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久遠の神話

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第九十七話 ラドンその四

「神戸のね」
「砂浜、確かにあそこは」
「そう、広いわね」
「はい、それなら」
「今から行くわよ」
「わかりました、それなら」
 上城もスフィンクスの言葉に頷いて答えた。そうしてだった。
 スフィンクスはその上城をある場所に瞬間移動の力で移した。無論彼女も彼と共に行った。
 左手に青い海が見える砂色の場だ、そこに来ると。
 スフィンクスは上城の右手に座っていた、獅子の座り方である。
 その座り方でいてだ、こう言ってきたのだ。
「ではね」
「はい、今からですね」
「ラドンを出すわ。言っておくけれど」
「これまでの怪物以上にですね」
「強いわ」 
 そしてだというのだ。
「巨大よ」
「身体を起こせば天に届く程でしたね」
「いえ、そこまではね」
「そこまではですか」
「大きくはないわ。けれどね」 
 それでもだというのだ。
「何十メートルもあるわ」
「怪獣位ですか」
「特撮の怪獣ね」
「はい、それ位ですよね」
「そうね、確かにね」
 それ位の大きさだというのだ、実際に。
「あれ位の大きさよ」
「そうですか」
「そして頭の数はね」
「百ですね」
「その通りよ」
 それだけの数だというのだ、実際に。
「だから強いことは間違いないわ」
「そうですよね」
「けれどね」
 勝てるというのだ、今の上城ならば。
「後は気をしっかりと持つことよ」
「それだけですか」
「では出すわ」
 こう言ってだった、スフィンクスが念を入れると。
 目の前にその巨大な竜が姿を現した。身体は蛇を思わせる。手足は見受けられない。
 そして言った通りだった、その頭は。
 無数の竜だ、そのどれもが赤い目を爛々とさせて鋭い牙を見せている。頭の数は最早一目では数え切れない程だ。首の長さもそれぞれ相当なものだ。
 その竜を前にしてだ、上城は剣を出した。一振りの青い剣を。
 剣道の中段でその剣を構えた彼にだ、スフィンクスは横から問うた。
「はじめるのね」
「今からそうします」
「わかったわ、ではね」
「勝ってきます」
 上城は鋭い声で告げた、そしてだった。
 まずその剣を上から下に一閃させた、すると。
 その一閃が氷の刃になった、刃は鎌ィ足となって怪物を打った。
 だがそれではびくともしなかった、上城はそれを見て言った。
「あれ位では」
「何ともないわ」
 その通りだとだ、スフィンクスが返す。既に後ろに退いている。
「生憎だけれどね」
「やはりそうですか」
「そうよ、だからね」
「これで通じないのなら」
「わかるわね」
「はい、より強い攻撃で」
「ラドンを倒せる攻撃を出すことよ」
 今の様な小手調べの様なものではなく、というのだ。 
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