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美しき異形達

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第四話 第二の怪人その八

「ガソリン代がある時に楽しむか」
「それね」
「ああ、ガソリンがないとな」
 バイクはというのだ。
「駄目だからな」
「そうよね、けれど寮だと」
「お金がなあ」
「じゃああまり乗れないわね」
「孤児院でもそうだったしな」
 実はだ、そこにいた時もそうだったというのだ。
「実は買いもの、孤児院の用事で行く時以外は乗ってないんだよ」
「そうなのね」
「モトクロスの時は違ったけれどな」 
 その時は普通に乗れたというのだ。
「孤児院が参加させてくれてだったからさ、活動で」
「だから大丈夫だったのね」
「その時はさ、けれど普段はな」
「お買いもので出る時だけで」
「乗ってなかったよ。けれど乗るのは好きだよ」
「そうなのね」
「ついでに言えば自転車に乗るのも好きだよ」
 こちらもだというのだ。
「だからバイクに乗れない時はそっちに乗ってるよ」
「自転車ね」
「あれもいいよな」
「私も自転車好きよ」
「じゃあ今度二人でサイクリングでもするか?」
「いいわね」
「それはいいね。ただね」
 サイクリングの話を聞いてだ、智和は薊にこう言ってきた。
「その時もね」
「ああ、来るよな怪人が」
「薊ちゃんを襲ってきますね」
「その可能性があるからね」
 だからだというのだ。
「その時は気をつけてね」
「ああ、わかったよ」
 薊も智和のその言葉に頷いて答える。そしてだった。
 薊はチョコレートケーキを一口食べた、そのうえで言うのだった。
「美味いな、このケーキ」
「そうよね、かなりよね」
「何処のケーキだろうな、これ」
「まさか先輩のお屋敷のシェフの人達がとか?」
「これは山月堂のケーキだよ」
 その店のものだというのだ。
「八条町にあるお菓子屋さんだよ」
「あっ、あそこですね」
 山月堂と聞いてだ、こう答えた裕香だった。
「あそこのお菓子は美味しいですね」
「元々は和菓子のお店だけれど洋菓子も作っていてね」
「最近月餅も作ってますね」
「どのお菓子も美味しいんだよね」
「そうですよね、私も時々ご馳走になっています」
「うちのメイドさん達の間でもファンが多いんだよ」
 その理由は簡単だ、美味いからだ。
「だから今日もこうしてね」
「買って来てくれてですね」
「そう、出してくれたんだ」
「そうなんですね」
「そうだよ。もっともうちのシェフさんはパティシエの人もいるよ」
 その専門の人もだというのだ。
「けれど今日のおやつは休んで貰ってるんだ」
「そうですか」
「とてもいい腕の人だよ」
 智和はにこにことしてこのことも話す。
「だから今度来た時はね」
「ご馳走になってもいいんですね」
「是非食べて欲しいね」
 ここまで言う智和だった、微笑みと共に。 
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