自分の口
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第二章
第二章
「どうだよ、それで。百万出すぞ」
「百万ですか」
「この前政治家連中から巻き上げたんだ」
そうだというのである。
「だからな。どうだ?」
「いえ、今日は」
「何だ、つれないな」
「すいませんね。まあこれをどうぞ」
ここでレミーランタンを出すのだった。鳩山はそれをラッパ飲みする。これが彼であった。まさに得意の絶頂にあると言ってよかった。
テレビはまさに無敵だった。だが、だった。
ある日ネットでだ。こんなことが書かれたのだった。
「鳩山銀座でひでえんだよ」
「何だ?何やったんだ?」
「銀座か」
「ああ、ホステスにセクハラしてんだよ」
まずはここから言われたのだった。
「もう殆ど風俗まがいでな」
「えっ、そんなに酷いのか?」
「そこまでなのか?」
「おまけに言っていることも酷いんだよ」
このことも言われた。
「もうな。俺は何でもできるって口調でな」
「おい、それじゃああれだろ?」
「あいつがテレビで言ってることじゃないか」
「なあ、政治家とか官僚とか糾弾してるのとな」
「それと同じじゃないか」
「それでな」
ここで最初に書いた人間が提案した。
「今度その店に潜伏してみる。金があるからな」
「それでか」
「実際に動画撮るんだな」
「ああ、やってみる」
そうするというのだった。
「あいつに見つからないようにな。店の人と話してな」
「おっ、店の人も協力してくれるのか」
「そうしてくれるんだな」
「鳩山のやりたい放題に頭にきてるらしいんだよ」
それでだというのだ。
「それであいつを何とかしたいらしくてな」
「それでか」
「それでなんだな」
「ああ、それでだ」
まさにそれでだというのだった。
「協力してくれるみたいだしな」
「じゃあできるな」
「それ」
「迷惑な客の告発ってことでな」
表向きの理由はそれであった。
「それでやるからな」
「ああ、頼んだぜ」
「それじゃあな」
こうして話が密かに進んだ。そうしてだ。
肝心のテレビにおいてもだ。鳩山は続けて失態を犯したのだった。
ある左翼団体の抗議デモがあった。この男はそれを全面的に応援していた。
「三千人も集まりました」
「三千人ですか」
「はい、三千人もの抗議ですよ。これが民衆の声なんです」
こう言っていたのだ。だがこの数はすぐに三千人もいないことがわかった。千人もいないことがすぐにわかってしまったのだ。
だが鳩山はこのことに対してだ。こう言ったのだった。
「数の問題ではありません」
この言葉にだ。視聴者達は呆れた。鳩山とニュース番組に抗議が殺到した。
しかし鳩山はそれを無視した。そしてまたやったのだった。
ある国が日本との試合の後にあろうことかマウンドに旗を突き刺した。このスポーツにあるまじき行動を擁護したのである。
これにもだ。またしても抗議が殺到した。
「御前もうスポーツ語るな!」
「何だそりゃ!」
「御前元々スポーツ報道出身だろうが!」
「ふざけるな!」
こう抗議が殺到した。しかし今回もだった。
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