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魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~

作者:雪月花
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第5話『休日』

 side高町なのは









なのは「はぁ~………疲れた~」


 昨日から徹夜で資料整理をしていて今ようやく終わりを迎えた。
 そして、今は自分の部屋に戻ってベットに倒れ込む。
 ベットの横に立ててある二枚の写真に視線を向ける。
 一枚は10年前、9歳の時の私とその横で私の方を抱いている一人の青年。
 もう一枚はその半年後、はやてちゃん、フェイトちゃん、ヴィータちゃん、シャマルさん、シグナムさん、ザフィーラさんみんなの真ん中に写っている青年。
 名前はカズマ・キサラギ、私の初恋の相手。


なのは「また……一緒だねカズマくん」


 そう呟くと私はそのまま眠りについた。









 魔法少女リリカルなのはStrikerS~青年と機動六課物語~
 第5話『休日』









 sideカズマ・キサラギ









スバル「ねえねえ、ティア。これなんてどうかな?」

ティア「いいんじゃない?私はこっちの方がいいけど」

スバル「じゃあさ、どっちも買っちゃおうよ」

ティア「そうね。すいませーん、これとこれください」


 現在俺は服屋に来ている。
 なぜせっかくの休日にこんな所にいるのだろうかというとそれは少し前にさかのぼる。









 ~回想~









 それは今日の朝再試験も無事にパスした俺は久しぶりの休日を過ごそうと朝からDSPの『マジカルハンター』をやり込もうと電源を入れると。


スバル『カズマ~起きてる~?』


 コンコンとドアをノックと共にスバルの声が聞こえる。
 まあ、なんか嫌な予感がするので無視しておこうゲームもしたいし。


スバル『カ~ズ~マ~?』


 コンコン。


ティア『起きてるんでしょ?』


 コンコン。コンコン。

 どうやらティアも一緒のようだ。だが、それでも俺は無視し続ける。


スバル『カズマ、居ないのかな?』

ティア『大丈夫よ。どうせ、寝たふりでもしてるんだからノックしとけばそのうち出て来るでしょ』


 コンコン。コンコン。コンコン。

 ちっ。ティアには俺の考えはお見通しか。
 だけど、ここまで来て後には引けない。


スバル『ティア~、どうしようか?』

ティア『ドアを壊す………訳にはいかないわよね』

スバル『え?……壊したら駄目なの?』

ティア『まあ……私たちには関係ないからいいか』


 なんか無茶苦茶物騒な事をドアの向こう側で言ってるんだが……。
 てか、良いわけ無いだろ!後で怒られるのは俺なんだからな!

 コンコン。コンコン。コンコン。…ドンッ!ガンッ!

 徐々にノックの音が激しくなってるんだが。
 しかも、ドアが少しづつ変形を始めてるし!!


カズマ「ちょ、お前らなにしてんのぉぉ!?」


 急いでドアに駆け寄るが――――。

 バコーン!!

 ドアが破られました。
 ええ、それはもう凄い勢いで…。
 あ、ちなみに俺はその壊れたドアの下敷きになりました…。


スバル「あれ~?カズマ居ないよ~?」

ティア「あら、本当ね。何処に行ったのかしら?」


 壊れたドアの上にさも当たり前のように乗っかってくる。
 ううぅぅ~、さすがに二人は重い……っていうかティアは気づいてんじゃねぇのか?


スバル「あ………ティア。カズマいたよ」


 スバルが壊れたドアの下をのぞき込んで気づく。


ティア「なにそんなところで寝てるのよ」

カズマ「なに白々しく言ってんだよ。お前は最初から気づいてたくせに」


 スバルに引きずり出されながらティアに言う。


ティア「当たり前じゃない」


 くっ、こいつ何時か仕返ししてやるからな覚えてろよ!


カズマ「それで、なんだよこんな朝っぱらから」

スバル「そうだった。カズマ、今日は暇だよね?」

カズマ「……だったら何だよ…?」

ティア「なら、買い物に付き合いなさいよ」


 えぇぇ~。
 正直、面倒くさいなゲームもやりたいし。
 よし。ここは音便に済ませるか…。


カズマ「だが、断る!!」

ティア「スバル!」

スバル「う、うん。カズマごめんね!」

カズマ「うごっ!!」


 パチンッ!とティアが指を鳴らすと同時にスバルの拳が俺の鳩尾にめり込む。
 そのまま、倒れ込む。


ティア「よし、スバル行くわよ」

スバル「う、うん。カズマはどうするの?」

ティア「ひこずって行けばそのうち気がつくでしょ」


 そのまま、スバルに襟首を掴まれてひこずられいった。









 ~回想・了~









 ……ってな事がありました。
 ホント俺に対しての扱いが酷いよな…。


ティア「ちょっと、カズマなにボ~っとしてんのよ。早くこれ持ちなさいよね」


 目の前に二つの袋を出す。


カズマ「てか、お前らまだ人に荷物を持たせる気か!」

ティア「当たり前じゃない。なんのためにあんたを連れてきたと思ってるのよ」

カズマ「くっ、こいつは」


 ホントこいつは何で俺に対してこうも酷いのか。


ティア「ほら、さっさと行くわよ!」

カズマ「……へいへい」










 ◇◇◇◇◇









カズマ「はぁ~……つ、疲れた~」


 一通りの買い物を終えた俺たちは一休みするために喫茶店に入った。


ティア「まったく、だらしないわね。いつもトレーニングをサボってるからよ」

カズマ「なんだと?こんなに荷物持たされたら誰だって疲れるわ!」


 俺は横に山積みになっている服やら何やらが入っている袋を指さして軽く怒鳴る。


ティア「荷物持ちは男の役目でしょ?」

カズマ「誰が決めたんだよ誰が」

ティア「誰も決めてないわよ?じょ・う・し・き♪」


 そんな、可愛い風に言っても可愛く無いんだよ!


ティア「あんた、今失礼なこと思わなかった?」

カズマ「思うわけ無いじゃないですか。まったく、どんだけ自意識過剰なのかしらこの子は…」

ティア「あ、あんたね~!」

スバル「まあまあ、二人ともいつまでも言い合いしてないで注文しようよ注文」


 さっきまでほとんど存在が影だったスバルの一言でひとまずその場は収まり俺はコーヒー、ティアはケーキセット、スバルは超特大スペシャルパフェをそれぞれ注文した。


カズマ「……お前、それ食えるのか?」

スバル「ん?大丈夫だよ」


 スバルが頼んだ超特大スペシャルパフェはゆうに10人分くらいの大きさだった。
 まあ、スバルは言葉の通り数十分で完食した。
 どんな、胃袋してんだこいつは……。









 ◇◇◇◇◇









スバル「ティア、ゆっくり……ゆっくりだよ」

ティア「わかってるわよ!………ああ!」

スバル「ああ~、また駄目だったね」

ティア「本当に取れるのかしらこのUFOキャッチャー」


 喫茶店を出た後にゲームセンターにやって来ていた。
 スバルとティアはUFOキャッチャーにお金を投資している。
 やれやれ、そろそろ助けてやるか…。


カズマ「ほら、貸してみろ」

スバル「え、カズマ出来るの?」

カズマ「まあ、人並みにはな。それで、どれが欲しいんだ?」

スバル「あの、ぬいぐるみ!」


 スバルが指さしたのは大きめの熊のぬいぐるみ。
 ふむ、上手く引っかければ取れるかな?


カズマ「りょ~かい」


 ♪~♪~


 軽快な音楽と共にアームを動かしてスバルの欲しがる熊のぬいぐるみから若干反らしたアームを止める。


スバル「それじゃ取れないよカズマ!」

カズマ「いいから、黙って見てろ」


 スバルの言った通りぬいぐるみを完璧にアームで挟む事は出来ずそのまま上に戻るが―――。


スバル「おお~!」


 上手くぬいぐるみのタグに引っかかってアームによってつり上がりそのままゲット。


カズマ「まあ、ざっとこんなもんだな」

スバル「すごいよ、カズマ~!ありがとう!」


 スバルがぬいぐるみをギュッと抱きしめる。
 普段は割と男っぽいけどこう見てると普通の女の子だよな。


スバル「どうしたの?カズマ」

カズマ「いや何でもない。それよりティアもなんか欲しいのはあるか?」

ティア「私?私は………あれをお願い」


 ティアが指さしたのは羽根をはやした黒猫のぬいぐるみだった。
 こいつも、結構少女趣味だよな。


カズマ「OK。まかせとけ」


 ♪~♪~


 再び軽快な音楽と共にアームを動かす。
 あれがある場所が山積みになっているぬいぐるみの一番上。
 なら、取らなくても上手く転がせば自動的に手にはいるだろう。
 頭の部分にアームを合わせて頭を浮かせるそしてそのまま転がって落ちてくる。


カズマ「ほい、一丁あがり。ほら、ティア」


 取り出し口からぬいぐるみを取り出しティアに渡す。


ティア「あ…ありがとう」


 少し恥ずかしがりながら受け取るティア。
 そして、頬を軽く染めながらギュッとぬいぐるみを抱きしめる。
 しかも珍しく嬉しそうに頬を緩めていやがる。
 たく、いつもこんなんならかわいげがあるのになぁ…。


ティア「な、なによ。さっきから人の顔をじ~っと見て」

カズマ「いや、別に…」


 さて、ゲーセンで遊んでいると良い具合に日が傾いて来たので外に出る。


スバル「いや~、遊んだね~」

ティア「そうね。ゲームセンターも久しぶりだったけど案外楽しめたわね。あと、約一名の鼻も折らせてもらったし」

カズマ「くっ、次は負けない」

ティア「いつでもかかって来なさい」


 ガンシューティングでティアに俺の全てのスコアを塗り替えられてしまったのだ。
 この屈辱は次に確実に返させて貰うから名な!


スバル「ねえねえ、帰る前にさあそこに行こうよ」

カズマ「ああ、あそこな」









 ◇◇◇◇◇









スバル「うわ~、きれ~い!」

ティア「相変わらず良い場所ねここは、風も気持ちいいし」

カズマ「そうだな」


 スバルが行こうと言った『あそこ』とは市街地から少し離れた小高い丘の上にある小さな展望台。
 ここから見る夕日がとても綺麗なので俺たちが訓練生の時からよく来ていた場所。


スバル「でも、当分はここに来れないね」

ティア「そうね。来月から機動六課に配属だしね」

カズマ「なに感傷に浸ってんだよ。もう、二度と来れなくなるわけじゃないんだ。また三人で来ようぜ」

スバル「うん。そうだね!」

ティア「……そろそろ、暗くなってきたから帰りましょうか」

カズマ「そうだな」


 そう言って俺たちは歩き出す。
 すると、スバルが小走りで前に来てクルッと半回転してこっちに振り返る。


スバル「新部隊に行ってもよろしくね、カズマ、ティア」

カズマ「まっ、お前の面倒見るのはティアの仕事だけどな」

ティア「ちょっと、なんで私だけなのよ!ていうか馬鹿は馬鹿同士で仲良くやりなさいよ!」

スバル「カズマ~、ティアが酷いよ~」

カズマ「よしよし、酷いよな~」

ティア「あんた達……一回死ぬ?」

スバル&カズマ「いえ、結構です」


 こうして俺たちの久しぶりの休暇は過ぎていった。
 ちなみに…。


カズマ「そう言えば、荷物忘れてきたな」

ティア&スバル「あ………」

 荷物をゲーセン近くのロッカーに忘れてきたので取りに戻りました。 
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