オリーブの祝福
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第六章
「このままかしら」
「それは」
二人共だった、このことについては答えが出なかった。だがここで時間になってだった。カテリーナは自分の腕時計を見てシャハラザードに言った。
「時間よ」
「講義の時間ね」
「ええ、だからね」
だからだというのだ。
「今は行きましょう」
「講義にね」
「このことも気になるけれど」
もっと言えば心に留まって仕方がない。
「だからね」
「それでなのね」
「ええ、今はね」
「講義にね」
出ようということになってだ、そしてだった。
二人は今は講義に出た、だがこの日からだった。
イスラエルとパレスチナは対立の度合いを高めていっていた、ニュースは連日その緊張の度合いを高めていっていた。
それでだ、二人は心から憂いていた。しかし。
その中でだ、二人に二人の共通の教師であるオベール=フロリース教授二人が通っている大学の中でも高名なこの教授が二人を自分の研究室に呼んできたのだった。
その呼び出しを受けてだ、まずはカテリーナが言った。
「何かしら」
「さて、それは」
シャラザードもだ、問われてもだった。
首を傾げさせるだけだった、それでカテリーナに言葉を返した。
「私もね」
「見当がつかないわよね」
「とてもね」
こう言うのだった。
「けれど一緒に呼ばれてるのなら」
「そうね、一緒に来てくれって仰ってるから」
それならだった、二人にしてもだった。
共に行くしかなかった、それでだった。
二人は一緒に教授の研究室に入った、教授は穏やかな顔の紳士である。気品のある口髭も端正なスーツもよく似合っている。
その彼は二人が部屋に来るとだ、気品のある微笑みでこう言ってきた。
「よくいらして下さいました、では」
「では?」
「ではっていいますと」
「お二人はお昼は」
「まだですけれど」
「それは」
丁度時間は昼食前だ、二人は教授との話が終わってから共に食事を摂ろうと考えていたのである。
だがその二人にだ、フロリースは言った。
「パスタを食べようか」
「パスタですか」
「それを」
「うん、イタリア料理で美味しい店を知っているんだ」
アメリカにはイタリア系も多い、だからパスタもあるのだ。このことは二人もよく知っていることであす。ニューヨークにもそうした店が多いからだ。
「そこに行こうか」
「そうですか、イタリアンですか」
「今日は」
「そうだよ、駄目かな」
「いえ、それは」
「特に」
二人共イタリア料理は嫌いではない、特にパスタはだ。それでフロリースに対して特に反論することなく答えた。
「よく食べますし」
「私もです」
「ならいいね」
それならとだ、フロリースも笑顔で頷いてだった。
三人で大学の近くにあるイタリア料理のレストランに入った、そこで三人はパスタをはじめとしたイタリア料理を食べた。だがそのイタリア料理はどれもだった。
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