ヘタリア大帝国
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TURN141 石の謎その六
「俺はしない」
「今時お料理しない男ってのも駄目だけれど」
ハニーはむっとした顔になってランスに返した。
「あの田中副長官だって出来るわよ」
「ああ、あいつ寿司とか握れるからな」
「和食だけしか出来ないけれど和食なら職人並よ」
言うまでもなく和食のだ。
「実家が魚屋さんだしね」
「それでか」
「そうよ、だからよ」
「魚に慣れてるんだな」
「お寿司にお刺身に天麩羅にね」
どれも和食だ、それに。
「お蕎麦とかおうどんも凄いわよ」
「そっちでも食えそうだな」
「そこまでいってるわね、実際に」
「それで俺はっていうんだな」
「お料理も身に着けてみたら?」
ハニーはそのじとっとさせた目でまた田中に言った。
「本当にね」
「じゃあ缶詰を空けるか」
「まさかそれでお料理をしたって言うつもり?」
「トーストを焼くかインスタントラーメンを作るか」
「どれもお料理じゃないわよ」
ハニーの目はじとっとしたままだ、目でこいつ何言ってるのと言っている。そうした目である。
「あんた絶望的にそっちの才能ないのね」
「保存食あるからいいだろ」
「よくないわよ」
それもだというのだ。
「というか何処がいいのよ」
「俺の世界じゃいいんだよ」
「ああ、あんたRPGの世界から来てるからね」
「女の子が一杯いてな」
「で、酒池肉林なのね」
「そうした世界だからな」
保存食とシィルの料理でもだというのだ。
「いいんだよ」
「まああんたの世界はそれでいいでしょうけれど」
「こっちの世界はっていうんだな」
「そうよ、また違う世界だから」
「男も料理をしないといけないか」
「本当にシィルさんに頼りきりじゃね」
駄目だというのだ。
「こっちの祖国さんだってお料理凄いから」
「ああ、中国さん確かに料理上手だよな」
「プロ裸足よ」
伊達に中国そのものではない、このことは当然のことだ。
「あの人も男だけれど」
「料理がいいか」
「あとイタリアさんもね」
「料理上手の国も多いな」
「というか国家が普通に皆と一緒にいるってないでしょ」
ハニートラップはこうも言う。
「そうでしょ」
「言ってしまえばそうだけれどな」
「この世界独特だから」
「本当にな、しかし料理上手なのはいいことだな」
「だからあんたもお料理勉強したら?」
「それでもな」
まだ言うランスだった、今は浮かない顔になっている。
「俺にはシィルがいるんだよ」
「それでお料理しないのね」
「悪いかよ」
「お料理出来る男ってポイント高いのよ」
まだこう言うハニートラップだった。
「女の子もね」
「そう言うあんたもかよ」
「勿論よ、自信あるわよ」
ハニートラップはこのことは笑って述べる。
「いいもの作るから」
「じゃあ戦いが終わって元の世界に帰るまでにな」
「ええ、ご馳走するからね」
「待つか、東郷さん達を」
ランスは自分も行きたい気持ちを抑えて言う。
「昼寝でもしながらな」
「結局そこに落ち着くのね」
これがランスだった、そうして。
彼もシィルも今は休む、その中で。
最後の戦いへの準備は今終わろうとしていた、レーティアが出撃が決まっている面々を集めて強い声で言った。
「遂にだ」
「完成したのね」
「明日だ」
こうキャロルに答える。
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