セカンド=ラブ
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第二章
「慣れてるしそれにね」
「それになのね」
「今回も多分」
「深い付き合いにはならないのね」
「ええ、はじまりもそうだし」
「あんたの性格から言っても」
「彼の性格もね」
相手の性格もさばさばとしていた、だからだった。
私はこの愛も浅いものになるだろうと思っていた、けれど。
ある日彼と一緒に下校の道を歩いていると急にこう言われた。
「ねえ、今からさ」
「今から?」
「ちょっと買い物があるけれれど」
こう私に切り出してきた、私もその言葉を聞いた。
「いいかな」
「お買い物?」
「うん、ちょっとでいいから」
私に付き合って欲しいというのだ。
「駄目かな」
「いいわよ」
特に断る理由もなかった、それでだった。
私は彼のその誘いに乗った、頷いてこう答えたのだ。
彼もそれを見て微笑んで私に頷いた、そしてだった。
私達は二人で駅前の百貨店に入った、百貨店の中はお客さんと店員さんで一杯だった。その百貨店の中を進み。
アクセサリーショップに来た、そこで彼は私に銀色の蝶々のブローチを買って私にくれた。
「はい、これ」
「プレゼント?」
「うん、今日誕生日だったよねえ」
だからだというのだ、それはその通りだ。今日は私の誕生日だった。
「だからね」
「これをくれるの」
「確か蝶々好きだよね」
「ええ」
このこともその通りだ、私は子供の頃から蝶々が好きだ。
それに銀色が好きだった、全部揃っている。
けれどどうして全部知っているのか、私は怪訝な顔になって彼に尋ねた。
「私そんなこと一度も」
「いや、一緒にいる時にね」
「私言ってたの」
「そう、言ってたじゃない」
私が覚えていないうちにだ、言っていたというのだ。
「下校中のデートの時にね」
「その時だったの」
「お誕生日のこともね」
蝶々や好きな色のことと一緒にだというのだ。
「聞いたから」
「私が言ったことすら覚えていない様なことなのに」
それで覚えていてくれるのが信じられなかった、しかもそれだけでなく。
彼は私にだ、、笑顔でこうも言ってきた。
「じゃあ今からね」
「今度はどうしたの?」
「七階に行こう」
この百貨店の七階にだというのだ。
「そこの百貨店にね」
「何かあったかしら」
「今東北フェスタやってるんだ、お蕎麦とか林檎のお菓子好きよね」
「私そのことも言ってたの」
「だから知ってるから」
それでだというのだ。
「行こう、何でも好きなの食べて」
「それもプレゼントなの」
「駄目かな、そういうのじゃ」
「いえ、それは」
実はお蕎麦も林檎も大好きだ。東北のお蕎麦といえばわんこそばだけれど私がこれが特に好きだ、それで彼の言葉に頷いて。
二人で七階に上がりそこで二人でわんこそばと林檎のパイを食べた、その日は心から楽しめた。
けれど何故彼が私が何時言ったかも覚えていない様なことを知っているのか、私は次の日学校で愛菜にそのことを尋ねた。
二人で一時間目の後の休み時間教室で話した、愛菜は私に笑ってこう答えた。
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