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ヘタリア大帝国

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TURN137 議会の腐敗その十

 それでだ、こう言うのだった。
「大国の時代ではなくなります」
「そうだろうな」
「勿論植民地もです」
 それもだというのだ。
「なくなります」
「うちもオフランスも全部手放したしな」
「はい、それで」
 全くだというのだ、そうして。
 その話をしながら出撃準備を進めていくのだった、ロンドン攻略の準備は進めていた。しかしその中において。
 日本はエイリス軍の艦艇を観てだ、首を傾げさせて言った。
「これは」
「艦載機かよ」
「はい、ソードフィッシュですが」
「もう古いか」
「旧式では」
 イギリスに怪訝な顔で話す。
「そう思いますが」
「やっぱりこっちもこういうの変えないと駄目か」
「そう思います、それに艦艇も」
「あれだろ、水雷攻撃とかに弱いってんだろ」
 イギリスは自分から言った。
「ビーム攻撃とかには強くてもな」
「艦載機に対しても」
 日本はイギリスとのおれまでの戦いからも言った。
「戦いからも思いましたが」
「ああ、自覚してるよ」
 イギリスは日本に首を傾げさせながら応える。
「うちは艦艇も旧式になってたか」
「その様ですね」
「空母も開発してんだけれどな」
 だがそれでもだというのだ。
「もっとな」
「そうですか」
「何かあちこち古くなってるんだな」
 イギリスはあたらめてこのことを自覚した。
「どうにかしないとな」
「兵器だけのことではないですね」
「いや、全部だよ」
 兵器に限ってではないというのだ。
「もううちは全部な」
「古くなっているというのですか」
「そうだよ、本当に老大国になっちまってるな」
 それが今のエイリスだというのだ。
「長い間植民地や世界帝国にこだわっててな」
「だからこそですか」
「戻ったら全面的な改革だよ」
 エイリスのその全てをだというのだ。
「兵器も軍制も議会も政治システムもな」
「貴族制度もですね」
「何もかもをな」
 全面的に見直し根本から改革を行わなくてはならないというのだ。
「そのことを痛感したよ
「そのうえで生きていくのですね、エイリスは」
「欧州の中の一国としてな」
 世界帝国でなく、というのだ。
「そうしていくさ」
「ではその為にも」
「ロンドンに戻るか」
 勝つのではなくだ、戻るというのだ。
「貴族連中にはお灸だな」
「この戦争はイギリスさんにとっても非常に大きなものでしたね」
「ああ、本当にな」
 やられっぱなしだった、だが。
「色々あってな」
「エイリスが生まれ変わった戦争になりましたか」
「世界のどの国もな」
 そうなった戦争だとだ、イギリスは言うのだった。
「そんな戦争になったな」
「そうですね、私にしても大きく変わりました」
「俺はもう太平洋には貿易とか外交以外では入らないからな」
 植民地がなくなったからだ、イギリスは遠い目になっていた。
「そっちはそっちでやってくか」
「そうなります」
「頑張れよ、まあガメリカと中帝国は好きになれないけれどな」
 同じ連合国にいた頃も散々足を引っ張られた、それでなのだ。
「仲良くやれよ」
「難しいですが」
 個性の強い二国とはだ、日本もそのことは見極めていた。
 そのうえでこれからのことを考えつつイギリスに言うのだ。
「太平洋は太平洋でやっていきますので」
「それで欧州は欧州か」
「そうなりますね」
「やってくか、ドイツやフランス、それとイタリアと」
 こう話してだった、イギリスは間も無くはじまろうとしている戦後のことを見極めていた。終わりではなくはじまってからのことを。


TURN137   完


                     2013・9・12 
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