万華鏡
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第五十八話 活動再開その八
「まあ今や阪神は全国区だけれどね」
「それでも阪神は関西が本拠地だからね」
「うちのクラスも殆ど全員阪神ファンよ」
里香のクラスもだというのだ。
「皆ね」
「そうなのね」
「こっちもだよ」
「私のクラスもね」
美優と彩夏も言う、美優はチャーシュー麺と炒飯を、彩夏は焼きそば定食を食べている。琴乃は卵焼き定食だ。
「そんなのだよ」
「もう皆そうよ」
「ううん、期待してるのよね」
「ああ、阪神の日本一をな」
「それをね」
まさにだとだ、二人も琴乃に答える。
「だってよ、夢だろ」
「阪神の日本一なんてね」
「二十一世紀に入って二回リーグ優勝したのにな」
「日本一になってないのよ」
だからこそだというのだ。
「今度こそはな」
「日本一よ」
こう期待してだった、二人も言うのだ。
そして琴乃もだ、期待に目を輝かせて言うのだった。
「若し阪神が日本一になったら」
「その時は?」
里香がその琴乃に問うた。
「どうするの?」
「お祝いで飲む?」
祝勝のパーティーをしてだというのだ。
「そうする?」
「そうね、それいいわね」
「でしょ?そして出来ればね」
琴乃は日本一だけを見てはいなかった、その先にあるものも見てそのうえで四人にこうも言ったのである。
「来年も再来年も」
「おい、連覇かよ」
美優が呆れると共に微笑みながら琴乃の言葉に応えた。
「それもお願いするのかよ」
「ええ、そして出来ればね」
連覇もだ、二つや三つではなくというのだ。
「十連覇ね」
「大きいな」
「だって巨人が九連覇よ」
日本の暗黒時代である、巨人が日本一になるとそれだけで日本は暗黒に包まれる、日本が悪の力に屈したことに他ならないからだ。
「それなら阪神はね」
「十連覇ね」
彩夏も目を輝かせて言う。
「そういうことね」
「そう、そうお願いしない?」
「夢も夢ね」
「でっかい夢でしょ」
「ええ、相当にね」
阪神の十連覇、それは確かに途方もない夢だ。しかしそれでもだとだ、琴乃は自分の昼食を食べながら熱い声で語った。
「けれど願うのならね」
「大きくなのね」
「そう思うから」
だからこそだというのだ。
「お願いしない?」
「そうね、是非ね」
彩夏も確かな顔で頷く、そうした阪神の話からだった。
里香がだ、四人にこう言って来た。
「あとハロウィンだけれど」
「ああ、あの時ね」
琴乃がその里香のその言葉に応える。
「十月三十一日ね」
「その日はうちの部活学園の校庭で路上ライブやるらしいのよ」
「そうなの」
「そう、ゲリラ的にね」
何の予約なくだというのだ。
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