美しき異形達
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第四話 第二の怪人その四
「不思議な絵だよな」
「ちょっとないわよね」
「現実にはな。面白い絵だな」
「空に浮かぶ岩の上にあるお城の絵とかもあるのよ」
裕香はマグリットの代表的な絵のことも話した。
「ピレネーの城っていうね」
「そういう絵もあるんだな」
「そうよ、あるのよ」
「成程な、そういう絵もあるんだな」
「そうなの、まさかマグリットの絵があるなんて」
「コピーではないよ」
智和は微笑んでこのことを保障した。
「マグリット自身が描いたね」
「凄いですね、相当な価値がありますよ」
「そうだね、だから家でも一番価値のあるものなんだ」
「そうなんですね、それでなんですけれど」
「うん、何かな」
「今から何のお話を」
裕香は智和にこのことも尋ねた。
「するんでしょうか」
「怪人のことで何かわかったのかい?」
薊も智和に問うた。
「それかい?」
「いや、怪人のことは何もわかっていないよ」
それは何一つとしてだというのだ。
「残念だけれどね」
「それで何であたし達を呼んだんだよ」
「屋上の時は何かわかりませんでしたけれど」
「だから僕は寂しがりなんだ」
智和は二人にこう答えた。
「それでなんだ」
「あっ、ということは」
「今日私達を呼んでくれたのは」
「友達だからね」
それでだというのだ。
「だからなんだ」
「一緒にお茶飲んでか」
「そうしてお喋りをして」
「その為にあたし達を呼んだのかよ」
「そうなんですね」
「そうだよ。駄目かな」
智和はこう二人に返した。
「その理由で」
「いや、別に」
「それは」
ないとだ、こう返した二人だった。
「あたし達にしてもさ」
「先輩のお招きでしたら」
「だからな、色々とな」
「お話しましょう」
「お庭もよかったらね」
そこもだというのだ。
「観てくれるかな」
「庭な」
「そちらもですね」
「幾らでも観ていいよ」
その庭もだというのだ。
「そちらもね」
「とりあえずな」
薊は智和の話を聞き終えた、そしてこう彼に言った。
「ここでゆっくりとさ。先輩のこと聞きたいんだけれど」
「僕のことかな」
「いや、それはもうある程度聞いたか」
「ではいいんだね」
「別にさ。まあ好きな食べものとかはさ」
「何でも食べるけれど特に好きなものはステーキかな」
それが好物だというのだ。
「それだね」
「ステーキかよ」
「うん、牛肉をレアでね」
「ステーキか。あたしが孤児院とかで食ってたステーキってな」
「どんなのだったのかな」
「普通のさ、輸入肉のだよ」
薊が食べていたステーキはそれだったというのだ。
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