とある物語の傍観者だった者
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15話:回収不可
前書き
「テメェら、ずっと待ってたんだろ?
インデックスの記憶を奪わなくても済む、インデックスの敵に回らなくても済む、そんな誰もが笑って誰もが望む最っ高に最っ高な幸福な結末(ハッピーエンド)ってヤツをww
ずっと待ち焦がれてたんだろ、こんな展開を!英雄がやってくるまでの場つなぎじゃねぇww主人公が登場するまでの時間稼ぎじゃねぇww他の何者でもなく他の何物でもなくwwテメェのその手で、たった一人の女の子を助けてみせるって誓ったんじゃねぇのかよwwww
ずっとずっと主人公になりたかったんだろww絵本みてえに映画みてえに、命を賭けてたった一人の女の子を守る、そんな魔術師になりたかったんだろwwww
だったらそれは全然終わってねえww始まってすらいねえwwちっとぐらい長いプロローグで絶望してんじゃねえよwwww
――――手を伸ばせば届くんだ。いい加減に始めようぜ、魔術師wwww」
草が生えているが……いろいろと以下省略。
禁書の話もクライマックス――――――
結局、カミやんは記憶喪失になったが、インデックスたんは救われた。
しかし、その代償で救われない少女がいたんだけども。
ここは病室。カミやんを病院に搬送して、ついに悪魔のような女が動き出す!!
「おめでとう諸君。じゃあ、インデックスたんは私たちと一緒にイギリスに帰ろうね……はぁ? 帰らない?? とうまと一緒にいるだって!?? ざけんなよ小娘風情がっ!!」
インデックスが学園都市に居残るということで、テスラ=スィトリビトルは禁書目録の『回収』を失敗に終わる最悪の展開が待っていた。
「ふざけるな、そんな話があってたまるか! 私はお前を回収して依頼をこなしお兄ちゃんと幸せになるんだよ!! お前がイギリスに戻らないと私はまた監獄送りだ!!」
禁書目録の回収―――それで晴れてイギリス清教の仲間入りだ。それが特別処置だ。
だから、失敗すればイギリスへと強制送還されることになる。監獄へ逆戻りだ。
だから、テスラは吼えた。
そして、人は追い詰められると冷静になれないっていうのは本当らしい。
「あっそう! だったらもういいよ!! もう怒った!! 最後の思い出作りにお兄ちゃんと〇〇〇するんだからっ!!」
オレたちは彼女を追い詰めてしまっていたのだ。
変な方向へと追い詰めてしまった!!
ある意味諦めるの早ッ!!
「はい、構いませんよ」
「勝手にしてくれたまえ」
お前らなんて薄情な奴らなんだ! インデックスが救われたら他はどうでもいいのか!??
これが『必要悪の教会』のやり方か!! やっぱりロクな奴がいねぇ!!
「それに今回の依頼を失敗しても大丈夫ですよ。すみません、私達は貴女を騙していました」
「ごめんね、テスラ。君が本気で仕事をしてくれるか、嘘をついていた」
「え、どういうこと?」
…………。
その言葉に困惑するテスラとオレ。あと、空気なインなんとかさん。
「はい。今回の一件でテスラは頑張ってくれました。仕事を遂行しようとする意欲が貴女にはありました。それに、手段はどうであれ、そこのロリコン野郎をずっと監視していたころもポイントは高いですね、及第点です」
お前は面接官か!!あとロリコン言うなや!!
「こちらも君みたいな優秀な人材はいくらでも欲しいのさ。だから、現場の僕たちが君の働きぶりを見て最大主教に報告したところ、君を『必要悪の教会』の一員として正式に採用することが決定した」
「「な、なんだってーーー!!?」」
「……私が空気なんだよ」
病室内ではお静かに。
結局は、禁書目録を『回収』できなくても、テスラが一生懸命頑張って働いていたら監獄行きは免除され晴れてネセサリウスの一員となった。
よかったな、テスラ。
そして、
「というわけでして、2人のお邪魔をしてはいけませんので、私達は先にイギリスに戻りますね」
「まぁぶっちゃけるとそこの一般人Aを君の足枷にするワケだけども、それでも君が望むのなら好きにするがいいさ。頑張りたまえ」
「お気遣いありがとうございます、せんぱい♪ 明日のお昼にまではそっちに戻りまーす♪」
………。
お前はいつから後輩キャラになった!??
「じゃ、お兄ちゃん覚悟は良い?」
「か、覚悟は良いかと訊ねている時点でどうかと……」
獲物を狩る目をしてらっしゃる!!
人を食ってそうな妖艶な目だ!!
「あーなんだか私もお邪魔みたいなんだよ。というか空気な私はとうまの所に戻るんだよ。テスラもひふみもお幸せになんだよ」
「ちょっと待って下さいインデックスさん! お願いですからテスラを説得させてーーー! お前だけが頼りなんだ!!」
「私、ロリコンな人が嫌なんだよ」
「そんなバカな!?」
シスターが救われないオレを見放した。
つーか、ロリコンが嫌いって、お前の口から言っては駄目だ。もうそれだけで特定の人物が死ねる。さすがにこの事実は黙っておこうか。
「じゃあね、テスラにロリコン」
「考え直してくれ、インデックスさ~ん! そしてオレはロリコンじゃねぇ!!」
今さっき名前で呼んでくれていたのにこの子までロリコン言われるのはキツい!!
あぁ、いつの間にかインデックスはどこかへ去って行った。いや、カミやんがいるであろう病室に。
そして、本当に回避不能。
「じゃあ、お兄ちゃん。今日も(・)寝かせてあげないんだから、いただきます♪」
「ふ、不幸だぁぁああああああああああああああ!!」
なんでこうなった……?
こうして、オレこと近簿一二三は思いがけない物語の最後で彼女と結ばれた。
なんか、禁書の物語に勝手に巻き込まれてドタバタしたけども、オレから言わせてもらったらバッドエンドだけども、それでもあの子の笑顔は守れたかもしれないから、我慢するとしよう。
いいんだ。オレが犠牲になれば世界が救われるんだ。きっと……
などと、少しでも感動的な話しにしようとしたが内容も薄いし、修正は不可だろう。
カエルの顔をした医者にコンドウさんは常時持っとかないと駄目だよねぇ…と、注意される始末。
ナースさんからケダモノ呼ばわりされる始末。
真相は、病室から廊下まで普通に聞こえていたり、その現場を覗き見したナースさんから病院内にはすぐに噂は広まっていた。
事後翌日、テスラはイギリスへ帰る仕度をして「また、遊びに来るからねお兄ちゃん♪」と、もうその悪魔の笑みに震え上がったんだけど。
もう入院生活は肩身狭いものとなっていった。お前は勇者だ!!とは誰も言ってくれなかった。周りの目が痛いのなんの……ナースさんや患者さん達がオレを避けるのが辛かったなーーー。
「イッチー、お見舞いにきたぜよ~」
「………」
気がつけば数日が経ち、ショックを隠せないオレが放心状態だったところに、暢気にもやってきたのは友人である土御門くんだった。
お前、今の今までどこにいたんだよ!!
今回の一件は俺は手を出せなかったのにゃー、ちょとは反省してるにゃー……とお気楽な口調でテヘペロして、お見舞いの品に高級そうなメロンを一つ丸々持ってきてくれたのニャ……
お前、責任持って食べやすいサイズにするニャよ? 一口サイズじゃないと食べあげないんだからな!
いや、あとでナースさんにカットして貰おう。野郎に切ってもらうより、そっちの方が美味しさも3割り増しだ。まぁ、ナースさんが承諾してくれたらの話だがな。ケダモノと罵ってくれてもいいからメロンが食べたいなーーー。
「で、なんだよ? 今までオレがどんな目にあったか、全ては義妹推ししたお前のせいだよ、このシスコン!!」
「あー、はいはい、人のせいにするのはよすにゃー。こっちはこっちでいろいろ大変だったんだぜい?」
土御門は学園都市にもイギリス清教にも所属する二重スパイ。否、他の機関にも所属しているとかないとか言っていたから多重スパイかもしれない。
それで、今回の一件とは別のお仕事があったから忙しかったんだろうな。それはなんとなく分かったいるつもりだ。
それを分かった上でオレは無茶を言っている。文句を言うしかなかったんだ。もっと言わせてくれ。
「テスラの暴走止めるの、お前の役目だろうがよ!」
「それは違うにゃ、暴走を止めるのはイッチーの役目ですたい。俺の役目はそんなイッチーを慰めるためのアフターケアだけだぜい?」
「やめて、その言い方は誤解を招く。もうこれ以上ナースさん達に罵倒されたくない、もしくは一部の女性たちが聞けば鼻息荒くしそうだな!」
「そう聞こえるのはイッチーにそっちの気があるからそう聞こえるだけだし、俺はお前のことなんて好きじゃないんだからにゃー」
「あれ? やっぱり変に聞こえるのは気のせい!??」
まぁ冗談はさて置き。
「あの日、テスラとあんなことやこんなことを体験してしまったせいで、青髪やクラスの連中からはバッシングの嵐。吹寄からは距離を置きましょうと『友人』の位置から『単なるクラスメイトA』に変わり身しやがった。黄泉川先生には『お前、ちゃんと責任持てよ』と背中をそっと押され、子萌センセーは『生徒さんの幸せは先生の幸せでもあるんですよー。近簿ちゃん、その子と末永く幸せになるんですよー』と泣く始末。挙げ句の果てには、最近仲良くなった女の子たちからも『犯罪者予備軍』から『性犯罪者』に改名されちゃった!! あと、インデックスは……あれっきり顔も見ていないな」
「にゃ~、そりゃどんまいだぜい。イッチー」
もう退院まで誰もお見舞いに来なくなってしまったな……
あ、記憶喪失のカミやんを放置しているけど、まぁいいか。
とりあえずは、今後の作戦を立てるとしよう。もうアニメで知っている彼らの物語に巻き込まれたくないのである。
もうやだ……
後書き
いろいろストーリーを省いていますので、近簿一二三とインデックスが普通に会話していましたが、病院内で初対面したところを妄想していただけたら幸いです。
酷い内容ですが、禁書目録編は終わりです。
次回は吸血殺し編だと思いますが、2話ほどで終わらせる予定です・・・
とりあえず、まだ第一章だという現実にちょっと心配ですが続けます。
というか始から章を作るんじゃなかった!!
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