とある物語の傍観者だった者
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6話:大脱走劇
前書き
ちょっと長め
「ふっふん、ふっふん、ふっふっふ~ん♪」
今日が休日だからオレは鼻歌なんか歌っている。
学校が休みというのは良い日だ。なんたってカミやんに会わなくて済むからな。面倒事を回避できる。
寮が一緒で住んでる部屋が隣というのが恐怖だがな。オレ・カミやん・土御門と寮の部屋が三つ並んでいて寮の管理人さんを震えさせたのは悲しきエピソードだ。
まぁ、話は戻して。
オレは面倒事とかトラブルとか非日常に巻き込まれたくないから、休日ライフは部屋で引きこもりライフだ。
もう三次元の女の子じゃ満足できないオレは土御門から貸してもらった『とある義妹の兄争奪戦ッ☆』という、義妹が義兄の愛を勝ち取るためにフラグが立った少女達を片っ端からそげぶする最高傑作の神ゲー(土御門談)の続きをプレイしようと思う。
……キモいとか言わないで。
いや、三次元の女の子も大好きだけど。満足できないワケじゃないけども……
最近なにかと不幸で、デンジャラスな少女たちのせいでオレのライフはコンマ0.1だろ。
少女誘拐事件なんて人には語りたくない黒歴史も然り、変態魔女と呼ばれる女がいれば、悪魔みたいな女はいるし、女性は警備員だの風紀委員の女性たちはオレを逮捕したがるし、吹寄のデコが無駄に脅威だし、ついビリビリ中学生と出会ってしまったし……
アレ?知り合いのおにゃにゃの子けっこういるじゃん??ハーレムなんじゃね?とか思ったりするけどオレが望んでいたものとなんか違う気がする贅沢な悩み。
そもそもフラグっぽいフラグを立てたワケじゃないし……カミやんみたいなリア充爆破しろと嫉まれるような甘い関係でもないし。
つーか、この世界はオレが思い描いていた桃源郷でもなく、魔術と科学の両サイドからドロドロとオレを徐々に追い詰めているようにさえ思えてきた。
暴力反対暴力反対暴力反対暴力反対。カミやん、助けて……
『兄貴、弁当作ったぞー』
『いつもすまないにゃー』
ゲームの主人公とヒロインが土御門義兄妹にそっくりだ!
もう主人公がにゃーにゃー五月蝿いのを除けば神ゲーだったな!!
義妹云々はさて置き、こんなにも尽くしてくれるヒロインがオレにもいつか……来るといいなぁ。
だから、それを夢見て休日は外から一歩も出るものk……
「ジャッジメントですの!! ここで会ったが百年目、逮捕しに参りましたの!!」
「なーーーーーっ!??」
ここで会ったが百年目じゃねえ!!
やっぱり休日は外に出掛けよう!!
―――SRれべる0とコード・ハナカザリ―――
「あー、あー、こちら、SRれべる0。ポイントROJIURAに到着。どうぞ」
『こちら、コード・ハナカザリ。SRれべる0、次の指示を出すまでクラウチングスタートの構えで待機しといてください。どうぞ』
「了解。クラウチングスタートの構えで……って、ずっとこれで待つの??これって何かの罰ゲームだったっけ!?? どうぞ」
『SRれべる0、これも重要なミッションです。いついかなる場合でも瞬時に反応できる構えです。私を信じて大人しく指示に従い、指先の神経を研ぎ澄ましといてください。どうぞ』
「了解した。コード・ハナカザリの今日のパンツが花柄だとしても信用して構えよう。どうぞ」
『良い返事です。ではその構えから両手の人差し指と小指を地面から離してください。ピンと伸ばしてください、ターゲットを補足するまでの耐久勝負です。どうぞ』
「ムリムリムリ!! 親指痛いしなんか小指つった!?? 人差し指戻らなくなった!!」
『SRれべる0、ターゲットに聞こえてしまいますよ?静かにしてください』
「初春のいじわるーーー!!」
……なにしてんだか。
視点、一二三サイドに戻る。
「はぁはぁ……くそっ、何でこうなった!??」
逮捕される理由が見当たらなかった。
だから、オレは逃げた。
「お待ちになって近簿さん! これ以上罪を重たくしない方が身の為ですの!! 逃げないでくださいまし!!」
罪って何だ!??
背後から白井黒子ちゃんが空間移動で追っかけてくる。
そもそも逮捕される理由がないのだから、何も問題起していないのだから捕まる理由もなければ逃げる理由もないはずだ。
でも、彼女がオレんちに空間移動で不法侵入して逮捕する、と告げた時には身体が反応してしまっていた。
何も疚しいことがなければ反応することもなかったのに……
「あれか? 休日の朝から…はぁはぁ…義妹カワイイよ、はぁはぁ…的な事をしてたのがアウトだったか!!?」
「そんな犯罪を犯したんですの!? 罪を重ね堕ちるとこまで堕ちましたわね、近簿さん!!」
「あれ?違った!??」
いらんこと言うて墓穴掘った!?
「だったら尚更調教…まずは逮捕する必要ですわね」
「調教って言った!?? オレに何する気ッ!??」
中学生がナニ言い出す気だ!?
もの凄くアカンやつや、18禁へお蔵入りやで。
「違いますの、近簿さんを真っ当な人間に更正させるための手段ですの」
手段とか言っちゃってるよ、この子!?
「大丈夫ですの、ちょっとケツから血がでるだけで大したことないですの!!」
「大したことあるし女の子がケツとか言っちゃダメっ!!」
血が出るとかヤバイだろ。
ムチで叩かれるのか、もうそれは恐ろしいからオレは捕まるわけにはいかない。
だから、全力で逃げた。
「に、逃げ足だけは速いですわね」
「ふはははーっ、伊達にトラブルに巻き込まれてやしないぜ、白井黒子ちゃんー」
しかし、
「それは自慢になっていませんし、ちゃん付けはよしてほしいのですが、今は……お姉様ッ!!」
「はいはい、わかってるわよ」
「ふぁっ!??」
Why? このタイミングで何故ビリビリ中学が現れた!?
気付けば挟み撃ちされていた!!?
「やっと来たか。まっ、暇つぶしに遊んであげるわ」
「暇つぶしでビリビリ撃ってくるなーーーー!??」
オレはたまらず、都合よく横に路地があったのでそっちに進路を変更し、魔の手を回避して逃げるのであった。
ほんと何でこうなった!??
―――佐天&初春―――
「初春、御坂さん達遅いねー」
『そうですねー。ですけど、もうこの辺りまで近簿さんを誘い込んでいるらしいですよー』
「そっかー、もう指の感覚が無いから早くして欲しいなー」
『佐天さん、体勢崩したらダメですよー』
「んー、私頑張るー」
『佐天さん、近簿さんを押し倒すシュミレーションは完璧ですかー?』
「んー、クラウチングスタートからのラリアットー。向うはたまらず倒れるから、そこを押さえこみロメオスペシャルに持っていこっかなーって考えてるー」
『私的にキャメルクラッチを要望します』
「それもアリだね。よーし、が~ん~ば~る~ぞ~」
しかし、少女たちの要望は叶いそうになかった。
「おっ、良いケツ発見ー」
『「あっ……」』
「お嬢ちゃん、こんな所でナニしてんのー?」
「四つん這いで腰振ってマジビッチ??」
「じゃあ、俺たちと遊ぼうぜー」
「あはは、あは~……」
『やば……(ご愁傷様です、佐天さん)』
不良達との遭遇。
遠くの方まで少女の悲鳴が響き渡った。
「きゃぁああああああああ!??」
「「「っ!??」」」
少年・少女たちにもその悲鳴は届いた。
「……こっちか?」
「あっ、ちょっと!!」
少年は一目散に悲鳴がした場所へ向かった。
「初春っ! 佐天さんに何があったんですの!!?」
『あははー、私たち、バチが当たったみたいですねー。佐天さんがスキルアウトの連中に絡まれてしまいましたー』
「ちょ、どうするのよ!」
悪ふざけが過ぎたというのは自覚していたが、まさか、こんな事態になるとは全然予想していなかった。
いや、路地裏なんだから予想すべきだったんだ。
「これはこちらの落ち度ですの。佐天さんと近簿さんへの謝罪も後回しにして、今は佐天さんを助けるしかないですの」
「そうみたいね……」
少女たちも少年のあとを追う。
追って走ってすぐ前方にはもう見えた。
ターゲットを捕獲するポイントだったそこが、現在不良たちに捕まった少女の姿が。
「佐天さん!!」
「御坂さん! 白井さん!!」
少女は叫ぶ。助けて、と。
でも、助けるのは少女たちじゃないと佐天は悟った。
少女たちよりも目の前に、その希望がいたからだ。
近簿一二三。変な名前な少年。
スキルアウトは合計四人だが、彼は怯むことなく走ってきた。
見ず知らずの自分を助けるために。
「その子から手を離せよチンピラぁぁあああああ!!」
拳を握っては右ストレートを繰り出すつもりだろう。
「こん、ぼ……さん」
ああっ、初春が言っていたアレってこれのことだったんだな、と佐天は悟った。
カッコいい、そう思ったのだ。
そして、少年の右ストレートが唸りチンピラAの顔面に……
「うるせぇドカスがぁ! 俺達の邪魔をするなぁぁあああ!!」
「ごばぁぁあああああああああああああああああああ!???」
「「あっ、やられた」」
「(この人路地裏じゃ超弱いんだった!!)」
少年の拳よりもチンピラAの拳が先に少年の顔面をヒットする。
少年は後からきた御坂たちの足元まで大袈裟に吹き飛び、ノビていた。
「はぁ、情けな」
美琴の言葉。
「まぁ、これが近簿さんですの。見ず知らずの少女でもピンチなら助ける、でもご自身が無能になる環境下では控えてほしいですの」
だから調教が必要だと、黒子の言葉。
「でも、ちょっとカッコ良かったですよ、近簿さん。まぁ、そのままこの人たちを倒してくれていたら惚れてましたね」
と、佐天さん。
おしかったな少年!!
「えーと、お前ら、今この状況わかってる??」
「そこの男が頼りにならないんじゃなー。残りの女2人で何ができんの?」
「ナニができるじゃねぇか、ぎゃははははっ」
「おい、そこの2人。痛い目見たくなかったら、今すぐ脱いで汚いケツ見せろよ」
などと、一番状況が分かっていないチンピラ集団。
「あー、お兄さん達、ご愁傷様です」
「「「「は??」」」」
佐天さんが合唱し、次の瞬間四人の絶叫の声が路地裏を支配した。
事後報告。
少女達に粛清されたチンピラ達は風紀委員の別の者に連行され御用となった。
悪ふざけをした少女たちは、上の責任者たちから大目玉を食らう羽目になった。
そして、今回も完全なる被害者なオレはというと……
「オレは無実だ! ただ休日に友人から借りたちょっとムフフなゲームをしようとしていただけだ!! だからオレは悪くない!!」
「はいはい、お前の言い分は部署でちゃんと聞いてやるからとりあえず大人しくするじゃん。つーか、人様に迷惑かけたんだから今日は晩まで説教してやるじゃんかよー、楽しみにするじゃん?」
警備員でありいつもお世話になっている黄泉川愛穂先生に説教されそうだ。つーか、確定だ。
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ寮に帰って義妹の癒しを堪能するんだよぉぉおおおおおお!!」
「だったら今日は義妹よりもっと良いサイコーの大人の癒しを堪能させてやるじゃん。朝まで説教コースじゃん」
「不幸だぁぁああああああああああああああああああああああ!!」
うん、いつも何でこうなるの!!
カミやん…台詞、借りるね。
そして、後日談。
あの騒動のお詫びと称し、少女四人組が低姿勢で謝罪と、ファミレスでのお昼を奢ってもらった。
もうそれだけで店員の目が冷たかったね!
後書き
そろそろちゃんとストーリー考えます。原作通りに行くのかは怪しいですが、暖かい目でお願いします
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