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ハイスクールD×D~進化する勇気~

作者:レゾナ
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第十四話

そしてシトリー家で飯を食べた後……俺は絶体絶命の危機に瀕していた。

「むぅ~~なんでここに魔王がいるのっ!?イッセー君!」

「えぇ~いちゃだめなの~?いいじゃ~ん♪」

「おい、俺の意見を無視すんな」

そう、なぜかは知らないがセラフォルーさんが俺の部屋にいていきなり抱きついて来たのだ。

俺としてはすぐに離さないといけなかったので抗ったのだが……時既に遅く、俺が抗っている間にヴァーリがやってきたのだ。

神様……なぜこのような試練を俺に与えるのでしょうか?

『相棒。神はもういないぞ』

うるさい、ドライグ。形式美なの。

『相棒が形式美って……』

ドライグ。煮沸

『すまなかった』

わかればいい。

さて……

「誰でもいいからこの状況をどうにかしてくれ……」

その後、ヴァーリも一緒に俺と寝るという事で決着がついた。

むろんセラフォルーさんも一緒である。

俺に反対する権利はないのか……。

そういえば……ソーナ会長のお父さんが何か言ってたな。

『イッセー君。どうせならうちのもう一人の娘も貰ってやってくれないか?幸いな事にソーナも』

『わーわーわー!ななな、何を言ってるんですか、お父様!?』

いやいや、二人って……自分の娘を二人も差し出す親ってどうよ……というか二人?

セラフォルーさんはわかるけどなんでソーナ会長も?ソーナ会長の態度もおかしかったし……

『イッセー……会長を幸せにしてくれよっ!』

匙にはなぜかそう頼まれたし……あの会長が俺に好意を持っている……?

HAHAHA……そんなのあるわけない。

だってあの会長だぜ?クールで有名な会長だぜ?

そんなのあるわけない。

俺はそう結論づけて眠りについた……。



そして俺は今、ある家の一室に来ている。

なにやらここで若手悪魔達の会合があるらしい。

俺もなぜかそこに呼ばれた。

もちろんヴァーリ達も一緒である。

そしてどうやら俺が最後だったようで残っていた席に座る。

「私はシーグヴァイラ・アガレス。大公、アガレス家の次期当主です」

アガレスかぁ……結構大きな家の子なんだな。

この場には俺以外にも若手悪魔がたくさんいる。

リアス先輩のグレモリー眷属にソーナ会長のシトリー眷属……そして柄の悪そうなチャラ男、すんごく筋肉質な男、そして優しそうな顔をしている男。

いやぁ……この中で一番強いのは多分あの筋肉質な男だろうな……それよりも、注意するべきはあの優しそうな男だな。

こんな中で異質だからな。注意はしとくか。

「ごきげんよう、私は、リアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」

「私は、ソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」

リアス先輩とソーナ会長が続けて挨拶する。主達が席に着き、眷属はその主の後方で待機している感じだ。

俺たちもそんな感じで俺が席に座りヴァーリ達は後ろで待機している。

「俺はサイラオーグ・バアル。大王、バアル家の次期当主だ」

堂々と紹介したサイラオーグという男。今度は優しげな雰囲気を出す男だ。

「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さん、よろしく」

「ふん、俺はゼファードル・グラシャボラス。グラシャボラス次期当主候補だ」

「グラシャボラス家は先日、お家騒動があったらしくてな。次期当主とされていた者が、不慮の事故死を遂げたばかりだ。先程のゼファードルは新たな次期当主の候補と言う事になる」

なるほどね。それ位の理由がないとあんなのが次期当主になんかなれねぇよな。

「イッセー君。今度は貴方ですよ」

と、隣にいるソーナ会長が言ってくる。

俺は立ち上がり席に座っている皆の顔を見つめる。

「おいおい、なんでこんな所に人間がいるんですか~?神聖な若手悪魔の会合に人間がいるなんて~」

とゼファードルとやらが俺の事をそう貶してくる。

「はぁ……グラシャラボラス家終わったんじゃねぇか?」

「ああっ!?今、何つったこら!人間の分際で!」

と、ゼファードルは俺に詰め寄ろうとするが

「止めておけ、凶児。お前では勝てない……」

「んだぁ?お前は人間の味方すんのかよ?落ちこぼれ」

落ちこぼれ?でも……

「そんな落ちこぼれに気迫だけで負けてるお前はどうなるんだろうな」

「てめぇ、人間が……よほど俺を怒らせたいようだな……」

どうやらこのゼファードルとやらは俺の名前を覚える気はないらしい。

まあこんな奴に覚えられても嬉しくはないが。

「兵藤一誠。人間代表で来ました。それとなんでか上層部に呼ばれたんだが……なんで俺を呼んだんだ?上層部のくそ爺共」

「ふん、いつも通り礼儀もくそもない奴だな……なんでもお前の後ろに控えている女は白龍皇で旧ルシファーだそうではないか。それで彼女を悪魔に迎え入れようという事だよ」

「生憎だけどそれをヴァーリは望んでいない。他を当たれ」

俺はそう言い放ち、席に座る。もうこれ以上は喋る事はないと言わんばかりにね。

「イッセー君……」

安心しろ、俺はお前を売るような事はしないよ。

俺は背中越しにわからないかもしれないけどヴァーリに語りかける。

と、後ろでヴァーリが安心するような吐息が聞こえた。

どうやら伝わったようだ。



そして話が進んでいく。

どうやら禍の団(カオス・ブリゲード)に関しての話もしている。

しかしサーゼクスさんはそれは認めないと言った。

まあ、これ以上純粋な悪魔を減らすわけにはいかないしな。

そしてその後それぞれの夢を語る時になったのだが

「私の夢は冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」

へぇ、学校か……ソーナ会長は学校を建てたいんだ。先生になりたいのかな。会長は駒王学園を愛しているしな。俺は感心していたのだが、爺達は眉根を寄せていた

「レーティングゲームを学ぶところならば、既にある筈だが?」

確認するように爺共はソーナ会長に訊く。それを淡々とソーナ会長は答える。

「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行く事が許されない学校の事です。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔、家柄や階級も関係なく差別も無く自由に学べる学び舎です」

確かに冥界は実力主義も存在しているな。才能や能力を重んじる悪魔も少なくは無い。下の位の悪魔達もゲームを知り実力も上がれば……

『ハハハハハハハハハハハハハハッ!』

突然、爺共の笑い声がこの会場を支配する。意味が解らん。何で笑いだす?笑う要素が何処に有った?

「それは無理だ!」

「これは傑作だ!」

「成程!夢見る乙女と言う訳ですな!」

「若いというのは良い!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がそのような夢を語るとは。此処がデビュー前の顔合わせの場で良かったというものだ」

おい、サーゼクスさん。人の夢を語らせて爺達に笑わす為に言ったのかと睨みつける様に一番上の段にいるサーゼクスさんに視線を送るとサーゼクスさんが俺の視線に気づく。俺の言いたい事が解ったのか首を横に振った。

なるほど、サーゼクスさんに別に他意はないと。

「私は本気です」

セラフォルーさんもうんうんと力強く頷いていた。まるで「よく言った!」と言わんばかりの様子だ。しかし、冷徹な言葉をお偉いさんは口にする

「ソーナ・シトリ―殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に従え、才能を見出されるのが常。そのような養成施設を創っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔をつぶす事と成りますぞ?いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても変えていいものと悪いものがあります。まったく関係のない。たかが下級悪魔に教えるなどと……」

俺はその言葉に我慢が出来なかった。

俺は一瞬でレイピアと盾を具現化させて一瞬でそういった爺の側にやってきて首元にレイピアを置く。

「おい、爺。もういい加減にしろや……」

「「「「「っ!!??」」」」」

他の爺達も俺の行動に驚きを隠せないようだ。

「お前たちにソーナ会長の夢を笑う権利はないはずだ。それに下級悪魔だって悪魔だぞ?そこに下級も上級もクソもないと俺は思うが?」

「な、なんだ兵藤一誠!人間である貴様が悪魔の問題に首を突っ込むなど!」

「突っ込ませてんのは誰だ?お前らだ……お前たちみたいな未来もなさそうな爺より未来あるソーナ会長の夢を笑うな」

俺はそれだけ言うとレイピアを首元から外す。

「だ、誰か兵藤一誠を抑えろ!」

「へぇ、いいのかい?ここに死体が増えることになるぜ?」

「ぐっ……」

ちらっと俺はソーナ会長を見る。その顔には信じられないといった感情が見える。

後ろの方でも匙が「よく言ってくれた!」とバレないように小さくサムズアップしていた。

「イッセー君……席に戻りたまえ……いくら三英雄の一人といえど庇いきれない事だってあるんだよ?」

「それでも俺は自分のした事を後悔はしない。それが俺だ、サーゼクスさん」

俺はそう言って跳んで自分の席まで戻り、席に座る。

「それで?これで終わったか?」

「いや、最後にもう一つだけある……ソーナ、リアス。レーティングゲームで勝負しないかい?」

……レーティングゲーム?何でだ?

リアス先輩とソーナ会長は目を合わせてぱちくりと訳がわからないという感じだ。

「元々、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲームファンを集めデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね。だからこそ、丁度良い。リアスとソーナで実力を試すいい機会だ」

駒王学園同士の対決かよ。リアス先輩は一度息を吐くと、挑戦的な笑みをシトリー先輩に見せる。やる気満々の様だ。シトリー先輩も冷笑を浮かべだした。こっちもやる気全開だ。

そして会合は終わった……。



バシンッ!

今の音が何かわからないだろう。答え、俺がなぜかリアス先輩に叩かれた。

「貴方は馬鹿なの!?どうしてあんな行動を起こしたのよ!」

俺を叩いた後、リアス先輩はそう叫ぶ。

「ムカッとしてやった。後悔はしていない。それに自分たちで夢を語らせといて自分達にとって笑えるような夢にはとことん笑う……そんな屑を殺そうとして何が悪い?」

「だからって!貴方、一歩間違っていたら大変な事が起きたかもしれなかったのよ!?」

「そんな事になっても俺はこの選択を後悔しない。したくない。俺はいつもそうやって生きてきた」

「そう言う事じゃない!貴方は死にたいの!?あの方達が一言言えば上級悪魔の軍隊を出動させる程の力があるのよ!?」

「出来る物ならやってみろってんだ。上級悪魔の軍隊なら俺の実力を知っている悪魔はたくさんいるしその前に自分たちはやらないって言うよ……」

「~~~~っ!ああ、もう!」

そう言ってリアス先輩は部屋を出て行く。

「イッセーさん、大丈夫ですか!?」

「ああ、大丈夫だ。心配かけてごめんな、アーシア」

アーシアは俺を心配してか聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)で叩かれた箇所を治癒してくれる。

「………………イッセー君、あの時なんであんな事したの?あ、ちなみにこれは単純な興味だからね」

ヴァーリがそう聞いてきたので俺は答える。

「……ソーナ会長……悲しそうな顔をしてたからな……」

「え……?」

ソーナSIDE

私は匙に言われてイッセー君の部屋の前までやってきた。

先ほどリアスが出て行ったけど……何かあったのでしょうね。

そしてドアをノックしようとした時

『イッセー君、あの時なんであんな事したの?あ、ちなみにこれは単純な興味だからね』

『……ソーナ会長……悲しそうな顔をしてたからな……』

『え……?』

ヴァーリの言う通り私もえっ?だった。

私が……泣いていた?

『多分匙にもわかったと思うぜ?だから多分俺がなにもしなかったら匙が何か言ってた』

匙……後で事情を聞く必要がありますね。

と、それよりも今はイッセー君ですね。

『まだ少ししか接してないけど……でも、確かにあの時……ソーナ会長は泣いてた……自分の実力がまだまだ上層部の人たちに認めてもらってないって……心の中でひっそりと泣いてた……』

「っ!?」

そして……その時私は初めてわかった。あの時私は確かに虚しいと思っていた。

それは……泣いていたんだと初めてわかった……。

私の事は私が一番わかっていたと思っていたけど……そうじゃありませんでしたね。

イッセー君は……本当に……。



イッセー君と会ったのは本当に偶然でした。

あの日、匙に少し人手が欲しいから誰か助っ人を連れてきてくれないか?と頼み連れてこられたのがイッセー君だった。

それからもイッセー君は時々手伝いに来てくれた。

そしてリアスとライザーのゲームの時……初めて彼が悪魔の事を知っている事を知った。

私は翌日、生徒会は全員悪魔で、貴方を騙してしまった、ごめんなさいと謝った。

でもイッセー君は

『そんなの前から知ってましたよ。セラフォルーさんから嫌という程聞いてますし」

その一言で私は救われたのかもしれません。

彼は私たちが悪魔という事をわかっていて接してくれた。

思えばこの時からかもしれません。イッセー君への思いが少し変わったのは。後輩から気になる男子になったのは……。



私は自分の部屋に戻ってきた。

「あれ、会長?イッセーには会ってないんですか?」

「いえ、もう充分でした」

「そうですか。ならよかったです」

匙はそう言ってくれました。

そう、充分です。やはり……私はイッセー君の事が好きなのだと、再認識出来たのだから。

SIDE OUT

「ソーナ会長の夢は誇れる立派な夢だ。それをあんな未来もなさそうな爺達にバカにされてたまるかってんだ」

「ふふっ。イッセー君、格好良かったよ」

「ありがとうな、ヴァーリ」

「わ、私もカッコいいと思いましたよ、イッセーさん!」

ヴァーリに張り合うようにアーシアもそう言ってくる。

「ああ、ありがとう。アーシア」

「邪魔するぞ、兵藤一誠」

そう言って入ってきたのはサイオラーグさんだった。

「サイオラーグさん、どうしたんですか?」

「サイオラーグでいい……兵藤一誠、強いのか?」

「ああ、そんじょそこらの連中には負けない程度には強いと自負してるよ?」

「そうか……ぜひとも一度、勝負してみたいものだな」

「ああ、俺もだね。それと親しみを込めてイッセーって呼んでいいぜ?」

「そうか、だったらそう呼ばせてもらおう。じゃあな、イッセー」

そう言ってサイオラーグは去っていく。

本当にさっきの事しか気にならなかったんだな。

「さて……レーティングゲームだが……黒歌、お前はどうしたい?」

「えっ!?わ、私は……」

「お前が何か目的を持って同行したのはわかってる。その目的を達成するにはどうすればいい?」

「…………」

黒歌は少し黙ると

「塔城小猫と……二人っきりにしてほしいにゃ……」

「そうか……」

黒歌と塔城……なにかあるんだな。

「わかった、それじゃどうにかしてみるよ。確か……グレモリー眷属を鍛えるのはアザゼルさんの役目だったな」

それならどうにかなるか。

「黒歌、お前の望み。叶えてやるよ」

俺はそう言ってアザゼルに通信を開始する。

「ああ、アザゼルさん?ちょっと頼みたい事があるんだけど……」

俺はそうして約束をする事に成功し、とりあえずシトリー家の屋敷に戻る事になった……。 
 

 
後書き
さて、こんな感じですね。

ソーナ会長にはイッセー君に惚れてもらいましたが……どうだったでしょうか?

あ、ちなみに匙はソーナ会長の事は好きではありませんでしたよ。会長の幸せを願っているのです。 
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