美しき異形達
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第三話 怪人と炎その二
「その怪人はね」
「夜の商店街を歩いていたらか」
「そう、コンビニまで行く為にね」
「先輩お金持ちなのにコンビニに行くんだな」
「行くよ、僕もね」
そうだとだ、智和は薊に微笑んで答えた。
「それは資産とは関係ないよ」
「そうなんだな」
「そうだよ、駅前のコンビニはいいものが多いからね」
だからだというのだ、その店に行っているというのである。
「それで行っていたら」
「見たのかよ」
「そうなんだ、そして僕が次にその怪人を見た時は」
その時はというと。
「怪人は灰になっていたよ」
「あたしと闘った時と同じだな」
「そう、ただその時は炎ではなかった」
そこは違うというのだ。
「別のものだったよ」
「それ何だよ」
「氷が傍にあったよ」
それがだというのだ。
「それでおおよそわかったんだ」
「術かよ」
「普通氷は灰の傍になんかないね、道でね」
「まあな、かき氷とかじゃないだろ」
「勿論そんなものじゃないよ」
氷といっても様々だ、かき氷の様に食べるものではないというのだ。
「そう、氷を刃の様にして灰の中に突き刺さっていたんだ」
「明らかに普通の氷じゃねえな」
「そう、だからね」
それでだというのだ、智和は察したというのだ。
「僕はそれが特別な、しかも人間が使ったものだと察したんだ」
「その使った人は見ていなくてもですか」
「そうだよ」
智和は今度は裕香に話した、勿論薊にもだ。
「察したんだ」
「憶測、だよな」
「憶測は憶測だよ」
智和もそれは否定しない。使った人間を見ていないのだ、それでは憶測としか言い様がない。だが憶測でもだというのだ。
「けれどね」
「力かよ」
「そう、僕も。これは本当のことだけれど」
実際に嘘を言っていない顔で言う智和だった、薊と裕香に。
「怪人を見たのも偶然で力を見たのもね」
「どっちもかよ」
「気付かれなかったんですね」
「そう、そして君のことだけれど」
今度はだ、薊のことについて話すのだった。薊はそのことを聞いて身を乗り出した。三人共今は食事の手は止めている。
その薊にだ、智和は話した。
「君の力は」
「最初から気付いてたみたいだな」
「うん、そうだよ」
その通りだとだ、智和は答えた。
そのうえでだ、自分の眼鏡を外した、眼鏡を外した顔も端整だ。だが二人は今はその端整な顔ではなく眼鏡を見ていた。
その眼鏡についてだ、彼は二人にこう話した。
「君のその相当な運動能力を聞いて」
「ひょっとしてと思ってね」
「それであの時あたしに会いに来たのかよ」
「そうだよ、それにね」
そしてだというのだ、さらに。
「この眼鏡は特別で。祖父が僕に遺したものだけれど」
「どんな眼鏡だよ」
「どんな目でも視力を調整してくれてね」
「度数をですね」
裕香は調整ということを聞いてこう解釈した。
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