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久遠の神話

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第九十七話 ラドンその六

「とてもね」
「そうですよね」
「そうよ。それでもね」
「勝てますね」
「無敵の存在もいないし」
 それにだとだ、またこう言うスフィンクスだった。
「今の貴方ならね」
「勝てるんでしたね」
「ええ、だからね」
「ここはですね」
「焦ると。勝てる状況でもね」
「敗れますね」
「そうだ、だからね」
 それでだというのだ。
「焦らないことよ」
「絶対にですね」
「そうするのよ、今もね」
「わかりました、じゃあ」
「既に策を思いついたわね」
「はい、少し」
「それなら見せてもらうわ」
 スフィンクスは穏やかな声で上城に言った。
「今からね」
「はい、それじゃあ」
 こう応えてだ、そのうえでだった。
 上城は剣を構えてだ、そうして。
 その剣を砂に刺した、そして。
 そこから懇親の冷気を流した、水を流しそれと共に。
 今流せる懇親の冷気を流したのだ、すると。
 その冷気はラドンの下まで行った、そして。
 身体のかなりの部分を砂につけているラドンを襲った、すると。
 その身体が凄まじい勢いで凍っていった、それは怪物の身体の下半分を瞬く間に覆い。
 身体全体も覆った、そしてその巨体を氷で覆い。
 上城はだ、こう言ったのだった。
「これなら」
「考えたわね」
「血も凍りますから」
「そうね、しかも鱗からもわかったわね」
「爬虫類になりますね、ラドンよ」
「ええ、そうよ」
 そうなるというのだ、生物的に。
「そして鱗は毛よりもね」
「熱を通しやすいですね」
「そうよ、そのことからもなのね」
「考えました、冷気を通しやすいので」
「下から冷気を水と共に流して」
「止めました」 
 そうしたというのだ。
「これならと思いました」
「そういうことね。変温動物であることと鱗の特性を考えて」
「そしてラドンは飛ばないので」
 このことが第一だった、この場合は。
「これならと思いました」
「そういうことね。考えたわね」
「はい。後は」
「もうラドンは終わったわ」
 全身が氷、厚いものに覆われている。それでだというのだ。
「オリジナルは不死身でね」
「これで血が凍り心臓の動きが止まってもですね」
「ええ、死なないわ」
 例えだ、そうなっても死ぬことはないというのだ。オリジナルのラドンならば。
「決してね」
「そうですね。ですが」
「このラドンは違うわ」 
 スフィンクスが出したコピーのラドンはというのだ。 
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