いつか必ず、かめはめ波を撃つことを夢見て
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第15話 決着!ナシゴ対ピッコロ大魔王
かめはめ波とは、気の圧縮である。圧縮ということは、気に圧力を加えて、気を縮小して放つということだ。気に圧力を加えるということは、何かしらの力が掛かっている。
つまり、気を気で凝縮させてみてはどうか? 土壇場で思いついた、この方法について、実践してみせるナシゴ。
「かぁ……めぇ……」
気を操作して、体内エネルギーを凝縮する。残りの力をすべて注ぎ込むナシゴ。最後の一発として、気を高める。ナシゴの手のひらの間にソフトボールぐらいの大きさの青白い玉が発生する。高まった気によりバチバチと電気のようなエネルギーが発生する。それを感じながら、ナシゴはかめはめ波が撃てることを確信した。
「はぁ……めぇ……」
ナシゴは血で霞む目をこらし、ピッコロ大魔王を睨む。また、射線上に何もないことも確認する。ピッコロ大魔王は興味深そうに、こちらの様子を見ている。余裕の表情だ。
両手の手首を合わせて、手を開き前へ突き出す。
「波ぁぁぁっ!」
瞬間、ナシゴの手のひらから青白く光る気が一気に放出された!
両手から放たれる青い気。まさか、気を放つ技を持っているとは予想していなかったピッコロ大魔王は、ナシゴが発する大きな気の大砲に咄嗟に対応するために、自身の必殺技を放つ。
「何っ! くっ、爆力魔波!」
ナシゴのかめはめ波と、ピッコロ大魔王の爆力魔波がぶつかり合う! 青い光と、黄色の光。互いの気がぶつかり、地面を削り、大地が裂ける。
「はぁっっっ!」
ナシゴが力の限り叫び、身体のエネルギー全部を使い切る勢いでかめはめ波のエネルギーを放つ。ナシゴとピッコロ大魔王のちょうど中間地点に、競り合った気がぶつかり合っている。
「ぐぅっっっ」
かめはめ波という必殺技に、驚き、対応が遅れたが、何とか耐えることが出来たピッコロ大魔王。まだナシゴがかめはめ波という技を使いこなせておらず、思いつきで放った技なので、効率が悪いから、耐えられてしまった。
ナシゴは全身の気という気をすべてかめはめ波に注ぎ込み、もうほとんど力を残していない。対して、苦しいがまだ力を残しているピッコロ大魔王は、勝利を確信した。
「勝ったぞ! 勝利者はこのピッコロ大魔王様だ!はぁぁぁぁぁ」
「くそっっっ!」
ピッコロ大魔王が、更に気を爆力魔波に送り込む。ナシゴは、ピッコロ大魔王の爆力魔波に押し負ける。もう力が残っていないナシゴに爆力魔波に耐える方法はなかった。と、その時。
「ピッコロ大魔王!」
「なにっ!」
「武泰斗!」
今まで、気絶をしていた武泰斗がいつの間にか起き上がり、電子ジャーを用意している。武泰斗は、隠し持っていた最後の仙豆を飲み、身体を回復していたのだった。
「まさかっ! やめろ武泰斗! 死ぬなー!」
瞬時に武泰斗のしようとしている事を見抜くナシゴ。両腕を前に突き出し、叫ぶ武泰斗。
「魔封波じゃ!」
ナシゴの叫びも関係なしと、武泰斗は己の最高の技をピッコロ大魔王に向けて放つ。両手から気を放ちピッコロ大魔王の動きを縛る武泰斗。大きな渦が発生し、ピッコロ大魔王は飲み込まれた。
「何だと! なんだこれは!わぁぁぁぁ」
ピッコロ大魔王が魔封波に飲み込まれる。抜けだそうと、もがくピッコロ大魔王だったが、ナシゴへ放った爆力魔波に力を注いでしまっていて、抜け出せいない。
「ぐっうっ!電子ジャーだ!」
武泰斗のさらなる叫び。そして、わあぁぁぁと、ピッコロ大魔王の断末魔があたりに響き渡る。断末魔は、電子ジャー向かい飛ぶ。武泰斗が、最後の力を振り絞って、電子ジャーのフタをと閉じると、ピッコロ大魔王は封じられるとともに、声は一切聞こえなくなった。あたりが静寂を包んだ。
武泰斗が魔封波という最終奥義で力を使い果たし、地面へと倒れる。ナシゴは、武泰斗に駆け寄り声を掛ける。一瞬の出来事だった。ナシゴは事態が移り変わる事をただ見ていることしか出来なかった。
「武泰斗! おい、しっかりしろ」
ナシゴが武泰斗に駆け寄り、武泰斗の上半身を抱き上げる。
「ふふふっ、勝負の邪魔をしてすみません。しかし、あのピッコロ大魔王に地球人を皆殺しにさせるわけにはいかなかったのですよ」
「あぁ、ピッコロ大魔王に俺は負けていた。かめはめ波が打ち破られた後、俺は殺されていたかもしれない。だが、お前が死ぬことなんて無いはずだ」
「ナシゴ様、ピッコロ大魔王を封じた電子ジャーお願いします」
「武泰斗! おい、武泰斗!」
魔封波によって魂をも使い果たして、ピッコロ大魔王を封じた武泰斗。力を使い果たしてもう、立ち上がることも難しいナシゴ。二人はピッコロ大魔王に勝つことが出来た。しかし、それは大きな犠牲を払った勝利だった。
ナシゴは自身の力のなさを再度確認した。なぜ、仙豆を持ってこなかったのかということ、ピッコロ大魔王を侮って、勝負に負けそうになってしまったこと、武泰斗を死なせてしまったこと。かめはめ波という必殺技を持ってしても勝てなかった敵。自分には修行が足りない。それだけが、その勝負を経て残った思いだった。
その後、ナシゴは武泰斗の遺体を、武泰斗の弟子達に任せると、電子ジャーを片手に觔斗雲に乗ってカリン塔へと向かった。
そして、時間は一気に進み、原作の始まるエイジ749年になった。
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