメなロリコン―――――という答えを出してしまった。サイテーな男であった。
だから、ロリコンやら罵声を浴びさせ頭突きしたり騒いでは、店員に店から追い出されたんだけども。
「ごめんなさい、反省しています。今後は悔い改め青春を謳歌したいんです。だから、チャンスください。許してください」
「そんな上っ面の言葉を私に投げかけるなバカ!」
「うげーーーっ」
本日二回目の頭突きですよ。
「私が許すも許さないも、貴様をどうするかは店に入ってからよ。付いて来なさい」
「御意……」
あまり気乗りできないが、世間体とか気にしてられないからな。
どれだけ周りがオレをロリコンと呼ぼうが吹寄と友達でありたいから、大人しく……とある家電量販店に入っていく彼女の後に続いた。
いや、何故家電量販店か?という疑問もあるかもしれないが、ここがオレと吹寄のデートスポットだったり、暇さえあればよくここで電化製品を見て回ったりしている。
最早デートじゃないけどな。ただ強制的にお店へ連れてこられては学園都市製の健康グッズ物の試作やらの生贄になっているだけだけども。
「店長、緊急事態です! 例のバカップルがまた来店されました!!」
「またアイツらか!! よし、カサマツ、第一種戦闘配置に付け!! 奴らはまた閉店間際までココでイチャコラする気だぞ!!」
「了解です、店長!!」
「………」
なんかカサマツとかいう従業員とここの店長がアホなやり取りをしているが無視しておこう。
誰が吹寄とイチャコラするだ。やった瞬間におでこが飛んで来るんだぞ、恐ろしくてイチャイチャしたくねぇよ。
まぁ、そんなアホ共はほっといて……
吹寄の目的地は5階にある、マッサージ機グッズで占めているコーナーだった。
「やはり、アイツらはココに来たか!」
「目当てのグッズはやはり『肩モミぷるぷる君』ですかね? 彼女、おぱーい相当デッケーですし相当肩こってますよ、店長」
「うむ。しかし、私が推測するに、それだけじゃ今日は終わらないだろう。まさかと思うが『低周波ビット君』を装着させて『肩モミぷるぷる君』を彼氏にさせるつもりかもしれん」
「なん……だと……!?? いえ、なんですって!?? そんな、今日はダブルで攻めるつもりですか!! ダメです!! あまりに危険です!! おぱーいが爆裂しますよ絶対!!」
「あぁ、まだ予想の段階ではあるがロマンがそこには詰まっている! たまらんな!!」
「………」
奴らはオレたちの後を付けてきているようだ。
仕事しろよ、アホ共。
「店長にカサマツさん、そこで隠れてないで自分の持ち場に戻ってくれませんか? 私たちや他のお客さんの邪魔にもなるんですけど??」
ほら、他の従業員に注意されたじゃん。年下の女の子に注意される駄メンズ。笑えない……
「しかし、これは一大事なんだヨネダくん! 我が店、経営の危機でもあるんだぞ!!」
「は、はあ? イマイチ仰っていることがわかりませんが」
「ふっ、ヨネダ。お前は夏休みからここでアルバイトしているから分からないんだ。そして、先輩の俺が教えてやる!」
なんでもいいけど、もう少しオレらから離れて会話しろよ。隠れる気ゼロだな。
今は吹寄がもうマッサージ器の数々に無我夢中で気が付いていないけど、もし知ったらオレにおでこが飛んでくるぞ!!
「いいか、耳の穴かっぽじってようく聞け。とりあえず、彼女さんの方から……あの子はおぱー……胸がデカイ!!」
うん、知ってる。そして、彼女じゃない。ただの友達。
「もうあの胸は兵器といっていい。男性なら一度ならぬ何度も見返してしまうデカさだ。そんな彼女だからこそ、俺たちが取り扱っているマッサージ機の数々、それも学園都市製のモノを試用してみろ。もうそれだけで振動で胸がプルプルだ! 俺たち男はそんな震えだす胸を見ずにいられるであろうか!!」
「何それ、キモッ」
などと、熱く興奮するカサマツを罵倒するヨネダ。問いかける相手を間違えたな。
つーか、なんでコイツ等の実況をオレはしているんだろうか。
「はぁ……あん……ふぅ……」
で、隣ではマッサージを試せれる商品を片っ端から試していく始末。
胸も良い感じに震えていて、いつも通りだ。
「ふ、吹寄ー、声が洩れてるぞ~……」
「し、仕方がないじゃない、貴様がテクニシャンなのがいけないのよッ」
「「「………」」」
やめて、その言い方はよろしくない。
確かに、オレは今、吹寄が試そうとしているマッサージ器を手に持って彼女に奉仕させられていたりするけども、ただ肩にあてているだけである……
まぁ、能力は使っているはいるが。
「いつも思うが、なんていう楽しみ方してるんだ、あのリア充共は!! 羨ましいッ!!」
「ぐふっ、今日もナイスだ、おっぱい!!」
「て、店長っ!??」
鼻血出して倒れたアホがいた。
「くそっ、店長がやられた! やはりおっぱい兵器に『機械操作』は危険なんだ!! というか店でマッサージプレイとかレベル高いな、おい!!」
マッサージプレイ言うなや、そんなつもりは毛頭ゴザイマセン。
オレは怒り荒れ狂う吹寄お嬢様のご機嫌を取るために手を貸しているだけです。ご奉仕しているだけです。
つーか、なんか、オレの能力がカサマツに知れ渡っていた。
まぁ、いつもマッサージ器に能力を使用して、吹寄好みの良い具合に無理やりにでも調節していたからな。
使い終わったらちゃんと設定を戻しているぞ??能力使いすぎて壊したりもしていない。
「なんでカサマツさんはあの人の能力を知ってるんですか? 知り合いですか??」
当然疑問に思ったヨネダ。
「いや、全く知らないお客様だ。ただ、彼を良く知る風紀委員の子と偶然ばったり出会って『その殿方は犯罪者予備軍ですの、何か粗相があればわたくしを呼んでくださいまし』と、それからいろいろ彼について教えてもらったのさ」
「なるほど」
なるほどじゃねぇよ、白井黒子たんはマジいらんことしかしないよな。
「ここはAV現場じゃねーんだぞ……」
いや、それはカサマツがAVの見すぎなだけだろ?
良く見て、俺はマッサージ器を吹寄の肩に普通に当ててるだけ。能力は使っているけど、ただ普通に使っているだけだぞ??
でも、ちょっとこのまま続けると怖いな。
あと、カサマツも鼻血を出している。
「ヨネダ、それでさっきの続きだが……今日は平日だが夏休みだしお客さんも昼間からそこそこいる。それはココのコーナーも例外じゃない。良く見ろ、あそこの角から覗き見している男子中学生のエロガキどもを!! 商品を買う気など毛頭ゴザイマセンだ!!」
「うわっ、なんかショックです……」
このままだと、カサマツ達のせいでヨネダは世の中の男性が全てを偏見な目で見そうだな。
ガキ共も鼻血を垂れ流している。
「さらに、あっち…あっちは大学生のカップルか? もう男が彼女の話をテキトーに相槌打ってあの子のおっぱいに目が釘付けだ。鼻血を出している。これは由々しき事態なんだよ、何故だかわかるか??」
「えーと……修羅場になる??」
「あぁ、そういうこともある、だ。ああやってあの子の胸目当てで何も商品を買わずに来るお客様、特に野郎共が急増中だ」
中には、何かついでにモノ見て買ってくれる客もいるそうだが。結局は他のお客にとって邪魔でしかない。
「それに、カップルの方はあのおっぱい兵器のせいで別れたり婚約解消になったり離婚したりで、中にはクレーマーな客もいたりするわけだ」
彼氏と別れたのは当店が悪いと難癖をつけてくるらしい。
「それで評判が落ちるから経営も、悪化すると……」
それは無いな。
「いや、そうじゃないんだ。一番の問題は奴らのせいで鼻血を出すお客様が続出して、掃除が大変だ。あぁ、商品にも飛び散るからシャレにならんってことだ!」
「………」
結局カサマツが言いたかったのは鼻血を出すハメになり、いろいろ大変だからオレらには警戒しろと言った。
もう全てにおいて遅いがな。
エロガキ共はうひょ~と絶頂真っ只中で鼻血ブー。大学生カップルは彼女が彼氏にビンタして帰っていったりちょっとした地獄絵図が完成してあった。
「あぁ、また掃除しなきゃっ!!」
他人の血を拭うって大変なんだよ、と嘆くカサマツ。
いっそのことオレらを出入り禁止にするんだな。まぁ無理だろうけども。理由は簡単で吹寄がここの常連でお得意様だからだな。
彼女を出入り禁止にして他店に足を運ばれるより、売り上げを落とすぐらいなら我慢しろということだった。
「わ、私、ちょっとあの人達を止めてきますので、カサマツさんは掃除道具をっ」
「お、おう!」
「………」
こうして、ようやくヨネダが駆けつけて、オレは吹寄の奉仕から解放されることになる。
いつも店員が注意してくるまでオレ自ら止めることなどできないんだから……
「じゃあ、オレちょっとあそこのマッサージチェアでくつろいでくるから」
「わかった。でも、逃げたらどうなるかわかるよね?近簿一二三」
「に、逃げませんのことよ……」
………。
今日はお前と遊ぶって決めてるんだから逃げないさ。
でも……
「いやー、学園都市にはいつも驚かされるね。タイムトラベルでもした気分だよ」
「………」
なんか、オレが機嫌よく座っていた隣のマッサージチェアに腰がけてきたのは、どっかで聞いたことのある声だった。
見たことのある赤髪に顔や右目下のバーコードのタトゥー。あと、イカす黒マント。
店内でタバコを吸うとかどんだけ非常識なんだよ、こいつと思えるほどに……
「ところで、せっかく学園都市に足を運んだのだからここはお土産を一つ、アークビショックにこの年寄りに効果的面なマッサージチェアをプレゼントするというのは名案だと思わないか? そこの一般人A」
「勝手にしろよ、ロリコン魔術師が……」
そうだった。
忘れていた。
今日がどんな日か。
あの店であの面子が揃っている時点で知っていたじゃないか。
あの巫女さん――――――姫神愛沙。
あの子があそこにいたということは、今日はそういう日だということなんだ。
オレはこれから始まる物語を知っている。アニメで知っている。
そして、何故ここにこの魔術師がいるのかを考えて、ただコイツを睨んだ。
あぁ、また理不尽にもいろいろ理屈などをつけてトラブルに巻き込まれていくんだ……クソッタレ。
後書き
吸血殺し編は二話で終わるつもりですとか言っていたのに……全然話が進んでないやないかーーー
ふ、吹寄たんとの日常風景はここまでです。
いろいろ、ダメですが、本当にちゃっちゃっと終わらすつもりですから!!
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