FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第169話 思わぬ方向へと・・・
前書き
こんにちは~♪
今回は大魔闘演舞2日目のバトルパート!果たして、どんなバトルを繰り広げてくれるのか・・・!?今回は第1試合だけです。
ナレーション風にいきます。
それでは、第169話・・・スタート♪
『ドムス・フラウから少し離れたとある民家の屋根の上』
とある民家の屋根の上にいる『謎の少女』は片手に持つ映像と音声機能が付いた球体型の通信魔水晶から『登塔』に出場し、傷だらけで気を失い、グレイとショールに抱き抱えられているエルザとユモの事を見つめていた。
?「この時点で、妖精の尻尾Aは14ポイント。妖精の尻尾Bは16ポイントか。エルザ・スカーレットとユモス・クオリナは怪我をしているもの、大魔闘演舞には参加出来るわね。」
その時、
?「!?」
『謎の少女』は驚いたように目を見開き、正座の体勢から素早くその場に立ち上がり辺りを見回した。クロッカスの街に住む人々は大魔闘演舞の会場に行っている為、この場にいるのは『謎の少女』と野良猫、街灯に止まる鳥くらいだ。
?「こ、この感じ・・・ドムス・フラウからっ!?」
何かを感じ取ったのか、『謎の少女』はドムス・フラウの方を振り返る。ドムス・フラウからは大勢の人の歓喜が聞こえる。
?「確か今日は・・・大魔闘演舞の2日目、7月2日・・・・」
そう呟くと、『謎の少女』は通信魔水晶の電源を切り、乱暴に黒いフレアスカートのポケットに突っ込むと、今度は薄い長方形の形をした魔水晶を取り出した。電源を入れるとヒビキの古文書のように何かを探し始めた。
?「ものすごく古い歴史書でしか見た事が無かったけど・・・」
『謎の少女』は手を休めずに何かを探しながら呟く。その表情は恐怖に満ちている。が、その裏ではどこか珍しいものを見つけた時のような嬉しさも満ちていた。
?「私が作った、この情報検索魔水晶なら・・・!」
説明しよう!情報検索魔水晶とは、『謎の少女』が開発した新種の魔水晶の事だ。調べたい情報を検索し、調べた内容の映像を映し出し詳しく、正確に、簡単に調べられる事が出来る優れものだ。『謎の少女』曰く、「情報検索魔水晶で調べられないものは無い」らしい。分かりやすく言うと、読者の皆さんがいる世界ではパーソナルコンピューター(略してパソコン)のような物だ。
『謎の少女』の何かを探し出す手の動く速さがどんどん速くなっていく。
?「7月7日・・去年は『竜王祭』・・・そして今年は・・・・!」
『謎の少女』の何かを探し出していた手の動きが止まった。まるで、探していたものを見つけたかのように―――――
『謎の少女』が情報検索魔水晶で調べたものは――――――――――
?「『獄悪十祭』・・・人間と悪魔の奈落の宴・・・・」
情報検索魔水晶の映像には、不気味な顔をした10頭の悪魔に囲まれた1人の勇者の絵が映し出されていた。
この時になってようやく、1人目の、運命の歯車が逆回りしてしまった事と、5日後に起こる予想も出来ない出来事の事に気づいた人間が現れた――――――――――
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『大魔闘演舞会場、ドムス・フラウ』
チャ「『登塔』が終わったところで・・・これより!大魔闘演舞2日目の、バトルパートを始めたいと思いますっ!!」
観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
大歓声が沸き起こる。現在上位3位の銀河の旋律、死者の仮面、海中の洞穴のメンバーは余裕な笑みを浮かべ、下位3位の四つ首の猟犬、白い柳、気楽な禿鷹のメンバーは困惑の表情を浮かべていた。
チャ「第1試合、幸福の花、ツツジ!!VS死者の仮面、アーキリーズ!!」
観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
石造りの会場の出入り口からツツジとアーキリーズが姿を現した。
ヤ「ツツジは幸福の花の新人だったねぇ。」
ジェ「現在絶好調の死者の仮面の魔道士はどんな魔法を使うんだぁ!?COOOOOL!!」
ジェイソンは興奮しすぎて席から立ち上がって身を乗り出し、今にも会場に飛び出してしまいそうな勢いで叫ぶ。
ナ「死者の仮面の奴だ。」
グ「あいつの背中にあるのは何だ?」
グレイがアーキリーズの背中にあるものを指差して首を傾げる。
ショ「剣・・・いや、双剣か?」
ト「アーキリーズさんの魔法道具でしょうか?」
エル「それにしても、死者の仮面の奴等は所持系の魔法を使う奴が多いな。」
エルフマンが言ったとおり、コネティは指揮という魔法を使い、指揮棒が無ければ使えない。リノは黒闇傘という魔法を使い、あの黒いフリルの付いた傘が無ければ使えない。まだ魔法は明らかになっていないが、アーキリーズもあの双剣を使う魔法で間違いないだろう。
ウェ「ツツジさんっていう人、大丈夫かな?」
ル「新人だし、着物着てるから動き難そう・・・」
妖精の尻尾の魔道士達も心配そうな表情を浮かべる。
チャ「第1試合、開始ッ!!」
チャパティ・ローラの実況と共に、像の上にいる男が銅鑼をゴォォォォォン!!と力強く叩いた。それを合図に、最初に動き出したのはツツジだ。ツツジは躑躅の花が描かれた白い着物の懐から小さな容器を取り出し、容器から何かを取り出すと慣れた手つきでそれを地面に放り投げた。
ツ「秘種!」
ツツジが地面に放り投げたのは茶色い無数の種だ。すると、種から緑色の蔦が急成長して伸び、
ツ「ナックルプラント!」
握り締めた拳の形になってアーキリーズに殴り掛かる。
リョ「植物!?」
ド「あいつ、俺と同じ魔法を使うのかぁっ!?」
リョウと応援席にいるドロイが驚嘆の声を上げる。余談だが、ドロイの右手には骨付き肉、左手にはハンバーガーが握られている。
ア「・・んで・・・」
アーキリーズはツツジの攻撃を避けようともしない。
チャ「おぉっと!アーキリーズはツツジの攻撃を避けようとしない!このまま受け止めるつもりなのかぁっ!?」
ツツジの攻撃はすぐ目の前まで迫っている。「受け止める」「このまま直撃する」と誰もが思ったその時、
ア「何で妖精の尻尾のクソ魔道士が相手じゃねェんだよおおおぉおおぉぉおおおおおおおおおおっ!!!」
死者全以外「!!!??」
突然ブチッ!と何かが切れ、狂ったように叫んだ。すると、アーキリーズは素早く背中に背負っていた双剣を鞘から取り出すと、
ア「うおおおぉぉおおおおぉおおおおらああぁあああぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
ものすごい速さで双剣を振るい、拳の形をした蔦を全て真っ二つに切った。
ツ「・・・・・」
ツツジは一瞬の出来事に言葉を失った。
チャ「な・・何と言う事でしょう!アーキリーズがほんの一瞬でツツジの攻撃を止めてしまったあああああっ!!」
観全「・・・・・」
観客も言葉を失っている。
観1「おい見ろよあれ!」
観2「何だあの剣!?」
観客がアーキリーズの双剣を見て驚嘆の声を上げた。アーキリーズの双剣の銀色の刃に、黒に近い紫色の邪悪なオーラが纏わり付いていた。
リョ「あの双剣・・・7属性の武器の1つかっ!?」
ナ「・・・7・・属性・・・何だって?」
ル「7属性の武器!!」
リョウがアーキリーズの双剣を見て驚嘆の声を上げ、ナツが問おうとするが上手く言う事が出来ずにルーシィに言い直された。すると、
エ「炎、水、雷、風、地、氷、闇の7つの特定された属性の攻撃を放つ事が出来る武器で攻撃や防御が出来る所持系の魔法だ。あいつが使っているのは闇の双剣だな。」
ユ「『登塔』に出場してた海中の洞穴のハルトが使っていた槍も、7属性の武器の1つで、雷の槍だよ。」
エ&ユ以外「!!?」
驚いて振り返ると、体に包帯や湿布、絆創膏を張った医務室で寝ているはずのエルザとユモがいた。
ウェ「エルザさん!」
ト「ユモさん!」
マ「もう起きて大丈夫なのっ!?」
ユ「うん。大魔闘演舞にはふつうに出場出来るし、私もエルザも、「明日には完治してるはずだ」ってポーリュシカさんに言われたから。」
フ「てか、寝てなくて大丈夫なのかよ?」
エ「どこの誰かは知らないが、あんなバカデカイ声が聞こえたというのに普通に寝ている方が可笑しいと思うぞ。」
どうやらアーキリーズの叫び声は妖精の尻尾専用の医務室で寝ていたエルザとユモの耳にも聞こえたみたいだ。
ア「妖精の尻尾のクソ魔道士の奴等と戦わせろおおぉぉおおぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ツ「キャアアァアアアァアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
叫び声を上げた当の本人であるアーキリーズは7属性の武器の1つである闇の双剣をツツジに容赦なく振りかざした。ツツジはその場に崩れ落ちるように倒れ、それから立ち上がる事は無かった。
チャ「し・・試合終了ォォォッ!勝者、アーキリーズ!死者の仮面、10ポイント獲得!!」
アーキリーズは双剣を鞘に戻すと出入り口に向かって歩き出した―――と思いきや、くるりと回れ右をして足早に歩くと妖精の尻尾の待機場所の真下まで来て立ち止まった。
チャ「おぉっと!アーキリーズ、なぜか妖精の尻尾の待機場所の真下に来て立ち止まりました。いったい、何をするつもりなのでしょうか?」
この状況でなぜか実況をするチャパティ・ローラ。会場にいる人間の視線がアーキリーズに集まる。すると、アーキリーズは再び鞘から双剣を取り出すと、1本の剣の刃先を妖精の尻尾ABのメンバーに、もう1本の剣の刃先を死者の仮面のメンバーに向けると、
ア「俺達死者の仮面は、お前等妖精の尻尾の事を恨んでいる。特にお前等をなっ!知ってる奴もいると思うが、俺達は必ず、妖精の尻尾を支配するっ!!」
会場が静まり返った。アーキリーズはそう言うと双剣を握ったままで出入り口を目指して歩き出した。
ナ「出来るもんならやってみろよ。」
妖精以外全「!!!??」
会場にいる人間の視線がアーキリーズから妖精の尻尾の待機場所に移動する。そこには、決して狂いの無い瞳を輝かせた12人の妖精達の姿があった。その12人の妖精達の先頭に立つナツは、右手の指先に炎で「COMEON」の文字を作ると、
ナ「俺達妖精の尻尾は、止まる事を知らねぇギルドだ。逃げる事も、後戻りする事も、負ける事も、諦める事も知らねぇ。妖精の尻尾は、どんなに強い相手だろうと、どんなに人数の多いギルドだろうと、絶対に潰されも、支配もされねぇっ!!!銀河の旋律の奴等も、死者の仮面の奴等も、それ以外の奴等も、正面から掛かって来いやあああああっ!!!」
観全「オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」
会場が大歓声で包まれた。
チャ「な、なななな何と言う事でしょうっ!妖精の尻尾が2度目の宣戦布告を出されたあああああっ!そして!妖精の尻尾からもそれぞれのギルドに宣戦布告を出したああああああああああっ!!」
ヤ「すごい展開になってきたねぇ。」
ジェ「ヤ・・ヤヤヤヤヤバすぎるっ!今週の週刊ソーサラーのピックアップ記事は、「波乱万丈の大魔闘演舞 勝利の女神が微笑むのはどのギルドかっ!?」に決定だぁぁぁっ!COOOOOOOOOOL!!!」
レナ以上であるものすっごい速さでメモ帳に今の宣戦布告の嵐の内容を書き込んでいく。流石ベテラン記者。以前も言ったが、今週の週刊ソーサラーは絶対に売れるだろう。ちなみに明日発売!
エル「す、すごい、盛り上がってきたな・・・」
グ「いったいどうなる事やら・・・」
ト「楽しくなりそうですね。」
ショ「ん?トーヤ、ちょっと意味が違うと思うぞ。」
観客はまだ大騒ぎをしていた。
ル「もぉ~、ナツがあんな事言っちゃったから、負ける事が難しくなっちゃったじゃない。」
マ「えっ?ルーシィ負けるの?」
ル「まだ分かんないけど、もし負けたら・・・」
弱音を吐くルーシィの肩にポンッとリョウが手を置く。
リョ「な~に、心配する事じゃねぇよ。」
エ「もし負けたら、次は全力を尽くして勝つ。それでも負けたら、更に全力を尽くして勝つ。それでもまた負けたら・・・その繰り返しだ。」
ユ「負けて諦めたら、その時点で二度と勝つ事は出来ないからね。」
フ「だから、負けたとしても絶対に諦めたらダメなんだ。「次こそは必ず!」っていう意思を持たねぇとな。」
ナ「ルーシィ、お前も妖精の尻尾の魔道士だ。今年も俺達皆で、フィオーレ一の座を手に入れようぜ。なっ。」
ウェ「ルーシィさん!一緒に頑張りましょうね。」
妖精の尻尾の魔道士、ルーシィの周りには、勇気づけてくれる仲間、声を掛けてくれる仲間、自分を「仲間」と言ってくれる仲間がいる。
ル「うん!」
ルーシィは若干頬を染めながら元気よく頷いた。
ショ「!」
エ「ショール?どうしたんだ?」
隣でビクッと肩を震わせ、目を見開いたショールを見てエルザが問う。
ショ「い・・いや、何でも、ない・・・」
エ「?そう、か。」
だが、この時ショールは、『予知』であるもの見てしまったのだ――――――――――
ショ「(な・・何だ・・・?今、一瞬だけ・・・・)」
ショールは応援席にいるシャルルを見る。
ハ「すごい事になってきたねシャルル。」
シャ「ほんとね。全く、あんな事言って大丈夫なのかしら?」
ロ「ナツ兄やルーシィ姉達なら大丈夫だよ。」
シャルルはハッピーとロメオと楽しそうに話していた。
ショ「(シャルルは、何も見ていないのか?)」
ショールが『予知』で見たあるもの。それは――――――――――
オレンジやピンク、紫のグラデーションに染まっているクロッカスの街の空――――――――――
瞬き1つせず、石像のように黒く固まってしまった人々――――――――――
漆黒の翼を持つ巨大な生物――――――――――
息を切らしながらも、何かを目指して必死に走り続けるルーシィ、ウェンディ、トーヤ、フレイ、自分の姿――――――――――
傷だらけになりながらも、何かに攻撃を仕掛けるナツ、グレイ、エルザ、リョウ、ユモの姿――――――――――
灼熱の赤い炎と、『闇』を連想させる黒い炎が燃え盛る場所に座り込み、空に向かって泣き叫ぶマヤの姿――――――――――
ショ「(いったい・・・何なんだ・・・・?)」
2人目の、運命の歯車が逆回りしてしまった事と、5日後に起こる予想も出来ない出来事の事に気づいた人間が現れた――――――――――
未来は今、誰も予想する事が出来ない、思わぬ方向へと進み始めた――――――――――
後書き
第169話終了~♪
・・・大魔闘演舞編、本文にも書いたとおり、思わぬ方向へと進み始めてしまいました。可笑しいなぁ・・・頭の中で考えていたお話は、もっとあっさりとしてたはずなのに・・・「何でこんな展開になったんだろう・・・?」と不思議に思う駄作者07でした。
次回は大魔闘演舞2日目バトルパートの続きです!
それではまた次回~♪
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